概要
ロンドン市中心部のテムズ川沿いにある国会議事堂(旧ウェストミンスター宮殿)本館の北西端には、高さ約96mの巨大な時計塔が設けられている。
「ビッグ・ベン」は元々はその大きな時鐘に付けられた呼び名であったが、いつしかその特徴的な時計塔全体を指すようになっていった。
なお愛称の由来については諸説あり、はっきりとしていない。
時鐘
1856年8月6日に鋳造された初代の鐘が使われる予定だったが、時計台の運用前に修復できないほどのひびが発生。代わりの鐘が鋳造された。重さは13.5t、高さ2.2m、直径2.9m。
1859年7月11日に初めて鳴らされたが、9月に鐘の舌によるひびが入ってしまった。3年間は最低音の鐘が時鐘を鳴らした。修繕でより軽い舌を取り付け、ひびの縁に四角い穴を開けた。また、損傷のあった箇所を叩かないよう、鐘の向きが1/8回転された。これが現在の鐘である。
毎日鳴る鐘のメロディは4つの音で奏でられる。これは日本の学校で聞くことができるチャイムのメロディの基で、正式には「ウェストミンスターの鐘」という。イギリス議会の公式サイトからメロディをダウンロードできる(外部リンク)。
2017年から2021年までは、大規模な補修のため時報が休止された。
時計塔
1843年、中世より続いてきたウェストミンスター宮殿が火災でほぼ全焼するという事件があった。
まもなく同じ場所に再建される事となったが、既に裁判所と議事堂として見なされていた以前の同宮殿には2院を収める満足な議場スペースがなかった為、これを機に設計をゴシック風に改め、全面的に規模を拡張することとなった。この時に付け加えられたのがこの時計塔である。
塔自体は1854年までに完成していたが、時計台としては後れて1859年7月1日から運用が始まり、今日に至っている。
なお、時計台の正式名称は「クロック・タワー」だったが、2012年にエリザベス女王(2世)即位60周年を受け、「エリザベス・タワー」に改称されることになった。
ちなみに時計の時間を示す刻印にはローマ数字が使われているが、「4」は伝統的な「IIII」でなく「IV」が使われている。