「坊や どんなにツラいことがあっても 負けちゃダメだよ。」
「うん、どんなにツラいことがあっても ボクは負けないよ。」
概要
『ドラゴンクエストⅤ』におけるプレイヤーの"分身"となるキャラクター。
後ろで束ねた長い黒髪に、紫色のターバンとマントが特徴。
公式イラストで杖を持っていたり、彼自身が勇者でなかったりと、シリーズ中でも異色の主人公である。彼の人生を描いたゲーム本編は、ドラゴンクエストシリーズでも最も長い期間を扱っており、6歳(歴代最年少)〜20数歳(8年石化しているため、その分実年齢より肉体年齢が遅れている)。
システム面では彼の存在なしでは話が進まないため、町に入ったときに死亡状態であると、仲間達が即行で教会に運び込んで彼のみ自動的に復活させてくれる(無論所持金は減るが、所持金が要求額未満の場合は持っているお金全てでサービスしてくれる)。
キャラクター性能
父親のパパスが戦士系である事を継承しているのか、物理戦闘にも非常に強く戦士並の重装備も可能。主に剣を装備するが、杖・槍・ブーメランと、多彩な装備が可能。最強武器も杖やマントであり、それまで僧侶呪文だったバギ系を得意とする等、何となく勇者や戦士というよりも僧侶っぽい。
のちに登場した「パラディン」に近いかもしれない。
逆に僧侶系の呪文はやや中途半端で、「ベホマラー」「ザオリク」「キアリク」「シャナク」は覚えない(彼の息子が全て覚える)。また攻撃呪文はバギ系呪文しか修得しない。ただし早い段階で「キアリー」を覚えるという、この頃の歴代主人公では稀かつ需要の高いポイントを押さえていたりもする。
また、彼と彼の息子の二人だけが「インパス」を覚えられる。ほかにも「マホキテ」や「メガザル」、「ルーラ」や「パルプンテ」など、特殊な呪文も多く習得する。
最強武器の一つである「ドラゴンのつえ」を道具として使えば「ドラゴラム」を発動させて全体攻撃も可能となる。他にも隠しダンジョンで手に入る「はかいのてっきゅう」による高威力全体攻撃も可能になる。
しかし、仲間モンスター等に「はかいのてっきゅう」を装備できる高攻撃力のキャラは他にいるが「ドラゴンのつえ」は主人公専用なので、全体的な戦闘力向上のために「ドラゴンのつえ」の方を主人公に使わせるプレイヤーは少なくない。
ちなみに「ドラゴンのつえ」と「はかいのてっきゅう」は双方共に攻撃力125の武器であり、本作最強の武器である「メタルキングのけん」の攻撃力130とは5しか変わらないが、あちらは攻撃力が高い分追加の特殊能力が無い。しかし「メタルキングのけん」はカジノで入手可能であるため、頑張れば性能に見合わない早い段階で装備させることも可能になる。その場合、専用武器である「ドラゴンのつえ」を手に入れたときにはそれと入れ替えて他の多くの装備可能者に渡すことで操作感を損なわせることなく戦力の増強が可能であるため腐らない。
そして最大の特徴として、モンスターを仲間に引き入れる「魔物使い」の特性があり、『ドラゴンクエストⅤ』最大の目玉要素の一つを担っている。
ドラゴンクエスト モンスターバトルロードシリーズでも、「伝説の魔物使い」名義での登場であり、同時に彼の出生にかかわる重要な要素ともなっている。
結婚
物語中盤の青年期における最大のイベントの嫁候補である、幼少期を共に過ごした幼馴染のビアンカ、ルドマンの娘で令嬢でもあるフローラ、ニンテンドーDS版で追加されたフローラの姉であるデボラから選ぶようになっており誰を選ぶかはプレイヤー次第。
その他
本編中においてまさに山あり谷ありの波乱万丈の人生を送り、進行に従って肩書きがコロコロ変わる。ドラゴンクエストシリーズの主人公としては「最も落ちぶれ、最も幸せになった人」であると皮肉交じりに評される。
不幸だけ列挙しても、以下の様子。
- 誕生間もなく母親と生き別れる。
- 父親を目の前で魔物に惨殺される。
- その後攫われ、10年もの奴隷生活を強いられる。
- 奴隷生活中に第二の故郷が壊滅。(しかもそれを滅ぼしたのは10年の奴隷生活も経て親友となったヘンリーが王子であるラインハット。滅ぼした理由は「ヘンリーの行方不明になった理由が主人公の父のせいだ」という太后からの命令{※)
