人類よ。これ以上、何を望むのだ。
概要
『真・女神転生シリーズ』としては2004年発売の『真・女神転生Ⅲ NOCTURNE マニアクス』から5年ぶりの発売となる。
300体を越える登場悪魔やLAW・CHAOS両属性の抗争、セルフパロディなど既存の作品をリスペクトした内容と、際立って色濃いSF設定やニンテンドーDSの機能を駆使したマッピング、パスワードシステムなど新たな要素を大いに取り入れている。
発売日は10月8日で、当日大型台風が日本に上陸していたことは攻略本の帯でもネタにされた。2010年4月21日にはドラマCDが発売。
略称としては「SJ」などが用いられる。
2017年10月26日、ニンテンドー3DS用にリメイクされた『真・女神転生 DEEP STRANGE JOURNEY』(以下DSJ)が発売(公式サイト)。
公式サイトの開設と同時にPVも公開された。
7月9日にはサイトリニューアルと同時に第2弾PVが公開。
9月22日にはOPムービーが公開された。
あらすじ
21世紀初頭、地球が70億ほどの人間と数多くの社会問題を抱えた頃、あらゆる物を分子崩壊させながら巨大化する亜空間「シュバルツバース」によって人類は地球と共に消滅する危機に立たされた。
国連は対策機関を設立するが調査ままならず、ついに亜空間内部へ有人探索艦を送る「シュバルツバース調査隊」を承認・派遣する。
各国の優秀な人材、最先端のテクノロジー支援の下で設立された人類の科学技術の集大成である調査隊は四台の次世代揚陸艦に乗ってシュバルツバースに旅立った。
想像を越えた存在達が待ち受ける世界への、人類最後の“奇妙な旅”に……。
キャラクター
※以下CVはドラマCD / DSJの順に表記。一人表記の場合はドラマCD。
主要なキャラクター
主人公
1号艦「レッドスプライト号」に搭乗する日本出身の兵士。調査隊内の所属は艦外活動や調査の保安を担う「機動班」。
厳しい戦闘訓練と幹部教育中に見せた能力を買われ、国連から指名されて調査隊に抜擢されたというエリート。
先頭に立って調査を行い、隊の活路を切り拓く彼の姿は他の隊員から信頼を集めており、それゆえに調査隊の、ひいては地球の未来を左右する存在になっていく。
デフォルト名として公式HPのムービーとドラマCDで「タダノヒトナリ」、取扱説明書では「クズノハライドウ」がある。
タダノヒトナリを敢えて漢字表記にするなら「唯野仁成」らしい。
ゴア隊長〔Gore〕
シュバルツバース調査隊の隊長を務める40代のアフリカ系男性。搭乗艦はレッドスプライト号。
某国の将校であったが、豊富な実戦経験と卓越した能力、リーダーシップが評価されて調査隊のトップに任命される。事実、シュバルツバース突入直後の異変にも動じず、悪魔に連れ去られた隊員の救助や周辺環境の調査などを指揮する。
部下思いな性格や隊員達から慕われる様子も描かれ、ヒメネス救助ミッションでは陣頭指揮を執り単身でオリアスを退ける活躍を見せる。しかし直後にオリアスの不意打ちを受けて致命傷を負い、主人公に後を託して息を引き取った。
……だが、後に死したはずの彼が物語に大きな転換をもたらす。
ヒメネス〔Jimenez〕
2号艦「ブルージェット号」に搭乗するヒスパニック系のアメリカ人男性。所属は機動班。
従軍経験があり、報酬に引かれて志願して調査隊に入隊した。一兵卒からの叩き上げという肩書きに偽りはなく、高い戦闘力を備え、新規配属された隊員達に機動班を代表してデモニカスーツの説明を行っている。
現実主義的な性格で任務遂行よりもシュバルツバースからの脱出を提案したり、悪魔召喚プログラムを生き残るための術としてすんなり受け入れる姿が見られる。
シュバルツバースの調査を通してバガブーと出会い共に過ごしたことで、次第に悪魔寄りの思想に傾倒していく。
ゼレーニン〔Zelenin〕
3号艦「エルブス号」に搭乗するロシア出身の女性物学者。
シュバルツバース関連の知識を評価されて中尉待遇の科学調査士官として招聘され、物語の冒頭ではシュバルツバースの発生経緯を報告している。
