概要
モンスター育成ゲームにおいて、最初に手に入るモンスターは固定されることも多いが、『ポケモン』シリーズはそうした形式はとらずに、3匹のポケモンから選ばせている。
この冒険の最初に選ぶ3匹のポケモン、そしてその進化系列を指して御三家という。
すべての世代においてほのおタイプ、みずタイプ、くさタイプのいずれかをそれぞれ持っている。
プレイヤーからは、それぞれの世代の最初の作品で舞台となる地方名を頭に付けて区別される。
なお、歴代のシリーズに登場した御三家ポケモンをタイプごとに分けた草御三家、炎御三家、水御三家というくくり・呼称もある(御「三」家を指す言葉ではなくなっているが)。
あくまでもネット上での呼称であり、「御三家」という呼び方を良く思わない人もいるので注意(ただし、そうした方も、非常に使いやすいがゆえに浸透していった呼び名であることには留意されたい)。
公式の総称としては、『ポケモンSV』の追加コンテンツ「ゼロの秘宝」で全ての該当ポケモンが登場することを発表した際に「パートナーのポケモン」と総称されている。英語圏版ではStarter Pokémonという公式の呼び方がそれより前からあった。
一覧
- 第1世代組:「カントー御三家」
- 第2世代組:「ジョウト御三家」
- 第3世代組:「ホウエン御三家」
- 第4世代組:「シンオウ御三家」
- 第5世代組:「イッシュ御三家」
- 第6世代組:「カロス御三家」
- 第7世代組:「アローラ御三家」
- 第8世代組:「ガラル御三家」
- 第9世代組:「パルデア御三家」
『LEGENDSアルセウス』ではシンオウ地方の過去である「ヒスイ地方」が舞台であるが、シンオウ御三家自体は野生ポケモンとして出現する。
そちらで最初に貰えるポケモンは、他地方で御三家として登場した種族がバラバラに再選出され、最終進化のみリージョンフォームという形の別ポケモンとなる。
該当地方 | くさタイプ(草御三家) | ほのおタイプ(炎御三家) | みずタイプ(水御三家) | |
---|---|---|---|---|
ヒスイ御三家 | モクロー→フクスロー→ヒスイジュナイパー | ヒノアラシ→マグマラシ→ヒスイバクフーン | ミジュマル→フタチマル→ヒスイダイケンキ |
御三家に相当するポケモン
カントーのみピカチュウ版及び『Let'sGo!ピカチュウ』ではピカチュウを最初に受け取ることから、御三家と同様の枠組みに含めることもある。
同様に『Let'sGo!イーブイ』のイーブイは、「最初にもらえるポケモン」ではあるものの、御三家に含めるか含めないかは人によって異なる。ただし関連イラストのように、御三家に準じた扱いを受けるメディアも多い。
この他にも作品によって最初のポケモンが御三家ではない場合が多く、『ピカチュウ』や『LPLE』以外では以下の例がある。
ポケモンコロシアム | ブラッキー | エーフィ | - |
---|---|---|---|
ポケモンXD | イーブイ | - | - |
ポケモンレンジャー | プラスル(女主人公) | マイナン(男主人公) | - |
ポケモンレンジャーバトナージ | ゴンベ | パチリス | ムックル |
ポケモンレンジャー光の軌跡 | ウクレレピチュー | - | - |
ポケモン+ノブナガの野望 | イーブイ | - | - |
ポケモンマスターズ | ピカチュウ | - | - |
歴史
初心者にタイプ相性を三すくみで覚えてもらうというコンセプトを兼ねているため、たねポケモン(初期状態のポケモン)時点では単タイプ、進化してから複合タイプが加わる傾向が強い。
複合タイプで一番多いのは第9世代時点でかくとうであり、全9世代中5世代(+LEGENDSアルセウス)でかくとう複合になる御三家がいる、というほどの多さ。第9世代にてあくタイプともども、草御三家・炎御三家・水御三家の全てに該当者が揃うこととなった。
