概要
『ドラゴンクエストⅥ』におけるプレイヤーの"分身"となるキャラクター。名前の変更が可能な為、特に決まった名前は無い。年齢は17歳。
一般的には"主人公"と表記されるが、単純に主人公と表記してしまうと"他のドラゴンクエストシリーズの主人公"や"他の作品に出てくる主人公"との区別が出来なくなってしまうため、特に区別する為にこの表記が使用される。
なお、『ドラゴンクエストⅥ』では『ドラゴンクエストⅢ』以来久しぶりに職業システムが採用されており、本作では誰でも「勇者」の職に就くことが可能になっている。しかし、主人公のみ勇者への転職条件が格段に優遇されていることから、彼個人のことを指して勇者と呼ぶこともある。
各作品別の名前は、以下の通り。
- レック(勇者レック)
『ドラゴンクエスト モンスターバトルロード』、DS版『ドラゴンクエストⅥ』『ドラゴンクエストライバルズエース』等
漫画『ドラゴンクエスト 幻の大地』
- ウイル(勇者ウイル)
小説版『ドラゴンクエストⅥ 幻の大地』
能力
主人公らしくバランスのとれた能力をもち、重装備も可能。
また、転職面だけでなく、彼専用の装備品(剣・盾・鎧・兜)も存在するなど、他シリーズの勇者に準ずる扱いをうけている。
しいて弱点を述べるならば、身の守りの伸びはかなり低めで比較対象もクリアレベル帯ではバーバラと同等である。ただし装備には充分恵まれてるので防御力もそこまで気になる程ではない。
ちなみに「ルカニ」は本作だと職業も含めて修得できるのは主人公とバーバラのみである。意外にも歴代主人公では唯一の自力習得者である。
ダーマ神殿解放後にて、上記に書かれてる勇者に転職する本来の条件は【バトルマスター・賢者・スーパースター・レンジャー】の上級職を4つも極める必要があるが、彼の場合はその中から一つだけ極めたら勇者の職に就けることが可能である。
この差は道中で熟練度稼ぎをやらない場合だと、主人公ならば中盤〜終盤頃で4つのうち一つを極めれるので勇者職に就けれるのに対して他の仲間は大体の場合はクリア後で漸く勇者職に就けれるぐらいなのである。
当然ながら勇者職の修得する特技や呪文にはジゴスパークやギガスラッシュにめいそうと非常に強力な特技があるのでシナリオ的だけでなく戦力としても優秀な為、是非とも主人公には4つのいずれかを極めての勇者職に就かすのがベストである。
大方の人気ルートとしては、武闘家などから使い勝手のよい特技を修得していくバトルマスターか4つの上級職のうちで最速で極めることが可能なスーパースターの2つである。
バトルマスターの場合は基本職の頃から前衛の戦力としてそのまま起用できるうえに、先ほど述べたようにバトルマスターを極めるまでに最後まで使い勝手のよい特技を沢山修得できるうえにマスター特典のちから+20もかなりうまい。またもしもクリア前までもバトルマスターを極めることができなかった場合でもバトルマスターのステータス補正も優秀な為、パーティーの職業状況が悪くなければこの職のままラスボスに挑むことになっても構わない点も心強いところ。
勇者の職を極めたあとに他の職業を極める際には魔法使いと僧侶を極めると3つの上級職(魔法戦士・パラディン・賢者)の開放が可能であるメリットもある。
スーパースターの場合は4つのなかで必要な熟練度が断トツで少ない為、勇者に就く最短ルートであること。バトルマスターと違い例え遅くとも終盤までなら極めることが可能で早ければ中盤でも極めるのが可能な為、そこからスーパースターで修得した豊富な特技も含めて本領発揮の如く大活躍が可能でありラスボス戦へもほぼ確実に勇者の職で挑める。
また、道中の『ベストドレッサーコンテスト』を早期優勝するのも役立つ。ランク6までは男性が有利であり男性陣ではテリー未加入時では次点でかっこよさが高い彼がスーパースターだとかなり有利となるのも利点の一つである。
しかし、こちらのルートの場合は欠点もあり、それは下級職の遊び人と踊り子はステータス補正もとい下方修正がかなりキツいものであり、その間は主人公は大幅の戦力ダウンで戦力として当てにできなくなるので、ほぼ馬車入り行きとなり下積みをすることとなる。
一応、戦力カバーとしては初期から前衛として頼りになるハッサンを筆頭に他にも前衛として優秀なアモスやチャモロがおり、その他にもミレーユでも充分ではあるがSFC版ならば本作で最優秀仲間モンスターと言われるくさったしたいのスミスがダーマ神殿解放直後に加入可能であるので彼を加入させれば主人公の穴埋めは充分可能である。
