概要
推理作家有栖川有栖氏のもう一つのアリスシリーズで、犯罪社会学者の火村英生を探偵役、小説家の有栖川有栖をワトソン役においている。
同作者による同名キャラクターが登場する『学生アリスシリーズ』との区別のためにこう呼ばれている。他にも「火村英生シリーズ」や「作家編」とも呼ばれる。
『火アリ』という略称が使われることもあるが、Pixivではもっぱらカップリングとして使われている為注意。
1992年に講談社ノベルスよりシリーズ第一弾『46番目の密室』が発表され、以降多くの出版社からシリーズが続々と展開している。
とりわけ、原作者である有栖川有栖がもっとも影響を受けた推理作家のひとり・エラリー・クイーンの国名を用いた作品群に倣った、(和製)国名シリーズが有名。
2018年「火村英生シリーズ」で第三回・吉川英治文庫賞受賞
2022年にシリーズ開始30周年を迎えた。
2024年にシリーズ開始32周年を迎え『46番目の密室』時に32歳だった火村とアリスの年齢と並んだ。
学生アリスシリーズやソラシリーズとは異なりサザエさん時空を採用しており(永遠の34歳)、火村の肩書が助教授から准教授になったり、携帯電話がスマートフォンになったりしている。また、時事ネタも取り入れられており、それが関わってくる作品もある。
さまざまな媒体で展開している人気作品である。
2000年には麻々原絵里依によって『臨床犯罪学者・火村英生のフィールドノート』として漫画化
2012年からは角川ビーンズ文庫にて『臨床犯罪学者・火村英生の推理』シリーズとして少女小説レーベルにも進出(挿絵は先述コミカライズ担当の麻々原)。下記の既刊リストの☆マークの作品
2006年5月Office P・T企画にて、観客参加型ミステリーとして舞台化(下記既刊リスト▼マーク)、2022年3月~6月コロナ禍においては学ント講座で『有栖川有栖ミステリー倶楽部』が開講し、配信ミステリー化
2016年1月から3月にかけて日本テレビ系列局他にて『臨床犯罪学者 火村英生の推理』(「・」は付かないので念のため)として連続ドラマが放送された。
2023年10月に46番目の密室が本格ミステリー歌劇として上演された。(下記既刊リスト▽マーク)
あらすじ
京都の私立大学・英都大学社会学部の助教授(准教授)の火村英生は、犯罪社会の研究の一環としてフィールドワークと称し、実際の殺人現場へ赴いては事件を解決する名探偵。彼の助手は「火村の良き、そして唯一の理解者」である推理作家の有栖川有栖。二人の推理を鮮やかに彩る、美しくも狂気に満ちた犯罪の数々の物語。
登場人物
火村英生(ひむら ひでお)
本作の主人公にして探偵役。犯罪社会学を専攻する助教授(准教授)。「人を殺したいと思ったことがあるから」という理由で犯罪学者に。基本は紳士的だが、アリスには口が悪い。
有栖川有栖(ありすがわ ありす)
本作のもう一人の主人公かつワトソン役。火村の大学時代からの友人で推理作家。
大阪生まれの大阪育ちで関西弁を喋る。名前は本名であり、火村からは「アリス」(有栖川の短縮形)と呼ばれる。
既刊リスト(出版順)
タイトル | 長編/短編 | 短編の収録作品 |
---|---|---|
46番目の密室 | 長編 | ☆▽ |
ダリの繭 | 長編 | (後日談の『シュルレアリスムの午後』(P6)は、文庫では角川ビーンズ文庫版の下巻にのみ収録)※☆ |
ロシア紅茶の謎 | 短編 | 動物園の暗号▼/屋根裏の散歩者/赤い稲妻★/ルーンの導き/ロシア紅茶の謎☆/八角形の罠 |
