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砂の器

すなのうつわ

「砂の器」とは、松本清張の社会派推理小説、及び同名の映画作品である。メイン画像は映画版に出演した際の加藤嘉。
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概要編集

1960年から61年にかけて夕刊読売新聞にて連載された。

松本清張の推理小説の中でも、最も有名な作品の一つ。

1974年(丹波哲郎)には映画化され、清映像化作品の中でも傑作として高く評価されている。

さらに1962年(高松英郎)・1977年(仲代達矢)・1991年(田中邦衛)・2004年(中居正広)・2011年(玉木宏)・2019年(東山紀之)と6度に渡ってテレビドラマ化された。(※()内は主演)


この結果、TBSフジテレビテレビ朝日にて各2回ずつテレビドラマ版を放送したことになる(TBSは1962年と2004年、フジテレビは1977年と2019年、テレビ朝日は1991年と2011年)。


とある殺人事件を発端に、刑事の捜査と犯罪者の動静を描く。


あらすじ編集

5月12日早朝。国電蒲田操車場内で、男の死体が発見された。

前日の深夜、蒲田駅近くのバーで、被害者と連れと思しき客が話しこんでいたという証言が上がる。被害者は特徴的な東北訛りで、しきりと「カメダ」なる名を話題にしていた。

ベテラン刑事の今西栄太郎は、秋田県の駅名に「羽後亀田」があることに気づく。また現場付近に不審な男がうろついていたという情報もあり、今西は若手刑事の吉村と共に調査に赴いた。

調査の結果は芳しいものではなかったが、帰途についた二人は、近頃話題の若手文化人集団「ヌーボー・グループ」のメンバーが、駅で人々に囲まれているのを目にする。あらゆる既成の権威を否定し、マスコミの寵児となっている新進気鋭のグループだった。


秋田での調査も結果が出ず、捜査は行き詰まっていたが、その後被害者の身元が判明する。名前は三木謙一、元島根県警の巡査部長だった。

謙一と養子の三木彰吉は岡山県在住で、東北とは縁もゆかりもない為に今西は困惑する。ところが、実は島根県出雲地方は東北地方と似た方言(雲伯方言、出雲方言)を使用する事実が判明。更に島根県の地図から「亀嵩(かめだか)」の駅名を発見し、被害者が亀嵩の駐在所に勤務していた事が解る。

今西は亀嵩に向かい、被害者の過去から犯人像を掴もうとした。しかし、被害者が誰からも好かれる人物であったことしか解らず、有力な手がかりは得られないように思われた。

そうこうするうちに第二・第三の殺人が発生し、事件の謎は深まっていくが……


登場人物編集

  • 今西 栄太郎

警視庁捜査一課。階級は巡査部長。45歳。俳諧を趣味にしている。

  • 吉村 弘

蒲田警察署の若手刑事。東北行きで今西に同行するも、芳しい結果にはならなかった。

「ヌーボー・グループ」の一人で、海外でも高く評価される天才音楽家。28歳。電子音楽にも通暁している。

  • 関川 重雄

「ヌーボー・グループ」の一人で、評論家。27歳。和賀とは表面上では仲良くしているが、内心ではライバル視している。

  • 田所 佐知子

新進彫刻家で、和賀の婚約者。農林大臣・田所重慶の娘。

  • 三浦 恵美子

関川の愛人。銀座のバー「クラブ・ボヌール」の女給。今西の妹が経営するアパートへ引っ越してくる。

  • 成瀬 リエ子

青山の劇団の事務員。25歳。和賀の愛人だが……

  • 宮田 邦郎

青山の劇団に所属する俳優。30歳。成瀬リエ子に好意を持っていた。

  • 三木 謙一

蒲田操車場殺人事件の被害者。元島根県警巡査部長。東北弁に似た言葉を話す。

  • 三木 彰吉

岡山県江見町の雑貨商。三木謙一の養子。

  • 桐原 小十郎

亀嵩算盤老舗を営む。三木謙一と親しかった。俳句に造詣が深い。

  • 本浦 千代吉

事件の発端となった人物。ある病に侵されており、息子と共に放浪を余儀なくされていた。


余談編集

原作小説のラストは、空港で海外に向かおうとする犯人を逮捕するというものだが、映画版では「ピアノと管弦楽のための組曲「宿命」」が流れる中、犯人の逮捕状を請求する捜査会議、コンサート、犯人の脳裏をよぎる過去の回想シーンが流れる。

原作者はこれについて「小説では絶対に表現できない」としてこの構成を高く評価している。

また字幕によって事件の鍵となる病について解説が入れられており、ドラマ版では千代吉の病は戦争で負ったPTSDや犯罪に改変されている。


関連タグ編集

  • 日曜劇場(TBSにおける2度目のテレビドラマ化の際の放送枠)
  • 亀嵩駅(作品舞台の内のひとつ。映画ヒットを受けた記念碑がある)
  • 近畿日本鉄道(TBSにおける最初のテレビドラマ化、どころか映画も含めて初めて映像化した際の放送枠の1社スポンサー)

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