ただしその最中は主人公としてはやるせない気持ちにはなってしまうのが幸いところであるか。
またリメイク版ではスミスの加入不可に加えて『仲間会話』には主人公がいるのが必須な為、こちらを楽しみたい人には主人公が馬車行きだと会話を楽しめなくなる致命的な欠点も増えてしまった。
その為、どうしても戦力としてパーティー入りしたいならば、他の職業やキャラでも言えることだが、有名な魔法使いへの転職して1回だけの戦闘でメラミを修得してから踊り子などを極め始めるのがベスト。これだけで道中の敵には申し分ない火力が出せるのでこれがあるかでかなりの差はある。
ちなみに、こちらのルートの場合は以降の職極みで最弱の遊び人等を極めてるので以降の基本職などの極みをやるのは楽になる利点がある。
容姿
いかにも主人公らしく、いかにも鳥山明のデザインらしい、『ドラゴンボール』の孫悟空のようなツンツン髪が特徴。髪の色は青〜青紫(ゲームのグラフィックやイラストの彩色の加減で、微妙なバラつきがある)。腕や脚を露出しているため、歴代主人公の中でも比較的、軽装な印象が強い。
真実(ネタバレあり)
中盤で判明するその正体は、現実の世界のレイドックの王子である。
家族構成は国王である父と王妃である母。かつては妹がいたが病気により亡くしている。
プロローグでのハッサンとミレーユと共にムドーに挑むが石化し何処かへ飛ばされる話は夢ではなく実際にあった出来事であり、更に飛ばされる際に精神を夢の世界に、肉体を現実世界に分離させられてしまった。
そして夢の世界に飛ばされ本来の記憶を失った精神の方が本作の主人公である。
現実に残された肉体(王子)の方は現実世界のことを夢で朧気ながらも見ている夢の世界のターニアの会話からして、ムドーが倒される前から石化が解けて動き出し、記憶喪失の青年として現実の世界のライフコッドにたどり着いた。そこで現実世界のターニアから世話になり、独りぼっちのターニアは兄を求め、王子も亡き妹の姿をターニアと重ねてお互いに「家族」を欲していたこともあり兄妹として過ごすようになった。
夢の世界で主人公がターニアと兄妹だったのは、ターニアの「実の兄が欲しい」という願いと幼い妹を亡くした主人公がいつしかターニアを妹のように可愛がるようになった結果生まれた「夢」であった。
ムドー戦後から暫くして漸く精神と肉体が出会い、真実を知りターニアたちを守る為に2人は融合するが、ハッサンとミレーユと違いあまりにも長い間心と体が離れていたうえに、更に彼らと違うのが精神も本来と別の人格になり肉体にも本来の人格とは別の人格が生じた影響か、完全な形で元に戻ることができず、「妹と暮らすライフコッドの青年」がベースとなってはいるものの「レイドックの王子」の人格も混ざった状態となり、どちらにも戻りきれないまま本当の自分自身をも忘れてしまうことになってしまった。
つまりは、どちらも戻りきれないどころか元々の本来の自我が消滅したと捉え方もなりうるという恐ろしいことになってしまっている
ターニアどころか両親など彼を知るかつて親しかった人々と話す際にもお互いに知っているはずの人物なのにお互いに違和感を覚えてしまうという、どちらでもあってどちらでもない歪な状態となってしまう。
最終的には全ての元凶であったデスタムーアを倒すが、それは夢の世界が消えていくことも意味していた。最後まで彼を兄と慕っていた夢の世界のターニアや親しかったライフコッドの住人達、彼に恋心を抱いたような様子を見せていたバーバラとの永遠の別れが訪れることになった。
また、牧歌的で穏やかな夢の世界のほうに対して現実世界のライフコッドは元々閉鎖的な村であった為にレイドックの王子と知られた結果、彼らとは壁ができてしまい、レイドックでも住民や側近だけでなく両親とも違和感は消えないままであった。
「真実を知るごとにそれまでのささやかな幸せが消えていく」という、彼も天空シリーズの主人公たちの例に漏れず、不幸に見舞われている主人公である。しかし「次々に襲い来る不幸に打ちひしがれ、両親を失えども、最後に幸福を掴み取り、無事に復興した第二の故郷の人々から王族と知られても村一番の出世頭と祝福される」と大団円で終わった5の主人公と対照的に、最後の最後に『大切な存在との別れ』を余儀なくされ、彼の活躍を村一番の出世頭だと祝福した夢の世界の第二の故郷との繋がりも消滅し一方の現実世界の第二の故郷からは王子と知られて壁が生じ、そして本当の自分を完全に取り戻すことも叶わずという彼自身としてはハッピーエンドと言い難いビターエンドじみた終わり方であることである。
