概要
人口約2000人が住む日本の離島。
いかにも日本の田舎といった純和風の家屋が立ち並ぶのどかな街並みで、駐在所や漁村、一つの診療所や学校など必要な設備は一通り揃っており、定期便で本土を行き来できる。
卒業式を数回行うなど、一風変わった風習のあるが平和な島である。
真の概要
「あそこは我々が忘れかけていたものを必死に集めた、巨大な記憶の保管庫だ。平和という文化を保存するためのね」
2114年に襲来したフェストゥムとの戦いや新国連の攻撃で消滅した日本の生き残り達が発足した「アーカディアン・プロジェクト」遂行の拠点であり、フェストゥム及び人類軍から身を隠すために建造した巨大移動要塞艦。
フェストゥムだけでなくミールの遺伝子汚染後の日本人抹殺を試みた人類軍との戦闘経験がある大人達が、次の世代へ平和を文化として伝えるために、子供達には日本の離島であると信じさせていた。
日本自衛軍の管轄下で西尾行美を中心に設計・建造された全長66㎞という途轍もなく巨大な艦体を重水素核融合反応炉を用いた電磁推進システムで航行させる巨大移動要塞艦の1隻であり、「竜宮島」は第一アルヴィスの「居住区」にあたる。海中部分には軍事施設が設けられており、艦内の殆どはオートメーション化されているものの、オペレートやメンテナンスに人の手が必要とする。
日本で発見された瀬戸内海ミールを3分割したコアを有するアルヴィスは3隻あるが、第二アルヴィス・蓬莱島はアヴァロン、第三アルヴィス・海神島はアトランティスの名で新国連に編入した後にそれぞれ壊滅。
現存するアルヴィスの竜宮島は「アーカディアン・プロジェクト」としてフェストゥム及びその中枢であるミールの研究、フェストゥムに対抗できる有用な兵器開発及び因子を移植した子供達の出生のために、本編では北極に存在するミールとの決戦と劇的な変化を遂げたミールを通じてフェストゥムとの共存の道を模索している。
なお子供たちにはファフナーの操縦知識を初めとした様々な必要な知識をメモリージングと呼ばれる遺伝子的な措置で無意識下に刷り込んでい
いたが、1期1話でのフェストゥムの襲来で一斉に解除される。
島における任務
島民達それぞれがアルヴィス・クルーとしての第一種任務と竜宮島島民としての第二種任務を担う。
特に後者は戦争しか知らなかった大人達が与えられる最大の贈り物である。
当初は島の実態や世界の事情を知りながらも気持ちの整理をつけられずにいた子供達が多かったが、大人達の思いを知り、捨て駒にされた後に移住した人類軍兵士達も干物屋、豆腐屋などの第二種任務を通じて平和という文化を次第に受け継いでいった。
第一種任務
アルヴィスのクルーとして島民が従事する任務。
現役軍人から引き継ぐ形で多くの島民が任務に就く。
成人式を済ませていない未成年者は白を基調とした制服、成人は青を基調として制服を着用する。
ファフナーパイロット
一騎を初めとした子供達が勤める第一種任務の中でも最も危険度が高い任務。
先天的にフェストゥムの因子を移植された子供達の「海による心象風景」を初めとした仮想訓練などを通じて最適のファフナーが選択される。
なお、ファフナーパイロットとなる事が決定した時点で家庭に赤紙と呼称される赤い電子ペーパーの「招集令状」が渡される。渡された側に拒否権はなく、自分達ひいては島全体が生き残る為に、年端のいかない子供達に島を守らせる事に内心では強いジレンマを抱える子供達の親世代は皆不安を打ち明けたり、時には取り乱した様子も見せている。しかし、ある子供の親だけは「招集令状」を受け取って舞い上がるなど醜悪極まりない態度をしていた。後に、この親に対しては同じく息子がパイロットを務める人物から「人の親になる資格はない」と激怒されている。
『EXODUS』や『THE BEYOND』で引退したパイロット達は航空機パイロット、ファフナーエンジニア、医療スタッフに従事する傍ら、同化現象による引退をしながらも戦えないもどかしさなどから強引にパイロットを継続している。
ジークフリード・システム搭乗者
