人物
「白織」とは『蜘蛛ですが、なにか?』の主人公「私」が作品中盤で神へと進化(神化)した際に作中における最上級神「D」から賜った真名である。
作中では「白」というニックネームで呼ばれることの方が多い。
ここに至るまでの経緯は蜘蛛時代を取り扱ったタグ「蜘蛛子」の項も参照のこと。
完全な人型に移行してからの名称であるため、蜘蛛時代を描いたイラストのタグに用いるのは不適切であるので注意。
ただしweb版ではアラクネ形態への移行は完全な人型に移行した後も自由に行えるようになっており可変。
書籍版でも力を扱えるようになってからは「自分でもどうやってなったのかよくわからんけど、こう、ふんっ! って力を入れるとアラクネ形態になれる」(『蜘蛛ですが、なにか?』書籍版10巻)らしい。
ちなみに下着は変身する時に異空間に収納しており、透視対策もバッチリとのこと。
盟友である魔王「アリエル」のため、さまざまな策謀を練り物語の裏で暗躍してきた。
サイドストーリーにおけるもうひとりの主人公「シュン」が巻き込まれてきた数々の苦難もおおむね彼女が仕掛け人である。
一見、人間(人族サイド)が歴史の表舞台における主役と思いきや、実際には彼女に踊らされていた道化だったということを軽快に動く彼女の心情ともうひとつの人間(魔族サイド)を介して明らかにしていくのが本作における本編の流れといえる。
そういった流れからもわかる通り身内相手にはかなり甘く穏当な判断をするものの、あくまで親友であるアリエルのために世界に留まり彼女のために尽力しようと決意したという事情もあり、彼女の立てた計画は人類の半数が命を落とす可能性が高いという無慈悲なものである。
神らしく冷徹な判断を下せる超越者でありながら、人情深く俗っぽい本音を隠しているという二面性を持っており、本人はそう言った自分のあり方を自嘲して「邪神」とも名乗っている。
ほか、自他問わず「自由意志」「本人の誇りや覚悟」を最優先にする趣向を持っており、たとえそれがアリエル相手でも危地に赴く本人の覚悟を汲み取って手出し無用に留める矜持の高さを兼ね揃えている。
自らのエゴを最優先して他者の気持ちを考えない「傲慢」。
目的のためならどれだけの労苦も厭わない「忍耐」。
誰よりも怠けたいのにあくせく働かせられる羽目になり他者の仕事を奪う「怠惰」。
かと思いきや、お人好しで弱者を慈しみ擁護する「救恤」。
そして元来の頭の良さを証明するかのような「叡智」。
あくまで補足情報と断っておくが、彼女が蜘蛛時代に取得した「支配者スキル」五種は、そっくりそのまま彼女の人となりを指し示しているのかもしれない。
ただし、本来がぼっちだったことに加え、エルロー大迷宮という、他者との関わりを持てない場所(会話したのは並列意識や管理者D、ギュリエディストディエスのみ)だったためか、会話というより、言葉を発すること自体が少ない。
一応、盟友のアリエルと話すときは普通に会話をする。
あとは、酒を飲んだ時に周囲が驚くほどしっかりと話すが、本人は何一つ覚えていない。
しかし、会話が少ないためにホウレンソウ(報連相)が壊滅しており、アリエルも白織の行動を把握しきれておらず、周囲も、白織の発言が「必要最低限からさらに情報が欠けたもの」なため、情報の齟齬が生まれやすい。(ただ、アリエルに言わせれば、「大体一人でなんとかできてしまう」)
デザイン
神化に伴って完全な人の姿に変化している。
外見上は色素が極めて薄いアルビノの白髪赤目な儚げな美少女の姿をしている。この外見は設定上、絶世の美女と言って差し支えないものと思われる。
その印象を裏切らずに実際に強化魔術を外しての素の身体能力は人並み以下(腕立て伏せが一回もできないなど)と低く、体質上日光にも弱い虚弱体質であると語られている。特に進化直後の力の扱いに慣れていない時期は大きく疲弊しながら旅をしていた。(ギュリエディストも「慣れるまで数十年はかかる」と思っていたが、早く順応したことに驚いていた。酒飲んで酔っぱらってる間に魔法使って使えるようになるなんて、誰が想像できるか)
蜘蛛時代は健啖家だったが、この形態になってからはむしろ少食である。
なお、設定資料集に収録されたキャラクターデザイナー「輝竜司」氏のコメントによると胸の大きさは作中におけるトップグループであるソフィアおよびカティアと比べ劣る普通サイズとされているが、イラスト上では想定よりは大きく見えるという塩梅になっている。
最大の特徴は瞳の中に複数の虹彩がある(重瞳)点。瞳孔の色は白い。
蜘蛛時代にあった八つの瞳を人間のふたつの瞳に収める工夫と考えられるが、実際のところ自分でもよくわかっていないようだ。
人々の奇異の視線を避けるために普段は目を閉じて過ごしていることが多いが、力を取り戻してからは「透視」の魔術を用いてまぶた越しに世界を見ているので特に問題ない。
髪型はワンサイド三つ編み、服のところどころに施された編まれた帯は髪に似てはいるが別物であり、本人の髪を巻き付けたわけではない。
また、アラクネ時代に自身の歩脚を使って作成した「大鎌」を手にしていることが多い。
能力
「神」として力を振るえるようになり、それから十年以上の雌伏の時を過ごして力を蓄えてからは自らが内包するエネルギーを分割して作り上げた分体(分身体)の群が最大の武器。
これら分体は自身が辿ってきたルーツである蜘蛛の魔物「タラテクト」をモデルとしている。
これら分体はサイズや能力もさまざまであり、白織本人は動かずして敵や反乱分子の手の内を筒抜けにする普通の蜘蛛サイズの「諜報用分体」、システム換算すればステータス一万台の「戦闘用分体」など多岐に渡る。
また、これら分体の指揮管制を行いながらでも本体のスペックもステータス換算で五~六万相当と高めることができる。
そのほか「神」という種族の特性として魂を破壊されない限り、いかなる肉体的損壊からでも魔術を用いて復帰できるなど、作中に登場したキャラクターの中では上回る存在の方が数えるほどという圧倒的なものになっている。
「蜘蛛」由来の糸の作成能力は健在か、むしろ磨きがかかっており彼女が出した糸はシステムの範疇では語ることができない(「鑑定」不可)きわめて強力な素材である。
本人も旅生活の中で服作りの楽しさに目覚めたということもあって、身近な人間(例:「ラース」「ソフィア」「パペットタラテクトシスターズ」他)に自ら手掛けた服を贈っていたりもする。
その他にも「異空間にアイテムを保管しておく魔法の袋」や「モニター」、「スマホもどき」などのアイテムも作っている。
「神」である彼女は「システム」に括られる存在ではないが、そこからヒントを得ているようで蜘蛛時代から得意とした「空間系」「暗黒系」魔術を新たに組み上げている。
蜘蛛時代の切り札である「腐蝕攻撃」も邪眼に乗せる形で再現しており、目を見開くことで発動した攻撃は勇者「ユリウス」を一瞬に塵に帰すほどの威力である。
しかし、反動は大きく、神である彼女であっても回復にはそれなりの時間を要した。
ただし、「神」基準でも天才とされる彼女だが、同種では新参もいいところのため、格上に対する警戒は怠っていない。また経験の乏しさからくる圧倒的な手札の少なさを自嘲してもいる。