この点は下の世界で大魔王ゾーマを倒したことで世界に平和をもたらしたと下の世界の人々からは感謝や祝福をされたものの、故郷である上の世界への入口が閉じられ母親との別離を余儀なくされた『ドラゴンクエストⅢ』の主人公と、自身の大師匠でもあった上位天使の堕天使エルギオスに位が上の者には対抗できない性質の天使のままで敵わない為、自ら天使の身分を捨て人間へなり、世界そしてエルギオスを救った後に残ってた天使たちは星となって最後の別れの言葉も言えぬまま別れる形となり同時に故郷である天使界も消滅した『ドラゴンクエストⅨ』の主人公と類似している。なお奇しくも3の倍数の作品である。
また、主人公を慕っていたヒロイン格ともいえるキャラと最終的に別れる形になったドラゴンクエストシリーズの主人公は現時点ではこの主人公のみである。
ただし、苦楽を共にし変わらず接してくれる旅の仲間たちを始め、両親も息子の状況を理解し、現実世界のターニアとランドも彼のことを理解し王子であっても変わらず接してくれる存在がいてくれるのは幸いであろう。
ちなみに、「不幸な主人公は?」という各ゲーム又はドラゴンクエストシリーズでの話題では『ドラゴンクエストⅣ』と『ドラゴンクエストⅤ』の二人を中心に次点で『ドラゴンクエストⅢ』と『ドラゴンクエストⅡ』(本編後の話がある『ドラゴンクエストモンスターズ キャラバンハート』又は『ドラゴンクエストモンスターズ+』)の主人公たちが話題になるのに対してこの主人公の名が上がることは中々ない。
理由としてはやはり『ドラゴンクエストⅣ』と『ドラゴンクエストⅤ』のストーリーのインパクトがデカいこと、『ドラゴンクエストⅢ』〜『ドラゴンクエストⅤ』は演出等がわかりやすく印象が残りやすいのに加えてゲームクリアも苦ではないのに対して、『ドラゴンクエストⅥ』は今まで開発に関わってたチュンソフトが外れており、その影響か現実世界のムドー戦後からは「現実世界+夢の世界+現実世界の海底」と『ドラゴンクエストⅢ』の時以上に行動範囲が広いマップでの自由行動となる為、(攻略情報を見ない場合は)物語を進める為の重要なヒントを得るのも苦戦するうえに中にはやや大雑把なヒントもあったりする。また謎解きも一部にはその関連したヒントをまず得ないと十中八九攻略不可能な複雑な謎解きなのもあって攻略本又はサイトがないと難易度が高めであった。
そして主人公が本体と融合するのがムドー戦後から暫く経ってからなうえに、融合後の歪な状態である話がテキストがメインだったりでプレイヤーにあまり印象が残りづらかったのが原因かと思われる。
その他『ドラゴンクエストⅥ』では「敢えて曖昧な表現にしてプレイヤーに個々の答えを委ねる」方針で制作していたようであるが、主人公の父親が夢の世界のムドー化するのがやや突拍子ない形になっていたりミレーユ・テリー姉弟の過去の背景を知れるのがメインシナリオで全く関わらないガンディーノでのNPCの台詞のみと(開発が難航してか)今までと以降のシリーズでもかなり異色な要素が多くなっている。
その反省点か『ドラゴンクエストⅦ』以降はまた演出がわかりやすくなったり、「はなす」コマンドで仲間から間近にあった出来事の感想を聞けて反応を知れるようになったりと物語がよりわかりやすくなっている。
余談
「『ドラゴンクエストⅥ』の主人公は本当に本来の勇者なのか?」又は「彼は天空の勇者の先祖なのか」という意見がありそれに対しての否定的な意見もあるが、本編の内容からしてまずは勇者に関しては彼もれっきとした勇者であることを証明している。
まずは主人公のみが装備できる伝説の武具の一つであるオルゴーのよろいが置かれてるグレイス城の地下にて「このよろいを身につけられるのは真の勇者のみ」と描かれている。そして精神と肉体が融合した際に勇者の専売特許である「ライデイン」を『○○○○はライデインをおもいだした!』とあるので彼はプロローグでムドーに会う前から使いこなしていたいうことになる。
また主人公は冒頭からターニアに憑依する形でルビスはお告げを与えているがその内容の中には
「あなたは不思議な運命を背負い生まれてきた者」「世界を闇がおおう時あなたのチカラが必要となる」がある。その為、彼は魔王を倒す使命を持っており、れっきとした勇者である。もしくは仮に勇者でなくとも勇者と同等の存在であることは読み取れるであろう。
血縁に関しては現時点では不明瞭であるものの、天空の勇者との関係性に関しては、
- エンディングのムービーにて地形からして現実世界に現れたゼニスの城、ゼニスの住民は元々は夢の世界の住民だったのが後々の天空人になったのではないか?
