山田風太郎
やまだふうたろう
「達磨峠の事件」でデビューし、当初は江戸川乱歩の元、推理小説家として名を馳せていたがあるとき『南総里見八犬伝』を自己のテイストで物したところ、大好評を博す。それが切っ掛けで時代小説・伝奇小説家としての才能を開花させ、『甲賀忍法帖』で彼の作品の中で最も有名で長期のシリーズとなる忍法帖シリーズが始まった。
推理小説やSFにも通じる、奇想天外なアイデア、どんでん返しが持ち味の作家。『水滸伝』をはじめとした古典伝奇文学に造詣が深く、それらを咀嚼・再構成して独自の視点を加えた作品を多数執筆した。
彼の作品はいわゆるバトルもの・能力バトルものの先駆者である。忍法帖は以降の忍者モノのみならず、聖闘士星矢やジョジョの奇妙な冒険シリーズといった特殊能力バトル漫画に大いに影響を与え、特に『魔界転生』は「よみがえった豪傑達が決闘する」という大いに盛り上がるお約束を確立させ、Fateシリーズ誕生に繋がっている。
・無類の酒好きでグルメ。体重が生涯55㎏を超えなかった痩せ型だが、とにかくいろいろなものを食べた。
蛆がわいたコンビーフや、延々とグリーンピースの山を食べ続ける戦中・戦後の貧しい食生活の反動らしく、奥さんに料理教室に通ってもらい、沢山の種類のおかずを食べていた。中でも好きだったのはとろけるチーズの肉巻き、「チーズ肉トロ」。
当時は珍しいマイホームパパであり、家族仲が良い。娘への贈り物に名著「育児日記」を物した。
・学生時代は不良で通り、夜中に寮を抜け出し繁華街は映画館へ忍んでいき、道中刑事に不審者と疑われ追い掛け回されたり、寮の天井をぶち抜いて隠し部屋を作って火鉢を持ち込んで寛いだりと、やりたい放題だった模様。
「風太郎」とは当時の不良仲間との暗号名からつけたものである。本来は「かぜたろう」と読ませたかったらしい。
・日本三大名探偵「神津恭介」のシリーズを手掛けた高木彬光とは全く正反対の性格ながら親友である。好戦的な高木と飄々とした山田の相性が抜群にあっていた模様で、喧嘩もまったくしたことがないが、彼のB29のようないびきにだけは本気の殺意を抱きかけた。
・戦後の推理小説家の大半がそうだが、師の江戸川乱歩を深く尊敬している。ただし乱歩の趣味にはついていけていない。また横溝正史にも懐いており、いきなり押しかけて酒をねだることしばしば。逆に家に招いたところ、老齢にもかかわらず上機嫌に大トラになってひっくり返ったのを見て「これが本当の酒飲みだ」と恐れ入ったという。
・戦中~終戦前後の日記を非常に詳細につけており、当時の日本人の価値観の移り変わりや世情が窺い知れる、貴重な資料となっている。「戦中派」シリーズと銘打って出されたそれは、他にも推理小説界隈の著名人とのやり取りや、自他ともに厳しい審美眼で見つめる山田風太郎の文学への真摯な態度がひしひしと伝わってくる。
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