ソフト情報
バージョン | ルビー・サファイア | エメラルド |
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機種 | ゲームボーイアドバンス | 同左 |
ジャンル | RPG | 同左 |
発売日 | 2002年11月21日(木) | 2004年9月16日(木) |
価格 | 4,800円+税 | 4,571円→廉価版3,619円(いずれも税別) |
販売元 | 任天堂 | 同左 |
発売元 | 株式会社ポケモン | 同左 |
開発 | ゲームフリーク | 同左 |
CERO | 全年齢対象 | 同左 |
概要
『ポケットモンスタールビー・サファイア・エメラルド』は、ホウエン地方を舞台とした物語である。
九州がモデルのためかカントー地方やジョウト地方とは離れており、
いわゆる「過去作品」の話がこのシリーズには全く出てこない(ある施設で地方名が出てくる程度)。
システムが同じ『ポケットモンスタールビー・サファイア・エメラルド』及び『ファイアレッド・リーフグリーン』を纏めて便宜上「第3世代」と言ったりもする。
本作の開発は2000年に始まり、ゲームボーイアドバンスの発売を2週間後に控えた2001年3月7日に発売決定が告知された。この発表では本作初登場の新ポケモンカクレオン、ルリリ、ホエルコのほか、後に男の子主人公となる少年トレーナーのキャラデザインが公開された。また元々本作は「ポケットモンスター ゲームボーイアドバンス版(仮)」と呼ばれていた。
『ルビー・サファイア』は対応機種がゲームボーイアドバンスとなった初のポケモンタイトルであるが、ゲーム機本体(ゲームボーイとゲームボーイアドバンス)そのものが第4世代以降のような旧世代ハードとの連動が出来る様な設計ではなかったため、唯一「過去作(赤緑・金銀)との連動がない」作品である。
また他シリーズ通して型破りな点も多く存在する。詳しくは後述。
長らくファンからリメイクが望まれていた作品であったが、2014年5月には遂に3DS向けのリメイク作となる『オメガルビー』・『アルファサファイア』が発表され、発売からちょうど12年の2014年11月21日に発売された。
総称について
ルビー(Ruby)・サファイア(Sapphire)・エメラルド(Emerald)の頭文字を取り、略称は「RSE」。
発売された順序が『ルビー・サファイア』→『ファイアレッド・リーフグリーン』→『エメラルド』となっているため、
『ルビー・サファイア』と『エメラルド』とでは仕様が大きく異なる場所が存在する。
このため『ルビー・サファイア』の2つだけを取り上げて『ルビサファ』ないし『RS』と呼んだりもする。
バージョンごとの違い
ルビー・サファイア
パッケージを飾るポケモンはそれぞれグラードンとカイオーガ。今作では出現するポケモンの違いの他に対立する悪の組織がそれぞれ異なっており、ルビーではマグマ団、サファイアではアクア団とストーリー中に戦うこととなる。
エメラルド
パッケージを飾るポケモンはレックウザ。マイナーチェンジ版では初となるストーリーの大幅なテコ入れが行われ、マグマ団とアクア団両者と主人公の対立が描かれたほか、ここでレックウザとグラードン・カイオーガの関係性があらわになった。また、主人公の服装も変わっている。
ポケモンを場に出した時のアニメーションが『クリスタル』以来復活。今作から後ろ姿もアニメーションするようになり、性格によって多少異なるという隠し要素がある。
新たなバトル施設『バトルフロンティア』の追加に伴い、ポケモンの育成システムにも調整が入り、従来よりもポケモンが育成しやすくなっている。
本作の特色
本作は、現行のポケモンのシステムの基礎を作り出した作品であり、
このシリーズで作られたシステムが以降のシリーズ全ての基礎となっている。
所謂黎明期であり、本作の時点で不完全だった要素が多いが、幾つかは後年の作品で徐々に改善されている。
「ライバル」の扱いの変化
男主人公と女主人公のうち、最初に選ばなかったほうが「ライバル」として登場し、主人公の性別をどちらにしてももう片方も物語中に出てくるようになった(スタッフロールにも二人とも出てくる)。
この他にも、更に別のライバルが中盤から登場するため、このシリーズから「男主人公・女主人公・ライバルが一緒に登場する」という構図が生まれた。
前よりも増えたポケモンのバリエーション
天候によって姿の変わるポワルンなど、
以前のポケモンでは想像できないような進化や能力を持つポケモンが数多く登場する。
基礎ポイント(努力値)の仕様変更
