友達だったのかなあ
概要
水島努監督のオリジナルテレビアニメ。2022年10月に制作が発表された。アニメーション制作はEMTスクエアード。
数名の少女たちによるロードムービー、…の体裁をとった、タイトル通りどこへ向かっているのか分からないハチャメチャなカオスコメディを描く。
「展開が適当過ぎる!」
2024年春アニメとして、TOKYOMX、サンテレビ、AT-X、KBS京都、BS11で放送されたほか、dアニメストアによる先行配信も実施されている。
また、同年3月25日からはKADOKAWAが運営するウェブ漫画雑誌のひとつである「カドコミ」にて、酉村によるコミカライズが配信されている。
監督の水島は、自身のツイッターで本作品の設定などを投稿している。内容はネタ的なものから、かなり重要なものまで様々。
あらすじ
ある事故で因果が歪み、隣の県に行く事すら困難になってしまった世界の埼玉県にある、自然豊かな郊外の田舎町だった吾野の町。
そんな中、その町に暮らす一人の少女・千倉静留は、行方不明の親友・中富葉香の手がかりを発見したことをきっかけに、駅に放置されていた電車に乗り込み、彼女を探すべく友人達とともに外の世界へ旅に出た。
世界観
7G事件(「関連用語」を参照)と呼ばれる災害で物理法則が崩壊している。人間は別のものに変化した。架空のものが実体化したり地形や距離感も大きく変わっており、今も絶えず変わり続けている。
住民
町ごとに人間が突然変異した状態で、外に出ても元いた町の種の法則に逆らうことは出来ない(例えば、吾野の住民が外に出ても、一定年齢になれば動物に変化する)。何に変化するかは町ごとに異なる。
住民以外には変化は生じていない。また、西武池袋線沿線外を出身とする者も変化しない。
地形など
外の世界は引き伸ばされ、駅間の距離が異常に長くなっている。駅間は、自然広がる無人地帯となっている。一説に、西武池袋線沿線以外の世界は消滅しているとも。沿線外からシグナルはあり、探索隊がたびたび送られているが、悉く失敗している。
星空は異常に澄み、星や惑星が事件以前よりかなり見えやすい。
関連用語
7G事件(セブンジーじけん)
2年前(2022年)に起きた大災害。
7Gに関して、科学者などから懸念の声が上がっていたが、それらを押し切りポンタローは開通式典を強行、中富葉香に開通ボタンを押させたところ物理法則が崩壊。様々な異変が生じ、国家なども崩壊してしまった。
7G
現実世界に存在する5Gやその次世代の6Gのさらに次世代の通信規格。「世界に7Gを広める会」会長ポイズン・ポンタロー曰く、日本が初めて開発した既存のものを上回る速度の回線。
どんなところにも通り、電線などのインフラが破壊された状況でも電化製品を動かすことが出来る。線路を通して、モールス信号を送ることも出来る。
ただし、強力すぎるゆえに供給は不安定。
うにゃうにゃ手術
ポンタローが複数人に強制的に受けさせた手術。開頭手術の形で行われる。受けさせられると、人格を変えられる。特徴から分かる通り、ロボトミーの隠喩である。
無麻酔のうえ、衛生的にも悪い場所で行われ、執刀者も本業の医師であるかも不明。善治郎は7Gの危険性を声高に訴えていたため、口封じで受けさせられた(学者で7Gを研究していたマコトも同じ理由と思われる)。
確認できる被験者は今のところ、以下の二人。
- 平善次郎
- 甲把・マコト・オングストローム(未遂)
なお、2人の手術はマコトが縮小していなかったこと、上記の理由の内容から7G事件以前に行われたようだ。
7G・ウェーブ・ブレイン現象
7G環境下において人体が自身の思い込みの影響で変容してしまう現象。
7Gの研究者である甲把・マコト・オングストロームが提唱した。
東京の池袋駅と埼玉の吾野駅を結ぶ西武鉄道の路線。吾野駅から先は西武秩父線西武秩父駅まで繋がっている。
池袋駅~飯能駅(複線区間)、飯能駅~西武秩父駅(単線区間)で運行が分離されているため、飯能駅~吾野駅も西武秩父線だと勘違いされやすい。吾野駅が舞台となったのは同駅が西武池袋線の終点ゆえ(第5話の晶の回想場面で西吾野から通う児童が「西吾野が秩父線だからってバカにしたな?」と因縁をつける場面が登場している)ちなみに池袋駅~吾野駅の所要時間は約80分。
