概要
2009年に、早稲田大学在学中の朝井が、第22回小説すばる新人賞を平成生まれで初めて受賞し、集英社文庫にて出版された。
翌年には吉田大八監督、神木隆之介主演により映画化される。映画は8月11日に公開。
8ヶ月に亘るロングラン上映となり、日本アカデミー賞最優秀作品賞を始めとした合計24個もの賞を受賞、3つの賞にノミネートされるという大ヒットを記録した。
2012年の4月には文庫化され、集英社WEB文芸RENZABUROに掲載された短編「東原かすみ〜14歳」が追加収録された(巻末解説・吉田大八)。少女漫画雑誌『マーガレット』では連載陣5人、やまもり三香、桃森ミヨシ、姉森カナ、佐藤ざくり、斎藤ジュリアによるオムニバス形式で漫画化もされた。
さらに、映画の大ヒットに伴いタイトルのインパクトの高さが評判となり、様々なタイトルパロディがツイッターなどのメディアにて生み出されることとなった。
例:「前田、AKBやめるってよ」「霧島、相撲やめるってよ」「ドルヲタ、推しと付き合うってよ」等
あらすじ
舞台はとある田舎街の県立高校。
ある日、男子バレーボール部の頼れるキャプテンだった校内一の人気者・桐島が突然部活をやめた。それがきっかけとなり、同級生5人の日常に些細でそして確実な変化が起こり始める。
さらに、退部による影響が最も大きい他のバレーボール部員たちや学校内のスクールカーストの上位グループ・下位グループに属する生徒たちに至るまで、あらゆる部活やクラスの人間関係が変化していき、そしてカーストの下位グループに属する映画部 前田の行動により、事態は思わね方向へ進んでゆく。キャッチコピーは、「全員、他人事じゃない。」
登場人物
名前は映画版登場人物:キャストの順に掲載する。
前田 涼也(まえだ りょうや):神木隆之介
“映画甲子園”と呼ばれる高校生映画コンクールで特別賞を受賞する。中学生の頃に親しくしていたかすみの声が好き。
菊池 宏樹(きくち ひろき):東出昌大
野球部。何でもそこそこできる男子。部活もサボりがちのユーレイ部員だが、部員の中では一番上手く、試合にも頼まれれば出場する。
小泉 風助(こいずみ ふうすけ):太賀
男子バレーボール部。リベロ。桐島がやめたことで試合に出られるようになり喜ぶ自分に嫌悪感を抱く。背の低さを持ち前の運動神経でカバーする。
沢島 亜矢(さわじま あや):大後寿々花
ブラスバンド部部長。担当楽器はサックス。チャットモンチーが好き。放課後に竜汰がバスケをしているのを見るのが好きだった。
宮部 実果(みやべ みか):清水くるみ
ソフトボール部。かすみ・梨紗・沙奈と同じグループ。父と義姉が事故死して以降、義母が精神のバランスを崩してしまい、家では亡くなった義姉「カオリ」として過ごしている。
東原 かすみ(ひがしはら かすみ):橋本愛
バドミントン部。涼也とは中学2年生の時も同じクラスで、映画好きの共通点から親しくなったが、クラスが別になってから疎遠になった。ポニーテール。実果・梨紗・沙奈と同じグループ。
桐島(きりしま)
男子バレーボール部キャプテン。ポジションはリベロ。言動に嫌みがない「いいやつ」。立場上、部員との間に軋轢が生じ、部活をやめる。
物語の中心となるタイトル・ロールだが劇中に直接登場することはなく、その人物像は伝聞のみで語られる。
映画版でも直接の登場はないが、エンドロールでの「屋上の男子」が桐島なのではないかという考察もある(演者は奥村知史となっている)。
飯田 梨紗:山本美月
2年生。目立つ女子4人グループの1人。校内でも評判の美人。桐島の彼女だが部活をやめることを知らされず、連絡も取れないことに怒り、傷つく。
野崎 沙奈:松岡茉優
2年生。目立つ女子4人グループの1人。宏樹と付き合っていることや梨紗と親しいことにステータスを感じている。愛想は良いが、周囲を見下す言動が多い。
寺島 竜汰:落合モトキ
2年生。クラスの中心にいる男子グループの1人。いつも桐島が部活を終えるのを待ちながら、宏樹たちとバスケをしていた。
友弘:浅香航大
2年生。クラスの中心にいる男子グループの1人。いつも桐島が部活を終えるのを待ちながら、宏樹たちとバスケをしていた。
武文(映画部):前野朋哉
2年生。前田の親友。根っからの映画オタクで、周りの目を気にして気後れしそうになる前田の背中を押す。
キャプテン(野球部):高橋周平
幽霊部員である菊池に試合にでないかと何度か誘いをかける。
スカウトと接触していないにもかかわらず、3年の秋のドラフトまで部活動を続けている。
久保 孝介(バレー部):鈴木伸之
2年生。副キャプテン。桐島が勝手に部活をやめたことに怒りを隠せず、代役として実力不足の風助にもいら立つ。あだ名はゴリラ。屋上のラストシーンでは「隕石」を蹴る。
詩織(吹奏楽部):藤井武美
1年生。先輩の沢島に憧れ、慕っている。沢島の宏樹に対する思いに気づき、それとなく励ます。
片山(映画部顧問):岩井秀人
前田たちのゾンビ映画のシナリオをリアリティがないといって、青春映画のシナリオをしきりに勧める。片山は自分のエゴで勝手にゾンビ映画を撮り始めた前田たちに一方的に撮影をやめるように言い渡す。
関連イラスト
映画が終わるまでの103分間、あなたも桐島に振り回される。
外部リンク
関連タグ
喜安浩平(吉田大八監督とともに実写映画の脚本を担当)