モーターヘッド
もーたーへっど
『ファイブスター物語(FSS)』の第12巻(リブート版では第7巻)までの収録分に登場する巨大兵器の総称。一部では「電気騎士」とも呼ばれる。略称はMH。
兆単位の馬力を持つ機体を騎士(ヘッドライナー、新設定ではウォーキャスター)と呼ばれる超人が全身を包む入力機器によって操縦し、副操縦士であるファティマが情報処理を担当することで真の性能を発揮する。
2012年のアニメ映画『花の詩女ゴティックメード』の公開以降の連載では、元からモーターヘッドではなくゴティックメード(GTM)であったという形に置き換えられ、各機の名称や外見も変更の上で差し替えられた。
Pixivでは主に作品に登場する機体や、モーターヘッド風に描かれたロボット等に用いられる。
かつては先鋭的なロボットデザインの代表格であったが、ゴティックメードの出現によってロボットデザインの「クラシック」(古典)となった。
作品の舞台であるジョーカー太陽星団で開発された最強の戦闘兵器。総称のMortarは迫撃砲、 Headdは神(末尾のdの重複は強意表現)を意味しており「迫撃神」と訳される。また「電気騎士」と表記される事もある。
個体差・一部の例外こそあるものの一般的なサイズは肩高15メートル前後、平均的な出力は2兆馬力程。
可視光や放射線を問わず、あらゆる光を取り込んでエネルギーに変換し天文学的な出力を発する外燃機関「イレーザーエンジン」を動力源とする。
活動範囲は地上から空中、水中、宇宙にまで及び、あらゆる場所・状況で戦闘を展開できる万能戦闘兵器である。
搭乗者の動作速度をそのまま騎体のサイズに倍加して反映する性能を持っており、平均的な人間を遥かに超えた反応速度と身体能力を持つ騎士が駆ることによりMHは光速とまではいかないが音速など足下に及ばない文字通り桁何個も違いすぎる凄まじい速度と機動力を発揮し、機体管制を担当する専用の情報処理能力を持った人造人間ファティマによる予測演算も合わさって、ミサイル等の誘導兵器をはじめあらゆる通常兵器による攻撃は当てることすらままならない(作中では例として「10台のジョーカー星団の科学力の空中戦車(マッハ10で飛行したり、砲撃が宇宙まで届くなど)での予測攻撃の上でそれぞれ秒間5,000発の射撃をしても、かすらせる事すらできない」と語られている)。
一般人にはMHの戦闘機動はあまりにも速すぎて肉眼で捉えることは一切できない程で、MH同士の大規模な集団戦ともなれば両軍の音速突撃によって発生する衝撃波と振動によって戦場となった土地はその地形を大きく変えてしまう。さらには戦闘行動はできないものの光速移動による長距離テレポートも可能である。
さらにはたとえ天文学的な確率で命中したとしてもMHのネオキチン装甲の突破は容易ではなく、加えて装甲自体に自己修復機能が備わっているため、撃破に至らしめるには広範囲に有効打撃を与える連続性を持った攻撃か、一瞬で装甲を突破し内部構造にまでダメージを与える強大な打撃力あるいは、MHの急所である顎の下などに命中などの必要がある。
理論上そのような攻撃が可能とされるのは星団最強の火器であるバスター砲による砲撃だが、それすらもいざという時の長距離テレポート(光速移動)で回避可能であるため、MHには基本的にMHによる白兵戦でしか対抗できないとされる。
その一方、工芸品的側面も持ち重力下で転倒すると自重で大破してしまうという構造的弱点に伴う脆弱さも併せ持つ。これはAD世紀のマシンメサイアからMHにデチューンされた際に出来てしまったものである。
活動で生じた熱をエネルギーに逆変換する機能を持つため、エネルギー系は第二種永久機関として機能し、アイドリングや基本動作では半永久的に稼働できる。しかし戦闘行動や長距離テレポートでは莫大なエネルギーを消費するため、変換が追いつかずエネルギー切れを起こして活動不能となる事があり、その際は外部からエネルギーを注入するなどして再起動させる必要がある。
特にテレポートは自分のエネルギーで行うと直後は行動不能になってしまうため乱用はできず、緊急時以外は母艦のエネルギーを利用して行うのが通常である。
