概要
1960年1月21日生まれ。京都府舞鶴市出身。
1984年放送のテレビアニメ『重戦機エルガイム』のメカニック・キャラクターデザイナーに抜擢されて注目を集め、以後アニメ・漫画等のメカニックデザインを中心に活躍している。
デザイン業だけでなく漫画作品やアニメーションの制作も行っているが、当人が「漫画家と呼ぶな」と主張しているので、敢えて漫画家とは書かない。
代表作は『重戦機エルガイム』『機動戦士Ζガンダム』『ファイブスター物語』等。
現在、『ファイブスター物語』や『ゴティックメード』の制作・著作権管理を中心に行っている株式会社EDIT代表取締役。
長らくインディーズアニメ映画作品『花の詩女 ゴティックメード』の制作に注力し、
「ファイブスター物語」の連載を中断していた・・・・・・のだが2012年にようやく完成。
そして2013年に9年ぶりに連載を再開した・・・と思いきや、
まあビックリ!連載再開と同時に、今までの設定を投げ捨てるかのような、
数々のデザインやメカニック等の名称変更を行い、結果、多くのファンが阿鼻叫喚に包まれた。
しかし、それでもなお付いて行く悟りを開いた長年の永野ファン達の姿は、
多くの漫画ファンにも深い感銘を与えた。
作風
作中世界におけるロボットの用途や役割から、可動域や制動性といった構造を合理的かつ堅実的に突き詰めたシャープで洗練されたデザインラインを特徴とし、良くも悪くも今のアニメロボットデザインの方向性を決定付けた人物。
『重戦機エルガイム』にて独立可動する内骨格フレームに外部装甲を被せてロボットを構成するムーバブルフレームという構造概念を考案し、「パネルラインに沿って細かく分割され、関節の動きに連動して動く装甲」、「つま先と踵の分離」や「緻密かつ合理的に配された動力ピストンやエネルギーケーブルといったディテール」等の革新的なアイディアやスタイルを、それまでモノコック・セミモノコック構造的な(悪い言い方をすると無骨でずんぐりした)シルエットが主流でディテールも記号的であったアニメの巨大ロボットのデザインに持ち込み、多大なる影響を及ぼした。
特に『エルガイム』で監督を務めた富野由悠季御大からのデザイナーとしての評価はすこぶる高く、その鮮烈なセンスは『聖戦士ダンバイン』で一線引退を考えていた御大を現場に踏みとどまらせる原動力となったという。
『エルガイム』以降、ロボットアニメのメカニックデザインの潮流においてただひたすら細かいディティールを付加する傾向は、『トップをねらえ!』での「ディティールを最小限に抑えその分のリソースを動きの表現に使う」という方向性が現れるまで続いた。
それ以後もヘビーメタルをベースに騎士甲冑の意匠を取り入れた『ファイブスター物語』の「モーターヘッド」、積層装甲や板バネ状の関節を持つ『ブレンパワード』の「オーガニックマシン(アンチボディ)」、関節ブレーキの概念を可視化して同心円弧上に重なったパーツ同士のスライドやひねりで関節を動かす『花の詩女ゴティックメード』の「ゴティックメード」等、現在に至るまで斬新で先鋭的なデザインのロボットを発表し続けている。
過去、現在、採用稿、ボツ稿を問わずデザインしたメカには相当の愛着があるらしく、ファイブスター物語にしばしばリファインして登場させている。
また、ファッションデザインを学んでいたことから、登場キャラクターのファッションにも強いこだわりを持ってデザインをしており、『ファイブスター物語』を始めとして、永野の作品に登場するキャラクターのコスチューム・デザインは、アニメ・漫画の世界を超えて高い評価を得ている。
こうしたファッションへのこだわりについて、デザイン集『F.S.S. DESIGNS1』によれば、実家が呉服関係の仕事をしていたため幼少時より布地に囲まれて育ったのが原体験であったとのこと。
人物
自称・愛称はベーシストのクリス・スクワイアにあやかった「クリス」。
男性としては異常なほどの痩身であり、『ファイブスター物語』1巻に記載されているプロフィールには、身長175cmに対して、体重46kg、ウエスト60cmと記載されている。レディースの服を普通に着れるそうだ。
妻は『重戦機エルガイム』でガウ・ハ・レッシィ/リリス・ファウを演じた川村万梨阿氏。
