概要
本項では、アニメ映画版について取り上げる。
1991年に公開。
原作の漫画のエピソードをベースとして、27歳となった主人公の現在というオリジナルのストーリーと登場人物が加えられた。
人間ドラマとして全編に徹底したリアリズムが貫かれ、舞台となった1982年当時の山形県山形市高瀬地区周辺の農村や、蔵王連峰、国鉄仙山線沿線の風景なども緻密に描かれている。
また1966年の描写においても、徹底的なリサーチを元に描写がされた。
あらすじ
東京生まれの東京育ちである27歳のOLの岡島タエ子は、安定しながらも代わり映えのしない平凡な生活を送っていた。
そして夏の長期休暇を利用して、長姉の夫の実家という関係で縁ができた山形の農家へ遊びに出かける。
道中の夜行列車あけぼのの車内で、ここ最近で思い出すようになっていた「東京育ちで自然豊かな田舎に強く憧れていた小学生時代」を見つめ直したり、これから30代以降を迎えるにあたって色々と物思いに耽るようになっていたりした事をきっかけに、到着した山形の人々や風景と接しながら少女時代の回想と今現在の自分の望みと向き合っていく。
主な登場人物
1982年現在
常識的で一般的な女性であるが、どこかセンチメンタルで作中でよく少女時代を回想する。
その小学5年生時代(1966年時)は比較的裕福な家庭であったが、厳格な両親と学業優秀・自由奔放な2人の姉にコンプレックスがあった事から、色々な理想や空想をめぐらせて夢見がちであった。
(CV:柳葉敏郎)
アニメ映画版オリジナルの登場人物。
タエ子の義兄である一族の本家のミツオやカズオ達のまたいとこにあたる分家の息子で、脱サラしてまもない25歳。
現在は実家の田畑で有機栽培に取り組んでおり、冬にはアルバイトでスキーのインストラクターをしている。
特に何かに秀でているわけではないが、素朴で誠実な好青年である。
ナオ子
(CV:渡辺昌子)
アニメ映画版オリジナルの登場人物。
カズオの娘で、ミツオの姪である中学生。
義理の叔母に当たるタエ子を慕っている。
1966年当時のタエ子の家族
母
(CV:寺田路恵)
専業主婦。
当時のタエ子に対しては比較的厳しく接していた。
歳の離れた2人の姉と比べて要領が悪く、分数の割り算の概念を独創的に捉えようとするタエ子をやや過剰に心配していた時期があり、現在は見合いを断るなど結婚の見通しが立たない娘を心配している様子がナナ子のセリフを通して描かれた。
父
(CV:伊藤正博)
サラリーマン。
家族想いながら厳格で口数の少ない家父長的な父親であった。
作中で思わずタエ子に手をあげる場面もあったが、それでも母や姉達からしてみれば末子には少しだけ甘やかしていた様である。
岡島ナナ子
(CV:山下容莉枝)
当時芸大生でミーハーな性格であった長姉。
現在は山形の農家の息子であるミツオと結婚しているが、電話での登場のみとなる。
その際独身が続く娘を心配する母親と、昔の出来事を口にする末妹を気遣う自身の言葉を伝えていた。
岡島ヤエ子
(CV:三野輪有紀)
当時高校生であった次姉。
成績優秀であるが、若干包容力に欠けていてタエ子とはよくを喧嘩していた。
現在時での登場はないが、タエ子が先日久々に再会した際には昔の想い出話に花を咲かせたと回想しており、良好な姉妹仲となっている模様。
祖母
(CV:北川智絵)
一家で一番落ち着いており、タエ子には厳し過ぎず甘やかし過ぎずで理解者でもあった。
夏休みに家族旅行の予定がなく落ち込むタエ子を見兼ねて、一泊の熱海旅行に連れて行った。
エンディングテーマ
歌:都はるみ
訳詞:高畑勲
原曲作詞・作曲:アマンダ・マクブルーム
原曲は、1979年に公開されたアメリカ合衆国の映画『ローズ』(『The Rose』)の同名の主題歌で、ベット・ミドラーが歌った。
関連項目
アニメ映画版公開から30年後の2021年に、NHK BSで放送されたスペシャルドラマ。
アニメ版とは全く無関係のパラレルワールドのストーリーとなった。