概要
ポケモンシリーズで冒険の最初に選べるポケモン御三家の内くさタイプ枠全般を指す総称である。ここでいう御三家は三匹組という本来の意味ではなく「御三家」の中の「草」タイプの略称に過ぎない。
ゲームでは、ねむりごな・やどりぎのタネ・みやぶるなど捕獲に役立つわざも持っていることが多いためそこそこ人気がある一方、後述するようにタイプ一致わざ以外のレパートリーに乏しいものが多いため、技不足に悩まされる。
これに敵との相性の悪さが加わった場合難易度はさらに上がる。歴代だと特にチコリータがこの「技不足」と「相性不利」を兼ね備えた例として挙げられることが多い。
この草御三家に限り
- 通常特性は全員が「しんりょく」で固定されている(隠れ特性は例外)
- ポケモンFRLGから最終形態のなつき度が高いとある場所で「ハードプラント」を教えてもらえる(元々はフシギバナの専用技、ポケモンDPから全最終形態に解禁された)
- ポケモンBWからはある場所で「くさのちかい」を教えてもらえる
という共通点がある。
ステータスは素早さ・攻撃面・耐久面それぞれが高いポケモンがバランス良く分かれているといったところ。特に素早さはジュカインやマスカーニャが速くドダイトスが遅い。
覚える技に関しては、なぜか物理技を多く覚える傾向にある。物理アタッカー運用が主流のドダイトス、ブリガロン、ゴリランダー、ヒスイジュナイパー、マスカーニャはそれで良いのだが、他の草御三家からすれば、特殊技がタイプ一致技の他にほとんどないという状況。御三家なのに…。
特に鋼対策が乏しく、特殊型で運用するにはほぼめざめるパワーのほのおが必須。ないとだいたいエアームドかふゆう有りのドータクンで止まります(補助技で強引に突破する事も出来なくはないがかなり難しい。)。特にジャローダはめざめるパワーがなければロクに戦えない。ジュカインも鋼対策が命中率不安定なきあいだまか先制だが低威力のしんくうはぐらいしかなく、他の特殊技も乏しいためめざめるパワーが欲しくなる場面が多い。8世代からはめざパが廃止され、更に苦しくなった。
半減・弱点共に多い草にもかかわらず草単が半分を占めている(御三家に限らず初期のくさタイプは何故かサブウェポンをもらえない傾向があった。)事や、二足歩行も少なくパンチ技を覚えない種族が最終進化に多いのがレパートリーの乏しさの元凶だろうか。
その代わりやどりぎのタネやしびれごなをはじめとした変化技を多く覚えるため、テクニカル戦法をとるタイプとして設定されているものと思われる。
ただし近年はその不遇傾向を補うためか、くさタイプ全体が個性的かつ高性能になりつつあり、御三家もその恩恵を受けている。そのため、隠れ特性に関しても炎ほどではないが有用なものが増えた。
- 特に目を引くのはジャローダの「あまのじゃく」で、めざめるパワーが必要なくらい貧相な技のレパートリーもこの特性に合わせたバランス調整とも言われている。ただでさえ素早さと耐久が高いのに、それに加えてリーフストームで本来下がるはずの火力をどんどん上げることができるためだ。
- フシギバナの「ようりょくそ」も目を引くものがあるが、メガシンカが別方向に上を行く性能を持っていたため現在はメガシンカ前を考慮し通常特性のまま厳選される事の方が多い。ただし、第8世代では、メガシンカが廃止された代わりにだいちのちからとウェザーボールとキョダイベンタツを獲得したため、晴れパのようりょくそアタッカーとしての需要も上がりつつある。
- ゴリランダーはカプ・ブルルと同じグラスメイカー。ダイマックスの技によりそれ以前のタイトルよりもフィールドの書き換えが激しいものの強力な特性であることに変わりなく、グラススライダーをはじめとする習得技との噛み合いも相まってかなりの活躍ぶりを見せている。キョダイマックスでの草技でグラスフィールド状態にできなくなるデメリットを自身のグラスメイカーである程度補うことも。
- マスカーニャはかのへんげんじざい。同特性の先輩が暴れたせいでようやく順番が回ってきた時に限って弱体化を喰らう羽目になった(※)ものの、それでもサブウェポンをメインウェポンのような威力で撃ったり、低耐久とはいえ苦手な技を読んで受けられることが強力であることには変わりない。また、幸いにもとんぼがえりを覚えるので、引っ込めることでリセットできる。