MH自体には希薄ながら意思は存在し経験を記憶する能力及び幼児程度の知能は備わっており、騎士やファティマを父や母として認知、その行動に盲目的に追従する。基本的な行動パターンは建造時にプログラムされており、更に戦闘を繰り返すに従い実戦経験を戦闘メモリーに記憶していく(実戦経験の無いMHは「ヴァージン(処女)MH」と呼ばれる)。
戦闘メモリーは互換性があり、他のMHにも移植することが出来る。
このようにMHは非常に高性能な兵器だが、それに比例して搭乗者にも人類とは次元の違う反射神経やMH同士の戦闘で発生する衝撃に耐えられる桁外れの身体強度等非常に高い能力を要求され、さらに駆動時の膨大な情報や機体管制をリアルタイムに処理する能力も必要になる。そのためMHを動かすにはメインパイロットである騎士とコ・パイロットのファティマによるツーマンオペレーションが必須となる。
騎士ではない普通の人間ではまともに操縦することすらできず、動かせたとしても騎体の動作に反射神経が追いつかずに転倒・大破させてしまうのが関の山である。
基本構造
構造は人間の背骨の様な竜骨と呼ばれるメインフレームに、イレーザーパワーで駆動される動力ピストンとインナーフレームが取り付き、その上をカウンター・ティシュー(補助筋肉)と呼ばれる板バネ状の素材で出来た補助駆動システムと、何重もの装甲が覆う構造となっている(ムーバブルフレーム構造)。
その装甲や装備は戦闘を行う場所の環境や戦術に応じて変更され、また既に完成された兵器であるMHには「強化改造」などはあり得ないものの、戦術思想の時代の変化に伴う改装(重装甲化や新技術の導入による駆動系のバランス調整等)は頻繁に行われているため、同一のMHでも全く異なる姿で現れる事は珍しくない。
動力源のイレーザーエンジンは通常は人間の心臓と同じく胸部中央に納められるが、A.K.D.の光皇アマテラスの開発したレッドミラージュに代表されるミラージュ・マシンは、両脚に内蔵したスーパー・イレーザーエンジンを同期駆動させる「デュアルツイスター・システム」を採用しており、星団暦3007年の正式公表後はK.A.N.など同様の設計を採り入れた他の騎体も見られるようになる。
騎士のコクピットは胸部の竜骨前方に、ファティマコクピットは竜骨の最登頂部、MHの頭部に収まっている。
コクピットの操縦システムは搭乗者である騎士の全身を包みこむようになっており、それぞれの体格に合わせて専用に作られているため、他の騎士が乗り込むためにはコクピット内部をまるごと取り替えなければならない。一方、ファティマコクピットは比較的ゆったりとした作りになっていることと、ファティマ毎の体格差がほとんど無いことから共用が可能である。
首部分はすぐ下の胸部にコクピットが存在することと、可動部のため装甲が困難でなおかつ制御系統の構造物が集中していることからMHにとっての構造上のウィークポイントとなっている。
武装
主兵装は刀剣・槍・棍・斧など近接戦用の武器である。これはMHの攻撃力・防御力・機動力はその他の兵器に対しほぼ無敵を誇り、自ずと戦闘は対MHの白兵戦が主となるからである。
副兵装としてレーザーやミサイルなどの射撃武器も騎体各所に装備されているが、MHの装甲に対しては有効打とはならず、主に牽制またはMH以外の敵(歩兵や戦車など)に対する攻撃用として用いられる。
対MH戦用の切り札としてバスターランチャーを装備する騎体もあるが、バスターランチャーの標準装備は星団法違反である。
戦争における役割
ジョーカー星団での戦争は、基本的に領土を手に入れるために行われる国家間交渉の一手段であり、艦隊戦やバスター砲のような大量破壊兵器の使用など、土地や人民に多大な被害が予想される作戦は行われない。
そのため、星団の戦争では究極万能兵器であるMH同士の近接白兵戦を決戦とし、戦争による被害を互いに最小限に抑えるのが通例である。また、それ故にMHを駆る騎士は戦争の全権代理人であり、星団では騎士はその超常の能力から人権が大きく制約されているが、引き替えとして高い地位が約束されている。
先述の通り、MHはMHでしか対抗できない存在であり、MH同士の戦闘は決戦となる。
MHの性能は一部の例外を除いては機種ごとに大きな差はなく、基本的には配備数の差が戦局を左右することになる。
