基礎データ
ずかん | No.215 |
---|---|
英語名 | Sneasel |
ぶんるい | かぎづめポケモン |
タイプ | あく / こおり |
たかさ | 0.9m |
おもさ | 28.0kg |
とくせい | するどいめ / せいしんりょく / わるいてぐせ(隠れ特性) |
進化
ニューラ → マニューラ(するどいツメを持たせて夜にレベルアップ)
概要
『ポケットモンスター金・銀』(第2世代)に初登場した、猫とイタチを掛け合わせたような姿の黒いポケモン。
♂♀で姿に違いがあり、♂は赤い左耳の部分が長く、♀は短い。
非常に獰猛でずる賢い性格をしており、指の中に隠しているカギツメをいきなり伸ばして相手をひるませ、そのまま急所を引き裂き、動けなくなるまで攻撃を止めようとはしない。
『ポケモンレンジャー』や『時を超えた遭遇』では鉄製の檻や柵を切れるほどの切断力を見せており、切断だけでなくクライミングにも利用され、木登りも得意。
主に寒冷地の森林や山岳地帯などに生息しており、暗闇に紛れての不意打ちや集団戦法で獲物や余所者に襲いかかる。
暗闇に紛れて獲物をハントするその姿は、さながらポケモン界のアサシンともいうべきか。
特にポケモンのタマゴが大の好物で、鋭いツメで穴を開けて、中身をすする。
時にはトレーナーが育てている卵すら襲って食べてしまうらしく、それ故にブリーダーに憎まれ駆除の対象になることもあるようだ。
ポッポなどの弱いポケモンならば力ずくで排除してタマゴを奪い、強いポケモンに対しても一体が親を引きつけ、もう一体がタマゴを掠め取るというチームワークを発揮する。
こうした面からクレバーなポケモンと思われるが、進化後と違って仲間同士の計画性や協調性にすら乏しく、ピンチの時には味方を平気で盾にしてしまう卑劣さも持ち合わせている。
リーダーとなるマニューラの仕切りがなければ、獲物を誰が食うかで争いに発展することも多く、考えなしにアローラサンドなどの硬いポケモンにツメを振るって折ってしまう事もある模様。
持っているこおりタイプも「冷気や氷」というより、メインのあくタイプの側面から「冷酷」の連想とも考えられる。
ジョウト地方の登場人物でニューラを手持ちにしているのはライバルのみで彼のパートナーとしての印象が大きいのか、このペアを描いたイラストや二次創作も多い(ただしそのニューラも元は他人から盗んだものではという疑惑があるが…)。
また、他の作品ではスズナやグラジオも手持ちに入れている。
ゲーム上での特徴
あまり能力が高いポケモンではないが、第4世代では進化形マニューラが登場し、大きくパワーアップした。
基本的に戦う場合は進化させた方がよいが、マニューラに進化すると通常特性が変わってしまう。この為特に特性「せいしんりょく」を活かしたい場合進化させずに使う必要がある。
とはいえ攻撃はそこそこ高く、更にニューラは同特性持ちかつ「ねこだまし」持ち中最速であることから、ごくたまに「ねこだまし」要員として紛れていることがあったりする。
また、未進化ポケモンのみが参加できるリトルカップでは、元無進化ポケモンということもあり、ストライクなどと並んで強ポケモンとして君臨している。技構成もマニューラそのままだったり。
第7世代まではマニューラに進化させるとこおりのつぶてを覚えなくなるという仕様が存在したので、親となるニューラを進化させないまま育てることにメリットがあったが、第8世代で「マニューラに進化させないとこおりのつぶてを自然習得できない」という真逆の仕様に変わり、さらには同種の別ポケモンからタマゴ技をコピーする横遺伝が登場したことにより、ニューラのまま高レベルまで育てる意義はなくなった。
初出の金銀ではゲーム中での配色が焦げ茶色+水色と公式絵と全く違うが、これは没デザインの名残である(ドット絵を差し替えた際にゲーム中で表示する色を変更し忘れたため)。
当然ながらクリスタルでは公式絵準拠の色に修正され、以後も色違いの色として採用されることもなくこの配色のニューラは黒歴史化した模様。
ニューラの過去
今でこそ速攻物理アタッカーの役割を持てているニューラ及びマニューラだが、登場当初はこれでもかと言うほど使い勝手が悪かったポケモンである……
その理由として、登場時のあくタイプ、こおりタイプの攻撃技が全て特殊技だったことにある。
ニューラの特攻種族値はたったの35しかなく、「かみつく」も「れいとうパンチ」も特殊だったこの世代では、本来主力となるはずであるタイプ一致技がうまく使いこなせなかったのは言うまでもない。ちなみに自力習得できる最大威力の技はきりさく。
と言うよりまずかみつくが遺伝技。自力習得可能なあく技……どころか一致技は何とふくろだたきだけ(しかも習得レベルはだいぶ遅めの57)とここでもあからさまにおかしい事になっている。
それどころか、当時の1回使いきりの貴重な技マシンをニューラに使わないとまともな技がなかったために、対戦でも全く人気がなかった。
ちなみに当時の主力は「シャドーボール」などであり、今の環境を基準に考えるともはや何がしたいのかわからない状態である。