互いに学生時代の頃から12年の交際を経て1991年に挙式し、結婚式では富野夫妻が仲人を、披露宴の司会は銀河万丈が務めた。すげえ。
妻にぞっこんらしく、『ファイブスター物語』に登場する女性キャラクターのファッションのブランドの多くは川村の趣味を参考している他、1989年に角川映画で『ファイブスター物語』がアニメ映画化された際にはヒロインのラキシス役に起用し、尚且つイメージアルバムではメインボーカルを任せ、その挙句2012年の『花の詩女ゴティックメード』でもヒロインのベリン・アジェリ役と主題歌のボーカルに起用している。
先生何やってんスか。
なお夫婦喧嘩の際に「お前なんかロボットが描けなかったらただのクズ男だよ」と言われ「あったりまえじゃん。オレはロボットが描けるから今の地位があるんだぜ」と切り返したそうな。
「自分の妻や恋人を心から美しいと言えない男になんの価値がある?」(F.F.S.Design2より)
テレビゲームが大好きで非常に熱中しやすく、あまりに長く続くファイブスター物語の中断ぶりを揶揄して『職業アマチュアゲーマー』と呼ばれることも。
特に『PSO』のハマりっぷりは凄まじく、ファンにファイブスター物語の連載再開をつっつかれた際に「俺はPSOをやってるんだから邪魔するな!」という名言を残した逸話もある。
過去には『バーチャファイター』にドハマりしたこともあり、そのハマりっぷりたるや「印税を投げ打って筐体を買った(by川村万梨阿)」ほど。なお、業務用筐体は一般家庭には販売できないため、永野氏自宅をゲームセンターということにして出荷してもらった模様。
『ソウルキャリバー』のアイヴィーを対戦画面になるまで男と思い込んでいた。
(川村さんがタキで相手をしたときに判明。余談だがDC版攻略本に特別寄稿しておりそこでは「レバーガチャガチャいわせてマイトアトラスを決めるだけの簡単なキャラ」と言っている)
2001年には『ファンタシースターオンライン』でついにコラボが実現し、永野デザインによる武器が登場した。
2014年にも『ファンタシースターオンライン2』で永野デザインによる武器やコスチューム、NPCの「アリス」が登場した。
ちなみに「アリス」を演じたのは、やっぱり妻の川村万梨阿であった。
先生何やってんスか。
ミリタリーファンであり、実在のメカの中では第二次世界大戦時のドイツ軍やソ連軍の戦車への愛好が強く、兵器の造形・デザイン面においても造詣が深い。
その知識と嗜好は『ファイブスター物語』における戦車戦の描写などに反映されており、登場する地名や人物名にもその影響が見られる。また、『パンツァーフロント』ではオリジナル戦車である重戦車『E-79』のデザインを担当した。
その関係からミリタリー模型ファンかつモデラーでもあり、模型制作も趣味している。その腕前はプロモデラー級で、改造コンテストでの受賞歴もある。
また、『装甲騎兵ボトムズ』のファンで、『ボトムズ』で作画監督を務めた谷口守泰とは親交を持つ。
学生時代は当時のガノタの中でも比較的有名な人物で、コスプレに興じていたこともあり、1981年2月22日に新宿アルタ前で行われた劇場版『機動戦士ガンダム』公開前のイベント「アニメ新世紀宣言」に、ララァ・スンのコスプレをした川村と共にシャア・アズナブルのコスプレをして「ファン代表」として登場した。
そして時は流れ、2000年夏に幕張メッセで行われた東京キャラクターショー2000において、角川書店ブースでの『SchellBullet』トークショーでは、著者である幾原邦彦とともに「厄落とし」と称して、永野はセーラーヴィーナスに、幾原はセーラーマーズにそれぞれ扮した女装コスプレで登壇し、ムーンライト伝説にあわせてダンスを熱演してファンを仰天させた(ちなみに振り付けを担当したのは川村)。
先生何やってんスか…。
関連タグ
その他関連事項
銀河漂流バイファム(氏のデビュー作。パペットファイターのデザインを担当した)
アンナ・ウィリアムズ 風間飛鳥 (家庭用鉄拳においてスペシャルコスチュームをデザインした)
バーチャファイター(90年代にドハマりした)
川村万梨阿(声優であり永野護の妻。妻である。)
吹雪(駆逐艦)(一説では彼の祖父が設計に携わったという。奇しくも吹雪が設計、製造されたのは彼の故郷である舞鶴である)