CV:堀川亮
解説
『ファイブスター物語(FSS)』の主人公。幼名はレディオス・ソープ。
イースター太陽系の惑星「デルタ・ベルン」の超巨大統一国家アマテラス・キングダム・ディメン(A.K.D.)の国家元首であり、グリース王国天照朝の第84代皇帝。
AD世紀から続く女系王家アマテラス家において、数少ない男帝である。
配下として私設騎士団である「ミラージュ騎士団」を持つ。
その実態は先帝「天照の命(アマテラスのミコト)」の処女受胎で生まれた正真正銘の光の神であり、後に全能神「天照大神」に進化する。
表向きは、最強のダイバー(魔道士)にして騎士であるバイアということになっているが、騎士はともかくダイバーに関しては神の力をごまかしているだけ。
一国家元首であると同時に星団各地に莫大な土地を所有する不動産王でもあり、星団最高の大金持ちでもある。
人物像
銀の髪に紅の瞳を持ち、女性のような美しい顔立ちをしている。
成人後は一切年を取っておらず、たとえ肉体が塵になっても再生することができる(というか寧ろ死ぬことができない)という不滅の存在。
神であることから物理法則を超越した様々な神力を持ち、その気になれば死者を蘇らせることや、敵対者の元へ瞬間移動してこの世から完全に消滅させることをも可能である。
しかし、そういった神力の行使は世界の理を崩壊させる行為に他ならず、母や無二の親友であるクローム・バランシェといった彼の正体を知る親しい者達からは固く禁じられており、本人も自己再生といった自分個人にのみ関わることを除いては普段は封印し、ジョーカー星団という人類社会のルールと理に従って行動することを自らに課している。それはたとえ、愛する人々や大切な部下が危機に陥っても変えることはない。
だがこれでも神としてはまだまだ未熟で未完成の状態であり、遥か未来で全能神に進化してからは時間や次元、因果律を操ることすら可能になる。
ちなみにA.K.D.の一般国民は自分たちの主君がちっとも年を取らないことを多少は訝しんではいるものの、アマテラスくらいの金持ちになれば特殊なアンチエイジングや延命技術でもあるのだろう程度に捉えている(いくらなんでも「実は神様でした」なんて結論はあまりにもバカバカしいため)。
元来は感情や情動という物が存在せず、基本的に母親に形態反射として教え込まれた行動を取ることで感情があるように見せかけているだけだった。
しかし、長きに渡る時間を生きる中で少しずつ感情を学んできており、親友バランシェと死に別れた際には本物の「悲しみの感情」に目覚めている。
その後も、カステポーでの命の水争奪戦では一時的に神の力を失って一人荒野に取り残された時はうっすらと「心細い」と感じ、自分を救出するための作戦で無為の犠牲となったA.K.D.兵士達の遺体を前に罪悪感で愕然とするなど、現在ではまるっきり見せ掛けのみというわけでは無い。
基本的には超然として達観した価値観を持つが、感情を学んでいくうちに自分という存在に戸惑い、また、愛を理解できなかったがために他人(特に妻たるラキシス)をどう愛すればいいかわからず思い悩むようになるなど、神としてだけではなく私人としても未熟な側面を見せていく。
政治については感情が(ほとんど)無いことから感情に惑わされるという事が無く、コンピューターの様な冷徹さで物事に当たっており、それゆえにそうそうハズレを引くことも無いため、その施政は「冷徹な善政」とも呼ばれる(作者によると、そもそも感情を持つ普通の人間がA.K.D.のような超々大国を治めることは不可能とのこと)。
その一方で、論理飛躍ができないため非常に勘が鈍い他、思考パターンが巨視的過ぎて一般レベルの常識が大きくズレたり抜け落ちており、親友にして腹心の部下たるファルク・ユーゲントリッヒ・ログナーをして「あの一族は頭のネジが緩んでいるのを通り越して抜け落ちている」と言われるレベル。
そうした存在であることから、基本的にアマテラスに相対した人物は絶対的な恐怖や畏怖とともに服従をするか、反発したり嫌悪感を抱くかのどちらかとなりやすく、そのせいもあって、対等な友人たり得た相手に対する執着は強め。
妻としては、元アトールの詩女である「メル・クール・リトラー」と後妻である「ギヒ・ファナティック・ラキシス」が存在するが、神であるがゆえか性交渉した相手は大きく寿命が削れる危険性があるため、リトラーの死後は自身に好意を寄せる女性が居ようと、基本肉体関係を持つことは無い。
