リプレイとは
- ケン・グリムウッドにより1987年にアメリカで出版されたSF小説。
- ボードゲームやコンピューターゲームなどのプレイ記録。
- テーブルトークRPG(TRPG)などのゲームを実際に遊び、その経緯をなんらかの媒体に記録したもの。本項で解説。
概要
実際にTRPGをプレイした際の様子を、録音等で記録に残しておき、書き起こすなどしたものを指す。一般的にはゲームに参加した当事者の台詞や行動、ゲームマスターなどの思惑等が収録される形式(戯曲形式)で発表されるが、小説として書き下ろしたものもある。
プレイ風景を忠実に書き起こすのではなく、参加者が「キャラクター」として振る舞う姿を脚色を交えてまとめたものが多い。日本語で刊行されたもので確認できるリプレイは1982年が最古で、1986年に戯曲形式で連載されたリプレイをもとに小説として書き直した『ロードス島戦記』(1988年)はライトノベルの成立に大きな影響を与えた。
プレイヤーたちのプレイ風景(および進行役たるゲームマスターによる様々な判定処理)と、プレイヤーの分身であるキャラクターが立ち回るゲーム世界という二つのレベルの出来事を並行して記述するため、没入感こそ強くはないが、自分で作ったキャラクターが思うままに動き(時にゲームマスターの鬼畜シナリオに翻弄され)、他のプレイヤー、キャラクターと助け合いながら難局を切り抜け、共通の目的を達成していく楽しげな様を横で見ているかのような、独特の感触が特徴と言えるだろう。
当初は国内で知名度の低い「TRPG」というゲーム形式を紹介しようという側面が強かったものの、「テーブルトークRPGはやらないが、リプレイは読んでいる」という層も存在する。
形式
このジャンルの作品は一般的に、台詞のト書き(戯曲)形式で記述される。その際、書き起こす本人の主観および記述する際の目的によって文体や書式が大きく変化する。プレイ内容の取捨選択――プレイ過程をすべて忠実に文章化する、プレーヤーの言動を変更する、一部のイベントを省略するなど――も、その目的や発行形式によって差異が出る。
また「リプレイ」と銘打ってはいても、実際のゲームプレイは行なわずに、各種ルールをベースにして小説形式で書かれたいわゆる「リプレイ風ノベル」も多い。
前述のとおり決まった書式こそないものの、明示的に小説などと区別するために、通常は登場する「プレイヤー」と、プレイヤーが演じる「キャラクター(PC)」の心情や言動を分けて書いたスタイルのものをリプレイと呼ぶ場合が多い。
ゲーム内容とは直接関係のないプレイヤー間の雑談などを意図的に盛り込んだ作品もよく見られる一方、雑誌や文庫などの媒体では表現し切れない事柄や、あまりにもプライベートなやり取りなどに関しては、文字起こしの際に省略や変更がなされる場合もある。
なお、外国のリプレイものにおいてこの形式はあまり見かけることはなく、どちらかというとプレイ内容を小説スタイルに再編して発表するのが主流。
近年の状況
近年ではゲームのルールブックやシナリオ集など、TRPG本体のみの売り上げで十分な利益を上げることは非常に困難とされている。そのため、新規のTRPG発売時から既にリプレイを雑誌に掲載して作品を宣伝し、さらに「完全版」と称して書籍を販売し、費用を回収する事業計画がとられることが多い。
そのためリプレイの内容は「ゲームの遊び方や楽しさの紹介」よりも、表紙や挿絵といった作品の個性(人気)で購買層を獲得しようとする傾向に拍車が掛かっており、TRPGリプレイ本のラノベ化が加速している(作中に「プレイヤー」として声優やイラストレーターなどの著名人を参加させる事例などが挙げられる。むろん、彼らにロールプレイングのセンスがあればそれはすばらしい作品になり得るのだが)。
加えて最近では、ノベルゲームのようなフォーマットを用いて、動画形式でリプレイを作る場合もある。こうした動画リプレイにおいては、実プレイを伴わない「仮想リプレイ」 「エアリプレイ」もしばしば存在する。
主な作品のリスト
(省略)
pixivにおけるタグの利用状況
pixivにおいては、自身の体験したゲームプレイをリプレイとしてイラストや漫画にしたもの、リプレイされた版権作品のキャラクターなどを絵にしたものなどが掲載されている。
注意
架空のTRPGを題材にしているもの以外に言えるのだが、リプレイも一種の二次創作として認識している箇所が多く、小説家になろうやカクヨム等のように公式で許諾された作品しか投稿できないサイトも存在する。
そのため、リプレイの類にオリジナルや一次創作などのタグは推奨されない。場合によっては通報される可能性もあることに注意されたし。