双王蛇尾丸
そうおうざびまる
「…燃え尽きたか 本望だろ、スーパースター」
最終章・千年血戦篇にて、零番隊の兵主部一兵衛によって明らかになった蛇尾丸の真の卍解。
蛇尾丸が、持ち主である阿散井恋次を完全には認めていなかったため、半分の名前と仮の卍解を教えていたが、霊王宮での修行により修得。(一説によると狒狒王は名前だけ、オロチ王は能力だけをそれぞれ貸していたという説もある)
原作では第二次侵攻におけるマスク・ド・マスキュリン戦でしかまともな活躍の場が無かったが、アニメ『BLEACH千年血戦篇 相剋譚』第33話の追加描写にて、滅却師完聖体を発動した石田雨竜との決闘で再び双王蛇尾丸が日の目を見ることとなり、新たな技も追加された。
右腕には大蛇の骨を纏い枝刃を生やした刀【オロチ王】、左肩には強い腕力を持った巨大な狒狒の腕【狒狒王】を装着する。
右側のオロチ王は以前の卍解であった狒狒王蛇尾丸の上顎に大刀が付いた蛇骨の形状をしており、見た目だけなら従来の面影を最も残している。(というか上記の卍解の真実を鑑みると形が似ているのはむしろ当然である)
卍解時の刀はシンプルな日本刀の形状をしているが、恋次が霊力を込めることで蛇尾丸を彷彿とさせる鉤爪の付いた刀に変わる。
オロチ王は刃を収納し、噛みついて相手を拘束できる他、かつての卍解のように刃節を伸ばすことで伸縮自在の斬撃を繰り出したり、オロチ王のみを分離させて恋次の意思で操ることも可能。
アニメ34話現在では披露していないが、以前行っていたようにオロチ王の刃節を敢えて解除して攻撃を躱すといった使い方も可能であると考えられる。
左側の狒狒王は見た目に違わぬ膂力を秘めており、初披露した際には滅却師完聖体となったマスク・ド・マスキュリンの筋骨隆々の両腕を握力だけで割り箸か小枝の様に容易くへし折るというシンプルながら使い勝手のいい能力となっている。
また真の卍解名と能力を得たことにより焱熱系と思しき能力も使えるようになっており、『相剋譚』第33話の石田戦ではオロチ王の刃に超高熱を付与して対象を刺し貫いた瞬間ドロドロに熔解させたり大爆発を起こしたりする能力と、狒狒王の肩にあるブースターを推進力にして繰り出す強烈な拳撃を披露した。(もともと以前から使用していた「狒骨大砲」は焱熱系の攻撃技だったので、それが順当に強化された感じなのだと考えられる)
原作においては恋次が装着した形状のまま大きく変化させていなかったので、従来の蛇腹剣を用いた戦闘が出来なくなったのではという不安の声が一部読者から上がったが、アニメ33話にて後述する「蛇舌谺」を使用して蛇腹剣形態を披露して見せたほか、上述した通りやろうと思えばオロチ王を以前の卍解の形状に戻す事も可能であると判ったため、前述した心配は完全な杞憂に終わった。
というより元々の卍解が文字通り半分の名前と力しか遣わせてもらえてなかった以上、真の名前と力を得た今となっては以前の物も含めて総ての能力が遣えるようになったと考えて間違いはないだろう。
また後述する数々の技を見るに器用な面があり、良くも悪くも大質量での力押ししか出来なかった以前の卍解に比べ遠中近距離まんべんなく対応出来るバランスの取れた卍解になったといえるだろう。
- 蛇牙鉄炮(ざがてっぽう)
オロチ王の刀を相手に突き刺し、霊圧を一気に炸裂させる技。威力は一撃でマスク・ド・マスキュリンを消し炭に変える程。使用時には巨大なオロチ王の形をした霊圧が相手に噛み付く姿が現れる。
- 蛇舌谺(ざぜっか)
アニメで追加された石田との戦いで初披露した新技。
オロチ王の刀を始解・蛇尾丸の如く伸縮自在な蛇腹剣の形に変え、鞭のようにしならせ斬撃を行う。刀は蛇尾丸よりも小型且つ疾く伸びる模様。また、灼熱を刀身に集約させることで触れたものを熔解させたり、斬撃を防がれた時には爆発も起こせるため牽制にはもってこいの技である。またこの際、肩の装具を外してオロチ王に下顎を追加させている。
- 狒皮転生(ひひてんしょう)
同じくアニメで初披露した新技。
左手でOKサインのような印を結んでから狒狒王で相手の攻撃を防ぎ、その際に裂けた毛皮の数だけ狒狒王の腕を新たに生成し、相手を押さえつける。ダメージを受けバラバラになった刀から攻撃を仕掛ける始解の技・狒牙絶咬とスタイルが似通っており、後述する大技・蛇骸絶吼に繋げる「肉を切らせて骨を断つ」を地で行くような技と戦法である。
- 蛇骸絶吼(ざがいぜっこう)
こちらもアニメ初披露技。
かつての卍解・狒狒王蛇尾丸を思わせる形をとったオロチ王を狒狒王の腕で掴み、勢い良くブン回して巨大な霊圧の渦を生成し、オロチ王と共に相手にぶつけ炸裂させる超大技。発動には二十秒のチャージ時間を要するが、先の狒皮転生で相手の動きを封じることで生じる隙を解消している。火力は相当に高く、爆発で辺り一帯の建造物を消し飛ばし焦土に変える程である。
- 狒骨大炮(ひこつたいほう)
霊圧の砲弾を放つ技。
狒狒王蛇尾丸の時にも使用していた技だが、蛇の頭部(後のオロチ王)から放ったのに対し、双王蛇尾丸時には狒狒王の掌から放つようになった為、真の卍解を経て技名の整合性が取れるようになった。また、双王蛇尾丸時に狒骨大炮を放つ描写はアニメが初であるほか、狒狒王蛇尾丸の時と違い「砲」の字が「炮」に変わっている(石へん→火へん)。
「狒狒王」は描写を見る限り、狛村左陣の卍解・黒縄天譴明王と同じく恋次の動きに合わせて動く卍解である模様。
その為、あくまでも可能性の域を出ない話だが、黒縄天譴明王と完全に同一系統の能力であれば、自動修復機能を持った卍解である可能性もある。その場合、彼の卍解にまつわる矛盾である「初登場時に粉々に壊されたのにその後も登場している」という描写の謎が解消されることになる。
ただし、そうなると今度は、「刃節は直っていない」というマユリの説明と矛盾することになる。
これらの描写や説明が全て正しい場合、「自動修復機能を持ってはいるが、修復には限界がある」というのがこの卍解の能力であると考察されていたが、アニメにて狒狒王の腕を再生させる狒皮転生という技が披露された事でこの説の信憑性がさらに増した。
事実、狒皮転生発動時には神聖滅矢で削られ骨格だけになっていた狒狒王の腕が、次のシーンでは瞬く間に毛皮が生え代わっていた。
黒縄天譴明王は自動修復機能がついている代わりに斬魄刀が受けたダメージを使い手にフィードバックするという大きすぎるデメリットがあり、これが原因で持ち主である狛村も大敗を喫することが多く、この部分も狒々王の描写と似通っている。
その為、この卍解はダメージのフィードバックも抑えつつ自動修復機能を搭載しているという、また別の形で珍しい卍解であるのかもしれない。