突入時の異変でエルブス号が墜落した後、悪魔によって他の隊員と共にミトラス宮殿に拉致され、そこで行われた「実験」を目の当たりにしたことで悪魔に対するトラウマを抱える。
悪魔召喚プログラムにも嫌悪を抱き、悪魔を受け入れる姿勢のヒメネスと度々衝突する。
ゆえに神の下僕として神の力で悪魔を駆逐することを説く大天使マンセマットに心酔し、天使の側に近づいていく。
アーサー〔Arthur〕
「レッドスプライト号」の管理を行う疑似人格プログラム。
艦内のシステムと連動して状況把握を行い、作戦プランの立案とミッション発令を管理し他隊員をサポートする。ゴア隊長亡き後は、隊員の集めた情報やフォルマからシュバルツバースの仕組みを分析し行動の指針を立てる。
調査の要となる存在で、感情に当たるものがないため常に冷静かつ合理的な判断が可能な高性能AIであるが、その冷静さゆえ時に隊員達から不興を買ったり戸惑われることもある。
三賢人によって「回路の霊」と呼ばれたことが示すように、彼もまたシュバルツバースでの長い旅を通して次第に変化していく。
デモニカOS
CV:未登場 / 早見沙織
シュバルツバース内部での活動を可能にするため、調査隊員に支給された強化服「デモニカスーツ」に搭載されたOS。ゲーム開始直後に行われるパーソナリティ診断などでプレイヤーのナビゲートを行う。
バガブー〔Bugaboo〕
CV:阪口大助
調査の最中に主人公とヒメネスが見つけた地霊族の悪魔で、組成に25%の異常値(25%が悪魔ではない)がある奇妙な存在。
他の悪魔に囚われ虐げられていたところをヒメネスに助けられ、惹かれあうように仲魔の契約を結ぶ。
ヒメネスによく懐き、本来の鳴き声以外にたどたどしいながらも言葉を覚えたり、ヒメネスがデルファイナス奇症にかかった際は身を挺して悪魔や暴走した隊員から彼を守ったりするなど、召喚者と仲魔の垣根を越えた特別な関係になっていく。
一般に妖精に分類される存在で、バグベア、ブッカブー、ボーグルの名で過去の女神転生シリーズにも登場している。
マンセマット〔Mastema〕
CV:未登場 / 森川智之
自身を「忠実な神の下僕」「力の御使い」と名乗る謎の天使。
表情を隠すマスク、全身を覆うケープ、黒い翼を備えた異形で、「神」の命を受けてシュバルツバースに降臨したと称する。霊的技芸に優れており、素手で結界を破ったり悪魔の嫌う神物を生み出す能力を持つ。
調査隊の前に度々現れては「善なるもの同士の協力」としてヒントや手助けを行うが、人間に対する不安を煽るような言葉を放つなど完全な味方とも言い切れない存在である。
謎の少女〔Strange Girl〕
CV:未登場 / 井上喜久子
青いドレスに山羊の髪飾りを着けた金髪の少女。
レッドスプライト号内部に突然現れ、主人公にのみ語りかける。人類のこと、悪魔のこと、そしてシュバルツバースのことを語るが、いずれも傍観者めいた立ち位置からの言葉である。
なお、US版では「Louisa Ferre」という名前で表記される。
シュバルツバース調査隊クルー
カトー〔Kato〕
作戦班所属の男性クルーで、管制室に常駐している。作戦指揮以外にもレッドスプライト号の航法や装備の操作も担当。
作戦班として調査の指針を立てる重要な役目についているが、過去に所属していた軍ではブレーンワーク中心だったことから、不測の事態に狼狽したり、デルファイナス奇症に侵され殺し合うクルーを目の当たりにして動揺したりする姿が見られる。
ウィリアムズ〔Williams〕
作戦班所属の女性クルーで、管制室に常駐している。冷静な性格で高い分析力を備え、動揺する他の隊員を制止する場面もある。
作中、悪魔召喚プログラムの解析に早い段階で着手しており、各クルーのデモニカを通して悪魔合体のチュートリアルを作成し、主人公に教えてくれる。
他人との接触に対してシビアなところがあり、「相互不可侵は破られるために存在する言葉」などと言い捨てる姿が見られる。
ゾイ〔Zoe〕
CV:未登場 / 原由実
医療班所属の女性クルーで、医療室に常駐している。