劇中では、前述の通り7Gの影響でおかしくなった世界を走るため、実際の沿線風景とは大幅に異なる。各駅の状況は後述。ただし、トンネルや鉄橋などの場所はほぼ変わっておらず、駅も現実世界とほぼ同じ姿のまま。ただし、駅付近を除いて全て単線になっている。また、列車の運行がされていない上、他の車両の姿が見当たらなくなっている。吾野駅から池袋駅まで何日掛かるか分からない状況。
「新2000系」の2463編成と呼ばれる2両編成で、1990年11月に製造され、2023年3月までアニメと同じ池袋線で運用されていた。現在は新宿線で平日を中心に運行中。
作中では吾野駅に留置(放置?)されており、元鉄道員の善治郎に運転方法を教えて貰った静留の運転で池袋駅を目指す。
武蔵横手駅を出たあと(4話)静留の体力を考え、乗員の話し合いの結果、乗員4人の交代制に変更されている。
詳しくはリンク先も参照。
吾野柔術
吾野に伝わる独自の柔術。柔術にもかかわらず、打撃技が多い。
静留は子どもの頃から学んでおり、二段を取得。得意技はロシアンフック。
撫子が習っている「吾野弓術」もあり、こちらも打撃技が多い。
作中世界に存在するアニメ作品。通称「ねりあり」。玲実がファンである描写がされているが、静留も葉香と一緒にTVで鑑賞している描写があるので、作中の認知度は高い模様。
池袋新聞
7G事件後の世界の出来事が書かれている新聞。ふくろ新聞とも。
池袋を中心に、西武池袋線沿線の出来事が記事化されている。池袋を拠点としているだけに、ポンタローのプロパガンダメディアと化している。
エントロピーの増大
熱力学用語。噛み砕いて言うと「使用済みエネルギーが増える=使えるエネルギーが目減りする」こと。例えば高所にある物体は低所へ落下し(位置エネルギー)、電池の中の電力は使わずとも放電で消耗し(化学反応)、宇宙はビッグバンの時の運動エネルギーにより少しずつ膨張している。コイツが増大し切ってしまうと、その世界では生物も無生物も活動できなくなる。
ある人物曰く、7G環境下では局所的に起こる可能性があるとか…
登場人物
2000系(アポジー号)の乗員乗客
学年については、水島のこのツイートによる。なお、学年が異なる者同士が友人になっているのは、中高一貫の複合学級となっているため。
千倉静留(ちくら しずる)
CV:安済知佳
本作の主人公。高校2年。頭よりも体を動かすタイプで、親友探しに出ることを決めたら即断で実行に移すほどの行動力を持つ。祖父から吾野柔術を習っている。
葉香とは、彼女が行方不明になる前日に喧嘩したまま別れており、より彼女に会いたいという気持ちを強めている。
善治郎に電車の操作方法を学び、2000系を運転する。
現金3000円ちょっと、食料、ゴーヤなどを車内に持ち込んでいる。
星撫子(ほし なでしこ)
CV:和氣あず未
静留の友人その1。高校3年。周囲には「なでこ」と呼ばれている。穏やかな性格で、喧嘩を嫌い、よく喧嘩をしている玲実と晶を仲裁しているが、やや強引。
吾野弓術を習っている。ゲームをすると性格が変わるタイプ。
両親の離婚がトラウマ。
久賀玲実(くが れいみ)
CV:久遠エリサ
静留の友人その2。高校1年。ミーハーな黒ギャルで都会の流行アイテムに憧れている。金髪は染めているらしく、幼少時代は黒髪だった。晶とは何かにつけて衝突している。小テストで0点を取ったことがあり、晶に「0点 玲実 霊長類」とよく煽られる。
『練馬の国のアリス』のファン。特にスーちゃんが好き。
「あまたろう(詳細不明)」と過去になにかあったらしい。
東雲晶(しののめ あきら)
CV:木野日菜
静留の友人その3。中学3年。冷静沈着だが臆病の裏返しなところがある。特に死を恐れている様子が見受けられる。読書を好み、雑学に詳しい。玲実には嫌味を言ったりからかったりしている。
昔は泣き虫だったらしい。
溺れた誰かを見捨てたと思われるトラウマがある。
葉香の家で飼われている秋田犬。
正確な年齢は不明だが、十数年飼われている老犬らしい。
勘がよく、時々危険を知らせたりする。清瀬付近で嘔吐した。
