機体データ
型式番号 | 不明 |
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所属 | エゥーゴ / アナハイム・エレクトロニクス |
開発 | アナハイム・エレクトロニクス |
生産形態 | 試作機 |
全高 | 32.2m |
頭頂高 | 22.2m |
本体重量 | 125.0t |
全備重量 | 155.0t |
出力 | 3,340kW |
推力 | 155,500kg |
センサー有効半径 | 27,600m |
装甲材質 | ガンダリウムε |
固定武装 | 105mmペンシルロック×4、“ヘッドキーパー”マシンガン・ポッド、フィクスト・ビームライフル×2 |
携行武装 | クレイ・バズーカ×2 |
機体説明
型式番号不明。
開発コード「εガンダム」(イプシロンガンダム)と呼ばれる、Ζ計画で開発されたガンダムタイプの非可変モビルスーツ(MS)。アナハイム・エレクトロニクスが開発した、いわゆる「アナハイム・ガンダム」の1機で、戦艦以上の攻撃能力を有していると評される。
装甲材にガンダリウムγの改良発展型である「ガンダリウムε」を用いたためにこの名が付けられた。
特徴として、航続性能の向上を目指し、大型宇宙船用のものを応用した中距離航行用核融合パルス推進システム「ブロッサム」(「ブラッサム」とも)を装備している。
これは、機体後方に向けてD-Hペレット(マイクロ水爆)を秒間100回のペースでレールガンによって射出し、後部粒子ビーム砲を用いてD-Hペレットを順次起爆。同時に機体背面に備えた折り畳み式のセイル4枚が内蔵する超電導コイルより強力な磁場を発し、磁場で爆発を受け止めその反作用で前進するというもの。
簡単に言えば、「自ら極小サイズの核爆弾を後ろへ撃ち出し、その爆発の勢いで進む」システムである。
また、副次的な効果として、セイルが発する磁場は粒子ビーム兵器に対する偏向シールドとしても機能する。
なお、核融合パルス推進は英国惑星間協会の恒星間飛行プラン「ダイダロス計画」などで実際に宇宙船用の推進システムとして提案されているもので、規模によっては地球 - 火星間を9日で翔破する能力を発揮できる。
ポテンシャルが高い反面、MSに搭載可能な程度まで小型化された物とはいえ、ブロッサムはMS用推進システムとしては極めて重く、エプシィガンダムの全備重量は155トンに達している(百式は54.5トン)。
さらに、白兵戦時などのブロッサムを使用しない場面では、それが完全な死重量となるという問題点を抱えている。
これを補うため、ブロッサム非使用時のための推進システムとして、通常型の主推進器を1方向へ集中配置できるグライバインダーを背部に装備する形で採用し、高機動性・高加速性を確保している。これはシュツルム・ディアスのものの発展型で、ウェポンパックも兼ねている。
また、ガンダリウムεの採用は、ブロッサムの運用に必要な(特にセイル基部の)強度を実現できる素材だったことが主な理由である。
武装
“ヘッドキーパー”マシンガン・ポッド
ガンダムMk-Ⅱのバルカン・ポッド・システムに近い形で頭部左側面に装着される、口径88mmの2連装マシンガン・ポッド。オプション武装であり取り外すことも可能。
105mmペンシルロック
ヘッドキーパーと同様に、頭部右側面にポッド形式で装着される武装。4発が装填されている。機能などの詳細は不明。
フィクスト・ビームライフル
「オートライフル」とも呼ばれる、エプシィガンダム用のビーム・ライフル。計2挺を装備しており、それぞれケーブルを介してグライバインダーに接続されている。
通常時はグライバインダー前部に内蔵されており、必要に応じて取り外し携行することも可能な他、グライバインダーごと銃口を前方に向けた対艦戦闘モードも存在する。
クレイ・バズーカ
リック・ディアスをはじめ多くのエゥーゴ系MSで用いられる、粘着榴弾などを装填した口径300mmのMS用バズーカ。最大2挺を携行する。
開発・運用経緯
エプシィガンダムの開発が開始されたのはリック・ディアスとデルタガンダムの間だが、ブロッサムなどの前例のない装備を有するためか、開発完了時期は宇宙世紀0090年 - 0093年を予定するという長期的な計画に基づく機体だった。
実際に開発完了まで至ったか否かは不明。製造コストが膨大なため、生産の機会が巡ってきていないとも言われる。
ただし、宇宙世紀0087年4月13日(エゥーゴによるガンダムMk-Ⅱ強奪直後)にテスト中の機体が事故を起こしており、この時点ではすでに試作機が完成していたものと見られる。
また、ブロッサムを除いた本体のみの機体が、デルタガンダムの開発班に引き渡されて開発の参考にされた。そのため、デルタガンダム(百式)のパーツにはエプシィ本体と共通のものが多数含まれている。
なお、知られているエプシィガンダムの姿は1号機のものとされ、2号機以降では随時改良が加えられている可能性も言及されている。
余談