ファフナーパイロット以上に適正者が少ない任務。高度な分析力を持つ脳の持ち主でなければ搭乗者にはなれず、特性上ファフナーのダメージがパイロットとシステム搭乗者の双方にフィードバックされる為に精神面への危険性が非常に高い。
戦闘時のファフナーへの指揮等が主な任務であり、皆城総士が代表的な搭乗者で『EXODUS』では近藤剣司が、『THE BEYOND』では鏑木彗がファフナーパイロットと兼任している。
CDCクルー、戦闘部隊、医療スタッフ
島の操艦、戦闘機部隊などのファフナー隊の後方支援、同化現象の治療、食料プラントの管理や敵の解析といった島の生活環境維持、ファフナーパイロットの訓練やケアなどが行われる。
パイロットに選ばれなかった子供達や引退したパイロット、及びその親を筆頭とした大人達が従事する。
第二種任務
診療所の院長、学校の教師、喫茶店の店長、美容院、駐在など、限られた環境で世界が平和だった頃を再現し、平和という文化を遺す任務。西尾行美が捨て駒にされた人類軍兵士達の指導を勤めた。
『HAE』までのパイロット達も学校卒業後に喫茶店勤務、家業を引き継ぐ、学校の教師、ローカルアイドルなど様々な仕事をしている。
島の構造
竜宮島【たつみやじま】
本島。純和風的な家屋・街並みが並ぶ居住区画。
しかし街の地下は巨大な軍事施設となっており、隔壁兼シェルター入口を兼ねたヴァッフェ・ラーデンが街のいたるところに内蔵されている。
向島 【むこうじま】
島民が自由に行き来できる約400mの人工橋が架けられている。
銃火器類を中心とした迎撃システムがある。
剛瑠島 【たけるじま】
航空機の発進および収容管理、艦船用施設も設けられている。
本島と慶樹島の中間に位置し、格納庫や滑走路がある。
慶樹島 【けいじゅとう】
ファフナーが収容されている島。竜の手を模して作られた6つの岬が特徴。
ファフナーの模擬演習用施設も併設されている。移動にはバーンツヴェックを使用。
居住区画の施設や土地
器屋(うつわや)
真壁一騎の父親である真壁史彦が営む陶芸店。真壁家自宅の1階が店舗兼工房になっている。
器はかなり前衛的であり、売れ行きは良くないらしい。
要道場
要咲良の両親である要澄美、誠一郎夫妻が開いている道場。澄美が師範をしている。
要家敷地内にあり、島の子供達に合気柔術を教えている。
鈴村神社(すずむらじんじゃ)
立上芹の家が運営する神社。芹の父親の昌幸が宮司を務め、神社の中にはこれまでの戦死者達の写真が置かれている。この他、新たに選抜されたパイロットにはお守りが渡されている。
剣司と咲良の結婚式と一騎達の成人式もここで行われた。
子供の遊び場にもなっており、一騎達も幼少時によくここで遊んでいた。
毎年、盆の時期には夏祭りが催されている。
竜宮島中学校
島で唯一の中学校。皆城総士の父親である皆城公蔵が校長を務める他、翔子・剣司・咲良の母親、真矢の姉など、アルヴィスの主要スタッフが教師として勤務している。1学年1クラスで生徒総数は50名程度と非常に少ない。公蔵亡き後は校長が不在になっているらしい(メモリアルブック設定画より)。ちなみに作中には登場していないが小学校も存在している。
スクールバッグや上履きは指定品のものだが、生徒は大抵私服で登校している。
学校の校舎や教室の壁にはメモリージング用の睡眠システムが設置されており、子供達には長期間に渡り、必要な記憶や知識が無意識下で刷り込まれている。
このメモリージングの知識が解放された覚醒者を「島の外に送り出す」という名目で「卒業式」が年に数回行われ、卒業した者はアルヴィスの仕事に従事する事になる。
劇場版以降は高等部が増設されて「竜宮島学園」に改名されており、『EXODUS』までの間で一騎・里奈世代のパイロットは卒業している。また、『EXODUS』の時点では史彦が新たな校長に就任している。(卒業証書の校長の欄に史彦の名前がある)
遠見医院
遠見姉妹の母親である遠見千鶴が院長を務める島で唯一の診療所。建物は小さいものの、総合病院として機能している。
肝臓に持病のある僚や翔子が度々通院していた。
同化現象対策の研究の一部も行われている。
