作品情報
作者 | 赤松健 |
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ジャンル | ラブコメ・ハーレムもの・少年漫画 |
出版社 | 講談社 |
連載誌 | 週刊少年マガジン |
連載開始 | 1998年47号 |
連載終了 | 2001年48号 |
話数 | 全123話 |
単行本 | 少年マガジンコミックス全14巻(+ファンブック「ラブひな0」「ラブひな∞」)、講談社漫画文庫版全7巻、新装版全7巻 |
概要
ハーレムラブコメの原点といわれ、良くも悪くも昨今のラブコメの基盤となった作品といえる。ツンデレ(なる)・クーデレ(素子)・姉系(キツネ、むつみ)・姐御(はるか)・後輩(しのぶ)・ヤンデレ妹(可奈子)・ロリ(サラ)・褐色(カオラ)と基本をきちんと押さえたキャラ配置が特徴。
本作のストーリー展開は「ラブひなメソッド」と呼ばれ。17ページ目で何かテーマらしき事を言い、18ページ目で脱いでオチがつくという一話完結形式である。
なお、単行本に関しては、原作者の赤松健が立ち上げた電子書籍配信サイトのJコミ(現在のマンガ図書館Z)のテストパターンに起用したいという赤松の意向により一旦絶版となったが、それでも紙媒体で読みたいというファンが少なからずいたことから、2017年12月から翌年3月にかけて連載20周年記念も兼ねて全7巻に編集し直した新装版(表紙は作者描きおろし)が刊行されている。
2001年5月と2002年2月にはノベライズが講談社から刊行されたが、実は執筆者が異なっている(2001年5月刊行分は會川昇が葉月九ロウ名義で、2002年2月刊行分は川崎ヒロユキが、それぞれ執筆。なお、両名とも後述のアニメの脚本も手掛けた)。
週刊少年マガジン2010年40号にて、「魔法先生ネギま!」の連載300回を記念した特別企画として、6ページの新作フルカラー読み切りが掲載された。さらにマガジンの2014年39号では、「アホガール」のヒロユキによる読み切りが掲載された。
ヒット作の例にもれず、連載中は薄い本の定番の題材とされ、一時期は各同人ショップの陳列の定番であった。原作コミックの表紙の模倣が非常に多かった傾向がある。当時の印象からすれば前原しのぶ>青山素子>成瀬川なるの順に頒布数が分布しており、当時から活動していたサークルは大抵最低1冊は出していた。
2000年、第45回小学館漫画賞の少年部門にノミネートされる。2001年、第25回講談社漫画賞少年部門を受賞。2020年6月時点で累計発行部数は2000万部を突破している。
ストーリー
主人公である浦島景太郎は幼い頃に女の子と交わした約束を果たすために東京大学への入学を目指す。だが、2浪の彼は家に居ることも出来ず、祖母が経営する温泉旅館『ひなた荘』へ駆け込むのだが、そこは女子寮となっていたのであった。
登場人物
アニメオリジナキャラ
ゲームオリジナルキャラ
呼称表
が/に | 景太郎 | なる | しのぶ | カオラ | 素子 | みつね | むつみ | はるか | 可奈子 | サラ |
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景太郎 | 俺 | 成瀬川 | しのぶちゃん | スゥちゃん | 素子ちゃん | キツネさん | むつみさん | はるかさん | 可奈子 | サラちゃん |
なる | 景太郎 | 私 | しのぶちゃん | スゥちゃん | 素子ちゃん | キツネ | むつみさん | はるかさん | カナちゃん | サラちゃん |
しのぶ | 浦島先輩 | 成瀬川先輩 | 私 | カオラ | 素子さん | キツネさん | むつみさん | はるかさん | 可奈子さん | サラちゃん |
カオラ | けーたろ | なる | しのぶ | ウチ | モトコ | きつねー | むつみ | はるか | カナコ | チビ |
素子 | 浦島 | なる先輩 | しのぶ | スゥ | 私 | キツネさん | むつみさん | はるかさん | カナコ | サラ |
みつね | けーたろ | なる | しのぶ | スゥ | 素子 | ウチ | むつみ | はるかさん | 可奈子 | サラ |
むつみ | 浦島くん | なるさん | しのぶちゃん | スゥちゃん | モトコさん | キツネさん | 私 | 店長 | カナさん | サラちゃん |
