踊ること。
笑うこと。
仲間を想うこと。
職業、フラガール
概要
フジテレビ・アニプレックス・イオンエンターテインメントの共同企画による「ずっとおうえん。プロジェクト 2011+10…」の一環で制作されるアニメ映画。
このプロジェクトは東日本大震災から10年の節目に、甚大な被害を受けた東北被災3県を舞台としたアニメ作品を発表するもので、宮城県岩沼市を舞台とした「バクテン!!」、岩手県大槌町・遠野市が舞台のモデルとなった「岬のマヨイガ」に続いての作品となる。
本来はこの作品がトップバッターとして初夏公開予定だったのが、前年から続く新型コロナウイルス感染症の影響もあって制作が遅れた模様で、結果としてトリを務めることになった(もっとも「バクテン!!」は映画版の作成が予定されている)。この関係もあり、11月に開催された東京国際映画祭にも出品され先行上映が行われている。
物語の舞台は福島県いわき市。タイトルにフラを掲げるようにフラガールでお馴染みのリゾート施設スパリゾートハワイアンズで新たに働くことになった主人公・夏凪日羽とその同期の仲間たちの青春とフラガールとしての成長を描く内容となっている。
制作に当たってはスパリゾートハワイアンズといわき市が全面バックアップ。前者に関しては2年にわたるロケハンを行い、フラダンスのモーションキャプチャーを現役のフラガールが担当。さらに主人公の日羽も観光PRキャラクターとして起用しTwitterアカウントも開設、地元も応援する会を立ち上げるなど、街を挙げての協力体制が整っている。
また映画に先行する形で「月刊コミックアライブ」2021年3月号から12月号まで志藤ミネによるコミカライズ版も連載された。また角川文庫・角川つばさ文庫からもノベライズ版が刊行されている。
スタッフ
総監督 | 水島精二 |
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監督 | 綿田慎也 |
脚本 | 吉田玲子 |
キャラクターデザイン | やぐちひろこ |
美術監督 | 日野香諸里 |
色彩設計 | 大塚眞純 |
撮影監督 | 大神洋一 |
編集 | 坂本久美子 |
音響監督 | 木村絵理子 |
音楽 | 大島ミチル |
チーフプロデューサー | 高瀬透子 |
プロデューサー | 大島和樹、岩崎紀子、伊藤貴憲 |
配給 | アニプレックス |
制作 | BN Pictures |
製作 | おしゃれサロンなつなぎ(フジテレビジョン、アニプレックス、バンダイナムコピクチャーズ、KADOKAWA、BSフジ、イオンエンターテインメント) |
登場人物
主人公。いわき市出身の19歳。かつて姉が仕事にしていたフラガールに憧れ、姉の後を追う形でスパリゾートハワイアンズに入社。フラは未経験ではあるものの、ステージデビューに向けて奮闘の日々を送る。両親(声:三木眞一郎・中村繪里子)は美容院「おしゃれサロンなつなぎ」を営んでいる
- 鎌倉環奈:美山加恋
日羽の同期の一人。過去に全国大会で優勝するなど、フラについては相当の実力者。プロ意識が高いしっかり者で、物事に対してはストイックさを持つ。
ちなみに演じる美山もフラを特技の一つに挙げている経験者である。
- 滝川蘭子:富田望生
日羽の同期の一人。力強い踊りが特徴だが、ぽっちゃりとした体型と和やかな雰囲気を持ち、チームのムードメーカーとなっている。
- オハナ・カアイフエ:前田佳織里
日羽の同期の一人。ハワイ出身で、現地でフラガールの公演を見たことがきっかけで憧れを抱いて来日する。おっとりした性格。
- 白沢しおん:陶山恵実里
日羽の同期の一人。踊ることを愛しダンスも上手いが、笑顔になることが苦手という欠点を持つ。ある夢を叶えるためダンシングチームに就職。
- 夏凪真理:早見沙織
日羽の姉。かつてフラガールとして活躍し、「プアラ真理」という芸名も持っていた。しかし東日本大震災発生当日に命を落とす。
- 平和人:山田裕貴
日羽たち新人フラガールのマネージャー。とぼけたキャラをしているものの、情には厚い。
- 鈴懸涼太:ディーン・フジオカ
日羽たちの憧れの的である先輩社員。
- 塩屋崎あやめ:相沢梨紗
ダンシングチームのキャプテン。真理とは同期で、現在は真理の芸名を引き継いで「プアラあやめ」として活躍している。
- カピリナなずな:上坂すみれ
ダンシングチームの副キャプテン。
- コージ・レックス:木村昴
ファイヤーナイフダンシングチームのリーダー。
日羽の親友。小説版では小松菜子と七草せりというフルネームがある。
ちなみに
スタッフの陣営を見るとある程度察することができると思うが、基本的に座組としてはバンダイナムコピクチャーズ(BNP)の「アイカツ!シリーズ」のそれを踏襲している。BNPは旧スタジオダブを買収して設立したいわきスタジオを持っており、舞台となる地元いわき市を理解したスタジオが制作するという体勢となっている。こうした事からメインキャストのうち美山・前田・陶山という同シリーズ出演経験者(順に蝶乃舞花、双葉アリア、白百合さくや)も起用されていたりする。
こうした縁もあり、『アイカツ!』の主人公・星宮いちごが本作品の応援大使に就任している。
また主演の福原はオーディションで日羽役を手に入れたのだが、その福原がらみで言えば環奈役の美山は「キラキラ☆プリキュアアラモード」の宇佐美いちか/キュアホイップ・有栖川ひまり/キュアカスタード以来となるアニメでの共演、姉の真理を演じる早見はプリキュア声優としては先輩(はーちゃん/花海ことは/キュアフェリーチェ)。それ以外にも上坂(ユニ/キュアコスモ)や本泉(薬師寺さあや/キュアアンジュ)、東山(パフ)など同シリーズ出演経験者が多い(ついでに言えば和人役の山田もニチアサ繋がり)。
また、蘭子役の富田も福原とは映画「チア☆ダン」やドラマ「3年A組-今から皆さんは、人質です-」で共演して以来の親友として知られる。ついでに言えば日羽の幼少期は東山が演じているのだが、これにより日羽役は「ゆるキャン△」の志摩リン役(福原はドラマ版、東山はアニメ版)が2人1役で演じているという変わった状況となった。
地元福島出身声優も多く、富田が舞台地いわき市、フジオカが須賀川市、本泉も福島出身となっている。また奥野は岩手県盛岡市出身で、本作品と同様の経緯で作られたアニメ及び同作発のユニット「WakeUp,Girls!」でデビューしており、被災地という面で関わりがある。なお、制作発表時のいわき市長(2021年9月の市長選挙で落選)の清水敏男も清掃員役の声優として出演している。
アイドル好きの水島精二総監督ということもありその要素も取り入れられ、あやめ役の相沢(でんぱ組.inc)を始めとして、環奈の後輩役として22/7の天城サリーと元メンバーの海乃るりが出演(さらにアイカツ関係では富田美憂や松永あかねも出ている)、劇中に登場するアイドルグループ「いついろディライト!!」(メンバーの5人はメインキャストが兼ね役で担当)の歌唱時のダンスは虹のコンキスタドール(しおん役の陶山恵実里もかつて所属していた)のメンバーがモーションキャプチャーを担当している。