第二世代までは全ての能力に対し努力値を最大に出来たが、本作以降はごく一部の作品を除いて2種類までしか最大に出来なくなった。更に、倒したポケモンに応じて手に入る努力値が明確化された為、倒すポケモンを間違えると取り返しがつかなくなる。
個体値と併せて互換切りの原因の1つでもある。
詳細は当該記事を参照。
「とくせい」
4つの技とは別に、ターン毎や防御時に効果を発揮するなどの性質を司る「とくせい」がすべてのポケモンに追加された。
水属性の攻撃を無効化しHPを回復する「ちょすい」や、
接触技を受けると一定の確率で攻撃側が麻痺する「せいでんき」等、
ポケモンの個性を多様化するさまざまな特殊能力が付与された。
それに伴い、ヌケニンやケッキングなどとくせいが極めて重要な効果を持つポケモンも追加された。
「ダブルバトル」「マルチバトル」
それまでのシリーズではポケモンを1匹だけ出すことができたが、このシリーズから特定のトレーナー、施設に限りポケモンを場に2匹出すことができるようになった。
これが新形式ダブルバトルである。
もちろん通信対戦でも行うことができ、更に通信対戦ではトレーナーが4人集まって2VS2に分かれて戦うマルチバトルも実装された。
エメラルドでは仕様変更により、各地でダブルバトルをする機会が増加している。
ポケモン勝負以外のやりこみコンテンツを実装
今作から、ポケモン勝負以外にも楽しみが増えた。
- 「ひみつきち」
主人公の家とは別に作ることができる自分専用の「秘密基地」。
特定の場所で「ひみつのちから」を使うことで、空間を創り出し、グッズなどを設置して楽しむことが出来る。
また、通信を使うことで、友達を自分がつくったひみつきちに招待することが出来、ポケモンバトルを楽しむことも出来る。
ポケモンのコンディション→技の出来栄えによる演技の順で、
ポケモンの魅力を競っていき、優勝した証にリボン贈呈と会場に肖像画が飾られる。
「バトル施設」の追加
殿堂入り後のやりこみ要素として、ジム以外の「バトル施設」が実装された。
元々第二世代の時点でもやり込み施設として「バトルタワー」が存在していたが、日本語版では一部の人しか遊べなかった(詳細はバトルタワーを参照)ため、本格的な「バトル施設」の実装は本作が初めてである。
ルビー・サファイアから本格登場した施設。
連勝を重ね、7連勝するごとに「バトルポイント(BP)」と呼ばれるポイントを獲得でき、アイテムと交換できる。
- バトルフロンティア(『エメラルド』のみ)
様々な状況下でポケモンバトルが楽しめる施設が多数存在するテーマパーク(上記の「バトルタワー」もこのバトルフロンティア内に統合されている)。
フロンティア内では、Lv50の部・オープンレベルの部で挑戦でき、連勝を重ねると各施設を取り仕切るフロンティアブレーンに挑戦できる。
経験値と賞金の代わりに獲得できるBPで、家具やアイテムなどを購入する事が出来る。
他シリーズとの相違点
モチーフとなった地形が回転している
モチーフとなっている九州地方を左に90°回転した形をしている。
細かいディテールの違いはあれど方位まで変えた地方は第7世代まではホウエンしかなかったが、第8世代『ソード・シールド』ではイギリスを上下逆さまにした地形のガラル地方が登場した。
街の名前に法則性がない
カントー地方・ジョウト地方は色、シンオウ地方は大和言葉、イッシュ地方は文様名が由来となっているが、ホウエンに関しては法則性がなく、「シダケ」・「トクサネ」など広辞苑に載っていない造語も多い。
街と道路をつなぐゲートが皆無
他の地方では全てではないが街と道路の間にゲートがあるが、ホウエンにはない。
ライバルが自由に名づけ出来ない
いわゆる御三家を選ぶライバルは第1、第2世代では自由に名づけることが出来たが、この作品では初めて名前が固定された。
その後、『FRLG』と第4世代(DPt/HGSS)を挟んだ後に『BW』で再び固定された名前のライバルが登場。
その続編の『BW2』のライバルでは一旦自由な名付けが再開されたが、次作の『XY』では『RSE』同様に選ばなかったほうの主人公が固定された名前となった。
以降は選ばなかったほうの主人公がNPCとして出ることもなくなり、『LPLE』のライバルを最後に自由に名づけができるライバルは登場していない。
ライバルとは再戦不可能
他シリーズは殿堂入り後でも何度も対戦できるが、
この作品では御三家ライバルはミナモシティを最後に戦えなくなる。
ライバルが御三家を最終進化形態にしていない
最後のミナモシティ戦でも手持ちの御三家は1進化形態であり、最終進化までさせていない。
なお、リメイクでは殿堂入り後のエキシビションマッチイベントが追加され、最終進化及びそのメガシンカを確認できるようになった。
主人公の父親がゲーム内に登場する
