曖昧さ回避
1の概要
アンチヒーローの一種。
思想や行動原理、実際の所業が完全に悪人な主人公。
それも一時的な闇堕ち・悪堕ちではなく、物語全体を通して悪逆・悪辣または醜悪な存在として描かれる主人公を指す。
大まかな特徴は以下の通り。
- 自身の目的や欲求のためなら他者を騙したり害したりすることを厭わず、いくらでも嘘や加害を重ねられる。
- 加害手段も悪辣さや残忍さに歯止めが無く、罪の無い一般人や無力な子供にも容赦しない。
- 他者の価値を善悪ではなく「自身にとっての利害や好悪」で測って対応を決める。
- 不要・邪魔・不快と判断した相手には前述の通り無慈悲な対応を取り、搾取や妨害工作、殺害などの加害行為を厭わない。
- 「悪を討つ」「他者を守り助ける」「正当な復讐」といった社会通念上認められる大義が無い。
なお、悪逆の動機に関しては「人並みの平穏な暮らしを得たい」「殺されたくない」「社会の不条理に絶望した」等読者側が共感できるものが含まれている場合も少なくない。また、貧困や乱世、力を持つ存在からの不条理な干渉等、綺麗事にこだわっていてはただ生きることさえ困難になる過酷な環境が背景になっている場合もある。
しかし、周囲への被害の量や範囲、規模が膨らみすぎて結局擁護しきれなくなる場合が多いのが「悪」たる所以である。
ラスボス系主人公と重なる部分もあり、人格としては善なタイプや大義を信じ良心を持つタイプのラスボス系主人公も同じ枠組みで語られることがある。
また、世間的にダークヒーローとされている主人公の中にも悪の敵と取るか悪と取るかで解釈が分かれるキャラクターは居る。例えば『DEATH NOTE』の夜神月は「法を逃れた悪人を裁く」という大義を掲げたダークヒーローとして扱われることもあれば、「自分の邪魔になるなら善人も殺す」点から独善的な悪役主人公として扱われることもある。
該当作品例
- リチャード三世
- 六部殺し
- 四谷怪談(祟る方ではなく祟られる方が主人公)
- OVERLORD
- 刻命館
- 影牢
- 鉄鍋のジャン!
- ジョジョの奇妙な冒険 7人目のスタンド使い(二次創作ゲーム。進め方次第で主人公が生まれついての悪になる)
2の概要
以下のパターンがある。
- ゲームや小説等の悪役キャラクターに憑依または憑依転生し、悪役ポジションに収まってしまった元ユーザーが主人公→悪役転生
- 自分がフィクション世界の悪役キャラクターであるという自覚を持つ主人公→メタフィクション
- 悪役としての人生を終えてから逆行した主人公(ループものに発展する場合もある)
このタイプは主人公が本編で悪行を働かなかったり「真に正しいのは主人公の方」というパターンになったりする場合も多く、1のタイプを求める読者とは合わない確率が高い。
3の概要
特に、悪の組織や黒幕等原作の中で悪役として提示された存在の陣営に入った主人公の姿を描いたもの。
当記事が作成された時点ではpixiv内ではこのタイプの作品(特にポケットモンスターシリーズの女の子主人公がロケット団など悪の組織の衣装を着たイラスト)に「悪役主人公」タグが付けられることが多かった。
ポケモン黒化など黒化系作品から主人公ではないキャラクターや悪の組織とは無関係な闇堕ち、ヤンデレ化や腹黒化などを除外し、主人公が悪の組織に入るシチュエーションに特化したタグと言えるだろう。