「つながり」こそが、ボクらの武器。
概要
2009年8月1日公開。
『時をかける少女』などの細田守が手掛けた初のオリジナル長編アニメ作品。
長野県上田市を舞台に、理系高校生の主人公・小磯健二が、憧れの先輩である篠原夏希の"ちょっとした用事"に付き合う事になり、そんな彼と彼女の家族たちが突如仮想世界、現実世界を襲った危機に対して戦いを挑む事になる、その奮闘を描く物語。
2009年8月1日に公開され、観客動員数は123万人を超えた。
『第42回シッチェス・カタロニア国際映画祭アニメーション部門最優秀長編作品賞』や『第24回デジタルコンテンツグランプリ経済産業大臣賞』など多くの賞を受賞している。
ストーリー
時は2010年。インターネット上の仮想世界『OZ』であらゆる業務・サービスが統合され、OZを経由する事で様々なネットワークの利用が可能になった時代。
数学が好きで特技の冴えない高校生・小磯健二は、夏休みに憧れの先輩である篠原夏希に突然『バイト』と称して夏休みの里帰りに付き合わされることになる。
ちょっとしたラッキーと思いきや、彼女の家は彼の武田信玄に仕えた地元でも有数の名家で、しかも親戚一同が揃いもそろって各業界のやり手というものすごい大家族だった。さらに、健二は夏希が見栄で口にした『エリート彼氏』という役を演じるために連れて来られた事が発覚し、事後承諾で彼女のわがままに付き合うはめになってしまう。
そんな日の夜、不意に健二のケータイに一通のメールが届く。内容は『不可思議で膨大な数列』で、数学好きな健二はそれがなにかの問題だろうと考えて気分転換に解き始め、完成したワードを送信先へと返信してしまう。何でもない、でもいつもと違う夏休みの小旅行を過ごすはずだった健二は、このメールをきっかけに電脳世界と現実世界を揺るがす壮大な事件に巻き込まれていく。
登場キャラクター
主人公。
17歳、東京都内にある久遠寺高校の2年生。物理部に所属する、大人しくどこかおどおどとしている、いわゆる『理系男子』。
ひょんな事から憧れの先輩である『篠原夏希』に付き添う事になり、彼女の家筋の本家である長野県の上田市の『陣内家』を訪れる事になる。
数学が天才的と呼べるほどに得意で、数学オリンピックの日本代表決定戦に参じる程の実力者だが、その代表決定戦で敗れてしまっている。本人は地味にその事を悔いている。
内向的で控えめな性格だが、数学などのロジックに対する集中力と、本当に本当の『いざという時』の落ち着いた判断力とひたむきさを持っている。
ヒロイン。
18歳、篠原家の長女。陣内栄のひ孫にあたる。剣道部に所属する校内のアイドル的な少女で、健二の先輩。
夏休みに祖母である栄の誕生日を祝うために、陣内家に健二を連れて帰省するが、それにはある事情があり……。
明るく活発で人懐っこいという『学園のアイドル』を絵に描いたような少女だが、そのぶん『子供っぽくてわがままな所がある』と祖母の栄に評されている。
劇場版では明確な描写はないが、他メディアでは学校での夏希を『古風な恋愛観を持ち、男性に対して潔癖症でことごとく告白を断るガードが硬い高嶺の花』として説明されている。
13歳、栄のひ孫の一人。
部屋にこもりがちで愛想のないオタク少年だが、じつはOZの格闘ゲームの世界的チャンピオンで、電脳世界では「キング・カズマ」として知られる格闘ゲームの達人。
世界的な企業をスポンサーにつけているほどのビッグネームのスーパープレイヤーである。
17歳、久遠寺高校の2年生。健二の同級生で物理部所属。
その他の登場キャラクターは「陣内家」を参照。
ぼくらのウォーゲームとの関連性
監督の出世作の一つである劇場用アニメ映画『デジモンアドベンチャー ~ぼくらのウォーゲーム!~』と多くの演出的・ストーリー的な共通点が観られ、当作品の原型だとされているが、公式では特に明言はされていない(タイトルやキャッチコピーの類似性などで示唆しているが、権利上の問題だと思われる)。
両作品を知るユーザー、ひいてはpixivでは監督つながり、電子世界での戦いなどの共通点も含め、兄弟作品のように扱うファンも多く、デジモンとのコラボ作品も存在する。
竜とそばかすの姫との関連性
本作の12年後に監督が制作した竜とそばかすの姫とは仮想世界がメイン舞台であることや現実世界では田舎が中心となって描かれているなど共通点が多数見られる。
地上波等での放送
2010年8月6日には『金曜ロードショー』として、地上波に初登場。
それを歓迎するイラストも数多く見受けられ、放映前と放映後を比べると、およそ150件ほどイラストが増加していた。
2012年7月20日には『おおかみこどもの雨と雪』の公開直前を記念して、2回目の地上波放送が行われた。
2013年8月31日には『ニコニコ動画』で夏の締めくくりとして生放送でのネット配信が行われた。タイムシフトと呼ばれる放送録画の視聴(無料会員は放送前までの事前登録が必要)は一ヶ月近くの利用期限があり、かなりの余裕をもって見直しが可能であった。
2015年7月3日には『バケモノの子』の公開を直前を記念して、3回目の地上波放送が行われた。
2017年8月18日に4回目の地上波放送。夏放送の映画の一つとして定着しつつあるようだ。
2019年7月19日は5回目にして初の完全ノーカット放送となった。
2021年7月16日には『竜とそばかすの姫』の公開を記念して、6回目に地上波放送された。
公開10周年記念
令和元年の2019年は公開10周年になり、それを記念にしたプロジェクトが行われる。
スタッフ
監督 - 細田守
脚本 - 奥寺佐渡子
キャラクターデザイン - 貞本義行
アバターデザイン - 岡崎能士
OZデザイン - 上條安里
作画監督 - 青山浩行、藤田しげる、濱田邦彦、尾崎和孝
アクション作画監督 - 西田達三
美術監督 - 武重洋二
撮影監督 - 増元由紀大
色彩設計 - 鎌田千賀子
編集 - 西山茂
音楽 - 松本晃彦
エグゼクティブプロデューサー - 奥田誠治
プロデューサー - 高橋望、伊藤卓哉、渡辺隆史、齋藤優一郎
アニメーション制作 - マッドハウス
配給 - ワーナー・ブラザース映画
製作 - サマーウォーズ製作委員会 (日本テレビ放送網、マッドハウス、角川書店、D.N.ドリームパートナーズ、バップ、読売テレビ放送、ワーナー・ブラザース映画)