西尾商店
昔懐かしい玩具や駄菓子が売られている。また、漫画『機動侍ゴウバイン』の入稿先でもあり、ゴウバインを掲載した漫画雑誌もここで売られている。
里奈も休日は店を手伝っている。
楽園
元々は春日井夫妻が経営していた島で唯一の洋風喫茶店。夫妻が島を追放されてからは、溝口恭介が経営を引き継いでいる。
劇場版の時点では、一騎と真矢がアルバイトとして起用されており、一騎カレーなどの一騎が作ったメニューが店の名物として有名になっている。その結果、店は1期の頃とは比較にならない程に繁盛している。
EXODUSの時点では、新たに暉がスタッフとして加わり、たまに皆城総士や御門零央も店を手伝っている(真矢と溝口は戦闘機等の実戦教習などもあってなかなか手伝えなくなっており、店の運営は実質一騎達に任されている)。
料理にそれを作った人の名前を付けるという風習が定着しており、暉カレーや皆城シチューなどもある。また、一騎、暉、たまに手伝う総士が目当てで訪れる女性客も多い模様。
彼らファフナーパイロットやアルヴィスのクルーを始めとした主要キャラ達の溜まり場も同然になっており、生徒会の打ち合わせやパイロット達の集合場所としても使われている他、ペルセウス中隊との交流及び新人達の初陣祝勝会兼派遣部隊への激励などもここで行われている。
20話では、元々この家の住人だった春日井甲洋が帰還した。
竜宮城
小楯衛の両親である小楯保、千沙都夫妻が経営している銭湯。小楯家自宅前には来客の駐輪用のスペースがある。
衛がたまに営業時間外に入っているのは銭湯の息子ならではの特権である。戦闘後にパイロット達が貸切り、疲れを癒す事もある。
堂馬食堂
堂馬広登の父親の量平が経営する食堂。食堂の登場自体は1期1話からしていたが、この店が堂馬家が経営している店である事が明言されたのは『EXODUS』が初めてである。
溝口の部下の戦闘部隊員達が常連となっているが、客の年齢層は高めで、若い客層をどんどん「楽園」に取られつつある。
その為、広登の姉の舞が敵情視察として楽園に行く事もある模様。
ひとり山
島の南方にある岩山。
「危ないから一人で行かない方が良い」「一人になりたい奴が行く山」という2つの意味を持っている。
真矢は1期の頃は、父親の面影を感じる為にここでよく趣味のフリークライミングをしており、一騎も母親の真壁紅音が生前好きだった場所である事から、頂上によく1人で座っている。
また、紅音の記憶に導かれたミョルニアも島を訪れた際に、この山に降りている。
海辺
1期第18話で一騎達が海水浴を楽しんだ場所。
『RIGHT OF LEFT』で、僚と祐未が訪れていた場所でもある。
竜宮浜
海岸線にはテトラポッドが並んでいる。1期第15話にて、人類軍がここから上陸した。
火葬場
島で亡くなった人々の葬儀が行われる場所。1期第2話にて登場。
『RIGHT OF LEFT』や『EXODUS』でも葬儀場周辺が場面として出て来ている。
漁港
第1話冒頭で総士が帰って来た場所。水鏡美三香の母親の有子が、漁師達のまとめ役として働いている。
灯台
乙姫がプレアデス型と対峙した場所。 劇場版では来主操と一騎がこの場所で初めて対面した。
かつて少女時代の弓子が登ってアイドルになると宣言した場所でもある。
墓地
弓子の同級生や、翔子を始めとした死んだパイロット達の墓もここに建てられている。
作中では真矢が度々翔子の墓前に報告に来ていた。
島独自の風習
卒業式
本来の意味ではなく、竜宮島の特殊な風習の一つ。
肉親の死など何らかの要因で、メモリージングされた情報を解放され、アルヴィスの存在を知った子供達が島の防衛活動に従事する為に便宜上中学を卒業して島を離れたという形をとってアルヴィスに入ることを指す。アルヴィス入隊者が現れるたびに執り行われる為、年に数回行われることもあった。『RIGHT OF LEFT』では、本来の意味の卒業式と区別して「2回目の卒業」とも呼ばれている。
