概要
シュメール神話に登場する大地を司る女神にして、運命を定める7人の神々の一柱。
なお、基本的には土地の繁殖と豊穣を司る地母神とされているが、シュメール寺院に伝わっている聖歌では“天における真に偉大なる女神”とみなされ、歴代のシュメールの王たちは彼女の乳のより養われたともいわれていたとされる。
また、幾人かの王たちにとっての守護神であったともいわれている。
角の付いた頭飾りに段々のスカートを纏い、矢筒を肩に背負った姿をしており、時にはライオンの子供を連れた姿で描かれる場合もある。
神話によれば、エンキとの間にニンサルを儲けた後、自分が不在の間にエンキがニンサルとの間にニンクルラを、ニンクルラとの間にウットゥを儲け、エンキがウットゥとも交合しようとしたとき、ニンフルサグはウッツにエンキの愛を受け入れる代償にキュウリ、リンゴ、ブドウを生じさせることを要求させ、その条件を飲んだウットゥはエンキの体から取り出した精を土に埋め8種類の植物を生えさせた。
所がエンキはまだ名前すら与えられない内にこれらの植物を食べてしまい、このことに激高したニンフルサグはエンキを重い病気に掛からせてしまうが、彼の死を恐れた他の神々の執り成しを受けニンフルサグはエンキから8種類の植物を取り除き、8柱の治癒神たちを産みだして病気を治してやったとされる。
また、エンキが作った“鍬”によって頭を現した人間たちを彼女が完成させたとされているほか、別の神話ではナンムが粘土から人間たちを作り出したときに助産婦の役割をしたと言われている。
その他、シュメルの洪水伝説によれば、アン、エンリル、エアと共に人類を創造したとされている。