『ストリートファイターIV』に登場する「アベル」の没デザイン案。
通称:没アベル
概要
ストリートファイター4で追加された新キャラクター「アベル」の初期案の1つ。
ストリートファイターシリーズの主人公はリュウだが、本作のストーリーの主人公といえるキャラクターは、この新キャラクターのアベルであり、数多くの没案・没イラストが存在する。
……というのも、このシリーズは前作ストリートファイターⅢ(3rd STRIKE)が発売されてから9年も間があり、シリーズ再稼働にあたって相応の気合を込めてキャラ製作が行われた為である。
アベルを製作する際に「フランス人の柔道家」というコンセプトがあり、そこからテーマを崩さない範囲で体格・スタイルを決めた為に異なるキャラクターデザインが生まれたとの事。
その内の1つが本デザイン案であり、「柔よく剛を制す小柄で女の子に間違われそう少年」という設定になっている。
カプコンの格闘ゲームにおいて、柔道を得意分野としたキャラクターは意外と珍しく、実装されれば初のカプコン初の柔道キャラとなっていただろう。
(ちなみに版権を含めると、PS2番「史上最強の弟子ケンイチ 激闘!ラグナレク八拳豪」のケンイチが初の柔道キャラである。)
なかなか個性的な特徴のデザインであったが、本作に採用されなかったことから没になった事が公式ページ等で語られている。
公式ページより:
記事を読んだ読者の間からは「なぜこっちのデザインにしなかったのか」と言われるほどの反響があったとのこと。
……というのも、正式に採用されたアベルが主人公ポジションでありながら、格闘ゲームで不人気になりがちな投げキャラ風貌だったのが、当初のファンに受け入れられていなかったらしく、一言やっかみを言われる原因であったと思われる。
また、本シリーズは主人公の見た目を投げキャラ風にしてファンの不評を買うという失態を前作でも犯しており、2作続けて同じ失態を繰り返しているという厳しい指摘へと繋がっている。
……しかしながら、「アベル」はストリートファイター4のストーリーにおける主役的な役回りであるため、ライバルにあたる「セス」に近い体格が求められたことや、小柄で中性的なキャラはアメリカ人受けが悪い事などが没になった理由と推測されており、それなりに納得のいく理由はある。
実際に蓋を開けてみれば、彼(アベル)を取り巻くストーリーそのものは悪くなく、続編のストリートファイター5において(プレイアブルではないものの)ストーリーモードにて再登場を果たすなど、一定の人気はある模様。
結局のところ、この没案自体が「この絵が好き」という人達の目に止まっただけの話であり、正式に採用されたアベルのデザインも決して悪いデザインではない。
アベルの見た目が好みではない、もしくはアベルの戦闘スタイルが好きではないという人達からの怨嗟の声もあったと思われる。
これはアベルに限った話ではなく、ストⅣのオリジナルキャラクター達は全員が一癖も二癖もありすぎるのが問題である。
PIXIVなどでは、先輩方のようなポジションとして扱われるなど、ちょっと人気の方向性がネタ寄りである事は覚えておこう。
余談
本作の拡張版である『ウルトラストリートファイターⅣ』にて、空手家スタイルの「まこと」が登場しており、彼の「柔よく剛を制す小柄で女の子に間違われそう少年」というコンセプトはそのまま引き継がれる形となっている。
まぁ、実際には「柔を剛で砕く小柄で"男の子"に間違われそうな"少女"」であり、戦闘スタイル的にもキャラクター性格的にも、全く逆のナニカではあったが……
この初期アベルの実装を渇望する声はあったものの、システム評価の高かったストリートファイターⅢからの復帰キャラクターという事もあり、まことはまことでキャラクター人気を博している。