概要
『ポケットモンスター サン・ムーン』から追加された要素で、これまで発見されていた姿とは異なるポケモン達。言わば亜種と言うべきポケモン。
現在の所、アローラ地方・ガラル地方・パルデア地方で確認されており、それぞれの地方が持つ独自の自然環境に適応し、ほかの地方とは異なる姿とタイプを有している。
また、ヒスイ地方と呼ばれていた昔のシンオウ地方にも、一部の種族が現代では見られない姿をしていた事が確認されている。
亜種はドラゴンクエストシリーズやファイナルファンタジーシリーズなどRPGではあるあるの概念であるが、『ポケットモンスター X・Y』までのポケモンには亜種という概念が無きに等しく、姿が違うにしてもオス/メスなどの細かな差異によるものであって、ステータスやタイプに差異はないという個体がほとんどであったので非常に画期的なシステムであった(ニャオニクスなどの例外はあったが)。
リージョンフォームのポケモンたちは「<地方名>のすがた」と呼ばれ、その生態やポケモン図鑑による解説もこれまで発見されている姿とは異なっているのがポイント。
基本的に別の地方から移り住んできたポケモンが、環境の変化に適応するため在り方を変えていったものとされているが、ジグザグマのようにリージョンフォームの方が原種であったと言われるポケモンも存在する。
一様に姿・タイプ・生態は異なるものの、基本的には同じ種族であるため図鑑ナンバーは原種のものを引き継いでいる。リージョンフォームの親から原種の子が生まれたり、余所の地方から来た原種がリージョンに進化するということも普通に起こる。
中には、従来の姿では出来ない更なる進化や別の分岐進化を遂げる種族がいたり、時代と共にリージョン種が消えて原種に置き換わったりと様々な事情がある模様。
それまでの姿のポケモンは基本的にその地方では野生出現しない。『サン・ムーン』では一般トレーナーのかんこうきゃくが手持ちとして繰り出してくる。
ライチュウやベトベトンのように進化条件が変わらないポケモンもいれば、ペルシアンやキュウコン・サンドパンのように異なる進化条件となっているポケモンもいる。
『ポケットモンスター サン・ムーン』『ポケットモンスター ウルトラサン・ウルトラムーン』では進化演出の背景やBGMが通常のものとは若干異なっていた。
なお、同じポケモンが複数の姿に変化するフォルムチェンジとは異なり、任意に姿を変える事は出来ない。そのためかどうかは不明だが、これまで使われていた「フォルム」ではなく「フォーム」と表記されている。
姿を変えた経緯や時間には様々な理由や説があるが、早いものでは百年かからずにタイプや生態を変化させているポケモンも見受けられる(ゴミが問題になってから輸入され、その後に変化したベトベトン等)。
イッシュ地方のヤナップ・ヒヤップ・バオップも、元は一種のポケモンだったが、移り住んだ環境に合わせて三種に分かれたという、リージョンフォームそっくりな裏設定が存在する。
リージョンフォーム程ではないものの、環境によって姿の変化を起こすポケモンは割と多く、生まれた地域によって容姿の異なるカラナクシ・トリトドンやビビヨン、各島ごとに産出される蜜によって姿を変えるオドリドリがその代表だと言える。
全体的にポケモンという生物自体が、イーブイ程ではないにせよ環境に強く影響されやすい性質なのかもしれない。
正式な呼称は「ポケモン名」+「(<地方名>のすがた)」で統一されているが、プレイヤー側は下記のリンクにもある通り「<地方名>」+「ポケモン名」での呼称が広く知れ渡っている。
アニポケでは公式及びプレイヤー呼称の双方が使われており、統一性は無い模様。
リージョンフォームのポケモン一覧
- いずれのポケモンも正式名称は「ポケモン名(<地方名>のすがた)」であるが、幾つかの媒体や当百科では「地方名+ポケモン名」を通称としている。
- 掲載順は元のポケモンの全国図鑑ナンバーに準拠。
アローラのすがた
No. | ポケモン(原種) | リージョンフォーム |
---|---|---|
019 | コラッタ | アローラコラッタ |
020 | ラッタ | アローララッタ |
026 | ライチュウ | アローラライチュウ |
027 | サンド | アローラサンド |
028 | サンドパン | アローラサンドパン |
037 | ロコン | アローラロコン |
038 | キュウコン | アローラキュウコン |
050 | ディグダ | アローラディグダ |
051 | ダグトリオ | アローラダグトリオ |
052 | ニャース | アローラニャース |
053 | ペルシアン | アローラペルシアン |