逆にノーマルタイプ※、でんきタイプ※、こおりタイプ、むしタイプ、いわタイプ、ドラゴンタイプ※の御三家ポケモンは不在。
※特例としてイーブイ、ピカチュウ、メガジュカイン、メガリザードンXが存在。
ちなみに最初からの複合タイプ持ちはどちらもくさタイプで、どくタイプ複合のフシギダネ、ひこうタイプ複合のモクローが該当する。
「御三家全てがたねポケモン状態で複合だった」という例は未だにないが、「最終進化しても全員が単タイプのまま」という例は第2世代と第8世代の2例存在する。
シリーズ全体で見ると、野生ポケモンが比較的希少かつ序盤のくさタイプ対策になるほのおタイプは活躍しやすく思えるが、序盤でいわタイプが採用されやすいジム戦では分が悪いことも。
みずタイプはくさタイプに弱いのだが、くさタイプの弱点であるこおりタイプのわざをわざマシンなどで覚えるため、くさタイプおよびほのおタイプの両方に対処しやすくなっている。とはいえ同じみずタイプへの対抗策に乏しくなるというデメリットもあるため、必ずしも万能ではない。
登場当初から「ストーリーにおける格差」というものが存在した。どのタイプが優遇されどのタイプが冷遇されているかは世代により異なるが、第3世代までは序盤でゲットできるみずポケモンの種類が限られるという問題があり、さらに『なみのり』『たきのぼり』といった秘伝技が攻略のために必須だったこともあり、強いて言えばみず御三家が常に不遇を回避している状態といえた。
とはいえ、経験値タイプは105万と一般的な成長速度であり、育成には苦労しないため、ほかのポケモンと弱点を補完しつつ進んでいきさえすればまず詰むことはない。いわゆる「不遇」な御三家が苦労するのは手持ちの選択肢が少ない序盤のジム戦、あとは御三家単騎縛りの時ぐらいである。
基本的な能力が高水準でバランス良くまとまっているので、旅パだけでなく対戦にも使いやすい。ラグラージ・ゴウカザル・ゲッコウガ・ゴリランダー・エースバーン・マスカーニャなどがその例だろう。
ただ、特に昔の世代では「平均的に強い」程度の種族値に収まっているケースが多く、対戦では突出したところがない御三家の評価は低いのが当たり前だった。
御三家が本格的に対戦に進出したのは、専用技、強力な隠れ特性、世代の新要素等の恩恵を得られるようになった第3世代以降(実質的には御三家の隠れ特性が本格解禁された第6世代以降)である。
これらの恩恵がほぼ一切なく純粋に種族値と複合タイプと技だけで環境入りしたラグラージとゴウカザルは異質の存在である。
旅パでも「突出した部分に乏しい」という部分が足を引っ張る場合があり、特に第5世代では新ポケモンの多さもあって御三家を旅パから外すユーザーが続出しており、相対的に秘伝要因になれるダイケンキがストーリー攻略面で評価されるような事態にもなっていた。
作中ではほとんど言及されないが、御三家のポケモンたちは皆希少種であるらしく、第2~5世代は野生個体が出現せずモブトレーナーもほとんど使用しないという状態であった。第1世代は野生出現しないがモブトレーナーが普通に繰り出してくる。第6世代からは一部のみ野生出現するようになったが、フレンドサファリの一ヶ所限定だったりしまスキャンという特定の方法を使わない限り出現しなかったりとごく低確率だったりする。
また、希少性や特別感を出すためなのか、繁殖しづらいようにオスとメスの比率が極端に偏っており、7:1でオスが多いという仕様もある(上述のイーブイも同様)。アシレーヌなどの明らかにメスを意識してデザインされたようなポケモンもいるためそれを狙ったり、アニポケのキャラクターの真似をしてメス御三家をゲットしようとすると、自然とハードルは高くなる。