- また、ブリガロンの「ぼうだん」も地味に強力。シャドーボールやヘドロばくだん、きあいだまを防げることでゲンガーに対しての牽制になっていた。くさタイプであるが故の粉・胞子耐性や、ニードルガードと組み合わせればなかなか優秀な盾である。もっとも、ファイアローやメガボーマンダ、カプ神などが逆風となり目立つ機会は少なかったが。
※…テラスタルを際立たせるための調整でもあるが。
草御三家一覧
世代 | 地方 | たね | 1進化 | 2進化 | 別形態 |
---|---|---|---|---|---|
1 | カントー御三家 | フシギダネ | フシギソウ | フシギバナ | メガフシギバナ/キョダイマックスフシギバナ |
2 | ジョウト御三家 | チコリータ | ベイリーフ | メガニウム | イルミナメガニウム |
3 | ホウエン御三家 | キモリ | ジュプトル | ジュカイン | メガジュカイン |
4 | シンオウ御三家 | ナエトル | ハヤシガメ | ドダイトス | - |
5 | イッシュ御三家 | ツタージャ | ジャノビー | ジャローダ | - |
6 | カロス御三家 | ハリマロン | ハリボーグ | ブリガロン | - |
7 | アローラ御三家/ヒスイ御三家 | モクロー | フクスロー | ジュナイパー | ヒスイジュナイパー |
8 | ガラル御三家 | サルノリ | バチンキー | ゴリランダー | キョダイマックスゴリランダー |
9 | パルデア御三家 | ニャオハ | ニャローテ | マスカーニャ |
アニメでは
アニポケではサトシのポケモンになることが多いが、それに限らず、ライバルトレーナーのポケモンとしても登場することがある。
シンジ:ドダイトス
シューティー:ジャローダ
シトロン(旅仲間でもある。)とアラン:ハリマロンの進化系列(前者はハリマロン、後者はブリガロン)
ハウ:ジュナイパー
…という組み合わせで、この時点でライバルのポケモンになってない草ポケモンは、フシギバナとゴリランダーである。大半がアニオリキャラだがシトロンとハウは原作シリーズから登場しているライバルである。
DPのドダイトスを最後にサトシ一行の手持ちは進化前の方が人気があるためか、1回も進化せず、進化系はライバルに持たせるという事態が起きている。
- フシギダネ→ある回で自分の意思で進化を止めている事が判明した為、フシギバナはハルカやククイ博士の手持ちとして登場。
- ツタージャ→進化しない理由は現在も不明であり、ジャローダはシューティーの手持ちとして登場。
- ハリマロン→サトシの手持ちではなく旅仲間及びライバルであるシトロンの手持ちだが未だ進化してない為、ブリガロンは単発ゲストらの手持ちとして、またポケットモンスター(アニポケ第7シリーズ)にてアランの新たな使用ポケモンとして登場。
- モクロー→ある回にてかわらずのいしを食べてしまったのが原因である為、ジュナイパーはハウの手持ちとして登場。
- サルノリ→ゴウの個体が進化しないままシリーズ自体が終了。ダンデがゴリランダーを所持していた為なのか新無印終了時点で進化はすることは無かった。彼はエースバーンとインテレオンも持っている事からサルノリを進化させない理由はないのだが……。
これに関してはポケットモンスター(アニポケ第8シリーズ)の新章においてリコのニャローテがキービジュアルに登場している事から苦節14年、ようやく草御三家の進化が復活する形となった。
小ネタ
外伝やメディアでの扱いについて
上記の通り、アニポケではサトシ及びライバルのポケモンに入ることが多く、フシギダネやモクローなどの進化前の人気が高いものの、グッズなどのメディア露出では、炎御三家や水御三家に比べて扱いがよろしくない感じ。
そのアニポケでも、最近まで進化させてもらえない期間が長く続いたことは上述の通りである。