- 農村の魔物被害を救うも、黒幕と疑われて白眼視される(ただし数年後、村長がそれを悔やみ反省して農村は余所者をも歓迎するスタンスとなる)。
- 生家であるグランバニア城に辿り着き、王に即位し、子宝にも恵まれるという幸せの絶頂が訪れるが直後、大臣の裏切りのせいで愛する人(妻)を攫われる。
- 妻を奪還するも、その直後共に石化させられる。(小説版ではその道中で多くの仲間モンスター達が殉職してしまう)
- 石像として売り飛ばされ、妻と離れ離れになる。(SFC版ではたったの2000ゴールドで売り飛ばされており別の意味で酷い)。
- 石像の買い取り先で、我が子と同年代の子供の成長を見せつけられる。
- 更にその子供が魔物に誘拐された際、嘆く父親に八つ当たりされる。考えてみれば主人公自身も眼前で年端もいかない子供が誘拐されてしまう現場を石像にされているばかりに何もできず見ているしか出来なかったという彼の心中も察するに余る。
- 石化中も意識があったようで、8年間も生き地獄に等しい苦痛を味わっている(小説版)。
- やっと母と再会するも、直後母を無惨に殺される。
※:ただしサンタローズの襲撃を命じた当の太后は後妻であり、前妻の子供であるヘンリーではなく自分の息子の方を王にしたかったので、ヘンリーが誘拐されるように手引きをしたのが太后自身であるため、ラインハットの自作自演による襲撃である。というかパパスが殺され、主人公達が奴隷になってしまうそのヘンリー王子誘拐事件が起こった元凶が太后であり、パパスがグランバニア王であることを考慮すると自国にやってきていた他国の王が殺されるという大事件を引き起こした元凶であり、本来は国際問題待った無しの筈なのだが、幸いにも?作中ではグランバニアとラインハットの戦争などは発生していない(同じくその一件の被害者である主人公とヘンリーの絆がおそらく親友間の互いの祖国同士による戦争という悲劇を回避することができたのだろうが、まさしくそれは不幸中の幸いとしか言いようが無いだろう)。
歴代でもこれだけハードラックと踊った主人公は、後先見ても彼ぐらいでプレイヤーからは不幸体質や苦労人として見られがちである。しかしそれを乗り越えた先にはハッピーエンドが待っており波乱万丈な人生を歩んだ主人公の1人だろう。
救いと言えるのは石像にされてる間の8年間は妻共々肉体的には歳を取らなかったこと、全ての元凶たるミルドラースを打倒したことでもうこれ以上不幸にはなる心配はなくなったことだろう。
なお、彼は公式イケメン設定。教会のシスターを始めとする行く先々の女性から「素敵な人」などと呼ばれており、奴隷時代においても水汲みの奴隷の女性から「ステキなドレイさん」などと呼ばれる。また親友のヘンリー曰く、ヘンリーの妻であるマリアも最初は彼に惚れていたらしい。嫁候補のひとりであるフローラも出会った瞬間彼に「ひと目ぼれ」している。
彼の容姿についてあれな表現をするのはDS版で追加された嫁候補のデボラぐらいであり、「小魚に似ている」とのこと。ただし、実はデボラも妹同様に彼にひと目ぼれをしていたことが後に発覚。また「小魚は(体に良いので)嫌いじゃない」とのことで「小魚に似ている」というのも馬鹿にしていたというよりも自分の好きなものに例えていただけであったりする(余談だが、『ドラゴンクエストⅥ』のデスコッドの「遠い未来」に登場するデボラはⅥの主人公達のことを「まぬけ面」と称した上で全く興味が無いとばかりな言い方をしていることからもⅤの主人公のことは少なからずの好意を持って接していたのだということがわかる)。
小説版『ドラゴンクエストⅤ』『CDシアター ドラゴンクエストⅤ』『ドラゴンクエスト ユア・ストーリー』では"リュカ(リュケイロム・エル・ケル・グランバニア)"という名前が付いており、その名前が使用される事がある。
『ドラゴンクエストⅤ』の場合はシリーズ中でも特に小説版の人気が高いことからゲーム中で実際にその名前を付けるプレイヤーがいる程に定着しており、ドラゴンクエストシリーズでリュカと言えばほとんど彼のことを指す。なお、ミルドラースを討伐し世界を平和に導いた後世では、「慈愛王」として語られている。