1期冒頭では皆城総士のみが既に卒業式を終えて、一旦島を離れていた(という形をとった)事が描写されていた。それ以降は、島の存在をフェストゥムに知られて襲撃を受けた事で、子供達も島の事情を全員が知り、メモリージングが解除された事もあって執り行われる事はなくなった。
本来の意味での卒業式は変わらず行われている。
お盆祭り
こちらは現実の日本の文化のお祭りそのもので、お盆に従い灯籠流しを行っている。この際には灯篭がちゃんと海流に乗って流れるようにシールドを部分解除する。
提灯は保が主導になり設置しているが、劇場版以降はイアン達も担当している。
史彦や溝口が祭りに出店する事もある。
成人式
現代日本で行われている成人式と異なり、竜宮島でのそれは、成人にアルヴィスへのより高度なアクセス権限を付与(IDカードを授与)されるという、実務的な意味を伴う式典となっている。同時にアルヴィスでの制服が成人用のものへと切り替えられる。
作中においては暉と広登の葬儀の後に、一騎、総士、真矢、剣司、咲良、甲洋らパイロットメンバー達に対して挙行された。
島の軍事施設
CDC
総合管制室。いわゆる艦橋に該当するもので、フェストゥム襲来時はここから作戦司令が伝えられる。
各種表示は各管制官の前に映し出され、操作はタッチパネルで行われる。
作中には以下の2つが存在する。
第1CDC/パーシバル・ルーム
第2CDCよりも後に作られたCDC。各施設の増設によってシステムへの負荷が大きくなった事から、効率性を重視して新たなメイン管制室として設計・運用されるようになった。
劇場版以降は復旧され、再びここで指揮・管制を行っている。
第2CDC/アーサーズ・ルーム
並列一体型CDC。ソロモン本体を管制システムが囲っている円卓上の構造をとっており、全迎撃システムに直接リンクしているため第1CDCに比べて攻撃性の高い性質を持つと言える。
第1CDCよりも先に作られていたが、各施設の増設やジークフリード・システムの設置に伴いうシステムへの負荷から、よりシステム処理の効率性に優れる第1CDCが新設された事で、ソロモン本体の演算室として閉鎖されていた。
島のコアである皆城乙姫が覚醒し、人として島を出歩くようになった事でシステムリンクが容易になり、運用が可能となった。
しかし、マークニヒトの襲来によって破壊され、コアが再び岩戸に戻って新たなコアを誕生させた為に、1期の後に再び閉鎖された。
ワルキューレの岩戸
アルヴィス最深部にある人工子宮で、コアである皆城乙姫が眠っている場所。
乙姫の身体を覆うシナジェティックスーツと彼女のテレパシーによってブリュンヒルデ・システムと連動しており、島の防衛を司っている。
岩戸には、ラテン語で中世錬金術師のモットーだった『Solve et Coagula』(溶解と凝固、意訳で融合)の文字が刻まれており、「人とフェストゥムの人格を保ったままの融合」の実験装置という意味も含んでいる。
アルベリヒド機関研究主任である遠見千鶴が設計した。
ウルドの泉
アルヴィス下層部にある液体型コンピュータルームの名称。別名「キールブロック」。
皆城鞘が瀬戸内海ミールに同化されて消え、皆城乙姫が島のコアとして誕生した場所でもある。
また、元々分割された島のミールはこの場所で管理されていたが、鞘の同化後にミールの気化による島の大気との同化などの変化が始まった。
『EXODUS』では命を終えた島民や倒した敵の数に比例して、その思念を吸収することで島のミールが成長し、パイロットたちのSDP(超次元現象)の引き金となるゴルディアス結晶が、この場所で十数年ぶりに発生した。
その結果として島のパイロット達がSDPを起こせるようになったが、それと引き換えに、副作用としてSDPの暴走や今までとは異なる新たな同化現象が始まっており、新たな問題となっている。
更にミールが亡き島民の姿を象ることで、眠った状態のファフナーパイロットとのクロッシングで、島における「存在と無の地平線」であるこの場所で、ミールと言葉を交わせるようにもなった。
バーンツヴェック
水中をリニアレールで進む移動設備。本島・慶樹島間(ファフナーパイロット用)と本島・剛瑠島間(航空機パイロット・エンジニア用)がある。
