概要
セオリツヒメ(瀬織津比売、瀬織津比咩、瀬織津媛、瀬織津姫などとも表記)は、禍事・罪・穢れを川から海へと流す、清らかな早川の織りなす瀬を神格化した祓神・水神・瀧神・川神とされる女神。
ハヤアキツヒメ・イブキドヌシ・ハヤサスラヒメと共に、日本神話の神産みのさいに黄泉から帰ってきたイザナギが禊をしたときに誕生した祓戸大神の一柱とされる。
『古事記』や『日本書紀』にはハヤアキツヒメのみが登場し、セオリツヒメなどは登場しない。
六月晦と十二月晦に行われる大祓神事であげられる『大祓詞』で祓戸大神の一柱として山に降り注いだ罪や穢を清めながら海へ運ぶ神としてセオリツヒメが登場する。
天照大神との関係
『中臣祓訓解』『倭姫命世記』『天照坐伊勢二所皇太神宮御鎮座次第記』『伊勢二所皇太神宮御鎮座伝記』は伊勢神宮内宮第一別宮の荒祭宮祭神「天照坐皇大御神荒御魂」の別名として瀬織津姫、八十禍津日神を記している
鈴鹿権現との関係
京都祇園祭の山鉾(山車)のひとつ「鈴鹿山」の御神体は、鈴鹿権現として能面をつけ、金の烏帽子をかぶり長刀と中啓を持つ瀬織津姫尊を祀る。
伊勢の鈴鹿山で人々を苦しめる悪摩、もしくは立ゑぼしを退治した説話に基づくという。
橋姫との関係
京都宇治にある橋姫神社は646年(大化2年)に宇治橋が架けらたとき、上流の櫻谷の佐久奈度神社の御祭神である瀬織津媛を勧進したのが始まりとされる。
いつ頃からか宇治の橋姫と同一視されるようになった。
俗説
ホツマツタエでのセオリツヒメ
『ホツマツタエ』ではセオリツヒメはアマテラス(天照大神)の皇后とされる。
ただし『ホツマツタエ』は一般的に偽書とされているため、アマテラス男神説と共に俗説である。