設定の変遷
エプシィガンダムの設定は、紆余曲折を経て現在の形に落ち着いている。
元々は、アニメ『機動戦士Ζガンダム』企画時の富野由悠季の草案に存在した没MSで、永野護によってデザインが起こされていた。
この段階の設定では、デルタガンダム(草案におけるガンダムMk-Ⅱ)との競作という形で開発されたティターンズの新型MSとなっているため、Mk-Ⅱの後継機であるガンダムMk-Ⅲイグレイに近いポジションの機体だったと思われる。
作中では、完成作品では百式が占めている役割を担う予定とされていた。
また、講談社から刊行された小説版『機動戦士Ζガンダム 第一部 カミーユ・ビダン』でも、表紙にエプシィガンダムの姿が描かれている。表紙絵を担当した永野は「クワトロ・バジーナの乗機として描いた」としているが、小説本編には登場せず正確なポジションは不明である。
その後、「モデルグラフィックス」1985年12月号に、雑誌企画『ガンダムMkⅢを想像造型する』の一環として旧キット「1/100 MSN-00100 百式」をベースキットとした小田雅弘による模型作例が掲載され、この際に永野と小田によってデザインの修正や設定変更などが行われた。この作例は、同誌の模型作例を纏めたムック『GUNDAM WARS PROJECT Ζ』に収録されており、その際に設定が補強され、現在の設定の雛形が出来上がっている。
その後、『GUNDAM WARS』シリーズの続刊である『MISSION ΖΖ』でも設定が追加され、さらに雑誌企画『ガンダム・センチネル』にこれらの設定に従った形で取り込まれた。
また、同時期に「ホビージャパン」誌で行われた雑誌企画『TYRANT SWORD Of NEOFALIA』でも、本機と見られる「エプシィG」という機体についての記述がある。
『PROJECT Ζ』に掲載されたオリジナルMSには後発の作品・資料では触れられないものも多い中、エプシィガンダムは後年でも、書籍『マスターピース』シリーズや『マスターアーカイブ Zガンダム』、『ガンダム・モビルスーツ・バイブル 第30号』、ガンプラ「MG 1/100 Ex-Sガンダム/Sガンダム」の説明書などで言及されている。
2021年現在におけるその扱いは「準公式設定」と見なすのが適当と見られる。
関連する機体
プロト・エプシィ・ガンダム
雑誌企画『THE EVOLUTION OF GUNDAM ガンダム進化論 ΖΖへの道』に登場。
アナハイムのナガノ主任が設計した「サイコガンダムMk-V」に相当する可変MS。「ΖΖガンダムはサイコガンダムの系譜に連なる機体である」という独自の設定に基づくもので、両機の中間型として位置づけられている。
ムラサメ研究所からアナハイムに移管されたサイコガンダム系列の開発部が担当した試作機で、サイコガンダムの出力はそのままにサイズを全高28mまで小型化しており、その分機動性は向上している。
機体各部を切り離してオールレンジ攻撃を行うという、ジオング(MSN-03)の構想と同様の運用方式を実現しており、全身に備えた計17基のビーム砲を攻撃に用いる。
また、コアユニットに加えて上半身がAパート、下半身がBパートとして高機動モビルアーマー(MA)形態に分離変形し、さらに合体してフォートレス形態を取ることも可能。この機構はΖΖガンダムに受け継がれている。
名称には「プロト・エプシィ」とあるが、エプシィガンダムとの関連性は不明で、作中でもエプシィについては言及されていない。Ζ計画内における開発順でも、本機の開発が行われたのは百式とZガンダムの後であり、エプシィの方が先に開発されていることになる。
ただ、『MISSION ΖΖ』の「ガンダム開発史」によれば上記の通りエプシィガンダムの完成は0090-0095年を目標とし、ブロッサムのためガンダリウム・エプシロンを開発中に即戦力になるMSを要求されたためにブロッサムを除いた本体を別の開発斑に回し、それが後のデルタガンダム(百式)となったと言われ
MG百式の説明書の記載と照らし合わせれば百式の開発母体となったこの本体はリック・ディアス以降の開発計画における近接戦闘・格闘用MSの基礎フレームとされているため、
そもそも上記の「エプシィガンダム」自体が開発中の近接戦闘・格闘用MSにブロッサム搭載を目指して改造した「プロト・エプシィ」のひとつであるとも推測できる。
元は永野護によるΖΖガンダムの没デザインで、メカデザインの担当者には共通点があると言える。
関連タグ
ジャムル・フィン - エプシィと同様に核パルス推進が可能な機体。ただし、こちらはオプションの大型ブースターが必要となる。
アンカーV4 - エプシィと同様に、爆発物を用いた推進システムを採用した機体。
ガンダム[ケストレル] - エプシィと同じく、宇宙船用のものを応用した推進システムを採用した機体。開発時期も近い。
ガンダム試作0号機 - 「ブロッサム」の愛称を持つガンダム。同じアナハイム社製でもある。
アナハイム・ガンダム(ギリシア文字系)