推進中は外側を水蒸気の空洞が包むように設計されているため、水の抵抗が殆どなく、理論上は音速に近いスピードを出す事が可能。
ただし、電力を大量に消費するため、非常時を除き、通常生活では作動が禁じられている。
ブルク
慶樹島にあるファフナーの格納庫。中央のコントロールブロック(発進準備を行う場所)を5つの格納ブロックが囲む形で構成されており、奥にはリンドブルム格納庫に繋がる通路がある。
水中展望室
壁面は強化ガラス張りになっており、水中の様子が見られるようになっている。
元はエーギル・モデル(ゼロファフナー)の起動実験が行われた場所であり、実験の失敗によって消失した空間を利用して造られた。事故の原因となったエーギル・モデルは、アルヴィスの補助システムとして水中に設置されている。
島の真相を知った一騎達が集合写真を撮った場所でもある。
島の防衛機構
自律迎撃システム
射程内に入った敵を自動的に迎撃する設備。
港の対空ミサイルランチャー(射程距離約70km)や灯台付近にある30mmCIWS(近接防御兵器、発射速度分/4000発)などがある。
ヴェル・シールド
外部からの物理的攻撃から島を守るために作られたシールド。
無印時点では第1ヴェル・シールド、第2ヴェル・シールドの2種類があり、形成時はドーム状に島を覆い、攻撃を受けた際にそのエネルギーや粒子を拡散したり、砲撃を跳ね返したりする事が出来る。
攻撃の種類によって波長をランダムに変え、戦闘状況を有利に展開できるが、相手が同じ波長を持つ場合は無効化され、敵の侵入を許してしまう事になる。
また、膨大なエネルギーを消費するため、偽装鏡面との併用は不可能で、非常時のみ作動する。
EXODUSでは8重に展開する事が可能となっており、戦闘領域(バトルフィールド)の形成という役割も併せ持っている。
擬装鏡面
島全体を球状に覆う事で、視覚的にその姿を透明にしたり、音波や赤外線、高エネルギーのガンマ線以外の電磁波などを遮断する事が出来る霧状の粒子。ただし、ヴェル・シールド同様、膨大なエネルギー消費するため、熱が内側に蓄積されてしまうという難点があるほか、ヴェル・シールドとの併用も不可能である。
モニターには「DISGUISE MIRROR」と表示されている。
ヴァッフェ・ラーデン
竜宮島内各地に設置されている巨大な防御壁。地下シェルターの入口も兼ねている。
平時は地下に収納されており、非常時に街中を敵の攻撃から守るためにせり上がる形で出現する。
島の移動時に、波避けのために作動させる事もある。
島のシステム
ブリュンヒルデ・システム
島の管理制御システム。
ワルキューレの岩戸で眠るコア・皆城乙姫の自己保護本能(あるいは生存本能)を利用したもので、敵の探知、要塞部の遠隔操作、エネルギー炉の調整、偽装鏡面のON/OFF、迎撃装置による防衛行動などのほか、島の環境制御や電力、浄水などの生活に関わるところまで乙姫の意思によってコントロールされている。
皆城兄妹の母親・皆城鞘が生前に設計プロジェクトに参加し、完成させた。
ソロモン
フェストゥムの接近を自動的に知らせる自立AI。前述の「ヴルドの泉」の液体型コンピューターをメインサーバーとしている。
通常のレーダーではフェストゥムを感知するのは不可能だが、島のコアと直結している為にフェストゥムの敵意を察知することで接近を事前に感知できる。(その為、一切の敵意を持たないコアギュラ型は敵と認識できない)
さらにフェストゥムの思考パターンをプログラム化し、そのパターンによって接近するフェストゥムの種類も判別できる。
アルヴィスでは「ソロモンの予言」「ソロモンに応答あり」といった形で報告が行われる。
ブリュンヒルデ・システムと連動しており、常に最新のプログラムを作成し続けている。
元は超古代ミールの因子の覚醒で、フェストゥムの思念や位置を感じられるようになった真壁紅音の脳を解析して、皆城鞘や近藤彩乃らが開発した物である。
ジークフリード・システム
分離統括型全ファフナー指揮管理システム。