グッズや外伝作品のパッケージでは同期の炎、水御三家が描かれているのに草御三家だけいないということもザラであり、6世代からは、
- 劇場版でいましめの壺を作るシーンで必要なものに「炎」「水」に加えて草の代わりに「土」が挙げられている。これだけならまだしも、その際炎と水に使用したポケモンがゲコガシラとテールナーであり、ハリマロンがハブられている感が拭えない。(※1)
- 上記に伴い、配布されたアルセウスがブラストバーンとハイドロカノンを覚えているのにハードプラントを覚えていない。代わりにだいちのちからが添えられているが、大文字とハイドロポンプなどいくらでも該当する技はあったろうに。配信による特別感を出すためだろうか?その反動でアルセウスとの関連性が疑われるシルヴァディが覚える誓い技がくさのちかいのみになった説があるが真相は不明。
- スマブラシリーズでは草御三家だけが最終進化単体で参戦したことがない。(※2)
- ↑一応、フシギソウがポケトレの手持ちとして参戦しているが、Xではタイプ相性を再現した結果3匹の中では最弱性能になったり、亜空の使者ではリザードン探しのついでにフィギュアになっていたところをゲットされるだけで目立った見せ場がない等やはり扱いは悪い。
- ポケモン関係者の公開オンライン会議でヒバニーとメッソンのぬいぐるみが映っているのにサルノリだけいない。また、いらすとやコラボの缶バッジではゴリランダーだけハブられている
- ポケモンエボリューションで主人公やライバルの手持ちとして登場したのはグリーンのフシギバナのみ。草御三家だけが主人公の手持ちとして登場しない。
- ポケモンUNITEにて2024年8月の時点でカロス御三家とガラル御三家でブリガロンとゴリランダーだけ参戦していない。また、今でこそジュナイパーとマスカーニャがいるが、初期メンは全員揃ったカントー御三家のフシギバナを除けば草御三家のみ単独参戦がなかった。
- ポケダンシリーズでは半減と弱点の数で本編以上に道中で苦戦しがちである。特に赤・青の救助隊では中盤のボスを三鳥が担当している関係上、弱点はつかれこちらのメインウェポンは半減と恐ろしい難易度と化す。これに加え上述の通り草御三家だけがパッケージに映っていない。(※3)
など格差が顕著になってきている。
このため、「御三家はみんなが選んだポケモンなのに優遇が偏っている」などの声もあり、特に純粋に草御三家が好きな人、毎回くさタイプを選んでいる人からの不満の声も多い。ただただ性能やメディア露出で不遇なポケモンは他にも山ほどいるのだが、御三家は最初のパートナーいわば主役のポジションであるため、それが際立ってしまうのだろう。一方で、一部の炎御三家やポッチャマやゲッコウガなど特定のパートナーポケモンが性能、アニメでの活躍、外伝や他作品コラボやグッズなどで頻繁に目立つ形で優遇されることが、さらに拍車をかけている。
このような冷遇ぶりの理由としては、
- 弱点タイプと半減されるタイプが多くシナリオクリアに苦労する
- 大柄や重量級である、耐久戦法やテクニカル戦法がメインなど、どちらかといえば主人公向けでなかったり、万人(特に子供や女子)に受けにくい要素が多い
- 他二つと比べて緑や木属性自体が派手な演出がしづらい
- 単純に炎御三家や水御三家の人気が高すぎる
- 四足歩行や手足なしが多くアクションシーンや着ぐるみショーで扱いにくい(※4)
などが挙げられているが、あくまでファンの憶測の域を出ない。
それに、フシギダネ系列をはじめとする四足歩行はつるのムチを手のように扱っているし、近年では二足歩行で手や武器を使いそれなりにサブウェポンを充実させ、アタッカーが主流の草御三家も増えている。木属性でも花弁や木の葉を舞い散らしたり巨大な樹を暴れさせるなど派手な演出は不可能ではないと思われる。また、イメージカラーが緑でも主人公キャラや人気のキャラクターは多いのだから、それを参考にしてでも少し頭をひねれば・・・・・
余談だが、総選挙イベントの「ポケモン・オブ・ザ・イヤー」でホウエン地方の人気トップ3に輝いたのは全て緑色のポケモンだったりする。ちなみにジュカインがそれに次ぐホウエン4位であった。惜しい!