海のある奈良に死す | 長編 | (巻末は、角川文庫版はあとがきと解説、双葉文庫版は短編ともエッセイともとれる『地図の思い出』(4P)が収録と巻末の内容が違っている) |
スウェーデン館の謎 | 長編 | ☆ |
ブラジル蝶の謎 | 短編 | ブラジル蝶の謎★▼/妄想日記/彼女か彼か/鍵/人喰いの滝☆/蝶々がはばたく☆ |
朱色の研究 | 長編 | ※ |
英国庭園の謎 | 短編 | 雨天決行/竜胆紅一の疑惑/三つの日付☆/完璧な遺書/ジャバウォッキー☆★/英国庭園の謎☆▼ |
ペルシャ猫の謎 | 短編 | 切り裂きジャックを待ちながら※▼/わらう月☆/暗号を撒く男☆/赤い帽子/悲劇的/ペルシャ猫の謎/猫と雨と助教授と★ |
暗い宿 | 短編 | 暗い宿/ホテル・ラフレシア/異形の客※/201号室の災厄 |
絶叫城殺人事件 | 短編 | 黒鳥亭殺人事件【英】/壺中庵殺人事件☆/月宮殿殺人事件/雪華楼殺人事件☆/紅雨荘殺人事件☆▼/絶叫城殺人事件※ |
マレー鉄道の謎 | 長編 | 2003年 第56回 日本推理作家協会賞受賞作 |
スイス時計の謎 | 短編 | あるYの悲劇☆/女彫刻家の首/シャイロックの密室☆/スイス時計の謎★▼ |
白い兎が逃げる | 短編 | 不在の証明☆▼/地下室の処刑※/比類のない神々しいような瞬間☆/白い兎が逃げる▼ |
モロッコ水晶の謎 | 短編 | 助教授の身代金※★/ABCキラー※/推理合戦/モロッコ水晶の謎 |
乱鴉の島 | 長編 | |
妃は船を沈める | 中編 | 猿の左手/幕間/残酷な揺り籠 |
火村英生に捧げる犯罪 | 短編 | 長い影☆/鸚鵡返し/あるいは四風荘殺人事件☆▼/殺意と善意の顛末/偽りのペア/火村英生に捧げる犯罪/殺風景な部屋/雷雨の庭で |
長い廊下がある家 | 短編 | 長い廊下がある家/雪と金婚式/天空の眼/ロジカル・デスゲーム※ |
高原のフーダニット | 短編 | オノコロ島ラプソディ/ミステリ夢十夜/高原のフーダニット |
菩提樹荘の殺人 | 短編 | アポロンのナイフ※/雛人形を笑え/探偵、青の時代※/菩提樹荘の殺人 |
怪しい店 | 短編 | 古物の魔/燈火堂の奇禍/ショーウィンドウを砕く※/潮騒理髪店/怪しい店 |
鍵の掛かった男 | 長編 | |
狩人の悪夢 | 長編 | ※ |
インド俱楽部の謎 | 長編 | |
カナダ金貨の謎 | 短編 | 船長が死んだ夜/エア・キャット/カナダ金貨の謎/あるトリックの蹉跌/トロッコの行方 |
捜査線上の夕映え | 長編 | |
日本扇の謎 | 長編 | MRC大賞2024受賞作 |
砂男 | 短編 | 砂男/海よりも深い川/他江神(学生アリス)シリーズ他 |
※地上波かHuluでドラマ化された作品
▼Office P・T企画にて舞台化された作品
☆角川ビーンズ文庫版に収録された作品
★名探偵傑作短篇集 火村英生篇(講談社文庫)に収録された作品
単行本・文庫本未収録作
・砕けた叫び(角川スニーカー文庫『ミステリアンソロジーV 血文字パズル』2003年2月/角川文庫『赤に捧げる殺意』2013年2月)
・走りだせない日(tree 連載企画 Day to Day 2020年5月)(裏話)
作中で紹介された作品・作者名