他作品では主人公の父親は登場せず、母親のセリフ等で存在が示唆されても姿を見ることはないが、本作品ではホウエン地方のジムリーダーセンリが父親という設定で、後に主人公と戦うことになる。
ダブルバトルを仕掛けてくるジムリーダーがいる
フウとランを参照。この2人に1匹だけで挑むことは仕様上できない。
第7世代まではストーリー中ダブルバトルを仕掛けるジムリーダーはいなかったが、第8世代『ソード・シールド』のジムリーダーキバナがこれに続く形となった。
(余談だが、第5世代で登場したトリプルバトル・ローテーションバトルをストーリーで仕掛けるジムリーダーは、2021年現在登場していない)
ジムリーダーとの再戦はすべてダブルバトル
『エメラルド』のみジムリーダーと再戦できるが、前述のフウとランに合わせたためか全員ダブルバトルを仕掛けてくる。
第4世代以降では再戦はすべてシングルとなっている。
2回目以降の四天王・チャンピオンが強化されない
FRLG以降、2回目以降は手持ちが変更されたり、ただ単にレベルが上がるなど四天王とチャンピオンが強化されるが、この作品(とDP、XY)では一切強化されない。
研究員が勝負を仕掛けてこない
マップ上には研究員はいるものの、トレーナーとして勝負を仕掛けることはない。
チョイワル系トレーナーが皆無
暴走族やスキンヘッズのようなチョイワル系のトレーナーが一切いない。
その反面、ポケモンコレクター、昆虫マニア、遺跡マニア、オカルトマニア、怪獣マニアなどのオタク系トレーナーは全員登場している。
悪の組織が二つある
マグマ団とアクア団を参照。悪の組織は地方ごとに一つが普通であり、二つあるのは珍しい(アローラに関しては、あからさまな悪の組織、裏で悪事に手を染めている慈善団体、突如侵攻してきた異世界由来の悪の組織と三つあるとも解釈できる状況で、ホウエンの専売特許ではない)
また、ルビーでのアクア団、サファイアでのマグマ団は悪事の描写がなく、敵対組織を止めるために活動しているような印象である(特にえんとつ山)。
600族が2体いる
ボーマンダとメタグロスの2体。その他のシリーズは1体ずつとなっている。
怪獣及びドラゴンがモチーフではない600族が登場する
メタグロスは600族で現時点で唯一怪獣やドラゴンをモチーフとせず、しかも同時に性別不明となっている
道具
ポケナビ
ポケギアから続く携帯端末の第3弾。
デボンコーポレーションが開発した端末で、上部をスライドさせる事で画面を展開する。
タウンマップ機能、コンディションや入手したリボンをチェックする機能、今までの出会ったトレーナーの情報や再戦が可能かどうか確認するトレーナーアイ機能がある。エメラルドでは通話機能やジムリーダーとの再戦を可能にしたエントリーコール機能がトレーナーアイ機能の代わりに追加されている。
アニポケではマサトが持っており、『アドバンスジェネレーション』のOP「アドバンス・アドベンチャー」の歌詞にも名前が登場している。
登場キャラクター
※「ポケモンの登場人物一覧」もあわせて参照。
主要人物
トウカジムのジムリーダー・センリの息子or娘。
ジョウト地方からミシロタウンに引っ越してきた初日にオダマキ博士と出会い、ポケモントレーナーとなる。
後付け設定だが『BW2』でのセンリのセリフから、アサギシティ出身と思われる。
中盤までにおけるライバルキャラの一人。オダマキ博士の息子or娘。
主人公を男の子にした場合はハルカ、女の子にした場合はユウキが登場。見た目は選ばれなかった方と同じ。
序盤に登場する後輩トレーナー。後にもう一人のライバルキャラとなる。
サポートキャラ
オダマキ博士 ソライシ博士 マユミ エニシダ(『エメラルド』)
フウとラン ミクリ(『ルビー』・『サファイア』)/アダン(『エメラルド』)
ダイゴ(『ルビー』・『サファイア』)/ミクリ(『エメラルド』)
敵勢力
マグマ団(『サファイア』では味方) アクア団(『ルビー』では味方)
ポケモン
レジ系/4王:レジアイス レジロック レジスチル (レジギガス)
デオキシス ※ただし当該ソフトではなく『FRLG』でイベント用のチケットが配布された。
ミュウ ※『エメラルド』のみ。
ホウオウ ルギア ※『エメラルド』のみ。当時は「幻のポケモン」扱いを受けていた。
本作で初登場する第3世代のポケモン一覧
それ以外はポケモン一覧を参照
その他
『ルビー・サファイア』発売当時、同作品では全386種類中200種類(新規133種類、既存僅か67種類)しか入手できなかった。
しかも過去作との連動ができないため、既存ポケモンのうち同作品に出てこないポケモンは一切の入手手段が存在しなかった。
解禁されたのはちょうど1年後の『ポケモンコロシアム』(第2世代のポケモンのみ)からで、初代のポケモンに至ってはその更に2ヶ月後の『ファイアレッド・リーフグリーン』を待たねばならなかった。