- 『ドラゴンクエストⅣ』と『ドラゴンクエストⅤ』の勇者は天空人とのハーフである
- 『ドラゴンクエストⅥ』の主人公はハッサンたちと違い、本体と夢の世界に飛ばされた精神側が別の人格を生じている=精神側は夢の世界の住人と同等の存在となったのではないか?
このことから肉体との融合後の彼は「天空人と地上人のハーフ」に類似した存在になったのではと言われることがある。
メディアミックス
漫画版
神崎まさおみの漫画『ドラゴンクエスト 幻の大地』ではボッツという名前が設定されており、熱血な三枚目として描かれている。主にバーバラと恋仲になり、エンディングも本家から許可を得て改変されハッピーエンドとなっている。
小説版
主人公であり夢の世界のほう人格のほうの名前は『イザ』であり、現実世界の肉体のほうは『イーザ』と呼ばれており、本名は『暁の御子(あかつきのみこ)イズュラーヒン』である。やや発音しづらい名前だが、作中でも呼びづらいとツッコまれている。
夢の世界での精神が飛ばされた件にはゼニス王が夢の世界でのイザをターニアの兄とさせたという展開となっている。
こちらではイザはミレーユを意識しており一緒に水浴びする等、メディアミックスでは唯一ミレーユがメインヒロインとなった作品である。一方バーバラはテリーといがみ合いながらもお互いに気に掛けている関係となっている。なおエンディングでバーバラは現実世界から消えずに生存している。
担当声優・俳優
声優
関は、『ドラゴンクエストⅩ」では旅芸人ピュージュを、『ドラゴンクエストⅪ 過ぎ去りし時を求めてS』ではウラノス、メダル校長、いたずらデビル役を、アニメ『ドラゴンクエストダイの大冒険』(2020年版)では青野武の後を継いでハドラーを演じることとなった。
なお『ドラゴンクエスト ダイの大冒険』のハドラー役としてのインタビューを受けた時にCDシアターで勇者ウイルを演じていた時の事も話題にしている。
さらに『ドラゴンクエストライバルズエース』でも関が「勇者レック」として『ドラゴンクエストⅥ』の主人公を演じる事となった(今までにもCDシアタードラゴンクエストシリーズに出演した声優が『ドラゴンクエストライバルズ』やドラゴンクエストヒーローズシリーズで別のキャラを演じることはあったが、同一キャラを演じたのは今回が初めてである)。
俳優
- 北川裕貴:舞台『ドラゴンクエスト ライブスペクタクルツアー』
関連イラスト
関連タグ
ハッサン ミレーユ バーバラ チャモロ テリー アモス ターニア ソルディ
ダイ(ダイの大冒険):『ドラゴンクエスト ダイの大冒険』の主人公。「ギガスラッシュ」のモデルになったと思われる「ギガストラッシュ」の使い手。
クロノ:同じ鳥山明が手掛けた『クロノ・トリガー』の主人公。共に開発時期が重なっていたこと、外見が似ていること、『ドラゴンクエストⅥ』のOPを彷彿とさせるシーンがあること、本来なら死ぬはずだったが、過去を遡った仲間たちの尽力によって死の運命から救い出される点で比較されることが多い。ちなみにバーバラやチャモロもこのキャラに似ていたりする。
セルジュ:『クロノ・クロス』の主人公。青髪の無口主人公でクロノのオマージュ要素を持つ。こちらも基本世界とイレギュラーの世界を行き来するというコンセプト。
カミュ:『ドラゴンクエストⅪ』のメインキャラクター。外見がよく似ている上に妹がいる。「冒険の書の世界」においてカミュもそのことに言及し、更にターニアも一瞬主人公と間違える場面がある。ファンの中には主人公が過去へ旅立っていなくなった世界では彼が天空の勇者の始祖なのではという説を唱える人もいる。これは公式ではなくあくまで説なので注意。