「あなたが悪魔と戦うからって、あなたも悪魔でないとは言えない」
概要
「悪に属する者に酷い目に合わされた復讐心」、「(個人的な理由で)相手のことが気に入らない」、「自身の欲求だけを満たしたい」、「合法的に犯罪行為(恐喝、暴行、殺人等)をしたい」など、およそ正義(道徳的)とは言えない理由により「悪」となる存在を追い回し、危害を与える存在のこと。
「敵の敵は味方」ということで、正義に属する側とは時に共通の敵を倒すべく協力したり、時に「また他方の敵」として対立したりする立場を指す。
もしくは「そのような動機を持つ自分が(仮にその時点で「正義の味方」という立場でも)『正義』を名乗るとはおこがましい」などと考えているようなタイプが自称するようなこともある。
極端な例だが、ギャング同士が抗争中で、無関係の一般市民にまで被害が及んでいるというとき、ギャングは両方とも悪である一方で、その悪(敵対中のギャング)を滅ぼそうとしているので悪の敵であるとも言える。どっちが勝っても結局一つの悪は生き残るのだが…。
フィクションの場合、いわゆるダークヒーローやアンチヒーローが「悪の敵」に該当することもあるが、ダークヒーローが「典型的な『正義の味方』とはまた別の正義を信じている」というパターンや「一方からすれば悪とされるような側にいる人たちを救うため」であったり、正義に理解を示しているが「平和のための必要悪」と自分の存在を捉えていたりすることもあり「たまたま悪と戦っているだけの悪人」ということも多い「悪の敵」と、必ずしもイコールとは限らない。
- 「正義を信じ、手段を選び、自己裁量で動かない」のがヒーロー
- 「正義があり、手段を選ばず、自己裁量で動く」のがダークヒーロー
- 「正義を信じず、手段を選ばず、自己裁量で動く」のがアンチヒーロー
- 「正義はなく、手段も選ばず、自己裁量どころか気分次第」な悪の敵
というように大別できる(例外は多数ある為、絶対にこうとは言い切れない)。
当人が読者、視聴者目線で「悪と戦うヒーロー」となるか、「また別の悪人」となるかは、作品やそれぞれの状況、また他のキャラクターの立ち位置によって異なり、普通のヒーローが主人公の作品ならダークヒーローの私刑は「半死半生にする等でやりすぎ」「街の被害お構いなし」「改心の兆候を見せたのに再起不能にしたりと疑心暗鬼にも程がある」内容に描写されるが、逆にダークヒーローが主人公の作品であるならむしろ「改心したフリをして逃げたヴィランの被害に遭う無辜の民」「街を壊すのを躊躇したせいで千載一遇のチャンスを逃す」など一般的なヒーローの甘さのせいで発生した被害を目の当たりにする事になる。
「正義の味方」が「より多くの人を救うため」「より早く対処してより小さい規模に被害を抑えるため」に行動するのが基本であるのに対し、「悪の敵」とされる人物は、「悪」を自分の思い通りの状態に出来れば手段等は関係ないため、周囲の無関係な人や「悪」となる側への被害、人道的な取り扱いについてはお構いなしである事も多い。
例えば犯罪者などの悪人に対して「最終的に悪を倒せば非難されることは無いから」「悪人に人権はないから合法的に甚振れる」とあきらかに自身の加害衝動をぶつけられる相手として悪人を選んでいるだけで、実際は(相手のしでかしたことに対して)過剰な暴力を加えたり、街に潜伏した小悪党一人を倒すために大量破壊兵器で街ごと滅ぼす等が挙げられる。