最低野郎
さいていやろう
Bottom(ボトム)とは、下・下部・最底辺を意味する英単語である。
アストラギウス銀河で生み出された人型機動兵器アーマードトルーパー(通称・AT)は、その機動力と汎用性の高さと生産性を兼ね備え、戦場で猛威を振るったが、生産性を最優先したせいで装甲は紙切れのように薄く、多少貫徹能力があればハンドガンですら抜けてしまう程であり、生命維持装置も脱出機構も省かれた劣悪な兵器であった。
おまけに、機体を駆動させる人工筋肉:マッスルシリンダーに満たされた化学薬品ポリマーリンゲル液は少しの衝撃で引火する危険な薬物であり、砲弾を一発でも食らえば容易く機体が爆破してしまうことから、AT操縦者の殉職率を大幅に高めてしまった。
結果、この「歩く棺桶」に乗せられる兵士達は自分たちの境遇を自嘲し、自らを最底野郎(ボトムズ)と呼び合い、それは何時しかAT乗りそのものを表す単語となった。
というか"兵士"ならまだ良い方で、場合によっては借金のカタ、そこらのホームレス、チンピラ等、命をかける以外で金を稼げない文字通りの「社会の底辺(ボトムズ)」達がATに乗せられ、バトリングや紛争に駆り出され、そして無情に死んでいく事も多々ある。
百年戦争で人心が荒廃しきったアストラギウス銀河で、もっとも大量に使い潰されてきた消耗品、それは銃弾でもミサイルでもアーマードトル-パーでもない。足を引きずり泥水をすすりながらも戦い続ける、最低野郎(ボトムズ)達である。
なお、そんな俗称が付けられている事を嫌った軍上層部が後付けで「VOTOMS」=Vartical One-man Tank for Offence&Manevar(攻撃と機動の為の直立一人乗り戦車)というもっともらしい名前を付けているが、ほぼ認知されていない、欺瞞にも程があるからだろうか
そんな過酷な戦場で消耗品として扱われるボトムズ達の泥臭い生き様は、今なお視聴者達の心を惹き付けて放さない。我々もまた否応なしに社会へ放り出され、心をすり減らしながらも前に進むしか道の無い、名もなきボトムズなのだから。
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