肉体的な治療から精神的カウンセリングまで、調査隊内の医療を一手に引き受ける重要人物。
冷静で理知的だが順応性の高い人物で、会話を可能とする悪魔達の精神構造に興味を示し医療室で仲魔も含めて回復することもすぐに受け入れていた。
また多くのクルーが傷つき命を失う現場を目にしてきた立場として、主人公に生命だけは絶対に大切にしろと声をかける場面もある。
ただ探求心が旺盛過ぎる所があり、ヒメネスに懐くバガブーに興味を示して研究したがる、人を超越したヒメネスとゼレーニンの肉体を調べたがるなど危険な発言もする。
名前の由来は女優ズーイー・デシャネル。
メイビー〔Maebe〕
CV:未登場 / 中原麻衣
インフラ班所属の女性クルー。
医療室に常駐し、負傷したクルーの看病を行う看護師のようなポジションにいる。
悪魔にさらわれた経験も手伝っているのか弱気な性格で、不測の事態や悪魔の襲撃に動揺し、他のクルーに対して劣等感を抱いている旨の発言も目立つ。また彼女の父親が不治の病に侵されているという事実が終盤明かされる。
だがゴアから父親の病の治療薬が2年後に発見されることを聞き、そして彼の遺志を皆と共に託されたことで、決戦への覚悟を固める。
ウルフ〔Wolf〕
CV:未登場 / 河西健吾
機動班所属の男性クルー。戦闘経験が豊富で特に室内戦が得意と豪語する陽気な性格の持ち主。
ヒメネス救助のミッション直後から負傷し医療室に腰を据えていた。カリーナ突入後に復帰するが、それ以後も医療室にいる姿が見られる。しかし負傷のせいで出動できない自身の現状に歯噛みし、危険の察知などの勘が働く生粋の機動班クルーである。
開発中の仮名称は「タイラー」で、これは映画『ファイト・クラブ』に登場する同名のキャラクターが由来である。
タイラー〔Tyler〕
CV:未登場 / 木島隆一
機動班所属の男性クルー。教師を務める妻と娘がいる。
機動班クルーとして物語の序盤から終盤まで主人公と行動を共にする機会が多く、任務を忠実にこなす勇敢な人物。
ゴアとは親しい仲だったらしく、特にゴアの死亡や遺体が消失した際に見せるタイラーの動揺した姿から彼を尊敬し信頼していたことがうかがえる。
ブレア〔Blair〕
CV:未登場 / 竹内良太
機動班所属の男性クルーで、後車デッキに常駐している。
世界各地の紛争地域に派遣され、多くの戦場を渡り歩いたと語る歴戦の隊員で、いかなる状況でも取り乱さない冷静沈着な人物。
高い戦術眼を持っており、ミッションの決定打を見抜き、戦場で生き延びるための戦闘テクニックを主人公に教える。
全くの堅物というわけでもなく、カリーナの様子を揶揄したり、ゴアの遺体が収容されたポッドに「レスト・イン・ピース(安らかに眠れ)」と刻んだりする一面を見せることもある。
名前の由来は映画『遊星からの物体X』に登場する物理学者ブレア。
マッキー〔Mackie〕
CV:未登場 / 峯暢也
機動班所属の男性クルー。
物語の序盤から登場し、管制室に常駐していること、作戦の先頭に立って新たな活路を拓く主人公を激励するシーンなどから機動班の中でも指揮官に近いとおぼしき人物。
アーサーの提案するプランに対して一番に機動班の見地から意見を出してプロセスの明確化を図り、プレイヤーにわかりやすい目標をもたらす存在でもある。
アンソニー〔Anthony〕
機動班所属の男性クルー。
前線に立ってシュバルツバース内の各地に出動し調査隊の中で最も危険性の高い任務に就いている人物なのだが、女性悪魔に惚れ込んではことあるごとにEXミッションを通して主人公に伝言を依頼するという、ある意味作中で最も肝の据わった人物。
アンソニーのミッションに関わる悪魔はリャナンシー、モー・ショボー、ユキジョロウ、リリム、スクーグスロー、ゴモリーの6体。とにかく女性悪魔からの受けが悪く、告白を目的とした4つのミッションでは手酷いコメントと共に真っ向から断られる。
一方でスクーグスローの正体を見た上で彼女を化け物扱いすることなく礼と謝罪の言葉を伝えようとし、ゴモリーから「純粋で無垢な意思を感じる」と言われるなど、ただのナンパ屋には終わらない光るものを持つ男である。