西村寿行『血(ルジラ)の翳り』/ヨハン・ゼバスティアン・バッハ『ゴールドベルク変奏曲』『ブランデンブルク協奏曲第五番』/戸川昌子/夏樹静子/ディスクン・カー『ユダの窓』『爬虫類館の殺人』/ビング・クロスビー『ホワイトクリスマス』/エドガー・アラン・ポー『モルグ街の殺人』『マリー・ロジェの謎』『盗まれた手紙』『見えないグリーン』『大鴉』『アッシャー家の崩壊』『鐘楼の悪魔』『アナベル・リー』/エラリー・クイーン『九尾の猫』『最後の一撃』『エラリー・クイーンの新冒険』『Xの悲劇』『Yの悲劇』『ローマ帽子の謎』/ポール・ギュスターヴ・ドレ/トマス・ハリス『羊たちの沈黙』/シム・シメール/カーヴド・エア/ローリング・ストーンズ『ギミー・シェルター』『ジャンピン・ジャック・フラッシュ』/サルバドール・ダリ/吉行淳之介/横溝正史『本陣殺人事件』『真珠郎』『真珠塔』『悪霊島』/ルキノ・ヴィスコンティ『ベニスに死す』『山猫』/オリヴィエ・メシアン『世の終わりのための四重奏曲』/ワシリー・カンディンスキー/ジョルジオ・デ・キリコ『トリノの憂愁』/ヴィクトル・ブローネル『地中海的風景』『片目のない自画像』/江戸川乱歩『続・幻影城』の『類別トリック集成』『大金塊』『屋根裏の散歩者』『二銭銅貨』『パノラマ島奇譚』/スティーブン・スピルバーグ『未知との遭遇』/トーマス・マックナイト/C・デイリー・キング『鉄路のオベリスト』『トーメント四世号のエピソード』/川端康成『古都』『叙情歌』/東山魁夷/パコ・デ・ルシア『アランフェス協奏曲』/ジョージア・オキーフ/曲亭馬琴『南総里見八犬伝』/井原西鶴『諸国噺』の『水節の抜け道』/ブライアン・イーノ/オスカー・ワイルド『ドリアン・グレイの肖像』『(西條八十訳の)詩』/近松門左衛門/ヘルレイザー/ホメロス『オデュッセイア』/セルゲイ・エイゼンシュテイン/ジャン=リュック・ゴダール/フェデリコ・フェリーニ/アンドレイ・タルコフスキー/小津安二郎/溝口健二/ウンベルト・エーコ『薔薇の名前』/リドリー・スコット『ブレードランナー』/松本清張『砂の器』『熱い絹』『ゼロの焦点』/S・S・ヴァン・ダイン/セルマ・ラーゲルレーヴ『ニルスのふしぎな旅』/アストリッド・リンドグレーン『長くつ下のピッピ』/トーベ・ヤンソン『ムーミン』/ハンス・クリスチャン・アンデルセン/『汽車』/『ギリシャの楽器ブズーキ』/エリッヒ・フロム『自由からの逃走』『悪について』/ヨハン・ヴォルフガング・フォン・ゲーテ『若きウェルテルの悩み』/中上健次/井上靖『楼蘭』の『補陀落渡海紀』/謡曲『弱法師』/説教節『しんとく丸』/井上ひさし『吉里吉里人』/三島由紀夫『潮騒』/マルセル・ブルースト『失われたときを求めて』/ハムレット/映画『ティファニーで朝食を』『ムーンリバー』/レッド・ツェッペリン『イン・ジ・イヴニング』『天国への階段』/ルイス・キャロル『不思議の国のアリス』『鏡の国のアリス』(柳瀬尚紀訳)/フレデリック・ショパン『ノクターン』(アダム・ハラシェヴィチ演奏)『仔犬のワルツ』/シリル・ヘア『英国風の殺人』/ジョーゼフ・L・マンキーウィッツ映画『探偵(スルース)』/スティーブン・キング/『ホテル・カルフォルニア』/沖縄民謡『安里屋ユンタ』/サミュエル・ベケット『ゴドーを待ちながら』/イングマール・ベルイマン映画『処女の泉』『第七の封印』/ラーゲルレーヴ/リンドグレーン/パール・ラーゲルクヴィスト/アウグスト・ストリンドベリ/ベッカリーア『犯罪と刑罰』/幸田露伴/サラ・ヴォーン/ムソルグスキー『禿山の一夜』/ACDC『ナイト・プローラー』/ジアナ・ゼイン(マレーシアの女性歌手)/ガルシア・ロルカ『ロルカの詩集』/ピーター・フォンダ主演映画『イージー・ライダー』/ヨハン・シュトラウス1世『ラデツキー行進曲』/稲垣足穂/クレイトン・ロースン『この世の外から』/エリック・サティ『家具の音楽』/セロニアス・モンク/グレゴリー・ルイス『