はるか | 景太郎 | なる | しのぶ | スゥ | 素子 | キツネ | むつみ | 私 | 可奈子 | サラ |
可奈子 | お兄ちゃん | なるさん | しのぶちゃん | カオラさん | モトコさん | 紺野さん | 乙姫さん | はるかおばさん | 私 | サラさん |
サラ | けーたろ | なる | しのぶ | カオラ | 素子ねーちゃん | キツネ | むつみ | はるか | カナコ | あたし |
テレビアニメ
2000年4月19日から9月27日までテレビ東京系列局と岐阜放送で放送。また、遅れネットではあるが、奈良テレビ、テレビ和歌山、びわ湖放送に加えてテレビユー福島(TBS系列局)、新潟テレビ21(テレビ朝日系列局)でも放送されている。全24話+未放送1話。放送前半こそほぼ原作に忠実な内容だったが、後半では原作に追いついてしまったためにオリジナルストーリーとなり、ラブコメの古典的な三角関係を導入するなどした。原作にはないシリアスな要素や、うのまことのキャラクターデザインも賛否両論とされている。DVDは全9巻(8巻までがTV本篇。9巻は未放映の第25話を収録)。
テレビ本放送終了後、第24話の続きとして、2000年12月25日正午より「クリスマス・スペシャル ~サイレント・イヴ~」がテレビ東京系列局にて、さらに2001年4月2日には「春スペシャル ~キミ サクラチルナカレ!!~」がテレビ東京で(同年6月にはテレビせとうちでも)、それぞれ放送された。なお、DVDはそれぞれ単独でリリースされている。
当時のライコスジャパン株式会社が運営していたポータルサイトLYCOSがスポンサーに入っており、放送当時のCMにはなる役の堀江由衣が出演し、ライコス側で特設サイトを設置していた。
原作者の赤松も本人役で第14話、クリスマススペシャル、春スペシャルに出演。時々しのぶに変な情報を流したりするという役柄だった。
子供向けの時間帯でもなく、かといって深夜アニメでもない、夜10時台というイレギュラーな時間で放送(なお、テレビ和歌山と非テレビ東京系列・非独立局約2局では深夜アニメとして放送してはいる)のアニメとして注目を集めたが、視聴率的には深夜アニメ並みの2%台しか取れなかったため、わずか半年で終了。これ以来、夜10時台放送のアニメは独立局放送のものを除いて制作されていない。もっとも、これのアニメ版が放送開始された頃、「(たけちゃんの)ここがヘンだよ日本人」(TBS系列局)と「明石家マンション物語」(一部系列局除くフジテレビ系列局)が激しい視聴率争いを繰り広げていた上、「ニュースステーション」(一部系列局除くテレビ朝日系列局)にNHKが「ニュース10」で真っ向勝負を挑んだ事が話題になっており、それに埋没してしまった感は否定出来ない。しかも視聴率が安定しないNNS加盟29局のドラマ枠が、堂本光一・藤井フミヤダブル主演の「天使が消えた街」で、しかもそれが結構いい成績残しただけに・・・・・・・。正直立ち上がり時点の「巡り合わせの悪さ」の結果ひっくり返った、と言うべきか・・・・・・。その一方で関連商品(主題歌CDや作品そのもののDVD)の売れ行きは良く、DVD3巻は当時全盛期だった浜崎あゆみのツアーDVD(こちらは登場2週目)を抑えオリコン初登場1位にランクインしたほど。
夜10時台に放送された理由についてキングレコードの大月俊倫は、テレビ局から「主人公が多数の女性キャラクターと同居するという設定が公序良俗に反する」と言われ、「子ども向けではない」というアピールのためと語っている。そのわずか3年前にはラブコメっぽいのを夕方にやってたのでこの時期の自主規制激化を窺えるエピソードである。
2005年7月6日にDVD BOXが、2013年3月13日にBlu-ray BOXが発売された。
スタッフ
監督:岩崎良明
シリーズ構成:葉月九ロウ
脚本:葉月九ロウ、稲荷昭彦、石川学、西園悟、川崎ヒロユキ、堺三保、高山カツヒコ、黒田洋介、きむらひでふみ
キャラクターデザイン:うのまこと
音楽:是永巧一、岩本正樹
プロデューサー:岩田圭介、池田慎一、下地志直
原作との違い
- 景太郎となるは、予備校で最初に出会う。
- 景太郎がひなた荘に来たとき、しのぶはまだ入寮していない。素子は合宿中。
- なるの母親は再婚していて、なるには義理の妹・メイがいる。
