概要
セレーネー（古希: Σελήνη, Selēnē）は、ギリシャ神話の月の女神である。長母音を省略してセレネ、セレーネとも表記される。
後にアルテミスやヘカテーと同一視され、月が形を変える様に三つの顔を持つ、魔法の女神とも考えられるようになった。
ローマ神話のルナとも同一視される。ヘシオドスの『神統記』によると、ヒュペリオンとテイアーの娘で、暁の女神エオスと太陽神ヘリオスの姉妹。
月経と月との関連から、動物や植物の性行為・繁殖に影響力を持つとされた。聖獣は馬、驢馬、白い牡牛。眩い光を放つ黄金の冠を戴き、輝く裾長の衣裳を身にまとい、背に翼を持つ美女として描かれる。
毎晩、兄ヘリオスが西の海へ沈むと、２頭の白馬に牽かせた黄金の戦車を駆って天空に昇っていく。そして暁方になると、東の空に薔薇色の光を放って輝き出るエオスと入れ替わるように西の海に沈んでいく。
ヘリオスが昼起こる事を全て見ているのと同じく、セレネは夜の監視者とされている。彼女の光のおかげで旅人は道に迷わずにすみ、悪事を働かんとする者を見破る為、夜間の安全が保たれると考えられた。
セレーネーを巡る男神たち
セレーネーはゼウスとの間に、満月の女神パンディア（『遍く輝く女』の意味）、エルセ（『露（つゆ）』の意味）、ネメア（ネメア地方の女神）という女神を産んだとされるが、この女神が三柱なのか、一柱の別々の呼び名なのかは不明である。
また兄妹のヘリオスとの間に四季を司るホーラ達（ホーライ）四人を儲けている。
春の女神エイア、夏の女神テロス、秋の女神プティノポロン、冬の女神ケイモンら四姉妹はゼウスの妻であるヘラに仕える侍女とされている。
また牧神パーンもセレーネーの美貌に魅了され、恋い焦がれた事があった。
そこでパーンは純白の羊毛皮でセレーネーを誘惑したが、毛皮の美しさに魅了されたセレーネーは拒まなかったという。
エンディミオンとの恋物語
エンディミオンは、ゼウスの孫（息子ともされる）に当たる美青年だった。
ある日、山頂で寝ていたエンディミオンを見たセレーネーは一目惚れする。
しかし自分とは違い人間であるエンディミオンが年老いていく事に耐えられない彼女は、
神・ゼウスに彼を不老不死にする様に願った。
ゼウスはその願いを聞き入れたが、「人間に神と同じ不老不死は与えられない。永遠の眠りと引き換えにその美貌を保とう」と言い、エンディミオンは不老不死と引き換えに永遠に眠り続ける事となった。
セレーネーは夢の中でエンディミオンと交わりを重ねて50人の娘を産んだ。
彼女たちは暦月を司る女神でメーネたちと呼ばれる（この50という数字は、８年で１周期とするギリシアの暦において、前半４年間の月数が49、後半４年間の月数が50であることに由来すると思われる）。一説には美青年ナルキッソスはセレーネーとエンディミオンの息子ともされている。
各種創作物に登場する「セレーネー」
3DダンジョンRPGである同作に登場するマモノの一体で、種族は悪魔。
ダンジョン「ヴラキアの街」にザコ敵として出現する。
容姿は、三日月型の台座に座り、黒のバニーガール服の上にピンクの燕尾ジャケットを羽織った、ピンク髪ツインテールの女の子。武器は赤い三叉槍。
戦闘では突攻撃のほか、スタンスティング（ダメージ＋気絶）、十五夜（物理命中・魔法命中アップ）、雨夜の月（物理命中ダウン）といったスキルを使う。
推測ではあるが彼女のバニーガール衣装は、俗に月の模様がうさぎに見えると言われる事からの連想と思われる。
関連タグ
ネメアの獅子 … 息子だとされることもある。
この女神をモチーフとしたキャラクター
