機体データ
型式番号 | MSZ-008 |
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所属 | エゥーゴ・アイリッシュ級戦艦マスタッシュ(ケイ・キリシマ機)、同アーガマ改級強襲用宇宙巡洋艦ユーロン(V型セイン・アマディオ機)、個人所有(トラヴィス・カークランド機) |
製 | アナハイム・エレクトロニクス |
生産形態 | 試作機 |
全高 | 18.3m |
本体重量 | 31.1t |
全備重量 | 69.7t |
出力 | 2,130kw |
推力 | 114,300kg |
装甲材質 | ガンダリウム合金 |
固定武装 | ビームサーベル2振、頭部バルカン砲2門(ケイ・キリシマ機のみ) |
携行武装 | ビームライフル、クレイ・バズーカ、メガ・ビームライフル |
概要
エゥーゴとアナハイム・エレクトロニクス社の共同開発プロジェクト、『Ζ計画』に基づいて開発された可変試作モビルスーツ。
Ζガンダムの発展機にあたる機体で、複雑だったウェイブライダーへの可変機構を簡略化し、メタスで採用されたものに改めている。この仕様変更やフライングアーマーの廃止によって大気圏突入能力及び1G重力下での飛行能力は失われたが、加速性能はウェイブライダーに引けをとらない程高く、航宙戦闘機として良好な性能を持つ。
性能的にも同時期に開発されたモビルスーツと比較しても遜色無く、ピーキーな操縦性や生産性も十分クリアできていたのだが、当時のエゥーゴ側の財政状況により、多機能かつ圧倒的高性能なZZガンダムの開発が優先されたため本機の開発は凍結された。
よって実機は生産されなかったと言われていたが、第一次ネオ・ジオン抗争中期に於いてエゥーゴ参謀本部の一派が少数ながら本機を生産し、アクシズ攻撃作戦等に用いた他、抗争後に保管されていた機体が横流しされ、個人所有機として実戦で運用されているのが確認されている。
また、抗争後にアナハイム社は運用データを元にいくつかの改良型を生産しており、宇宙世紀0095年には本機を基にジェガンと同規格の部品を積極的に取り入れることでリゼルが開発され、連邦軍悲願のΖガンダムタイプの量産機として制式採用されるなど、本機のポテンシャルがいかに高かったが窺える。
主なパイロットはケイ・キリシマ、トラヴィス・カークランド、セイン・アマディオ。
武装
ビームライフル
ZガンダムのXBR-M87A2を使用。伸縮機構やロング・ビームサーベルも問題なく運用可能。
クレイ・バズーカ
百式やリック・ディアス等が運用したものと同型。アクシズ攻撃に参加したケイ・キリシマ機が2丁持ちで使用しており、ビーム攪乱幕展開後の主兵装として運用された。当初は作戦の都合上使用された事になっていたが、近年では本兵装用のラッチが背面に追加されて巡航形態でも運用可能になる等、標準兵装の1つとして数えられるようになった。
メガ・ビームライフル
本機の主兵装。ハイパー・メガ・ランチャーを逆手持ちにしたかのような形状が特徴で、巡航形態時には機体各部のジェネレーターと連動させる事により同兵装並みの威力を発揮する事が可能。ロングバレルかつやや大型なため、取り回しに難があるように見えるが、ロング・ビームサーベル機構が内蔵されているため近接戦時のフェイルセーフも一応考慮されている。
ビームサーベル
脚部ニークラッシャーに1基づつ内蔵。生産コスト削減のためにデバイスはジムⅢ等の量産機用のものを使用している。銃口を兼用していたZガンダムのものと比べて柄が角ばっているのが特徴。
頭部バルカン砲
連邦軍伝統の牽制用機関砲。ケイ・キリシマ機にのみ装備が確認されており、その後量産された機体からはオミットされている。
ビーム攪乱幕ミサイル
ケイ・キリシマ機が装備していた。パブリクのものと同じである模様。
バリエーション
ZⅡV型
型式番号MSZ-008V。
漫画「機動戦士ガンダムヴァルプルギス」に登場。
第一次ネオ・ジオン抗争後に開発された改良型の1つで、白兵戦能力を向上させたモデル。頭部のツインアイに保護バイザーが装備され、下腕部をZガンダムと共通化し新たにグレネード・ランチャーを装備。左腕にはキャノピー型のビームキャノン付きシールドが追加されており、ブースターが内蔵されている。主兵装もメガ・ビームライフルから近接戦闘を考慮したツイン・ビームスピア付きロングライフルへと変更されている。
