概要
CV:富司純子
89歳(ほぼ90歳)。陣内家16代目当主。1920年(大正9年)、8月1日生まれ。
四世代にわたる大家族の長で、夏希の曾祖母に当たる。
古武道の心得もある、老いをものともしない女傑にして、
大勢をまとめるだけの強さと心を兼ね備えた老婦人。花札もかなり強い。
元教師であり、教え子の多くは政財界の要人になっており、全国規模の幅広い人脈を持っている。
ラブマシーンによる最初の混乱の際は、電話一本で各方面に叱咤激励し、事態解決に一役関わった。
突然帰って来た侘助を冷やかに迎え追いだそうとすらしていた。これは、かつて侘助に陣内家の資産を持ち逃げして家出した過去があったため。しかし侘助は「その詫び(償い)をしたい」として半分強引に居座ってしまい、栄も一応は反省の弁を述べた彼に対してそれ以上、邪険にはできなかった。
健二には初対面で受け入れて夏希の婿として認め、夏希の今後を彼に託した。
彼女のOZアバターは、家紋と同じ雁を模したアバターを使っている。
(映画では、序盤に夏希がメールするシーンにのみ登場している。)
朝顔を育てており、夏希にプレゼントした浴衣も朝顔柄であることから好きな花と思われる。
余談だが、朝顔の英名はmorning glory(モーニンググローリー)は直訳すると『朝の栄光』であり、夏生まれの栄に相応しい花である。
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ネタバレ注意
侘助に厳しいのは家長としてケジメをつけねばならなかった側面もあり、本当は誰よりも(侘助の実母よりも)彼を母として愛し、ずっと気にかけていた。
しかし侘助の「詫び」とは、「陣内家の資産を元手に(親戚や兄弟の)誰もが否定できない実績を挙げて、自分を見下した奴らを黙らせる」(そうすれば栄も自分を認めて大手を降って愛してくれる)というもので、更には「そのためなら誰が何が犠牲になろうと知らない」という、陣内家の人間としての誇りや意義を理解せず、後先も考えていない無責任にも程がある歪んだ価値観の上に成り立った考えであった。
侘助のドヤ顔演説によって多くを巻き込んだ騒動が陣内家の因縁を遠因とする事を悟った栄は薙刀を持ち出して侘助に「今ここで腹を斬れ!」と迫る(おそらくは侘助が腹を切った後、自らもまた侘助を止められず追い込んでしまった落とし前として、彼の後を追う覚悟であったかもしれない)。その剣幕に侘助は慌てて逃げ出し、捨て台詞を吐き陣内家を出ていくが、その結末は確実に栄の負担となり、その体をむしばんだ。
また夏希の無茶振りに付き合わされた健二に対して、その事に礼を述べると共に、夏希が侘助を慕うようになった経緯を語り、花札を通じて健二の人柄や夏希への思いを見定め、改めて彼を認めて夏希の行く末を託す。
実は心臓病を患っており、ラブマシーンが事件を起こした日の翌日の早朝、就寝中に容態が急変。家族の必死の看病も虚しくそのまま息を引き取った。通常であれば備え付けられている装置で急変が起こった際、病院などに報せるようセッティングされていたものの、事件によってそれが作動しなかったことが原因と思われるが、三男で担当医である万作は「寿命」と一同に説明していた。
それによって一家は女性陣を中心に栄を弔う派閥と、男性陣を中心に引き続きラブマシーンと闘う派閥に分裂してしまうが、彼女が家族宛に記した遺書によって一家は団結。
夏希から栄の訃報を聞きつけ舞い戻った侘助は、敬愛する義母(ばあちゃん)の死という現実に打ちひしがれ、そして自らがやらかした事の現実を知る事となった。ある意味で栄は、侘助に対して自らの命と死を以て「陣内家の誇りと使命」を「最期の教え」として授けた、とも言える。かくて侘助は自らの心得違いを家族に詫び、陣内家は彼も加えて本当の家族一同総出でラブマシーンに立ち向かう。
結果家族はラブマシーンの奇策に翻弄されつつも最終的に倒すことに成功。その翌日、彼女の誕生パーティー兼葬式で健二が夏希に頬にキスをされたことで失神すると、家族とともに遺影からその光景を笑いながら見つめていたところで、物語は幕を閉じる。