シナジェティック・コードによってファフナーパイロットとシステム搭乗者を、脳の皮膜神経細胞を通して連結するシステム(この連結された状態をクロッシングという)。搭乗者はパイロットの精神状態、負傷の度合い、戦闘形成などを常時把握し、部隊全体を指揮・管理して直接指示を出す。また過剰な攻撃を止めるために、ファフナーの操作や武装をロックする事も可能。
本来はキールブロック内に存在するのだが、エレベーター式に上層に延びる事で、普段は第1CDCに移されて、運用されている。
脳内に一度に多大な量の情報が流れ込むので、普通の人間が搭乗すると脳に負担が掛かってひどい船酔い状態に陥る。
またクロッシングによってシステム搭乗者にはパイロットが受けた痛みもフィードバックされてしまい、さらに非戦闘時でも突発的なフラッシュバックとしてそれが発現することもある。
その為、当初はまともに使用できるのは実質皆城総士のみとされていた。(近藤剣司も適性がある事は小説版などで示唆されていた)
ちなみにザルヴァートル・モデルやノートゥング・モデル以外のファフナーの場合は、シナジェティック・コードを発現しない為にクロッシングは不十分になる。
当初は、ファフナー搭載前提のコンセプトで開発された為「一体型相互扶助システム」だった。しかし、ティターン・モデルやエーギル・モデルなどでのテストの結果パイロットへの負担が大きすぎた為に、ファフナーへの搭載は見送られ、現在の分割式の形となった。
後に、ミョルニアによってもたらされた情報によって同化現象の負荷を軽減できるようになった事で、蒼穹作戦では4機のファフナーに分割搭載された。これによって搭乗者同士の相互の通信が可能となったが、「全員が互いの痛みを共有する」「1機の動作不能によってシステムがダウンしてしまう」という2つの欠点が浮上し、さらに運用が常にこの4機での作戦(クロスドッグ)のみに限定され、機体の増減ができないという別の新たな欠点を持つようになった。
劇場版では、総士の不在とシステム適格者の代理が選出できなかった関係(適性があった剣司は、この当時はファフナーパイロットだった為に搭乗不可能)で、修復された機体も含めて各機体に内蔵される形になっている。改良によって機体数の増減や機体の変更による出撃の弊害は解消された。
EXODUSにおいては、総士の復帰によって再び第1CDCでの分離統括型システムが復活したが、総士がマークニヒトに搭乗するようになって以降は、既にパイロットを引退していた剣司がシステム搭乗を担当する。
その後はカノンが遺したエインヘリアル・モデルへの改修案で負荷がさらに軽減された事もあって、ファフナーパイロットとシステム搭乗の兼任が可能になった。これを受けて剣司は、元々マークアハトに搭載されていた物を改良して、ファフナーパイロットに加えてジークフリード・システム搭乗者と無人機制御の3役を同時にこなす事となった。
アーカディアン・プロジェクト(楽園計画)
上述した対フェストゥムの為の兵器開発や平和という文化の保存を主目的として生き残った日本人達が立ち上げた計画の総称。
島のミールの欠片をコアにしたファフナーの開発やフェストゥムに関係した研究全般がこの計画の元で、元々瀬戸内海ミールを管理していたアルベリヒド機関の主導で行われている。
他にも島にある漫画やテレビの番組等は消滅前の日本に存在したものをかき集めたものであり、こういった文化の保存もこの計画に含まれている。
島で生まれた子供達はほぼ全員が、大人世代の日本人女性の大半が受胎能力を失っているのとミールの毒素の汚染を防ぐ(そしてファフナーのパイロットとしての適性を与える)為のフェストゥム因子との融合の為に、人工子宮「コアギュラ」の中で両親の人工授精と受精卵の培養を行い、因子と染色体の同化等の遺伝子操作を受けて誕生したデザインベイビーである。
中には春日井甲洋や羽佐間翔子のように、アルベリヒド機関によって保管されていた遺伝子を用いて生まれた最初から両親が存在しない子供もおり、そういった子供達は機関によって親としての適性を見出された住民のもとに里子に出される。