名前の由来は『ギアーズオブウォー』のアンソニー・カーマイン。
デント〔Dent〕
CV:未登場 / 泰勇気(シャイターンとの兼ね役)
動力班所属の男性クルー。
部隊のムードメーカーを自称し、EXミッションを通して主人公とゲームをしたりするなど明るい性格。他の隊員からの人望も篤く、たびたびEXミッションの仲介をする姿も見られ、それを裏付けるようにアンソニーの悩む姿を真摯に受け止め、艦内のトイレに秘神カンバリが出た際は隊員達への影響を心配するなど仲間思いな男。
名前の由来はSF小説『銀河ヒッチハイク・ガイド』の主人公アーサー・フィリップ・デント。
アーヴィン〔Irvin〕
レッドスプライト号に搭乗する資材班チーフ。語尾に「ぜよ」がつく土佐弁口調で、男気溢れる飄々とした性格。
作中、フォルマを素材にラボの物質合成装置を駆使して多くの装備品をクルーに提供する重要な役目を果たし、悪魔から救出された恩義から常に主人公に友好的な態度で接する。
フォルマと新装備開発に対する情熱は他の追随を許さず、主人公の持ってくる未知のフォルマを気配だけで察知したり、プレイレコードの「アーヴィン・ウォルシュ勲章」にて主人公へ賛辞を送ったりする。仕事の後はコーヒーを飲んで余韻に浸るという一面もある。
チェン〔Chen〕
CV:未登場 / 黒沢ともよ
資材班所属の女性クルー。アーヴィンの助手としてフォルマ解析や開発に取り組み、新装備の解説や基礎知識の説明を行う。
当初は物質分析の科学者として調査隊に参加したことやラボの見習いということもあって弱気な一面を見せることもあったが、調査の進行と共に新たなセクターの環境や悪魔についての鋭い考察を披露するなどたくましさを見せるようになった。
またアーヴィンの傍にいたことで彼に感化されたのか、オーカスバスター開発時に「ゾクゾクする」と発言したり、決戦直前に「開発品には自分の魂が込められている」と口にしたりした。
タナカ〔Tanaka〕
資材班所属の男性クルー。EXミッション「機竜の秘密」を依頼する人物。
アーヴィンのような人物を擁する資材班の一員にふさわしく、新たなフォルマ奪取と新装備開発に熱中しており、主人公に機械の肉体を持つ邪龍ファブニールの一部を回収するように頼む。
ミア〔Mia〕
インフラ班所属の女性クルー。名前、グラフィック共に女性的なのだが一人称が「俺」、語尾が「だぜ」など口調が男らしい。
その口調や背の高さから豪胆なように思えるが、トイレに秘神カンバリが出た際に正体を判断しかねてうろたえたり、合同計画本部との交信に対して愚痴を吐いたりするなどネガティブな発言も目立つ。
だが後ろ向きというより最悪の事態を想定した発言に近く、ヒメネスとゼレーニンについて行く者が続出する中で最後まで艦内に踏みとどまる芯の強さを見せる人物でもある。
ムッチーノ〔Muccino〕
CV:未登場 / 後藤ヒロキ
通信班所属の男性クルー。
太った体格で、ゴアの死に号泣するなど感情表現が豊かな人物。さらに「艦の食糧は命をかけて守る」と発言し、悪魔から救出された直後に「スペシャルディナーにされる所だった」とジョークを飛ばすなど、その体格に合致した内容の言葉が目立つ、陽気な性格でもある。
救難信号の傍受をし、地上の合同計画本部・ジャック部隊との交信管理を全て行うなど、通信員として有能な人物である。
ゲッコー〔Gekko〕
観測班所属の男性クルー。EXミッション「ブラックボックスの回収」を依頼する人物。
彼の任務であり、また依頼するミッションの内容はシュバルツバース各地に残る調査隊クルーの遺体から観測データを回収するというもの。
あらゆる面で過酷な任務をこなすだけあって感情に流されない理知的かつ冷静な性格で、他者には常に敬語を用いる。
マクリアリー〔McCleary〕
CV:未登場 / 白石稔
観測班所属の男性クルー。
