概要
つづりはSarasvati。名は「水(湖)を持つもの」と言う意味がある。
チベットではヤンチェンマ(Yangchenma)、ミャンマーではスラタディ(Thurathadi)、タイではプラスラッサワディー(Phra Surasawadi)、中国では辯才天女と書いてピェンツァイティエンニュイ(Biancai Tiannu)と呼ぶ。
芸術、学問などの知を司る女神である。元来はインド最古の聖典『リグ・ヴェーダ』において、聖なる川、サラスヴァティー川(その実体については諸説ある)の化身であった。流れる川が転じて、流れるもの全て(言葉・弁舌や知識、音楽など)の女神となった。
4本の腕を持ち、2本の腕には数珠とヴェーダ、もう1組の腕にヴィーナと呼ばれる琵琶に似た弦楽器を持ち、白鳥または孔雀を乗騎とする姿で描かれる(或いは蓮華の上に座するとも)。
梵天ブラフマーにより、当初は娘として創造された。が、あまりの美貌故にブラフマーはサラスヴァティーに一目惚れしてしまい、娘では無く妻として存在するよう懇願した。創造主の懇願に驚き逃れるサラスヴァティーを常に見ようと、ブラフマーは自らの前後左右の四方に顔を作りだし、さらに天を飛んで逃れようとしたサラスヴァティーを追う為に、4つの顔の上に更に5つ目の顔(後にシヴァに切り落とされる)を生み出した。その執拗な求婚から逃れられないと観念したサラスヴァティーは、遂にブラフマーと結婚する。
ブラフマーとサラスヴァティーの間には、人類の始祖・マヌが誕生した。
後に仏教伝来時に金光明経を通じて中国から伝えられ、日本の土着信仰と結び付き、弁財天として新たな信仰を集めた。