- なるに好意を寄せる二枚目キャラ、坂田健太朗が登場。
- むつみは、景太郎と東大二次試験で出会う。なるとは京都駅で出会う。
- むつみは、二浪時のセンター試験をクリアしている。
- しのぶは、ひなた荘の近所の洋食屋の一人娘。両親は離婚を期に洋食屋を閉める。 しのぶの父親は、その後、タクシーの運転手をしている。
- しのぶは、当初、素子のことを「青山さん」、カオラのことを「カオラさん」と呼んでいた。
- しのぶ初登場回やしのぶのキスの話等、しのぶメイン回はシリアスな話が多い。
- 素子には、3人組の取り巻きの女の子がいる。
- キツネは初登場時点で20歳。
- はるかは、「おばさん」と呼ばれると怒る。
- サラが、アメリカの実家で虐待を受けていたことを示唆する描写がある。
- タマちゃんは字が書けない。
- 景太郎の祖母の名前が「浦島ひな」に変更されている。
主題歌
オープニングテーマ
「サクラサク」
作詞・作曲:岡崎律子 / 編曲:十川知司 / 歌:林原めぐみ
エンディングテーマ
「君さえいれば」
作詞・作曲:岡崎律子 / 編曲:十川知司 / 歌:林原めぐみ
「はじまりはここから」(第24話)
作詞・作曲 :岡崎律子 / 編曲: 十川知司 / 歌:林原めぐみ
「祝福」(クリスマス・スペシャル)
作詞・作曲:岡崎律子 / 編曲:十川知司 / 歌:堀江由衣、倉田雅世、浅川悠、高木礼子、野田順子、雪乃五月、小林由美子 / コーラス:岡崎律子
各話リスト
話数 | サブタイトル |
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第1話 | 露天風呂つきの女子寮 温泉な |
第2話 | ひなた荘の新住人しのぶ 矢印な |
第3話 | 恋する!? ケンドー娘 剣劇な |
第4話 | 東大の約束は15年前 日記な |
第5話 | 急接近! 京都二人旅 ドキドキハラハラな |
第6話 | 景太郎、初キス? の相手 旅路な |
第7話 | 初デート、景太郎のしたごころ いまどきな |
第8話 | ケンドー娘の竜宮伝説 夢かな |
第9話 | ひなた荘密室現金強奪事件 ミステリな |
第10話 | 月夜にさまよう美女の正体は? 変身な |
第11話 | 目指せ東大生アイドルは予備校生 歌うな |
第12話 | お色直し? 剣豪モトコの晴れ着姿 女の子な |
第13話 | 初キスの味はレモン? マシュマロ? おとな |
第14話 | 再会? なる憧れの人は今東大講師 ラブへな |
第15話 | 好き! 洞くつの中のラブラブ宣言 ほらあな |
第16話 | 海の家・浜茶家ひなたのサル芝居 チュウかな |
第17話 | 海…なるにドキッ! 妖怪にクラッ 妖しいな |
第18話 | それぞれの浴衣のきみと夏祭り ほな |
第19話 | 玉の輿? 海のむこうの皇太子 暖かな |
第20話 | 眠りの少女とセピア色の約束 カラクリな |
第21話 | 嫉妬爆発!? ボート上のお熱い二人 わなわな |
第22話 | 妹メイのたくらみ、密室大作戦 そんな |
第23話 | 成瀬川なる、揺れる女心と景太郎 こなごな |
第24話 | 祝! サクラサクのは東大? 恋? みんな |
第25話(未放送) | 素子のセンタク、恋か剣… 泣くな |
遅れネットの放送状況
- 奈良テレビ 2000年4月24日~10月2日 月曜 18:30 - 19:00
- びわ湖放送 2000年4月27日~10月5日 木曜 22:30 - 23:00[41]
- テレビ和歌山 放送時期不明 金曜 1:10 - 1:40(木曜深夜)
- 新潟テレビ21 2000年5月6日~12月9日 土曜 3:04 - 3:34(金曜深夜)※「朝まで生テレビ!」放送週は休止。
- テレビユー福島 2000年5月9日~10月17日 火曜 1:20 - 1:50(月曜深夜)
OVA
2002年に「ラブひなAgain」と言うOVAも制作されている。全3巻。こちらでは前田明寿がキャラクターデザインを担当。TV版と違い、赤松先生の絵柄に忠実。原作の「可奈子編」がベース。
スタッフ(OVA)
監督:岩崎良明
シリーズ構成・脚本:葉月九ロウ
キャラクターデザイン:前田明寿
プロップデザイン:山岡信一
音楽:光宗信吉
プロデューサー:森山敦、平松巨規
アニメーション制作:XEBEC
製作:ラブひなAgain製作委員会
