概要
『ポケットモンスター ソード・シールド』の舞台となる地方。
全体的に落ち着いた雰囲気を持つ一つの大きな列島。
複数の島々から成り立ち解放的な空気が漂う前世代の舞台アローラ地方とも、落ち着いた雰囲気は同じだが大きな大陸の中にある前々世代の舞台カロス地方とも異なる雰囲気を持つ。
イッシュ地方とは旅の移動手段として鉄道が整備されていること、隕石から姿を現した化け物に関する昔話といった共通点を持ち、さらに生態系も似ている様子(イッシュ初出のエスパー・ゴーストポケモンが幻2匹以外全ており、ダンゴロ系が広範囲に、その他のイッシュ初出ポケも数多く棲息)。
さらには2人の英雄と2匹のポケモンにより社会の基礎が築かれている点もイッシュと同じなのだが、ガラルではこの歴史がねじれて伝わっており、2匹のポケモンの存在が歴史から抹消されていた。
ここでも複数のポケモンにリージョンフォームが確認されている。
公式では「様々な表情を持つ」と紹介されており、南部は森と田園穀倉地帯、北部には雪山が連なる山脈に近代都市もある、言わば上空から眺めれば「盾に剣が差し込まれる」と例えられる。
人間とポケモンが力を合わせて産業を発展させてきたらしく、中央部は旧王家の時代より丘陵地帯から石を積み上げた橋を掛け、街と街を繋いでいる。
またこの地方のみ、ポケモン勝負の最中ポケモンが超巨大化する固有の現象が確認されており、現地のポケモンリーグではそれを利用した仕組みも取り入れられている。
人々の服装からニット帽や、スキー帽、ベレー帽。シャツやトレーナーの重ね着、厚みのあるカーディガンやブレザー、パーカー、スタジャン、パネルシャツ、ポケモンロゴ付き、ボア付きジャケット、長ズボンと大分秋物、冬物と捉えられる程に年間の平均気温が低く、暖炉やファンヒーターを一軒で一部屋づつ備えている(イッシュの様に四季が訪れる可能性も捨てきれないが)。
ワイルドエリアでもしょっちゅう降雪している。ただ、この地帯はゲーム中では区域ごとに天気が違い、少し移動するだけで天気が快晴→豪雨→砂嵐となるようなデタラメな場所で、常識は通用しないが。
ちなみに、この地方の新ポケモンはアオガラスやスナヘビなど、単語をそのまま繋げて組み合わせた、モチーフが推測し易くてシンプルで覚えやすい名前のポケモンも少なくない。
LEGENDSアルセウスでは「ガラル地方から来た人がポニータがほのおタイプであることに驚いていた」という台詞があることから、はるか昔の時代から他の地方と交流を持っていたらしいことが窺える。
モデル
中部の都市にある時計塔の形状、御三家が登場する場面に歯車や煙突があった事から鑑みて、基本モチーフはイギリス(グレートブリテン島)で、時計塔のモデルはイギリスの首都:ロンドンにあるビッグ・ベンではないかという推測が、早い段階からファンの間ではなされていた。
その後、発売後にイギリス版の公式ツイッターにより、ファンの推測通りモデルがイギリスであることが正式に判明した。
全体的な形状の他にも、ポケモンリーグをさながらスポーツの試合のように描いており、一部のファンが暴徒と化しているという描写も、サッカーやラグビーなどのスポーツが盛んにおこなわれているイギリスの特徴を反映したものと考えられるし、本作でカレーが何かとプッシュされているのも。イギリスでカレーが国民食として人気があることが元ネタになっているものと思われる。
新登場するポケモン達も、
- 産業革命の象徴である蒸気機関や煤煙をモチーフとしたガラルマタドガスやセキタンザン
- 英国人の大好物である紅茶をモチーフとしたヤバチャ→ポットデス
- 発祥のスポーツであるサッカーをモチーフとしたエースバーン(加えてピーターラビットの発祥国である)
- 文学作品『ジキルとハイド』をモチーフにしたと思われるモルペコ
- 喜劇王:チャップリンをモデルとしたバリコオル
- スパイ映画の主人公を思わせる風貌をしたインテレオン
- 化石発掘地の『ジュラシック・コースト』が有名である故に化石ポケモンが一新される
- 北欧だけでなくイギリスにも点在するルーン石碑をモデルとしたデスバーン
- イギリスの植民地であったインド生まれのインドゾウをモデルとしたダイオウドウ
- イギリスに多数生息するジャコブヒツジをモデルにしたと思われるバイウールー
- 観光地として有名なストーンヘンジがモチーフのイシヘンジン
- イギリスの植民地であった香港の代名詞とも言える武術をモチーフとしたダクマ→ウーラオス
等、イギリスの歴史・文化・慣習等を意識したものが多い。
伝説ポケモンであるザシアン・ザマゼンタもイギリスの伝承である『アーサー王伝説』を基にしていると思われ、他にもネギガナイトやブリムオン、ガラル三鳥等『アーサー王伝説』や『ケルト神話』等から着想を得たと思われるポケモンは多い。
その一方で、イギリスをモチーフとしているのにもかかわらず、古参のポケモンの中にはヨークシャー・テリアをモチーフとしたハーデリア、ロビンフッドをモチーフとしたジュナイパーなど、発売当初は惜しくも登場できなかったポケモンも多かったが、DLCにて多くのポケモンが新規追加されている。
また、こちらも移民の国である実際のイギリスをモデルとしたのか、住人やトレーナーの人種が実に多様なのも特徴で、白人風の人物が大半だが、中にはインド系やペルシャ系、地中海系、東洋系、アフリカ系の人物もいる。