初代時点では最終形態の種族値合計は全員425で統一されていたが、金銀になり「とくこう」「とくぼう」の分化が行われた際に、「くさタイプ:525、ほのおタイプ:534、みずタイプ:530」という合計値に設定されたため、タイプ間で差が生まれてしまっていた。
その後は多くの世代で種族値合計530に統一する動きになっている。
現在種族値合計が最も高い御三家最終形態は、何故かその世代の3匹の中で唯一合計値が高かったラグラージ(535)である。
博士からモンスターボールに入った状態で貰うのが一般的なため、モンスターボール以外のボールに入れる(いわゆるオシャボ厳選)難易度は高い。
第8世代時点で、第1~6世代の御三家は野生出現するポイントがあるため厳選可能だが、逆に言うと第7・8世代の御三家はこれができない。また、サファリボール・コンペボール・ドリームボールは「入手できるが御三家には使えない」という状況が多く、サファリとコンペはカントーとホウエンの御三家、ドリームはカントー・ホウエン・シンオウの御三家にしか使うことができない。
そして、第9世代にしてなんと、DLCにて1〜8世代の御三家が全員野生で出現することが発表され、これによりオシャボ厳選の難易度が急激に低くなった。それ以前でも、最強のテラレイドバトルにて一部の御三家が、一度だけだが好きなオシャボで確定入手することができた。
アニメにおいても「シリーズやその世代の顔」であるため出番はぶっちぎりに多い。詳細はポケモン御三家(アニポケ)を参照。
容姿
御三家のデザインに関して、爬虫類または両生類モチーフが投入されたり(アローラを除く)、炎御三家は最終進化で直立するなどの傾向が見られる。
共通する特徴としてはいずれも脊椎動物がモチーフ(チコリータ系統のみモチーフが曖昧だが恐らくは恐竜→脊椎動物)であり、むしタイプや軟体動物が御三家になった事はない。完全な魚類型もまた登場していないが、ムツゴロウがモチーフのミズゴロウは両生類の特徴を与えられて登場している。また、亀・カエル・猫・ワニは2回モチーフに起用されており、過去にモチーフとなった動物を再起用しないといった縛りもない様子。
近年は、炎御三家に限らず最終進化で直立する御三家ポケモンが増えている。また、ポケモン全体のデザインの複雑化により、服やアクセサリーにしか見えない模様や器官があったり、人間文化的または機械チックな能力があったり、顔が動物なだけで人間のようだったりするようなポケモンも珍しくなくなっており、御三家もその例外ではない。
第5世代からは動物をベースとして明確にもう1つのモチーフを付け加えるようになっており、第6世代からは動物+クラスで統一されている。ただし、ただただ組み合わせるのではなく、ベースの動物と何かしら共通点を見出す(例:
- カエル+忍者…水面を駆け回ったり水中で忍んだりする、水のように変幻自在、カエルの忍術を使う自来也
- フクロウ+アーチャー(ロビンフッド)…木陰や森に潜む、狩猟や戦闘のスタイルが暗殺
- トラ+プロレスラー…強面で力強い、タイガーマスク
- ゴリラ+ドラマー…ドラミング、パワフル、木を道具として使う→楽器も木製が多い
- 野ウサギ+サッカー選手…脚力が強い、平原を駆け回り跳ね回る
ポケダンでの扱い
どの世代においても御三家に数えられるポケモンとピカチュウは主人公とパートナーに選べるように設定されているが、御三家以外のポケモンも主人公に選択できるので本項でも取り上げる。
なお、以下のように扱いが特殊なシリーズもある。
赤・青の救助隊
第1世代から第3世代までの御三家およびピカチュウが主人公・パートナー候補。
加えて主人公枠限定でニャース、コダック、カラカラ、ワンリキー、イーブイ、エネコも選抜可能であり、ゲーム開始前の心理テストの結果に応じて決定される仕組み。
特にえんまくを使えるヒノアラシやかなしばりを使えるコダックは本作におけるバランスブレイカーであった。