074 | イシツブテ | アローライシツブテ |
075 | ゴローン | アローラゴローン |
076 | ゴローニャ | アローラゴローニャ |
088 | ベトベター | アローラベトベター |
089 | ベトベトン | アローラベトベトン |
103 | ナッシー | アローラナッシー |
105 | ガラガラ | アローラガラガラ |
ガラルのすがた
No. | ポケモン(原種) | リージョンフォーム |
---|---|---|
052 | ニャース | ガラルニャース |
077 | ポニータ | ガラルポニータ |
078 | ギャロップ | ガラルギャロップ |
083 | カモネギ | ガラルカモネギ |
110 | マタドガス | ガラルマタドガス |
122 | バリヤード | ガラルバリヤード |
222 | サニーゴ | ガラルサニーゴ |
263 | ジグザグマ | ガラルジグザグマ |
264 | マッスグマ | ガラルマッスグマ |
554 | ダルマッカ | ガラルダルマッカ |
555 | ヒヒダルマ | ガラルヒヒダルマ |
562 | デスマス | ガラルデスマス |
618 | マッギョ | ガラルマッギョ |
「鎧の孤島」から登場
※ガラルヤドンは「鎧の孤島」販促イベントで初登場のためこちらに記載する。
「冠の雪原」から登場
ヒスイのすがた
No. | ポケモン(原種) | リージョンフォーム |
---|---|---|
058 | ガーディ | ヒスイガーディ |
059 | ウインディ | ヒスイウインディ |
100 | ビリリダマ | ヒスイビリリダマ |
101 | マルマイン | ヒスイマルマイン |
157 | バクフーン | ヒスイバクフーン |
211 | ハリーセン | ヒスイハリーセン |
215 | ニューラ | ヒスイニューラ |
503 | ダイケンキ | ヒスイダイケンキ |
549 | ドレディア | ヒスイドレディア |
550 | バスラオ | ヒスイバスラオ(しろすじのすがた)※ |
570 | ゾロア | ヒスイゾロア |
571 | ゾロアーク | ヒスイゾロアーク |
628 | ウォーグル | ヒスイウォーグル |
705 | ヌメイル | ヒスイヌメイル |
706 | ヌメルゴン | ヒスイヌメルゴン |
713 | クレベース | ヒスイクレベース |
724 | ジュナイパー | ヒスイジュナイパー |
※基本的にしろすじのすがたと呼ばれるがポケカ等一部媒体ではヒスイ バスラオ表記の場合有り。
パルデアのすがた
作中での扱い
ポケモン世界の研究者たちの間においても、ティラノサウルスの体形よろしく昔より議論や変遷が尽きない分野であるらしく、例としてウミトリオは元々ダグトリオのリージョンフォームと考えられていたが、その後全く関係のないポケモンだと判明している。
ガラル三鳥やバスラオのしろすじのすがたなども、リージョンフォームではなく別種だという説が有力視され始めている。
それまでの作品で似たような生活をしているのに姿が変わったという例は無かったため(特に都会に棲むコラッタ等)、それぞれの大地が有する各種特殊なエネルギーに満ちた環境が必要なのではと考えるファンもいる。
他地方に連れてこられたリージョンフォームがどうなるのかは諸説あるが、アローラロコンを例に挙げてみよう。
こちらは寒冷地に適応した姿である為、元から寒いヒスイ地方に人間のパートナーとして連れて来られた際には、特に体調を崩す事なく元気にしていた。なので、基本的に体質が合えば他地方でも問題なく生きられると思われる。
とはいえ、生存できるかと定着できるかは別問題であり、現在のシンオウで生息する個体は在来種の炎ロコンが100%を占めている(野生化したと仮定した場合、交配を繰り返すうち原種に還っていった可能性も0ではないが…)。
一方、『Newポケモンスナップ』の舞台・レンティル地方では、何とライチュウやサンドパンがアローラのすがたとして生息し、逆にナッシーは首の無いエスパーのままである等、混在した生態系が確認された。
この事から「〇〇のすがた」はその地方が本土だが、完全な固有種ではなく気候などの条件さえ合致すれば、他の地方でも少数ながら発生し得る可能性が浮上した。
ポケモンが住みやすい環境を人工的に再現しているブルーベリー学園のテラリウムドームでは、アローラのすがた・ガラルのすがた・ヒスイのすがたのポケモンが生息している。
リージョンフォームの仕様
ここではゲーム本編内での仕様をまとめる。