公的には「ファティマ嫌い」として知られているが、それは自分自身人間ではないため、人間と同じ形に作られながら戦争の道具として産み出され、星団法で厳しく人権を制限され、マインドコントロールによりマスターに忠実であるよう感情まで制限される彼女たちを“人”として慈しみ愛するが故である。
このため主を失った多くのファティマたちの庇護者ともなっている。特にバランシェファティマたちにとっては敵対することを本能的に禁じられた『アークマスター』であり、マインドコントロール下におけるマスターとは別の主となっている。これは誕生と成長、お披露目までを見守り、慈しんでくれるアマテラス(ソープ)は、母親という存在を持たない彼女達にとっては母同然の存在であるためでもある(中には「お父様(バランシェ)のお嫁さんになっちゃえばいいのに」とまで言っちゃった子もいる)。
そうした一方で、ファティマたちからは「怒らせると怖い」「おしおきが怖い」とたびたび評されている。
最強クラスの強力な騎士能力を持つとされるが、具体的にどの程度なのかははっきりしていない。
劇中ではアマテラスの分身体であるソープ'が、星団暦2629年に当時の星団最強の大剣聖デイモス・ハイアラキとの真剣勝負で互角に斬り結びつつも押し負けそうになり、内心焦りまくっているシーンが描写されているが、これがソープ'としての実力なのかアマテラス本人の実力そのものなのかは不明である。
ただ、ハイアラキとまともに戦えるのは(星団暦2629年の時点では)ログナーかアマテラスだけとバランシェが発言しているので、騎士としての実力はほぼ最強格であることは間違いないと思われる。
誕生からのあらゆる経験を完全に記憶し、ファティマをも上回る速度で適切な解答を常に抽出することが出来る超頭脳を持つことから、一般には知られていないがマイト(新設定ではガーランド)としても優秀な能力を有しており、ミラージュ騎士団専用のモーターヘッド(ゴティックメード)である「ミラージュ・マシン(ブリンガー・シリーズ)」の開発、A.K.D.王宮である浮遊城フロートテンプルの建造など、多くの科学的業績を残している。
本来ならばファティマ・マイト(AFガーランド)としての能力も有しているが、バランシェの存在もあって、こちらについては敢えて封印している模様。
宝石コレクター、モーターヘッドの開発・収集など様々な趣味を持つ(が、だいたいどれも尋常じゃないくらいのお金がかかる)。
また、月刊ニュータイプ本誌連載時の扉ネタではあるが、ファティマ・スーツの収集も行っている模様で、クバルカン国のファティマ・スーツは伝手が無いから手に入らないなどと嘆く姿も確認されている。
一方、使うときは盛大に使うくせにそれ以外では基本的にドケチである。アーレン・ブラフォードをミラージュ騎士団にスカウトした時も、ドサクサに紛れて契約金をタダで入団させてしまっており、何かと金の心配をしている。
自分の服装にも無頓着で、公の場に出る時を除いては普段はTシャツにショーパンといった質素でラフな姿で過ごしている(なお、こういった吝嗇家の面は天照一族の伝統らしい)。
分身(エイリアス)
アマテラスが市井に出る時に変身(変装ではない)、または召喚する存在。
それぞれ個別の人格を持っており、アマテラス本人でありながら本人ではないという微妙な関係になっている。ソープとソープ'は肉体も含めて変化するため、アマテラス、ソープ、ソープ’が同時に存在することはない。
レディオス・ソープ
アマテラスがお忍びで外界に出る際の世を忍ぶ仮の姿の少年。アマテラス本人よりも出番も台詞も多く事実上の主人公。凄い美形。
詳細はソープ’も含めてレディオス・ソープの記事にて。
レディオス・ソープ(ソープ’、ソープ・ダッシュ)
ソープの女性体。
メル・リンス・ウザーレ・ターマ
星団最強のダイバーである少女。星団で最大のダイバー集団「ダイバーズ・パラ・ギルド」を総統のアマテラスに代わって主宰している。
詳細はメル・リンスの記事にて。
東の君
皮肉屋で、冷徹かつ尊大な性格の男性ダイバー。超越者として人類を下等な存在とみなしている節がある。幽霊のように肉体を持たない。
バランシェを失って嘆き悲しむソープたち他の人格を冷ややかに見たり、上司に当たるリンスをアマテラスの眼前で批判するなど、シニカルな部分を併せ持つ。元アトール女皇帝ナトリウム・フンフト・アトールの友人でもある。