主題歌
オープニングテーマ
「キラリ☆宝物」
作詞・作曲:雲子 / 編曲:十川知司 / 歌:堀江由衣
エンディングテーマ
「be for you, be for me」
作詞・作曲:伊藤千夏 / 編曲:五島翔 / 歌:堀江由衣
各話リスト
話数 | サブタイトル |
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第1話 | 可奈子 |
第2話 | 景太郎 |
第3話 | なる |
ゲーム版
- ラブひなポケット(マーベラスエンターテイメント、ゲームボーイカラー) - 2000年8月4日発売
初のゲーム版。キャラクターデザインは原作・TVアニメとも異なる。はるかやしのぶが景太郎を追い回すというレアな展開もある。信頼度のほかに嫉妬などの独特のパラメーターも存在する意欲作。
- ラブひな 愛は言葉の中に(コナミ、プレイステーション) - 2000年9月28日発売
- ラブひな2 〜言葉は粉雪のように〜(コナミ、プレイステーション) - 2000年11月30日発売
- ラブひな 突然のエンゲージ・ハプニング(セガ、ドリームキャスト) - 2000年9月28日発売
- ラブひな スマイル・アゲイン(セガ、ドリームキャスト) - 2001年3月29日発売
オリジナルヒロインとして藤沢みづほが登場するオリジナルストーリーとなっているが、キャラクターごとの細かい設定や、ひなた荘の内部など原作以上であまり描かれていない設定が深く演出されている。
- ラブひなパーティー(マーベラスエンターテイメント、ゲームボーイカラー) - 2001年1月26日発売
アニメ版をベースとしており、クイズも登場するなど所謂ファンディスク的な内容。
- ラブひなアドバンス 祝福の鐘はなるかな(マーベラスエンターテイメント、ゲームボーイアドバンス) - 2001年09月21日発売
マーベラスエンターテイメントのゲームボーイアドバンス参入第1弾ソフト。
- ラブひな ごーじゃす 〜チラっとハプニング!!〜(コナミ、プレイステーション2) - 2003年5月22日発売
初期構想
初期構想では不良娘やアンドロイドも登場する予定で、寮の名前も『松本荘』だった。
余談
- 企画初期のタイトル案は『ようこそ!ひなた荘へ』『ひ・な・た』『はるのひはるか』などがあり、最終的に「LOVE!ひなた荘」を略して『ラブひな』が決定名となった。
- アニメ「陸上防衛隊まおちゃん」第20話でつかると必ず東大に合格する温泉がある旅館が登場。シルヴィア曰く「こうして目を閉じると前世の記憶が蘇ってくるようや〜」とのこと。要は中の人ネタである。
- 当初、1998年の春から連載開始予定だったが、編集会議で難航したため延期になった。また、20話で終わる予定だったらしいが、3巻以降も続くということが決まった段階で、景太郎は浪人するという展開に変更になっている。その後、12巻で終わらせる予定だったが、可奈子編の人気がすごかったため、半年延期になったらしい。
- ノベライズは実は第3巻の発売も予定されていたが、「魔法先生ネギま!」連載開始の影響で中止になったとのこと。
- エピローグはマガジン本誌では3年後という設定になっていたが、単行本では登場人物の設定に余を持たせるために4年後に変更されている。
- 企画段階ではキャラ全員の名前に色を付けるという案があり「青山」「紺野」「灰谷」「白井」はその名残り。当初、なるも「碧(みどり)」という名前、景太郎も「赤石沢」という名字だった。
- 「ラブひな」の設定舞台に、山形や京都がよく出て来るのは、 赤松の田舎が山形で、赤松のチーフアシスタントのまぎぃ氏の実家が京都であるため。
関連動画
新番組予告
ライコスCM
関連タグ
XEBEC・・・アニメ版の製作会社。
銀山温泉・・・ひなた荘のモデル
関連作品
かってに改蔵・・・作中で本作をイジりまくった(他の赤松作品もイジったことがある)。
女神寮の寮母くん。・・・女子寮舞台のラブコメ作品。こちらの主人公はショタ。
女神のカフェテラス・・・山間の元温泉宿の女子寮と海辺の喫茶店という相違はあれど同じ神奈川県が舞台の作品。また、掲載誌も同じ。ついでに物語の進め方が似ているという指摘もある。
ドラゴン桜・・・本作と同じく物語の中心に東京大学が関係する同出版社の漫画作品。
オマージュがうかがえる後輩作品たち