機体データ
型式番号 | RX-098 / RX-98 |
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所属 | エゥーゴ |
開発 | アナハイム・エレクトロニクス |
生産形態 | 試作機 |
頭頂高 | 19.0m |
本体重量 | 40.5t |
全備重量 | 59.7t |
出力 | 1,790kW |
推力 | 78,500kg |
センサー有効半径 | 11,500m |
装甲材質 | ガンダリウム合金 |
固定武装 |
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携行武装 |
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概要
雑誌企画『M-MSV』に登場。
アナハイム・エレクトロニクス社が開発したエゥーゴの試作型モビルスーツ(MS)。士官用量産型MSのリック・ディアスの前身になる機体である。型式番号RX-098(RX-98)。
当初開発はアナハイム・エレクトロニクスによって独自に行われていたが、開発期間とコストの低減のためAEで請負生産している地球連邦軍のMSの機体構造を基礎としている。そのため搭載するジェネレーターに制限が生じ、出力不足に陥っていた。しかし、エゥーゴ(正確にはアクシズ由来の技術を手にしたAEとエゥーゴ)から新素材ガンダリウムγの技術が導入されることとなり、それらの問題は解決。それに伴い開発プロジェクト名はγガンダム計画に改められることとなった(後付けになるが機体構造のブロックビルドアップ構造もプロトタイプの本機から採用されていると思われる)。
なお、コックピット自体はリック・ディアスと違い完全に胴体の中に納まっている。
武装
ハイパー・ビーム・サーベル
バックパックに2本を装備された格闘用ビーム兵装。
ビーム・ピストル
小型サイズの射撃用ビーム兵装。
クレイ・バズーカ
300mmクレイ・バズーカの試作品となるロケットランチャー。
バリエーション
リック・ディアス改
岩田和久の漫画『機動戦士Ζガンダム 宇宙を超える者』に登場。
プロトタイプリック・ディアスをベース機として、前頭部をほぼリック・ディアスのものに交換しガンダムのアンテナを追加した改造機。正式な型番は不明。パイロットはクワトロ・バジーナ大尉。
名前がリック・ディアスⅡの別称と同じだが、まったく別の機体である。
物語は、新しいMS素材「ガンダリウムα」のために、クワトロ大尉が地球の大気圏再突入テストを行うところから始まる。
グリプス戦争勃発前、アナハイムエレクトロニクスでは、ア・バオア・クー脱出の際にシャアが持ち帰ったガンダリウム合金を利用したモビルスーツ、リック・ディアスの開発が進められた。シャアは、ガンダリウム合金の強度を確認するため、リック・ディアスによる大気圏再突入のテストを行う必要があると考える。
クワトロたちはプロトタイプリック・ディアスとリック・ディアス改で大気圏突入テストを行おうとしていた。かつてシャア・アズナブルはガンダムが単独で大気圏突入した衝撃を夢に見るほどであり、ガンダリウム合金を用いたリックディアスでもそれが可能であることを証明しようとしていた。
テストが実施され、金髪でサングラスをかけたシャアはテストパイロットに襲い掛かり、無理やりリック・ディアス改で発進する。
この時点で何故か作られているフライングアーマーに乗り、大気圏突入のテストを行っている最中、ティターンズの2機のモビルスーツに発見される。武器を持たないリック・ディアス改は、頭部のバルカンでハイザックを倒すが、もう1機の何故か白いガンダムMk-Ⅱに胴体を破壊される。コクピットのある頭部ユニットだけは無事だったが、それを知らないMk-Ⅱはそのまま帰還。
しかし、リック・ディアス改のコクピットは胴体ではなく頭部にあったため、シャアは無事だった。
突入角度の調整もできない状態で、リック・ディアスの頭が地球に吸い込まれていくが、
シャアは頭部だけとなったリック・ディアス改で大気圏再突入を敢行し、成功させる。
こうしてディアスの頭部だけで地球に降りるという、ガンダムコミック史上でも珍しいシーンが描かれる。実験としては意味がないが、満足するクワトロ。
「リックディアスこそ、ガンダムの名にふさわしいモビルスーツだ」
その後、エゥーゴはウェイブライダーに変形して大気圏に突入できるΖガンダムを開発することになる。
余談
- リック・ディアスの設定では、正式名称をガンマガンダムと決めたのはエゥーゴの指導者ブレックス准将であり、その決定を「ガンダム(RX-78-2)に申し訳ない気がする」と上官の准将に異を唱えてまで変更を希望し、リック・ディアスの名を推したのは他でもないクワトロ本人である。
- そのクワトロが「ガンダムの名にふさわしい」と発言しているのは、設定と矛盾している可能性がある。矛盾なく解釈するなら、開発開始の時点では「ガンダムの名はふさわしくない」と低く評価していたが、実際に乗った上に大気圏突入まで成し得た機体として認識を180度改めたことで「ガンダムの名がふさわしい」となった、とも考えられる。
- そもそも、クワトロはガンダムが大気圏突入の成功と言う衝撃的な事態を自らの目で見ているので、評価を覆すには十分な影響と言える。実際、後に強奪したガンダムMk-Ⅱに対して「Mk-Ⅱは所詮、Mk-Ⅱと言うことか」とかつてのガンダムと比較して低めに評価するなど、クワトロが「これぞガンダム!」と評価するハードルが果てしなく高いことがうかがえる。
- 新しいMS素材とされるのが「ガンダリウムα」とあり、ガンダリウムγの前々の段階の素材である(現在はガンダムのルナチタニウム合金を指す)。
- この漫画のプロトタイプリック・ディアスにはガンダリウムγが採用されていないことになる。
余談
- 一部の資料において「地球連邦軍のムーバブルフレームを採用」という記述も有るが、これはほぼ同時期にティターンズが完成させたガンダムMk-Ⅱの設定、ムーバブルフレームの研究・開発の流れ、『機動戦士Ζガンダム』劇中のやり取りのすべてと矛盾するので誤表記と思われる。
- 一応、AE独自のムーバブルフレームは研究されており、プロトタイプリック・ディアスやリック・ディアスには『ブロックビルドアップ構造』と言う形で導入されている。しかし、この技術はムーバブルフレームほどの完成度はなくAEのムーバブルフレームは未完成と言える。
- 「地球連邦軍のムーバブルフレーム技術」は、ティターンズが開発したジム・クゥエルの腕部などで試験導入されている物で、そのムーバブルフレームの完成形を実現させて本格的に導入されたのがガンダムMk-Ⅱである。つまり、ムーバブルフレームの技術はティターンズが独占しているので、AEが「地球連邦軍のムーバブルフレーム技術」を手に入れるには、ティターンズの開発陣から盗むしか無い。
- エゥーゴは、ティターンズの最新MSに対抗するMSを開発する際に「ムーバブルフレームの完成形」が必要となり、グリプス2で試験運転される予定のガンダムMk-Ⅱの強奪を決行、リック・ディアス3機で襲撃して結果的に2機も手に入れている。まず、この襲撃事件の時点で「リック・ディアスは完成している」のである。さらに、ティターンズから報復される危険を冒してでも「ムーバブルフレームの完成形を手に入れる必要があった」ことなどを踏まえるとプロトタイプリック・ディアスを開発した時点では「地球連邦軍のムーバブルフレーム技術はまだ得られてない」と言うのが実情である。