また、この遺伝子操作やファフナーとの一体化を促すシナジェティック・コード形成の影響で、島の子供達は大なり小なりなんらかの天才症候群を発症している者が多く(現実の天才症候群とは異なる)、年齢に不相応な能力を持つ者が多い。
ただし、能力のレベルや得意分野は当然ながら個人差がある。
なお、この竜宮島の独自の思想としては前述の通り「フェストゥムとの共存」があるが、これは真壁紅音の思想に影響を受けた夫の真壁史彦が中心となっており、当初は基本的には司令官だった皆城公蔵が主導していた北極ミールとの決戦の準備をメインで進めつつ、同時進行で共存の道を模索していた。
アルベリヒド機関
遠見千鶴が研究主任を務めるアーカディアン・プロジェクトの中心的組織。
大元は瀬戸内海ミールの経験情報内にある科学情報の抽出等を目的として日本政府が発足させた研究機関。
後に日本自衛軍と国際エネルギー研究公社も携わる。
瀬戸内海ミールはアルベリヒド機関、日本自衛軍、国際エネルギー研究公社で3分割され、あらゆるデータが解析・管理される本部があった松本(長野県)の核投下を受け、各国研究施設の従事スタッフがアルヴィス建造に着手。同時にフェストゥムへの抵抗力を持つ子供を生みだすために人工子宮「コアギュラ」を開発した。
それぞれに分割されたミールとそのコアを組み込んで、3隻のアルヴィスがそれぞれ建造された。
人工子宮「コアギュラ」
近藤剣司や日野美羽のように自然受胎及び自然分娩で生まれた例もごく一部ながら存在する(コアの乙姫も元々は自然受胎だった)が、自然受胎能力を失った多くの日本人女性に変わる胎児の人工培養装置。
これによって誕生した2119年以降の子供達は(剣司は後天的に、人工子宮から生まれた両親を持つ美羽は先天的に)胎児の段階でフェストゥム因子と遺伝子レベルで同化させる事で、人為的にシナジェティック・コードの形成値が高めている(毒素への免疫や、人格を妨げないなどの配慮も施されている)。
里子システム
保管遺伝子から生まれた子供を養育するシステム。
親としての適性が認められた家庭に託される。
規約によってその子供が存命するうちは、新たな里子の申請は不可能。
事故等で両親を失った狩谷由紀恵のようにアルベリヒド機関の施設で育てられるケースも存在する。
竜宮島の重要作戦
蒼穹作戦
人類軍による北極ミールとの決戦に乗じた竜宮島の作戦。北極以降、重要作戦はすべてこの名前で呼ばれるようになる。
L計画
本編開始の約一年前にフェストゥムと人類軍に発見される危険性が増した竜宮島の存在を秘匿するために実行された作戦。
立案者は生駒正幸。結果だけ言えば計画参加者は全員が死亡している。しかし、ジークフリードシステムとファフナーの二重負荷の問題点や同化現象、フェストゥムの海への適応判明など、決して無駄な計画ではなかった。
新国連及び人類軍との関係
新国連首脳部と人類軍にとって、竜宮島ことAPI-1(『EXODUS』以降はD・アイランド)はまさに宝島。
アルヴィスが有するフェストゥム由来のオーバーテクノロジーと、フェストゥムの読心能力を防ぎ、単独での高次元戦闘を可能とするミツヒロ・バートランドと日野洋治のティターン・モデルや第三世代機ノートゥング・モデルなどの強大な戦力を求めて探索している。
EXODUSではエスペラント擁するペルセウス中隊などの友好派閥も現れるが、遺伝子汚染拡大を防ぐためとはいえ島の殲滅を図る動きが強く(存在自体があらゆる意味で事務総長の計画の邪魔であり、第三アルヴィスはミールの奪取を狙った人類軍が滅ぼした)、住民が既にフェストゥムやミールに同化されていると見なす人類軍に竜宮島が協力する意志はない。
1期で新国連がアルヴィス製ファフナーを手に入れても宝の持ち腐れだったが、EXODUSでは一騎の遺伝子から採取した通称「MAKABE因子」によって搭乗可能となった(後天的な遺伝子措置のために30代まで生きられなくなっている)ミールから直接分岐したコアと、因子を移植したパイロットの搭乗が前提の決戦兵器開発の為に、ファフナーと島のパイロットの強奪を図る。