最近では転送機能のアップデートの関係で手に入らないポケモンが存在する時期があったが、それも精々2ヶ月程度であり、1年以上も入手不可の状態が続くことはシリーズ全体から見ても異例の出来事である。
無論、入手自体ができないことについて批判が噴出したのは言うまでもなく、同時にこれが改造ポケモンの横行を招いたと指摘されることもある。
このため『エメラルド』では、『ルビー・サファイア』でも『ファイアレッド・リーフグリーン』でも手に入らない第2世代のポケモンが入手できるようになっている。外伝作品でしか入手できない事態を防ぐためと思われる。そのため第2世代の伝説のポケモンホウオウ、ルギアは一時的に幻のポケモンとして扱われていた。
本作及びFRLGでは徘徊系ポケモンの個体値がHPと攻撃を除く全ての能力が逆V確定で出るバグが存在する。エメラルドでは修正。
今作にも時計機能があるが、前作と異なりセーブ保持がバッテリーバックアップでは無くなった為にカセットに搭載しているバッテリーは時計駆動用になっている。
これは前作が時計とバッテリーバックアップの両方を一つのバッテリーで補っていたことで他のバッテリーバックアップカートリッジよりもバッテリー消費が早く、セーブデータが消滅するリスクが高かった為。
現在ではこの時計機能が電池切れになっているROMが殆どで、この場合時間に関するイベントは一切起きなくなるがソフト自体は起動できる。
『ルビー・サファイア』には時計機能にバグが存在しており、発生条件は「冒険を始めて一年後に発生する場合がある」事である。年に関するプログラムに不具合があったと見られている。このバグが発生すると「きのみ」を植えても育たなくなってしまう為、特に入手が難しいきのみを増やそうと育てた場合に深刻な状態となる。この他、あさせのほらあなやマボロシじまの状態が固定される(特にあさせのほらあなが満潮固定となって氷の小部屋に行けなくなるとユキワラシの入手が出来なくなる)、IDくじが1回しか引けなくなるなど様々な面で不具合が起きる。
後にGBA二台を用いて『FRLG』もしくは『エメラルド』と『ルビー・サファイア』を通信ケーブルを使って更新プログラムを当てる方法が実施された。また、ゲーム中ではほとんど手に入らない「チイラのみ」を持った色違いジグザグマ付きで店頭のデモ機器などで修理するキャンペーンも行われた。
セーブデータはこれまで通りに一つしか無いように見えるが、実は内部では二つファイルがあり、仕組みとしては「Aは最新のデータ」「Bはその前にセーブしたデータ」と記録されており、ロードする際は最新の更新をした方のセーブデータを優先して読み込むようになっている。
更新が古いデータは何の為にあるのかというと、最新更新をした側のセーブデータが万が一何らかの理由で破損していた際に読み込むものになっている。その為セーブをする際は二回行っておくと良いと思われる。
実はシリーズ初の「ワールドワイドなシステム」になっている。前作までは海外版と通信するとプログラムの相違等で場合によってはセーブデータ破損を起こす危険性があったのだが、今作は非公式(非公表)ながらも海外版との通信交換ができる。ただし、ポケモンのニックネームが文字化けしたり、海外版と日本版の文字数の違いから日本版に持ってくるとニックネームが削れることがあるが、データ破損は起こらないようになっており、第4世代以降で正式にデータを確認できる。
これを利用してか、データ内にある記念リボンから分かるように、当初は世界大会の開催の構想もあったようだが、結局第3世代の環境下では未開催のまま終わった。
公式ツールではオフライン限定でのプレイとなるが、2020年代になると非公式ツールを介したオンライン対戦も好事家筋の間で浸透しつつある。
関連イラスト
関連タグ
その他のシリーズのタグ
- 第1世代:RGBP(赤緑、RGB)
- 第2世代:金銀クリスタル(ポケモンGSC、金銀、GS)
- リメイク(第4世代):HGSS
- 第3世代:ポケモンRSE(RSE 、ルビサファ、RS)
- リメイク(第6世代):ORAS
- 第4世代:DPt(ダイパ、DP、DPPt)
- リメイク(第8世代):BDSP/スピンオフ(第8世代):LEGENDSアルセウス
- 第5世代:ポケモンBW(BW)/ポケモンBW2(BW2)
- 第6世代:ポケモンXY(XY)
- スピンオフ(第9世代):LEGENDSZ-A
- 第7世代:ポケモンSM(SM)/ポケモンUSUM(USUM)
- 第8世代:ポケモン剣盾(剣盾)……DLC:鎧の孤島、冠の雪原
- 第9世代:ポケモンSV(SV)……DLC:ゼロの秘宝、藍の円盤、番外編