セクター・アントリアで悪魔にさらわれた隊員の一人だが、救出直後から月齢システムをいち早く観測したり、各セクター突入時に取得する艦外データのモニターを引き受けるなど物語の進行において重要な情報をプレイヤーにもたらす重要人物。
当初は一人称が「ボク」で口調もどこか弱々しかったが、物語の進行と共に一人称が「俺」に変化し凛々しい言葉遣いをするようになり、調査隊の中でも変化が顕著な存在である。
地球意思と悪魔
モラクス〔Morax〕
CV:未登場 / 黒田崇矢
「焼け焦げた国」セクター・アントリアを支配する魔王。ソロモン72柱に数えられる悪魔。
アントリアはシュバルツバースで最も地上に近いセクターに位置するため、地球に攻め寄せる悪魔達の尖兵として準備を進めていた。
人類を討つ手段として人間を最も多く殺す人間自身の戦争の技術を模倣した「焼け焦げた国」を作り出し、主人公に血に飢えた人類を殺す悪魔こそ善なる存在ではないかと問いかける。
真の姿は猛火の魔王モロク。フォルナクスでティアマトの胎内から復活した悪魔の一番手として再び主人公に戦いを挑む。
モラクスとモロクの関連はコラン・ド・プランシーの著書『地獄の辞典』において、本来独立した両者が関連付けて説明されているためと思われる。
ミトラス〔Mitra〕
「遊びふける国」セクター・ボーティーズを支配する魔王。キリスト教台頭以前のローマ世界で崇拝された太陽神。
多くの矛盾を抱えながら悪魔に代わって地球の支配者となった人間という存在に興味を示し、調査隊クルーをさらっては「実験」と称した虐殺を繰り返して研究を進めていた。また、かつて神として人類に崇拝されていた頃の栄光にこだわりを持っており、主人公に対して協力しろと交渉してくる。
真の姿は終末の戦王ミスラ。神としての姿を取り戻した後は「人は神に従えられるべきだ」と主張し、神との契約を反故にし地球を汚した人類に裁きを下すと称して主人公に襲いかかる。
ミスラは古代イランを中心に信仰された光・契約の神。その名は広範囲に波及して多くの神話に影響を与え、ローマに入ってミトラスの名で信仰された。
オーカス〔Horkos〕
CV:未登場 / 西村太佑
「買い漁る国」セクター・カリーナを支配する魔王。ギリシャ・ローマ神話に語られる死神。「ブォーノ」という独特の咆哮を放つ。
「食らう」という行為に強く執着しており、エルブス号を飲み込んでその機能を利用し、さらにレッドスプライト号まで食らおうとした。
人間を地球の生産と消滅のリズムから外れた欲望の塊と罵り、それを表すようにカリーナは大量に物を作り大量に消費する人間の社会を象徴したショッピングモールに似た姿である。
真の姿は死神オルクス。文明に溺れて死を遠ざけ恐れる人類を嘲笑し、主人公を呑み込まんと強襲をかける。
オルクスは古代イタリアで信仰された死の神で、ローマ神話の冥界神と同一視され、それが凋落し悪魔とみなされた存在がオーカスである。
アスラ〔Asura〕
CV:未登場 / 拝真之介
「腐りただれた国」セクター・デルファイナスを支配する魔王。インド神話に伝わる魔族。
「美しいカタチ」という概念を至上とする悪魔で、弱肉強食の世界にいる存在を「美しい霊」と尊び、文明に染まり地球を害する人類を「低俗極まる霊」と唾棄する。
それゆえに地球に原初の混沌をもたらすため、地上に進行しようとした。また「霊を研磨する機会」と称して調査隊クルーの精神に寄生し、「デルファイナス奇症」を発症させて殺し合わせた。
真の姿は慈愛と憤怒の地母アシェラト。「破壊」によって地上を一掃して大地に「再生」の機会をもたらし、地球を悪魔と力ある人間の支配する世界に戻すこと、破壊こそ全てに美をもたらす力であることを説く。
アスラとアシェラトは神話的に全く無関係であり、音感の類似やカオス勢力の根源「太母」とアシェラトの地母神としての属性を繋げただけである。
ウロボロス〔Ouroboros〕
CV:未登場 / 中村桜
「路を管する地」セクター・エリダヌスを支配する「母」の一柱。永遠を象徴する「世界蛇」である龍王。
エリダヌスはシュバルツバース内部の時空接続を管理するポイントで、脱出口であるバニシング・ポイントとして作中でも重要な場所である。