また平仮名で"りゅか"と表記して、性別を女性にした主人公のタグも存在する(敢えて肯定的に見るならば長い髪や魔物を仲間にする程の慈愛に満ちた性格、女性が着たとしてもそこまで違和感の無い服装、専用の最強武器が杖等といった要素が女体化を想像しやすいのだろうか)。
彼の性格や才能に関しては幼少期からその片鱗を見せており、本来人に懐かないモンスターに懐かれたり、そして心を持たないはずの殺戮兵器にすら届く慈愛に満ちた人格者。一方で親や仲間の仇といった相手には普段からは考えられない程の激情を見せる。
リメイク版『ドラゴンクエストⅥ』では選択肢次第でデスコッドの村に現れ、前作主人公として夢の共演が実現し、会話が出来る。この時の名前はアベル。
口調は見ず知らずの青年相手と言うこともあり非常に丁寧な敬語であり、ゴールドオーブ騒動のセルフオマージュと言わんばかりに青年の持つオーブを見せて貰おうとお願いしてくる。自らの探してるオーブでは無いと分かると丁寧に返却し、青年の両親について尋ね「元気なのでしたら どうか ご両親を 大切にしてあげてください」と言葉を残してくれる。
このデスコッドには在りし日の父、若き日の世話役、生涯の友とその妻、妖精、立派に育った家族、道化兵士、そして愛する妻子達がいる事からアベルの夢の世界と思われる。ゴールドオーブを探してる時期と言うこともあって残念ながら母の姿は無いのが悲しい。
ちなみにこの世界、子供たちのバーゲンセールと口にしたくなる3人の嫁の間にできた計6人の子供達が居る事から、3人全員と結婚した一夫多妻の夢を見ているとネタにされがち。あくまでもクリア後のファンサービスゲストなのでその辺を過度にツッコむのは野暮である。
他の作品ではこのような名前設定になっている。
- リメイク版『ドラゴンクエストⅤ』及び『ドラゴンクエストⅥ』:アベル
- ドラゴンクエスト モンスターバトルロードシリーズ、ドラゴンクエストタクト:伝説の魔物使い
ゲーム以外の登場
ドラゴンクエスト 天空物語
本作では作者の意向により「グランバニア国王」としか表記されておらず、本名は設定されていない。このため作中では「お父さん」「坊ちゃん」「アイツ」「キミ」などの二人称で呼ばれる。
またこの作品はリュカとビアンカが石像にされて行方不明になっている間の8年間の出来事を描いているため、最終回を除けば主要人物たちの回想のみの登場となっている。こちらでもゲーム版に準拠してかなりの美形に描かれている。
テンとソラの誕生前の時系列であるチゾットからグランバニアに向かうまでの道中を描いた外伝「メモリーズ」では主人公を務め、ビアンカとのイチャラブを堪能できるためファンは必見。ちなみにミニモンが加わったのはこのエピソード。
小説版『ドラゴンクエストⅤ』
ミルドラース討伐前は「虜囚王」「探究王」と呼ばれ、討伐後は「慈愛王」と讃えられたという。
ちなみにラストシーンでの彼は、やたらツヤツヤしていた妻ビアンカとは対照的にどこかやつれ気味だったらしい。ゆうべはおたのしみでしたね。
CDシアター ドラゴンクエストⅤ
幼年期は好奇心旺盛、純粋無垢、正義感の強い少年で、スライムに友達になろうと接したりとこの時点で伝説の魔物使いとしての素質はあった。
青年期は普段は穏やかで優しげな好青年となるが、かなりのお人好しで押しに弱い一面もある。
担当声優
少年期
- 吉田小奈美:『CDシアター ドラゴンクエストⅤ』※吉田氏は、リュカの息子ティミーも演じている。
- 朴璐美:ニンテンドーDS版テレビCM
- 大西利空:『ドラゴンクエスト ユア・ストーリー』
青年期
関連イラスト
関連タグ
ビアンカ フローラ デボラ グランバニア王子 グランバニア王女 サンチョ ピピン
竜騎将バラン:漫画『ドラゴンクエスト ダイの大冒険』の登場人物。共通点が非常に多く、主人公の元ネタになったと思われる。
リュカ(MOTHER):名前が同じ主人公。こっちもかなりの苦労人。
ウリック:夜麻みゆきの初のコミックス作品である「レヴァリアース」の主人公。容姿が彼の幼少期とよく似ている。ちなみにサブキャラのセリアは青年期のビアンカと酷似。
ヨシヒコ:勇者ヨシヒコシリーズの主人公。衣装が共通している。
孫悟飯:キャラデザと性格的には彼に近く、更に幼少時に気を失っている間に父親が死亡している(ただしこちらは後に蘇生)、最終的に既婚者になると言った共通点もある。