- リージョンフォームを持つポケモンは、対応する地方では一つの例外を除き必ずリージョンフォームの姿のみ野生で出現する(上記の通り)。
- 進化系列全体でリージョンフォームを持つ場合、原種の個体を進化させてもリージョンフォームにはならない。もちろん、リージョンフォームを進化させても原種にはならない。
- 逆に、進化後のポケモンのみがリージョンフォームを持つ場合、外の地方から連れてきた個体であってもリージョンフォームが存在する地方で進化させると必ずリージョンフォームに進化する。ただし、その地方でない場所で進化させた場合はリージョンフォームにならない。
- 進化系列全体でリージョンフォームを持つ種族をタマゴから孵すときに、その地方に対応するリージョンフォームが存在する場合、たとえ原種を預けたとしても必ずリージョンフォームが孵る。一方で、その地域に対応するリージョンフォームが存在しない場合、たとえリージョンフォームを預けたとしても必ず原種が孵る。
- 例えば、ロコン♂♀2匹をアローラ地方の預かり屋に預けた場合、たとえ預けたロコンが原種だったとしても、見つかったタマゴからは必ずアローラロコンが孵る。一方で、ロコン♂♀2匹をガラル地方の預かり屋に預けた場合、たとえ預けたロコンがアローラのすがただったとしても、見つかったタマゴからは原種のロコンが生まれる。
- ただしいずれも、預ける際に♀(またはメタモンでない方)に「かわらずのいし」を持たせた場合、どの地方の預かり屋に預けたとしても、「かわらずのいし」を持たせた姿に対応した姿が生まれる。
- 原種とリージョンフォームとで進化できるか否か、または進化する先が異なる場合がある。
- ただし、ネギガナイトやデスバーンのように原種では進化できない進化形のポケモンはリージョンフォームに含めない。
- リージョンフォームで姿が違っても、同じ種族名のポケモン(例えばキュウコンとアローラキュウコン)は同時にバトルタワー・レート・ランクマッチ等に参加させる事は出来ない。ここら辺はトレーディングカードゲームにおける「同名カードは一定枚数デッキに入れる事はできない」というルールと似たようなものであろう。
転送についての仕様
基本的には後付け設定の存在である為、リメイク作品の場合、連れて行ける作品と連れていけない作品の2タイプある。
『ポケットモンスター Let'sGo!ピカチュウ・イーブイ』ではNPCからの交換などで入手できた他、GOパークを通し『ポケモンGO』から連れて来る事が出来た。
『ポケットモンスター ブリリアントダイヤモンド・シャイニングパール』は『ポケットモンスター ダイヤモンド・パール』の完全再現を謳っており、ポケモンが当時の総数である493匹しか登場しないためにリージョンフォームは連れていけない(恐らくは新規進化が追加された個体がいるためであろう)。
『Pokémon LEGENDS アルセウス』にはゲーム中のデータに存在する原種がニューラ/ロコン/キュウコンぐらいである為、それらを除いて基本的に原種は連れていけないという逆転現象が起こっている。アローラライチュウなどのゲーム中に登場しないリージョンフォームも同様の扱い(アローラのすがたで登場するのは先述の二匹のみ)。
本家では基本的に原種が登場しているゲームであれば、その作品に該当種のリージョンフォームが連れて行ける。ただし、同世代であっても後発ソフトで登場したリージョンフォームはそれよりも前に発売されたソフトには連れていけない(例えば『ポケットモンスター ソード・シールド』や『ブリリアントダイヤモンド・シャイニングパール』にヒスイのすがたのポケモンは連れていけないといった具合)。
ポケモンGO
『サン・ムーン』から追加された要素なので、実装はまだまだ先になるもの…と思われていたが、2018年5月22日に突如公式アナウンスにより、近日中にリージョンフォーム(アローラのすがた)全種が実装される予定であることが発表された。
当時はまだ『ダイヤモンド・パール』のポケモンはおろか、『ポケットモンスター ルビー・サファイア』のポケモンですらもまだ全種が登場しきっていなかったため、この発表に世界中のユーザーが度肝を抜かれたことは言うまでもないだろう(一応、開発元であるNianticのジョン・ハンケCEOは、かなり以前に「何らかの形で『サン・ムーン』シリーズとの連動要素を追加したい」という旨の発言をしたことはあった)。
そのおよそ1週間後の5月30日から登場したアローラナッシーを皮切りに、全てのアローラのすがたが実装済みである。
『ソード・シード』の発売直後の2019年11月16日には、早くもガラルマタドガスがゲーム内に登場。