BGMにもイギリスを意識した音色が含まれていたりする。一部エリアで流れるBGMのバグパイプなど。
これ以外にも、イギリスの文化やお国事情を知っていると思わずニヤリとするような台詞・描写はそこかしこに散りばめられており、それらの元ネタを調べていくのも本作の楽しみの1つと言える。
ポケモンは『BW』以降、舞台のモデルが海外になるのが慣例となりつつあるが、ここまでモデルとなった場所を強く意識した描写・演出が取られているのもかなり珍しい。
これに関しては、実際にイギリス人のゲームクリエイターがディレクターを務めていたところによるところが大きいのではないかという指摘がある。
余談だが同じ年に公開された実写版「名探偵ピカチュウ」の撮影場所はロンドンとスコットランドである。
また、地図自体はLPLEで壁に掛けられた絵画として登場しており、この時から第8世代の舞台はイギリスモチーフなのではないか?という説が挙がっていた。
その他あれこれ
- ガラル地方に点在するポケモンの巣のモチーフは北アイルランドの石柱群である「ジャイアンツ・コーズウェイ」が参考になっている(出典:『Galar Expedition Guide』)。
ガラル地方の地名一覧
街
「○○シティ」という名の街は3ヶ所と、前世代の舞台であるアローラより少なく、歴代最少である。
名前 | 英語名 | モデル | 由来? | 備考 |
---|---|---|---|---|
ハロンタウン | Postwick | ケズィック、グラスミア(※1) | furlong:ヤード・ポンド法における距離の単位 / ハロン棒 | 主人公・ホップ・ダンデの家がある |
ブラッシータウン | Wedgehurst | ボウネス・オン・ウィンダミア(※1) | brassie:ゴルフの2番ウッド | |
エンジンシティ | Motostoke | マンチェスター | engine:発動機or円陣 | エンジンスタジアム |
ターフタウン | Turffield | ヨーク | turf:芝地 | ターフスタジアム |
バウタウン | Hulbury | リバプール | bow:船首 | バウスタジアム |
ナックルシティ | Hammerlocke | バーミンガム | knuckle:拳 | ナックルスタジアム / ムゲンダイナ |
ラテラルタウン | Stow-on-Side | ボクストン | lateral:横の・外側の | ラテラルスタジアム |
アラベスクタウン | Ballonlea | ノッティンガム | arabesque:バレエの技法の一つ | アラベスクスタジアム |
キルクスタウン | Circhester | バース | circus:古代ローマの戦車競技場 | キルクススタジアム |
スパイクタウン | Spikemuth | ウェールズ地方 | spike:スパイク | マリィ・ネズの出身地 |
シュートシティ | Wyndon | ロンドン | shoot:シュート / 日本語の首都 | シュートスタジアム / ポケモンリーグ本部 / バトルタワー |
(※1)出典は『Galar Expedition Guide』より。
名所
名前 | 英語名 | モデル | 由来? | 備考 |
---|---|---|---|---|
まどろみの森 | Slumbering Weald | グリズデールの森 | ザシアン / ザマゼンタ | |
ワイルドエリア | Wild Area | 湖水地方 / ピーク・ディストリクト国立公園 | ||
ガラル鉱山 | Galar Mine | 不明 | ||
ルートナイントンネル | Route 9 Tunnel | |||
第二鉱山 | Galar Mine No.2 | 不明 | ||
ルミナスメイズの森 | Glimwood Tangle | シャーウッドの森 | Luminous Maze:光の迷宮 |
「どうろ」について
ガラル本土は北・中央・南の3つのエリアに分断されており、それぞれのエリアを繋ぐような道路(従来の「どうろ」)は存在せず、これらのエリアを行き来するには鉄道か空飛ぶタクシーが必要。
必然的にガラルにおける道路はそれぞれのエリア内の町同士を結ぶ役割を果たしている。
そして、カロス地方同様に「すいどう」も存在しない。
中央のエリアに関しては内部でさらにナックルシティ側とエンジンシティ側に分かれており、この2つを徒歩で行き来するには道路ではなくワイルドエリアを通る必要がある。
また、後述のヨロイ島とカンムリ雪原は全体がワイルドエリアに似た構造になっており、「道路」は存在しない。
ヨロイ島
追加DLC「鎧の孤島」の舞台となる場所。
砂浜・森林・湿原・鍾乳洞といった豊かな自然が広がっており、これまでのガラル地方では見られなかったポケモンたちが暮らしている。
ワイルドエリアと同様、オープンワールド形式のフィールドとなっている。
モデルはマン島だが、東洋的な文化があることを窺わせる要素もある。
カンムリ雪原
追加DLC「冠の雪原」の舞台となる場所。
非常に寒冷な気候をしており、遺跡や巨大な樹木などの神秘的な景観が広がっている。
モデルはスコットランド(エディンバラ付近)で、これによりモデルになったグレートブリテン島は全て地方化された。
アニメオリジナル
「アニポケの世界・地方」を参照。