そしてウロボロスはシュバルツバースの生命線にあたるバニシング・ポイントに座している。彼女は周辺の4ヶ所に自身の子を配置してエネルギーを生み、精製し、供給する無限の円環を形作り、その力で幾度倒されようと復活する永久機関と化していた。
またウロボロスこそが死んだゴアを蘇らせた張本人であり、彼にシュバルツバースの意思と高度な知識を流し込み操り人形として利用していたが、彼女が倒されたことによってゴアはシュバルツバースをさまよう身となった。
本来のウロボロスは地母神ではないが、作中ではギリシャの豊饒神マイアが力を得たことで「ウロボロス・マイア」という母神に変じている。
ちなみに心理学者エーリッヒ・ノイマンは「意識」が分化する以前の「無意識」を指してウロボロスと呼び、さらに原初の母性、混沌の世界と結び付けている。
ティアマト〔Tiamat〕
CV:未登場 / 新井里美
「種の記される地」セクター・フォルナクスを支配する「母」の一柱。バビロニアの創世神話『エヌマ・エリシュ』に登場する女神。
フォルナクスは地球の太古からの宇宙的記憶が時空を越えて収集される場所であり、そこに人間の思念が流れ込むことで悪魔達に新たな形が与えられる。またフォルナクスでは記憶から生み出された存在が永遠に同じことを繰り返すという現象も見られる。
そしてティアマトはフォルナクスに宿る記憶から無限に悪魔を生み出し、主人公がかつて倒した「子ら」に真の姿を与えて再び調査隊クルーを攻撃させた。
ティアマトはバビロニア神話において、「原初の真水」アプスーと交わることで全ての神々の始祖となった、混沌と創造を表す神である。特にSJでは、多くの神や魔物を生み出した経歴と「大洪水を起こす龍」という形容を意識した扱いとなっている。
マーヤー〔Maya〕
CV:未登場 / たかはし智秋
「想の揺れる地」セクター・グルースを支配する「母」の一柱。世界を覆い真実を隠す幻影の女神。
グルースは幻力の母神であるマーヤーがイメージや幻覚などの形而上の情報を操って創り出した幻の地である。本来は地上に生きる人類が描く未来への希望に満ちた「夢」が描かれる場所であったが、現在は疲弊した地球が見せる滅びの夢のみがたゆたう。
そしてマーヤーは夢見る力を失った人間に失望しており、それを示す通りにグルース内は色褪せた各セクターの風景が複雑に交差し混ざり合い、マーヤーの引き起こす情報撹乱が調査隊クルーに牙を剥く異形の世界と化している。
マーヤーはインド哲学において「地上の物質が起こす作用、すなわち『現象』を人に知覚・理解させる力」を意味する言葉で、やがて擬人化されて力を象徴する女神マーヤーとなった。
さらに仏陀(ゴータマ・シッダールタ)が「世界を覆う幻影から目覚めた者」とみなされることから、彼の生母マーヤー妃(摩耶夫人)とも関連付けられる。
メムアレフ〔Mem Aleph〕
CV:未登場 / 大原さやか
「命の起こる地」セクター・ホロロジウムを支配する「太母」であり、シュバルツバースの中心たる存在。地球を覚え、伝えるもの。
メムアレフは地球意思のカオスの面を司る存在であり、本来は「創造」の営みを受け持つ太母だった。
だが人類の愚行によって全てを破壊する古母と変じ、今ある生命を奪い新たな生命を生み出すために滅びの地シュバルツバースを生み出す。
メムアレフの「創造の力」は全能であるがゆえに抽象的なため、彼女はより具象的な創造の力である「分霊」として各セクターを統べる「母」たちを生み出し、それを通して人類を攻め滅ぼす力「悪魔」を創り出した。
メムアレフの真の姿はデモニカを以てしても視認できず、天使の歌などの特殊な力を通さなければ実体を捉えることは不可能である。
あるルートでは主人公を討つために、己の姿や創造の力、未来への意思すら捨てた剥き出しの力「虚大霊(Empty)」と化す。
メムアレフとは本来特定の女神を表す言葉ではなく、ヘブライ語の「水(Mem)」と「始まり(Aleph)」を結合させた文字「マー(Ma)」のこと。直訳すると「始まりの水」。