とにかく、草御三家にもリザードンやゲッコウガのように、対戦、アニメ、グッズと多方面で活躍し、地方別人気や一般層に対する知名度がダントツ一位になるポケモンが現れることが望まれる。
※1…ちなみに土はわざわざその辺から引っ張ってきたゲストのヒポポタスである。(XY本編の時点でシトロンのホルビーをじめんタイプを含むホルードに進化済みにさせると言う発想が無かった)
※2…その代わりかは不明だが、ポッ拳では最終進化形のジュカインとジュナイパーが登場、ポケモンUNITEにもフシギバナ、ジュナイパー、マスカーニャが参戦している。また、桜井Dはあくまで個性を重視した人選を行なっており、事実SPではジュナイパーとガオガエンとでギリギリまで迷ったとか。
※3…ただ、このゲームでは最強クラスの連続技「タネマシンガン」の技マシンがあるとタイプ相性を無視したゴリ押しが可能となり一気に難易度が変わる。他にはキモリならHPを担保出来るドレイン技の「すいとる」を最初から使えるため他と比べると比較的楽になる。
※4…ただし四足歩行のポカブ、イーブイ、ニャオハの着ぐるみはあるし、イーブイやそれこそニャオハの着ぐるみは二足歩行にアレンジされている。フシギダネ「その発想が赤緑当時にもあればよかったのに・・・・・」
モチーフについて
他の御三家と比較した場合、爬虫類モチーフの比率が多め。
参考までに本タイプの場合はツタージャ(カナヘビあるいはヘビ)、キモリ(ヤモリ)、ナエトル(亀)の三匹。広義的な爬虫類を指すのであれば、恐竜型のチコリータも含まれる(
フシギダネ系もモチーフはカエルであるが、最終進化系のフシギバナの英名は「venusaur」(venus flytrap+dinosaur=ハエトリグサ+恐竜。和訳するとハエジゴクトカゲ)となっている。
ちなみに、BW発売と同時に発売された雑誌「ポケモンぴあ」のインタビューでは「くさタイプと哺乳類を合わせると気持ち悪くなってデザインしづらい」といった旨のコメントがされている。毛皮と植物の合成グラフィックが難しいためだろうか?緑という色自体が爬虫類を連想しやすい色というのもあるかもしれない。
ただし、最近ではハリマロン、サルノリ、ニャオハと哺乳類の草御三家も増えており、事実剣盾→SVでは連続で哺乳類という記録を達成。また、御三家に限らず最近は哺乳類モチーフのくさタイプも増えている。
他のタイプの場合、爬虫類モチーフは、水御三家はワニノコ、ゼニガメ、メッソンで三体。炎御三家はヒトカゲとホゲータの二体。
なお、草御三家には「絶滅生物がモチーフ」と言う説がある。「炎御三家は十二支」説、「水御三家は武器」説と並ぶ裏モチーフの都市伝説である。
おそらくフシギバナ=恐竜と言う所から来た説であろうが、そもそもだいたいの生物は絶滅生物を始祖に持つと言うごく当たり前の事実があるため、生物モチーフのポケモンは草御三家に限らずだいたい簡単にこじつけられてしまう。
その事もあり、「無理なこじつけが話題になりやすい炎御三家」「オーダイル=メリケンサックと言う目立つツッコミどころがある水御三家」と比べて、語られる事が非常に少ない。
一応、ジュプトルがラプトル(ラプター。小型肉食恐竜に付けられる名称で「略奪者」の意)の特徴を、メガニウムが雷竜体型である(ブラキオザウルスなどの仲間)など古生物の要素を持った種が0というわけではないが、それをもって「草御三家の共通点」と言い張るには大分無理があるだろう。
関連タグ
カントー御三家 ジョウト御三家 ホウエン御三家 シンオウ御三家 イッシュ御三家 カロス御三家 アローラ御三家 ガラル御三家 ヒスイ御三家
ドレディア:第5世代から登場した草御三家最大の敵。