過去に水を掛けられる等の虐待を受けた疑惑がある。
上記以外の主要登場人物
中富葉香(なかとみ ようか)
CV:東山奈央
行方不明の静留たちの親友。明記されていないが、制服のリボンの色から静留と同学年とみられる。彼女を探すことが旅の目的となる。
2年前(2022年)池袋駅で「7G開通式典」に強引に参加させられ開通ボタンを押してしまい、事件に巻き込まれる。吾野に祖母の小雪と飼い犬のポチさんを残している(小雪は7G事件でモルモットに変化した)。
将来は宇宙開発に携わりたいと思っている。
平善治郎(たいら ぜんじろう)
CV:興津和幸
元は都会で鉄道員として働いていたが、吾野に戻ってきたら老人になっていた。うにゃうにゃ手術のせいで吾野から出れず、言葉も発せられないが、鉄道員の帽子を被ると5分だけ若返る。
毎日17時にレールを叩き、モールス信号で吾野を出た静留達と定期連絡を取っている。
静留の父
CV:山口勝平
静留の父。クズリになっており、四人の仲間とともに、失われた町の捜索を行っていた(現在は3人で行動)。そのため、家を空けており、クロヒョウキャラバンを通じて手紙を送っていたが、適当で、母に不満がられていた。立場は母のほうが上。
静留たちに会う以前、椎名町に行っていたが、トキワマンに遭遇し、ひとりを倒し、ベレー帽を戦利品に挙げたが、敗れ、マスコットキャラクターのような姿にされた。
静留と同様、吾野柔術を習得しており、体力には自信がある。
CV:浪川大輔
「世界に7Gを広める会」会長。世界崩壊の元凶。
テンションがやたら高く、胡散臭さを感じさせる人物。実際うにゃうにゃ手術の強制や、独裁的な振るまいなど、極めて冷酷な人物。
ポチ
CV:中井和哉
ポンタローの部下。スキンヘッドで感情を表に出さない。池袋の「魔女王」の世話をしている。部下とはいえ、あまり信頼されていないようで、口振りも対等な立場を思わせる。ポンタローとは何か恩があって従っているようだ。
道中で出会う人物
ネコ兄(ねこにい)
CV:間島淳司
第1話・第6話・第7話に登場。運送業「ナガト運送」の宅配便「クロヒョウキャラバン」のセールスドライバー。眼帯をした青年。静留は葉香の手がかりを探すよう頼んでおり、またアルバイトをさせてほしいと頼んだが身の危険のリスクから断っている。熊が倒れ、ペリカン、カンガルー、飛脚も相次いで倒れる中、重武装のトラックを使って孤軍奮闘して月1回吾野に配送を行っている(その際、下記の「黒豹便のテーマ」をスピーカーから流している)。
スワン仙人(すわんせんにん)
CV:飛田展男
第2話で初登場。かつて要町に住んでおり、意味もなく怠惰な日々を過ごしていた。そんな中、池袋にいたときに7G事件に巻き込まれた(要町も事件後は発見されておらず、状況はわからない)。
それをきっかけに、変化した世界を探求する心に目覚め、これを調べるべくスワンボートで川を遡りはじめ、橋梁を渡ってきた静留達の2000系と出会う。
加熱式タバコのカートリッジと交換で「西武池袋線沿線以外の世界は消滅していると思われる」「(自分以外の)言葉は信じるな」という助言と自らがまとめた地図を静留たちに与えた。
静留たちからは最初、信用されていなかったこともあり、かなり雑な扱いをされている。
9話で滝に流されかけているところを撫子の弓術で救われる。そして仙人は静留たちに地図の意味と、更新した地図、世界が絶えず変化していることを伝える。
CV:福圓美里
第2話~第3話に登場。東吾野の町の旅館の若女将。頭に松茸を生やしている。静留達をもてなすも、ミストサウナの入浴を強要に近いくらいの勢いで推奨したり、と怪しげな様子で、晶だけはその怪しさに気づいた。
食料(乾パンや保存水など)を、自分達にはもう必要ないという理由で無償で提供してくれた。
地蔵(じぞう)
CV:小野坂昌也
第4話に登場。仏子駅のホームに立つ地蔵のうちの一体。稲荷山公園の医者について尋ねても稲荷山公園駅が仏子駅の2駅先であることしか教えてくれなかったのだが、東吾野駅を出てから身内以外で初めて会話をした相手となった。
甲把・マコト・オングストローム(がっぱ まこと おんぐすとろーむ)
CV:井口裕香