そのため、MH戦前に行われる通常兵力同士の戦闘は敵勢力のMH配備数を把握するまでの時間稼ぎであると同時に情報戦の側面を持つ。敵勢力よりも自勢力のMH数が上回ればMH戦に移ることで勝算が非常に高いものになるし、逆に下回っているならば自軍に特別強い騎士やMHがない限りは撤退が賢明となる。
この判断に時間を要するとそれだけ一般兵への被害が大きくなることになる。
モーターヘッドの歴史
星団最強の兵器であるMHだが、その実態は星団暦より数千年前、AD世紀と呼ばれた時代に星団を支配していたファロスディー・カナーン超帝國で使用されていた人型兵器「マシンメサイア(MM)」を退化させた存在である。
マシンメサイアはファティマを必要としない操縦システムを持ち、現在の騎士すら比較になる次元ではない程の強力な「純血の騎士」と完全シンクロすることで、その戦闘力は後のMHを遥かに上回るものであった。
しかし超帝國が崩壊するとそのドサクサで当時の記録が正確に残らなくなり、さらに必要な資源の枯渇や頂点を極めた科学技術が後退し始めたことに加え、騎士の血が薄まって弱体化したことによって、戦闘力の点で以前より劣ることは否めないものとなった上に生産それ自体が不可能となっていく。
星団暦980年になって安定化させたMHが誕生。
そして星団暦2310年に開発された有機コンピュータ「ファティマ」により、MHの概念は新たな時代へと突入する。ファティマが機体管制に専従することで、騎士がMHの操縦に専念することが可能になえい、当時としては画期的な戦闘力の向上を得たのである。さらにしばらくすると、特定の騎士とファティマとの組み合わせによってMHの戦闘力が飛躍的に向上するという「相性」のようなものが存在することが発見される。
MHは「領地争い」という当時の星団の戦争に合致し、数々の騎士がこれを駆って剣技を磨いた。MHは「MHを倒す兵器」として特化され、洗練されていった。この戦術ニーズにおいては、大量破壊をもたらす兵装よりも、効率よく敵MHを戦闘不能としうる騎体特性が求められた。
だが、時代が下るにつれてMHやファティマを作ることのできる「マイト」の血筋は失われていき、騎士の弱体化にも歯止めは掛けられず、星団全体の資源の枯渇によってMHもまた、かつてのMMのように新たに生産することは不可能になっていく。
星団暦4000年代初頭、星団全体を恐怖政治で支配していたA.K.D.と、フィルモア・パルチザンら反乱軍との解放戦争が始まるが、この時、両勢力ともに兵器としては既存のMHを改良、あるいはそのまま使用したものがほとんどであった。
そしてMHはまた一体、また一体と機能を止め、騎士やファティマも姿を消し、MHの技術はやがて完全に失われ、伝説化する。
星団暦18000年代の惑星ジュノーでは、「緑色の悪魔」「火色の巨竜」「白い巨人」「黒魔人」といったお伽話や神話の中に、わずかな名残をとどめるのみであった。
モーターヘッド・マイト
MHの設計・製作を行う主設計技師。
通常の人間には不可能な複数の分野に跨る専門的な科学知識と技術を複合させて修得することができ、メインフレームの設計段階でMH全体の完成像を「予知」し得る様な特別な能力を持つ「マイト」と呼ばれる者でなければMHの設計・開発を行うことはできない。
これはただの天才ではなく、星団暦では既に喪われた数千年前のAD世紀の時代に星団を支配していたファロスディー・カナーン超帝國のダイバーパワー「ルシェミ」(物質を変容させる能力)が形を変えて遺伝・発現した者である。
MHの開発には数十年単位の年月を要し、複数のマイトや、MHの運用に深くかかわるファティマの製造を担当する「ファティマ・マイト」も関わる事がある。
2013年の設定大改変以降は「GTMガーランド」に呼称変更された。
(設定改変以前のファイブスター物語項の物を国家毎に整理して転記)
モーターヘッド
AKD
ザ・ナイト・オブ・ゴールド・ラキシス(ディスティニーミラージュ、ナイト・オブ・ゴールド、KOG、K.O.G)
ナイト・オブ・ゴールド・A-T(パトラクシェミラージュ)
ザ・ナイト・オブ・ゴールド・ルミナス(ルミナスミラージュ)
L.E.D.ミラージュ(レッドミラージュ、レッド・ミラージュ)
L.E.D.ミラージュB4デストニアス(暁姫)
スピードミラージュ ヴンダーシェッツェ(ワンダースカッツ)
スピードミラージュ ヴォルケシェッツェ(クラウドスカッツ)