このポケモンが弱いのではないが、ゲームシステム上の構造的欠陥を抱えていたのである。
そもそもなぜ第2世代にそんなヘンテコスペックなポケモンを出したのか……
あくタイプは外見の基本としても、やはり前述の「クールな雰囲気からこおりタイプ」のイメージを強く含んでいたからか……
かといって、メタルクローに合わせてはがねタイプ複合にするのも何だか違う感じはしたかもしれないが。
そのせいもあったのか、あくタイプ使いの四天王にも使ってもらえない有様だった。
ゲンガーとかラフレシアといったあくタイプですらないポケモンを使っていると言うのに……
まあこれはライバルの手持ちだったと言うのもあるかもしれないが。
現在は相当なまでに強化されたものの、何と第7世代まではレベルアップで覚えるこおり物理技が「こおりのつぶて」しかない(しかも覚えるのは最後)。
上記の通り特攻はからっきしの為技マシンに頼るべくもなく、その為シナリオで使おうものならこおり技を諦めるかタマゴを作って「れいとうパンチ」等を遺伝させるかしかしないと相当苦しい。
教え技がクリア前に存在していれば真っ先に覚えさせたいところ。
第8世代ではこおりのつぶてがタマゴ技になってしまい、自力で覚えるこおり物理技が無くなってしまった……
が、その代わりマニューラに進化すればこおりのつぶてを技思い出しで即習得可能で、しかも第7世代に比べて技思い出しのハードルが低い(剣盾では全てのポケセンでも行える、BDSPではノモセシティの時点で行え、条件も第7世代よりは緩い)。ニューラのまま使いたいという人にとっては辛いところだが、そこにこだわらなければ第7世代よりも使いやすくなったと言える。
剣盾に関してはれいとうパンチの技マシンもあり、終盤まで我慢すればニューラのままでもれいとうパンチは習得できる。5万円と少々お高いのが問題ではあるが。
リージョンフォーム
タイプ | どく/かくとう |
---|---|
たかさ | 0.9m |
おもさ | 27.0kg |
→ヒスイニューラ→オオニューラ
ポケモンGOでは
金銀組の実装に伴い登場した。
同ゲームではこおりタイプ自体の出現率が低く、ニューラもその例に漏れずかなりのレアポケモンとなっている。
だが巣が発見されており、またほのお・こおり出現アップイベント期間中はかなりの数が出現していたことから、入手のチャンス自体はそれなりにある。
問題は原作同様かなり捕まりにくいこと。「ハイパーボール」は惜しまないようにしたい。
モチーフについて
一応猫ポケモンの一匹とされ、公式でも猫として扱われることが多いが、英語名「Sneasel」は「sneak」(こそこそする)とイタチの英名「weasel」から取られていると思われるため、結局は複合モチーフなのだろう。フランス語では「Farfuret」韓国語では「포푸니」となっており、それぞれフェレット、オオヤマネコ(스라소니)が元ネタとなっていて、やはり海外でもモチーフの解釈がイタチ系かネコ系かで割れている。
この為、ファンの間でも議論を呼ぶ事があるが、金銀のβ版で見られた初期案がどうみてもイタチであり、現在のデザインが何をモチーフにしたかどうかはともかくとして、原案自体はイタチをモチーフに作られたポケモンである事がわかった。この頃から爪を武器にするという案自体は決定していた模様。
では、なぜ爪を武器にしているのか?という疑問が湧いてくるが、考えられる仮説は次の通りである。
中でもファンの間で根強い説が、妖怪の『カマイタチ』がモチーフだからという説。
カマイタチは風のように現れては人を切り裂くイタチの妖怪であり、素早い動きで爪を立てる戦闘スタイルはニューラと重なる。また、カマイタチの正体は風による切断現象ではなく、いわゆる寒冷地で発生しやすい赤切れなのではないかと言われており、カマイタチが雪深い地方に伝承が多い理由であるともされる。そこから「こおりタイプ」を連想した可能性もないではない。
この他にも爪を使うアメコミヒーローとして有名なウルヴァリンの元ネタはクズリ(寒冷地に住むイタチの仲間)であるので、イタチモチーフのキャラクターが爪を武器にするのはそこまでおかしい事でもないのかもしれない。
ニューラは卵を啜るという生態があるが、英語の慣用句にも「weasel word」(「逃げ口上」の事)というイタチが卵を啜る生態に由来した表現がある。
なお語源もよく分からないポケモンでもある。「ニュー」は猫の鳴き声「ニャー」の変形を思わせる(イタチを表す漢字「鼬」は「ユウ」とも読むのでそちらとの合わせ技の可能性もあり)が、「ラ」は何を表すのだろうか。
ポケモンの名前は第1世代からしてガルー「ラ」、ベロリン「ガ」、ヤ「ドン」、サイ「ドン」など怪獣を連想させるような語尾がよく付くので、ニューラの「ラ」もそのたぐいである可能性はある。
なお、マニューバ(戦術的機動)が由来と言われることもあるが、上述の通りマニューラに進化する前は協調性・戦術性に欠けた野盗のようなポケモンであり、そう考えると根拠としては弱いだろう。
関連イラスト