大地から噴き出す水の恵みを表す母神の加護を祈る呪文とされ、古代ペルシア人は死と再生を象徴する「Ma」という文字を聖なる言葉と捉えていたことから、古代の母性イメージの源流とされる。
「Ma」という言葉は印欧諸語において「母親」を示す音節であり、女神やその添え名に使われる。
さらに「マザー」「メール」「ムッター」「マーテル」というように、世界的に「マ行」で始まる言葉は「女性」「母親」「乳房」を表し、日本でも古典に「乳母(まま)」という単語が登場する。
三賢人〔3 Wise Men〕
CV:未登場 / チョー
物語の要所で登場し主人公や調査隊クルーに語りかける存在。
3名とも穏やかな物腰の存在だが、地上を汚しシュバルツバースに呑み込まれようとする人類を「ヒト猿」、核ミサイルを「人間のイカズチ」と嘲り、地球意思を熟知した高い知性を有している。
その正体は地球意思のロウの面を司る存在であり、本来はカオス側面の中心であるメムアレフと共に地球の進化を促す存在だが、均衡が破れたことで独立して顕現した。
彼らは地球に存在するもの全てが一体化し「善き霊」となって絶対の秩序と法の下に未来永劫存在し続ける世界を目指しており、その実現のためにマンセマットがもたらした「歌唱」の力に目を付け、調査隊に新たな霊の位階に達する法の世界の素晴らしさを説く。
シェキナー〔Shekinah〕
CV:未登場 / 柚木涼香
メムアレフの対となるロウ的側面の大地母神であり、メムアレフに奪われていた力(第5の宇宙卵)を取り戻した三賢人の真の姿。
本来の力を得たことで“全存在が「善き霊」となって未来永劫存在し続ける世界”への思いを捨て去り、“法の神の創生”──神であるシェキナーによる地球生命の改変──を企て、宇宙卵を追って『十天への至』最深部に踏み込んだ主人公と最終決戦を繰り広げる。
シュバルツバースを掌握していた地球意思のカオス的側面であるメムアレフが消え去ったことで「古き神々も、それを奉じるニンゲンも必要ない」「地球は、私という神のものと知れ」等の肥大化した独善性と支配欲を露わにした言動を取り、主人公の攻勢によって追い詰められた際にはデメテルから実りの力を奪って己の力にするという暴挙に出ている。
シェキナーはヘブライ語の「居住(shakhan)」を語源にする「神の臨在、神の栄光」を意味する言葉で、ユダヤ神秘主義において神的な女性表象を司る存在である。
嘆きの胎
デメテル〔Demeter〕
CV:門脇舞以
“実り”を求めてシュバルツバースを旅する豊穣の女神。口癖は「ハーベスト」。
「ピクシーにも負ける」と自認するほどに攻撃や戦いを苦手とするが、回復術や敵から身を隠す特殊な力を有する。
アレックスに襲われて死亡した主人公を蘇生させ、根源に仇成す者たちが封じられた牢獄「嘆きの胎」にいる悪魔たちから力を得るように助言する。
後に目的の“実り”が嘆きの胎に散在することを知り、主人公にとある依頼を持ちかけて来る。
アナーヒター〔Anahita〕
CV:田村睦心
嘆きの胎・第一圏を統べる天女。ゾロアスター教における河川と水の女神。
気怠そうな口調と態度で他者に接するが、殺し合いや闘争に対して高揚する性格の持ち主。
作中、主人公に対して「どっちの差し金」という言葉を投げかけ、一方的に戦いを挑んでくる。
そして、アナーヒターを倒したことで主人公へ譲渡された“実り”が、シュバルツバースの奇妙な旅に新たな流れをもたらしていく。
イシュタル〔Ishtar〕
CV:園崎未恵
嘆きの胎・第二圏を統べる女神。古代メソポタミアで信仰された豊穣と戦争の女神。
主人公が進める“実り”集めを諦めさせるため、「心を折る」と称して戦いを挑む。
「根源」と対立して封じられた身でありながら地上を生きる人類に対して強い愛情を持っており、戦いが始まる直前ですら主人公に「死なぬように」と激励の言葉を送っている。
アモン〔Amon〕
CV:山本祥太
嘆きの胎・第三圏を統べる堕天使。ソロモン72柱に数えられる悪魔で、デメテルから地獄の侯爵と呼ばれる。
