CV:金尾哲夫(『CDシアター ドラゴンクエストⅥ』)
概要
『ドラゴンクエストⅥ』のNPCで、レイドック王国の兵士長。金髪と青いサーコートの壮年男性で、『ドラゴンクエストウォーク』の立ち絵では口ヒゲを生やしている。
兵士の採用試験に合格した主人公とハッサンを迎え入れ、ラーの鏡の捜索という任務を命じる。
その後紆余曲折あり夢の世界のムドー撃破後に駆けつけるも、城に帰る途中で行方不明になり、以降物語から忘れられたものと思われていた。
ところが、終盤「牢獄の町」で意外な再登場を果たす。どうやらムドーの城から帰還中にはざまの世界に落ちてしまい、クーデターを成功させるために潜伏していた様子。主人公たちに変装用の兵士の服や鍵を託すなどの活躍を見せる。
しかしアクバーが倒されるとデスタムーアの怒りを買い、牢獄の町の住民は石化あるいは獣化させられ、彼もまた犬に変えられてしまった。
とはいえ、デスタムーアを撃破するとちゃんとレイドックに帰還しているためそこは安心である。
トム兵士長
『ドラゴンクエストⅥ』の世界は「夢の世界」と「現実の世界」の二層構造になっており、夢の世界の人物は現実の世界の人々の夢の産物である。
そしてソルディ兵士長もまた夢の世界の人物であり、現実世界における彼はトムという名前の人物。
兵士長であることは変わらないが、「トム」という名前はダサいとして嫌がり、幼い頃は「ソルディ」とかっこつけて名乗っていたらしい。
主人公のことを姿を消したレイドック王子だと信じ入城を許可するが、ゲバン大臣によって嘘が暴かれ、主人公は追放。
責任を負わされてトムもまた兵士に格下げされた上に辺境の地へ追いやられてしまい、魔物との戦いで死亡する。
ムドーの島にて白骨化した人骨があり「王子様どうかご無事で」という手紙があることからこの人骨がトムではないかと一部で言われている。(白骨化が早いと言われることもあるが魔物が魔法なりで燃やすなり、生々しい話であるが場所は魔物の巣窟であるので喰い殺す魔物もいておかしくはない)
彼の後任はフランコという人物がつとめることとなった。
なお、デスタムーアの力で夢の世界が具現化されているためか、実体であるトムが死んでもソルディの方は生きており、前述の通り牢獄の町で再会する運びとなった。
主人公がレイドック王子だというのは後に真実であることが判明するが、この時点では主人公自身もそれを思い出しておらず、なおかつ証拠もないため、客観的に見ればトムの行いは身元不明の謎の男を、容姿が似ているという理由だけで王子と判断し入城させるという問題行動であるのは間違いない。
そのためゲバンの行動も一概には間違っているとは言い難い。
主人公(およびプレイヤー)にとっては自身の軽率な行動でひとりの人間を転落させ死に追いやってしまったことになるため、『ドラゴンクエストⅥ』でもかなりの鬱エピソードといえる。シナリオでの必須イベントとはいえ、やらなければならない理由がアモールの町で神父が掃除中だから用事を済まして=時間を潰してくれというなんともいえないのが…
当然といえば当然だが、トム兵士長の死の遠因だとして主人公を非難する部下の兵士も存在する。クリア後に主人公は王子として帰還するのだが、両親やフランコ兵長などの理解者がいるものの兵士との間に将来的に王になる立場としては致命的な不穏要素を作ってしまったといえる
派生作品
…上記の通り、トム兵士長のエピソードはあまりに救いがなさすぎるためか、派生作品では彼の救済が行われていることが多い。
漫画『ドラゴンクエスト 幻の大地』では、牢獄の町にいるのがソルディではなくトムとなっている。
こちらでは偶然迷い込んだのではなく何もかもを失った絶望からはざまの世界に落ちていたが、主人公たちとの再会し王子としての記憶と立場を取り戻した主人公ボッツによる正式な書簡にて兵士長に復帰せよという辞令を言われたことで希望を取り戻しレイドックに帰還するという救いある展開になった。
『小説 ドラゴンクエストⅥ』では、辺境の地に追放された彼と主人公のイザが旅の道中にて邂逅している。
イザは「自分は本物の王子じゃない」と否定するもなおトムは彼のことを王子として信じている様子が描かれていた。
ムドー戦後にレイドックに帰還しており、兵士長から将軍に出世するなど、こちらも救いのある展開となっている。
なお牢獄の町には原作同様にソルディがおり、小説ではゾゾゲル(小説ではゲバン大臣の正体という独自設定)を倒した後にソルディは消えてしまうが、消える直前でのソルディの口調が完全にトムになっていた。
余談
『CDシアター ドラゴンクエストⅥ』で彼を演じた金尾哲夫氏は、後に『ドラゴンクエストⅧ』でチャゴス王子の父、クラビウス王を演じることになる。