マンク』/マイケル・シェンカー/棟方志功/落語『芝浜』/エド・マクベイン『キングの身代金』/黒澤明『天国と地獄』『野良犬』『椿三十郎』/三好徹『乾いた季節』/ハンフリー・ボガート出演『カサブランカ』/アガサ・クリスティー『カーテン』『スリーピング・マーダー』『ABC殺人事件』『マウス・トラップ』/シェイクスピア『ベニスの商人』/ニーチェ/坂口安吾/アルベール・カミュ『シーシュポスの神話』/ジュール・シュペルヴィエル『沖の娘』(窪田般彌訳)/手塚治虫『アトム誕生』/ジョルジュ・ローデンバック『死都ブリュージュ』(窪田般彌訳)/吉岡実『喪服』/スタニスワフ・レム『ソラリス』(沼野充義訳)/ホルヘ・ルイス・ボルヘス『不死の人』(土岐恒二訳)/日夏耿之介/フランソワ・トリュフォー映画『アデルの恋の物語』『緑色の部屋』『黒衣の花嫁』/フィンセント・ファン・ゴッホ『烏のいる麦畑』/芥川龍之介『河童』/ウィリアム・ゴドウィン『ケイレブ・ウィリアムズ』/ヘンリー・ジェイムズ『死者たちの祭壇』/アマリア・ロドリゲス『暗いはしけ』『難船』/夢野久作『難船小僧』『ドグラ・マグラ』/ウイリアム・ジェイコブズ『猿の手』(倉阪鬼一郎訳)/アントニオ・ヴィヴァルディ『四季』/松本ちえこ『ぼく』/ボブ・ディラン『風に吹かれて』/チャールズ・ディケンズ『エドウィン・ドルードの謎』/サルヴァトーレ・アダモ『雪が降る』/『金婚式』/北原白秋『城ヶ崎の雨』吉田兼好『徒然草』//高橋泥舟/マイルス・デイビス『ラウンド・ミッドナイト』/清岡卓行『不気味な円環』/ジョージ・ガーシュイン『ラプソディ・イン・ブルー』/赤川次郎『三毛猫ホームズ』/太宰治『人間失格』/黒岩涙香/吉川英治版『三国志』/ヴィルヘルム・ミュラー/フランツ・シューベルト歌曲集『冬の旅』の五番『菩提樹』『子守唄』/志賀直哉『剃刀』/森村誠一『殺意の造型(ヘア)』/大泉黒岩『曾呂利新左衛門』/リチャード・マシスン『散髪』/G・K・チェスタトン『ヴォードリーの失踪』/エドワード・D・ホック『投票ブースの謎』/式亭三馬『浮世床』『崇徳院』/ジョアキーノ・ロッシーニ オペラ『セビリアの理髪師』/宮本輝『泥の河』/富樫倫太郎『堂島物語』/鮎川哲也『憎悪の化石』/ミロス・フォアマン映画『カッコーの巣の上で』/ドロシー・L・セイヤーズ/マージュリー・アリンガム/パトリシア・モイーズ/エリス・ピーターズ/P・D・ジェイムズ/ルース・レンデル/コーネル・ウールリッチ(ウィリアム・アイリッシュ)『聖アンセルム九二三号室』『幻の女』『暁の死線』『コーネル・ウールリッチの生涯』/アルフレッド・ヒッチコック『裏窓』/人形浄瑠璃『義経千本桜』/サキタハヂメのミュージカル・ソウ/ふるさと/スティーヴン・キング/高橋和巳『邪宗門』/軽森野楊/ドビュッシー『夢(夢想)』/シャガール/アルベルト・ジャコメッティ/小栗虫太郎『黒死館殺人事件』/澁澤龍彦/『平家物語』/中田修『犯罪精神医学』/ベートーヴェン『田園』/シャルル・エクスブライヤ/シタール『シタール音楽』/山田風太郎/コナン・ドイル『赤毛連盟』『椈屋敷』/夏目漱石『吾輩は猫である』『三四郎』/森鷗外/マイケル・サンデル『これからの「正義」の話をしよう』/佐藤春夫/橋本関雪/
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関西ローカル:タグの記事の番組は地元民が愛してやまないお店を紹介していて(毎週ではないですが)、火村やアリスの行動範囲の場所もよく登場するので、色々参考になると思います。