概要
2017年3月17日に発表された、『勇者であるシリーズ』の第4作にあたるイラストノベル作品。
著者は朱白あおい、イラストはBUNBUN、企画原案・シリーズ構成はタカヒロ。略称はくめゆ。
電撃G's magazineにて半年の連載を経て完結した。各話冒頭は電撃G's magazine.comの『楠芽吹は勇者である』関連記事まとめにて読むことができる。
連載終了後は電撃コミックスEXより単行本が刊行されている。全1巻。
時系列
本作は『結城友奈は勇者である』の第1期「結城友奈の章」と第2期「勇者の章」の間に当たる神世紀300年秋の出来事を描いており、『勇者であるシリーズ』の中では神世紀を描いた作品の一つ「楠芽吹の章」に位置付けられている。
作風
主な登場人物は、防人の楠芽吹、加賀城雀、山伏しずく、弥勒夕海子と、巫女の国土亜耶の5人。
勇者に選ばれなかった勇者候補生達が「防人」として壁外に赴く過酷な任務を描いており、「結城友奈の章」と「勇者の章」の空白を埋める外伝的な作品となっている。
公式では「勇者でない者達が勇者になる物語」と銘打たれているが、タイトルは半分タイトル詐欺のようなもので、実際の内容は「今までとは違う自分なりの勇者の在り方を導き出す物語」と言った方が正しい。その命題は「勇者の章」にもリンクしていく。
また、他のシリーズと比べてスポ根やミリタリー的な要素も強いのが特徴。
登場する勇者システムは量産型ゆえに性能は勇者に比べると大きく劣り、武器は固有のものではなく共通である。また、複数人での連携を前提とした戦闘スタイルを取っている。
ストーリー
神世紀300年、秋―――。
海上に聳え立つ巨大な壁の上に、少女たちは集結していた。
その数、32人。
(「電撃G's magazine 7月号」より引用)
神世紀300年、秋。
結城友奈たち讃州中学勇者部が「あたり」として勇者に選ばれたあと、選ばれなかった四国各地の勇者候補生たちは大赦によりゴールドタワーに集められていた。
そこで彼女たちに新しいお役目が言い渡されるのだった。
(『ラジオ「結城友奈は勇者である」 勇者部活動報告 春夏秋冬 第8回』より引用)
登場人物
- 楠芽吹(くすのき めぶき)
CV:田中美海
本作の主人公。勇者の権利を巡った争いで三好夏凜に敗れている。
- 加賀城雀(かがじょう すずめ)
CV:種﨑敦美
ネガティブ思考な少女。唯一好きなのがお喋りで、特に人の噂話が好物。
- 山伏しずく(やまぶし しずく)
CV:石上静香
無口な少女。感情を表に出すことが無く、何を考えているのか分かり辛い。
- 弥勒夕海子(みろく ゆみこ)
CV:大空直美
芽吹達の先輩。高飛車で目立ちたがり屋だが、ややポンコツ気味。
- 国土亜耶(こくど あや)
CV:大野柚布子
唯一の巫女。癖の強いメンバーに比べ、ピュアな性格。チームの清涼剤。
- 女性神官
大赦から下された指令を芽吹たちに言い渡す大赦の人間。仮面を付けているが、その正体は…
関連作品
ドラマCD版
原作小説の話をドラマCD用に再編成したものと、新たに書き下ろされた話が収録。脚本には朱白あおいの他、タカヒロも参加している。
イラストノベル
柳は緑花は紅
「楠芽吹は勇者である」の登場人物達のその後を描いた特別書き下ろし番外編。
単行本「楠芽吹は勇者である」に収録された。
落花枝に返らず、破鏡再び照らさず
本編では描かれなかった、『勇者の章』終盤の天の神襲来時の動向を描く。
「結城友奈は勇者である メモリアルブック」に収録。
ゲーム
結城友奈は勇者である 花結いのきらめき
本作の登場人物も参戦する。
4コマ漫画
楠芽吹は特訓中。
楠芽吹の特訓と、それに付き合わされる「楠芽吹は勇者である」の登場人物達の様子をコミカルに描いたWeb4コマ漫画。電撃G's magazine.comの特設ページにて読むことができる。
作画は娘太丸。本編と同時連載だった。「結城友奈は勇者部所属 ぷにっと!」第1巻に収録された。
そして…
2021年10月から放送が開始された『結城友奈は勇者である 大満開の章』。
今まで通りの勇者部の物語として進んでいった第一話の最終盤、それは突然起こった。
「総員配置に就け!」
なんと、芽吹率いる防人達が登場したのである。
そして予告された第二話のサブタイトルは、防人のモチーフたるナズナの花言葉「あなたに私のすべてを捧げます」。
彼女達の物語が本格始動する事が正式に告知されると共に、公式サイトのキャラクター紹介にも追加された。
放送前から彼女達の登場を期待する声こそあったものの、事前告知が一切なかった彼女達の登場はファンから驚きを持って迎えられ、Twitterでは一時「くめゆ組」がトレンド入りするほどだった。
第二話から第四話にかけて展開されたその内容は大筋こそ原作に沿っているものの、一部登場人物の解釈や展開、防人の装備に多くのアレンジが加えられた、いわば『新約版』とでも言うべき内容になっている。また、どこかで見たような字幕が多用されているのも特徴。ただ、中盤のエピソードは解釈の変更に基づいて大幅にカットされており、(特に雀、しずく、弥勒の3人について)原作を読んでいないとわかりにくい部分も多くなってしまっている。
終盤の九話からは「柳は緑花は紅」「落花枝に返らず、破鏡再び照らさず」に相当するエピソードが描かれ、こちらは「勇者の章」最終決戦シーンに新規カットを追加した「ディレクターズカット版勇者の章」といえる内容も入っている。
関連項目
勇者であるシリーズ
- 鷲尾須美は勇者である
- 結城友奈は勇者である
- 乃木若葉は勇者である
- 楠芽吹は勇者である