主人公が第三圏の深部に到達した時点で既にアレックスと交戦している。そして、アレックスとの激闘の末にアモンは敗れ去り、“第三の実り”はアレックスが手に入れることとなる。
そして、この“第三の実り”が後にある展開をもたらす。
フォルネウス〔Forneus〕
CV:利根健太郎
嘆きの胎・第四圏を統べる堕天使。ソロモン72柱に数えられる悪魔。
アモンの仇を討ちたがっていたものの現れた人間が主人公だったため、なし崩し的に襲い掛かって来る。
だが、予想以上の主人公の実力を前に激しく狼狽して“実り”を差し出し、さらに謝罪した上に合体による契約まで許可してしまう。
合体の素材悪魔や合体成功時に困惑した様子を見せるなど、ファンサービスやコメディリリーフ的な色合いが強い存在である。
ゼウス〔Zeus〕
CV:木村昴
嘆きの胎・第五圏を統べる魔神。ギリシャ神話の最高神。
闘争すらも一興とうそぶく尊大かつ攻撃的な性格だが、神話さながらにケラウノスとアダマスの鎌を振るう強大な悪魔である。
作中、アレックスと交戦して戦闘不能に追い込むという圧倒的な実力を見せ、間に割って入った主人公を相手に激戦を繰り広げる。
戦闘後は主人公へ“実り”と自らの力を快く明け渡すが、デメテルに注意するよう警告する一面も見せる。
マリア〔Maria〕
CV:新井里美
嘆きの胎・第六圏を統べる女神。キリスト教における聖母。
マリアは最も古くメムアレフに疎まれ、嘆きの胎の最下層において己の存在すら忘れかけてしまうほどに永く封じられてきた存在である。
作中、主人公と邂逅したことでマリアは己を思い出し、嘆きの胎に込められた最後の力を与えるために交戦する。
そして、デメテルとの対話の末に最後の“実り”を主人公に託す。
シャイターン〔Shaytan〕
CV:秦勇気
嘆きの胎・第一圏で出会う妖魔。アラビアの精霊(ジン)の一種。
当初は嘆きの胎に訪れた人間(主人公とアレックス)を餌程度にしか見ておらず、その後も噂話を喋るだけで直接襲い掛かってくることはない悪魔だった。
しかし、人間でありながら次々と悪魔を屠るアレックスに対して次第に特別な感情を抱き始め、ついには……。
その他
ジャック大佐〔Colonel Jack〕
CV:未登場 / 多田野曜平
次世代揚陸艦ライトニング号の指揮官で、ジャック大佐が率いる傭兵部隊は彼の名を取って「ジャック部隊」と称している。
とあるスポンサーの契約を履行するためシュバルツバースに乗りこみ、未知なる資源の獲得を目的に調査を行っており、調査を円滑に進めるべくレッドスプライト号にも交渉を仕掛けてくる。
「契約」という概念を重視する性格で、レッドスプライト号との交渉の際は物腰の柔らかさ・したたかさを見せて「相互不可侵」などを掲げ、どこまでもビジネスとして割り切った姿勢を見せる。
だが一方でビジネスのためにはいかなる犠牲もいとわぬ方針の持ち主でもあり、強大な武力を偉大なビジネスツールとみなす考えの下に悪魔の改造と新兵器の開発を行っていた。
敵対した相手は完膚なきまでに粉砕する信条のもと、戦闘では上記の改造悪魔と兵器を駆使する一流の戦士でもある。
ライアン〔Ryan〕
CV:未登場 / 西谷修一
ジャック大佐の補佐を行う部隊の副官。
「契約」という信念があるジャック大佐に比べて粗野な性格が見え隠れし、ヒメネスに殺されそうになった際に命乞いをするなど小物的な人物である。
だが指揮能力は高いと見えて、一度鎮圧された部隊を率いて反乱を起こしレッドスプライト号に反撃を加えようとした。
アレックス
CV:潘めぐみ
DSJでの新規キャラ。PVに登場している赤い上着を着た黒髪ロングの少女。
シュバルツバース探索中、突如主人公に襲い掛かってきた謎の少女。
敵意をあらわに主人公の命を付け狙う彼女の目的とは……?
ジョージ
CV:中村悠一
アレックスが装備するデモニカスーツのハンドヘルドコンピューターに搭載されたOS。
AIだが、疑似感情プログラムを搭載しており、アレックスと自在に会話をするなど、調査隊のデモニカOSよりも高性能のようだ。