それ以外のガラルのすがたのポケモンも2020年6月以降実装が始まっており、タチフサグマやニャイキングらガラルのすがた特有の進化形も進化前と同時に実装されている。
「原種とは異なる姿」という触れ込みもあってか、全体的に原種よりもレア扱いされがち。原種と出てくる頻度があまり変わらないアローラコラッタやアローライシツブテなどの例外はいるが、基本的にはあまりお目にかかれない。
ただ、本編同様、名称は原種と変わらず、アメも共有のものになっている。そのため、これまでコンスタントにポケモンを捕まえてアメを集めてきたプレイヤーなら、入手はともかく育成にはそこまで苦労はしないことだろう。
ちなみに、進化前が原種と同じであるリージョンフォームは基本的にレイドボス専用のキャラとなっており、進化による入手は基本的にできないようになっていた。ただし、2022年にアローラナッシーとアローラガラガラが、2024年にガラルマタドガスが特定のイベントに限り、直接進化させることができるようにされたことがあった。今後、他のリージョンフォームでも特別なイベントで同様の措置が取られる可能性があるため、拘りのある人は、今のうちから個体厳選をしつつ公式からの情報は念のためよくチェックしておくようにしたい。
昨今では本編と異なり、イベント外では原種とリージョンフォームが同時に出現することもある。
ジグザグマとガラルジグザグマ、ロコンとアローラロコンなどはお目にかかりやすい。
余談だが、リージョンフォームを図鑑登録した場合に原種の図鑑も埋められる仕様は本編と同じだが、本作の場合は期間限定のポケモンや地域限定のポケモンの原種の存在から、世界中で入手可能となるリージョンフォームの実装の恩恵が大きい。
例えばガラルカモネギを海外プレイヤーが入手すると、日本でしか入手できない原種カモネギも図鑑に登録できるなど。
pixivにおけるタグ例
現時点では単純な「地方名+ポケモン名」が主流であり、記事もそれに倣う。しかしながらタグ上での表記ゆれが非常に多い。以下はロコンをサンプルとした一例。
- 例1:2つつける
「ロコン」 「リージョンフォーム」
「ロコン」 「アローラのすがた」
フォルムチェンジやメガシンカなども大抵はこの2タグ併用形式であり、pixivの慣例に則った形式と言える。
- 例2:新しくタグを作ってしまう。ただし、上記のものより表記ゆれが起こりやすい。
「ロコン(リージョンフォーム)」
「ロコン(アローラのすがた)」
「アローラロコン」
ファンの間で普及している略称としては「Aロコン」、「Rロコン」、また略しやすい名前のポケモンであれば「アロコン」のように呼ばれることも(タグに向かないのは言うまでもないが)。
余談
- 生物学的には、1代で姿が変わる「ポケモンの進化」よりも、環境に合わせて累代的に姿を変えるこちらの方が正しい「進化」と言える。「ポケモンの進化は厳密には変態」といった話は昔から何かと話題になっていたが、第7世代にしてついに本来の意味の「進化」が本格的に追加された。
- ポケモンシリーズにおいては同じような変種としてポケモンカードゲームにおけるデルタ種(ホロンの環境によって、外見は同じだがタイプが変化したポケモン)がある。
- 初期のアニメでは、オレンジ諸島編でラフレシアの花弁の色や、バタフリーの翅の紋様、クリスタルのイワーク(全て水晶でできており、水に強く炎に弱い)、ホワイトストーリーで全身が雪のように真っ白なカビゴンに代表される、既存のポケモンとは違う特徴を持った変種が登場している。
- 最初期に公開されたナッシーのインパクトが非常に強いため、ナッシー以外の首がやたらと伸びたイラストも多く投稿され、それらにこのタグや、「アローラのすがた」タグが付与されることも多い。後にこれに便乗するかのようにガラルのすがたでも何かが縦に長く伸びた種が登場し、話題となった。
- 挙げ句ポケモンに対しての定義から外れナリヤ・オーキドやアニメ版サトシも公開当初のデザイン(前者はオーキド博士のいとこであって別人なのだが)の変わりようのインパクト故にこれがネタタグとして付与されることもしばしばある。
- ヒスイのリージョンについては、現代のシンオウ地方では再現できないすがたもあるからか、あくまでヒスイのすがたと呼ばれており、シンオウのすがたとは呼ばれない。
- pixivではオリジナルリージョンフォームを考案し、イラストとして投稿するファンもいる。
- 人物の性質が五十歩百歩、要するに好ましくない人物と同じ穴の狢であることを指して「AはBのリージョンフォーム」という言い回しをする場合もある。
関連タグ
パラドックスポケモン:似て非なる存在
デルタ種:過去にポケモンカードで登場した同じ種類でタイプの違うポケモン