パイロットはセイン・アマディオ大尉。
ZⅡV型Bst仕様
ZⅡV型の高機動型仕様。
ランディングギア、マイクロミサイルポッド4基、ブースター、ウィング、プロペラントタンクで構成されている。
オプション兵装になっており元々は一撃離脱(単独離脱)戦法などで用いる装備。
ZプラスやSガンダムと異なり、脚部をブースターに交換するのではなくそのままの脚部に装着させる方式。
その為、状況に応じて装備を分離できる。
オリンポスコロニーでの対ハマーン・カーン部隊戦で用いられた。
アーガマ改級ユーロンの整備兵からは接近戦に不向きだと言われている。
また、パイロットのセイン大尉は殺人的な加速から「イカれてんだよまったくこんなバケモノ作りやがって」とBst装備の感想を述べている。
作戦中、直線的な動きしかできないためザク・マシーナリー(エルナルド機)の長距離狙撃の直撃を受け、セイン大尉が分離、廃棄した。
ZⅡV型Hi-Bst仕様
ZⅡV型Bst仕様の現地改修型。
オーヴェロンに乗ったマシロがシロッコとして覚醒し、敵になった時の保険として強化改修案が提示された。
予備のBstパーツを両肩にも装備させる。
変形も可能でWR形態にもなれる。
これにより武装も増え両肩両足でマイクロミサイルポッド計8基となった。
最悪の予想が当たりマシロが脱走したことでこの機体を使用することになる。
オーヴェロン第3形態と戦いでは一時的にスピードで勝ったものの、接近戦を行った為にパワーで負けクローで四肢をもがれ、至近距離からビームライフルの一撃を受け大破した。
ZⅡ(レイスカラー)
ゲーム『機動戦士ガンダムサイドストーリーズ』に登場したトラヴィス・カークランド専用機。
1年戦争時代彼の愛機であった「スレイヴ・レイス」に近いグレー基調になっている以外は特に変更点はない。アナハイムが保管していた機体をトラヴィスが裏取引で購入したもの。
U.C.0090(第2次ネオ・ジオン抗争時代)に調査していた息子ヴィンセント・グライスナーと彼が挑んだ連邦軍の狂気の産物「HADES」を搭載した「ペイルライダー」のパイロットクロエ・クローチェを保護するため出撃した。そしてグレミー派残党偵察に赴いたグライスナーのギラ・ドーガとクロエのトーリスリッターを保護すべく共闘、そしてアンネローゼ・ローゼンハインが乗るクィン・マンサのイジェクションポッドを回収した。
ZZⅡ(ダブルゼッツー)
TVアニメ『ガンダムビルドファイターズトライ アイランド・ウォーズ』に登場したサカイ・ミナトの改造ガンプラ。
ZⅡを基にΖΖガンダムの要素を取り入れたカスタムビルドを施してあり、同じくΖガンダム系列機の改造ガンプラであるライトニングガンダムを主力としているコウサカ・ユウマに対するライバル心が見て取れる。
ガンプラ
2014年にHGUCで発売。変形は差し替え式。武装も一通り揃っているが、ビームライフルはなぜか伸縮機能がオミットされている。また、トラヴィス・カークランドカラーもプレミアムバンダイ限定で発売されている。リデコキットとしてZZⅡも発売された。
余談
先述の通り本機には大気圏内での飛行能力が無いのだが、ゲーム作品に登場する場合はシステムの都合もあって重力化でも飛行可能になっている事が多く、先述のV型や本機の流れを汲むリゼルもスペースコロニー内で巡航形態を披露している事もあってか、この設定は半ば文字だけの死に設定と化しつつあったりする。
ちなみに漫画『機動戦士ガンダムF90FF』では登場人物であるリベラ・アマルガムの若き頃の写真の中にZⅡらしき機体が写っている。
名前はカワサキの大型バイク750RSの通称であるゼッツーに由来している。
スーパーロボット大戦シリーズでも、「α」「α外伝」「IMPACT」で隠し機体として登場した事がある。性能は基本的にΖガンダムのほぼ上位互換。特に「IMPACT」では熟練度とは無関係に入手可能なうえ、メガビームライフルが高威力、長射程で弾数も多いので活躍しやすい。ただし、まだクレイ・バズーカが武装に設定されていなかった頃の登場なので実弾兵装がなくビームが通じない相手や水中戦は苦手。また、「α外伝」ではメガビームライフルの弾数が少なめに設定されており、Ζガンダムがイベントで強化されるため割を食ってしまう事に…