選んだキャラクターによって最初から行ける「ともだちエリア」(本家でいうボックス)が決定でき、中にはクリア後でないと入手できないエリアもある(例えばヒトカゲを選ぶと「切り立った山」が手に入る)。
これを利用すればエンディング後にしか仲間にできないポケモンも仲間にできてしまう(先述のヒトカゲであれば、ココドラが仲間にできる)。
なお、イーブイを主人公にした場合、友達エリア「変化の森」はブイズ専用となる為、イーブイを楽に入手できるという点を除き、クリア前時点では特にうまみはない。
選ばれなかった主人公やパートナーは他のダンジョンでも仲間にできるが、たねポケモンは高難易度ダンジョンで出現したり(※)、最終進化はダンジョンで仲間にできる種とそうでない種がいるなどコンプはかなり面倒。
幸いにも御三家の中間進化とピカチュウがダンジョンで低確率ではあるが、仲間になってくれる。
余談だが、カントー御三家のうちリザードンとカメックスは救助隊のリーダーという設定だが、フシギバナのみストーリーに毛ほども関わってこない(強いて言うならプレイヤー側がその枠か)。
(※)フシギダネ、コダック、イーブイ、チコリータ、ヒノアラシ、ピチュー、キモリ、アチャモ、エネコとかなりの数が「幸せの塔」に出現する。
余談だが、ヒトカゲ、水御三家、カラカラ、ワンリキーはそれ以外のダンジョンで仲間になるのでコンプは楽(特に水御三家は最終進化系がマクノシタ訓練所の「チームハイドロズ」で全員低確率で仲間になるという謎の高待遇である)。
時の探検隊/闇の探検隊
新たに第4世代の御三家も選択可能に。
加えて主人公枠限定としてニャースとエネコが続投、カラカラ、ワンリキー、イーブイの三体がリストラされた代わりにゴンベが選択可能となった。
マイナーチェンジ版の『空の探検隊』ではニャースとゴンベがリストラ、男子限定でリオル、ゴマゾウ、コリンク、女子限定でエネコ、ロコンが追加され、イーブイが復帰した。
友達エリアの廃止やポケモンを仲間にできるダンジョンの増加により、コンプのしやすさは格段に上昇したのが大きな特徴。
すすめ!炎の冒険団/いくぞ!嵐の冒険団/めざせ!光の冒険団
この作品では固有のパートナーや主人公はおらず、作品ごとに選べる初期メンバーが決まっている。
なお、本作では唯一草御三家が初期メンバーから外されている。草御三家に何があったと言うのか。
炎の冒険団では歴代ほのお御三家に加え、ロコン、ガーディ、イーブイ、ヒメグマ、ミミロルが初期メンバー。
嵐の冒険団では歴代みず御三家に加え、ウパー、ゴマゾウ、ルリリ、ソーナノ、リオルと青いポケモンで統一。
光の冒険団ではライチュウを除いたピチュー系譜、ニャース、コダック、メリープ、トゲピー、エレキッド、コリンク、パチリスと黄色いポケモンやでんきタイプが中心となっている。
マグナゲートと∞迷宮
ピカチュウが選べるのは共通だが、選べる御三家は当時の現行世代であった第5世代産のみ。
その他枠として新たにキバゴも選択でき、パートナーは主人公候補から外れたポケモンから決定される。
超不思議のダンジョン
第1世代から第6世代までの御三家が選べるようになった。
なお、御三家以外からの候補はピカチュウとリオルのみになっており、そういう意味ではバリエーションは狭まったと言える。
関連イラスト
関連タグ
ポケットモンスター ポケモン ポケモン一覧
御三家 ヒスイ御三家 鳥御三家 トカゲ御三家
御三家…ポケモンとは無関係の語源はこちらを参照。
三猿…第5世代において御三家の相性補完枠として登場。この縁からか「ちかい」系の技を覚えたり、隠れ特性が御三家の通常特性になっている…が、扱いは優遇されているとは言い難い。
ポケモン御三家のみが覚えることが出来るわざ
くさのちかい、ほのおのちかい、みずのちかい
ハードプラント、ブラストバーン、ハイドロカノン