概要
製作の段階で羽陽曲折あって没になってしまったもの。
大抵の場合、主人公の初期設定という意味合いが強く、初期設定の面影を持ちつつキャラデザが異なる脇役として、もしくは他作品の主人公として再利用されるケースが多い。
一方で、名前や外見を含めて別のキャラクターと言っていいほどかけ離れている場合は、別のキャラクターとしてファンに認知され、そのままファンがつく場合がある。
作品に登場する事は無かったが、それなりに設定が練り込まれていることが多く、勿体ないと思わせる謎の魅力がある場合が多い。
没キャラは、脇役もといサブキャラクターや敵役でも発生するが、作品の看板ともいえる「主役を没になった」というインパクトは何よりも強い。
そもそも、製作段階において「没になった経緯」が面白おかしい場合が多く、エピソード込みで知りたがる「没キャラ愛好家」たちも存在する。
没になる理由としては、キャラクターが一般受けしない、背景や設定が陰鬱すぎる、目新しさが足りない、なんか華が無い、既存の作品のキャラに似ている……等の見た目上の理由で変更されるケースが特に多く、次いで作品の雰囲気に合わない、主役として動かしにくい、アクションと見た目がマッチしない、脇役とカブっている、チラ見せしたら人気が無かった……といった惜しい理由で急遽変更を余儀なくされる場合が多い。
他にもパク……オマージュ元のキャラクターと似すぎていたり、犯罪や国際的な問題を連想させる要素が見つかったり、そのキャラデザ担当が何かをやらかした際には、存在ごと消される場合もある。
こういった情報は、ゲーム雑誌などの開発裏話コーナーで密かに語られる場合があり、後々になってそのキャラクター達が人気を博して、シリーズ作品に再?登場するケースが往々にしてある。
有識者曰く、多くの奇抜なキャラクターを登場させなければいけないゲーム業界では、プレイアブルキャラクター間での見た目のバランスや、商業上の見栄えを重視するために、主役級のキャラクターであってもギリギリで突然の変更が起こり得るとのこと。
そういった場合は、キャラクターの設定やイメージの方向性が既に固まっている為、何か別の形で露出されやすい。
代表例
例えば、『東方Project』における「冴月麟」は、初期作品の没キャラクターではあるが、設定が独り歩きして二次創作界隈でオリジナルキャラクターとして登場するという珍しい経緯を持っている。
ゲーム界隈においては『KOF』シリーズの「霧島翔」や、『バーチャファイター』の没キャラ「シバ」がおり、彼らは後になって外伝作品/お祭り作品にゲストキャラクターとして登場している。
『ストリートファイター』シリーズでは、『ストリートファイター4』の「アベルの没案」が公開された時に、没イラストの方が絶対に可愛……格好いいのに、お蔵入りにするのは勿体無さ過ぎると、界隈で話題になった。
以降はこういった「惜しくも没になったキャラクター達」に注目が集まるようになり『ストリートファイター5』では公式ページで設定画や没イラスト、没衣装等を公開している。
実装されたキャラクター達の初期イラスト案も閲覧できるので、興味があれば覗いてみてほしい。
https://game.capcom.com/cfn/sfv/column/100947
『アイドルマスターSideM』では、企画段階で没になったキャラクター達を、「オーディションで落選したアイドル達」というモブキャラクター役として登場させたことが話題となった。
没キャラという面白おかしい要素を作品に取り込んだ例であり、一種のサプライズとして評価されている。
キャラクターに問題が無い場合においては、『カプコンファイティングオールスターズ』が開発中止となり、結果的に主人公になるはずだった男「D.D.」が主人公(没)となっている。
一方でヒロインのイングリッドは『カプコンファイティングジャム』や『ストリートファイターZERO3↑↑』等の別作品に登場しており、没キャラながら有名キャラになるという救われた形になっている。
現在は各種業界がtwitterの公式アカウントにおいて、設定画や開発段階の資料を公開する事が多くなり、こういった没キャラクターを目にする機会が増えている。
没キャラと一蹴するのは容易いが、それでもクリエイターが手間暇をかけて作ったものなので、そのままお蔵入りにするにはちょっと勿体無いのだ。
PIXIVでは
PIXIVでは「主人公(没)」とタグが付く場合が多く、「主人公(笑)」「※主人公です」に似たイジられ方をされる。とはいえ、正式採用された主人公や、主人公より人気のある人気脇役と比較されて遊ばれているうちはまだ救いがあるのも事実。
所詮は没キャラなので、せっかく一度日の目を見ても、ファンに存在ごと忘れ去られてしまったら最後。メディアでの露出度の低さが災いし、再起が絶望的になるという儚さがある。