第5話で初登場。吾野の住民が言っていた「稲荷山公園の医者」の女性。フルネームで呼ばれることは少なく、当地では「ドクター」「マコト先生」と呼ばれている。
善治郎とは小学校時代の幼馴染み。喧嘩ばかりしていたらしいが、大人になっても行動をともにしていたあたり、何だかんだで仲はいいようだ。
もともとは地域のリーダーだったが、ボスに捕えられ基地の管制塔内に監禁されていた。しかし、晶の治療を行うため訪ねた静留と玲実によって解放され、玲実の手によって駅に停まる2000系の中にいる晶と撫子とポチさんの元へ連れられた。
ドクターといっても、医師でなく科学者の方の意味で、晶の治療を行うことはできなかったが、7Gの知識から「7Gウェーブブレイン現象」であることを見抜き、荒療治によって晶を何とか正気に戻す方法を伝授した。
元は7Gの研究をしていたが、ポンタローに善治郎と一緒に監禁され「うにゃうにゃ手術」をされかかっていたところを、善治郎の身を挺した機転により脱出している。このことから、善治郎を恩人としている。
善治郎の生存を撫子から聞いたことから、自動車で吾野へ向かう決意をする。
第9話で吾野に着いたマコトは、善治郎と再会し7Gに関する情報の聞き取りを行っている。
ボス
CV:阿部敦
第5話に登場。小太りの基地が好きなミリオタの青年で、7G事件前は基地で働きたいと思うほどであった。発言内容は幼く、また運動能力も7G事件前は友人と会話した際に体力面で基地勤務のダメ出しをされるほどであり、明らかに静留や玲実に劣っている。西武池袋線沿線外の出身者で、7G事件発生時にたまたま稲荷山公園にいたことで1/6サイズに縮小した稲荷山公園を掌握した。クレーンゲームなどが雑に置かれ、柱にキノコが生えた格納庫を改造した部屋を根城にしていた。
静留・玲実との戦いの後は、自らの配下の輸送ヘリに吊り下げられ、7G事件の影響で巨大化した狭山湖にできた無人島へ連行された。
黒木美都(くろき みと)
CV:小原好美
第6話~第7話に登場。渡りゾンビを率いる女王。
他のゾンビと違い理性もあり、会話も可能。渡りゾンビも彼女には素直に従う。
渾沌(こんとん)
CV:中村悠一
第8話に登場。『練馬の国のアリス』のラスボスで実体化したキャラクター。犬形の怪人で犬種はノーフォークテリア。封印されていた駒袋が破れたことで飛び出し、アリス一行を打倒しネリアリランドのボスになっている。アリス一行のコスプレをさせられた静留一行との戦いでは以下の部下が将棋の動きをしたことを晶に見破られたことで敗れたが、静留に池袋の魔女王の存在とその名を告げて逃げ去った。
※渾沌の部下、詳細はリンク先参照。
- くだん(CV:斎藤千和)
- ラガーマン(CV:山本格)
- 罪悪感のかたまり(CV:西地修哉)
- 三毛猫(CV:酒井広大)
- 序二段(CV:藤原聖侑)
- ヒグラシとアブラゼミとその他のクォーター(CV:大谷祐貴)
- 墓掘りウォーカー(CV:木田祐)
- ウォーカー(CV:堀総士郎)
CV:井澤詩織
第8話に登場。『練馬の国のアリス』の主人公・アリス(CV:山村響)の仲間の一人で実体化したキャラクター。他にはごーもんティー(CV:吉野裕行)ケッシー(CV:下地紫野)がいるが、前記3名は渾沌による改変でかけらにされてしまい墓に封印され、スーちゃんだけ逃げ延びていた。
「ネリアリランド」となった大泉学園の住民の大半占める集団。渾沌から凄惨な仕打ちを受け、難を逃れた一部はレジスタンスを行っている。
第10話に登場。椎名町駅前の商店街にいる漫画家3人組。
緑色のベレー帽を被っている。
沿線の状況・動向
現在地と各駅の状況については公式サイトも参照。
※第2話でスワン仙人から貰った地図が西武池袋線の路線図と一致しており、駅名の横の記号はその地図(路線図)に書かれた駅の形を表す。
第9話で再会したスワン仙人に渡された改訂版では空欄が埋まっていたり、表記が変化している。
記号に描かれている絵は、住民の特徴や起きる事象を示す。
記号の意味は現時点では不明だが、視聴者によって次のように考察されている。
◯:住民の理性がない。◇:住民に理性はあるが敵対的。▢:住民に理性があり交渉(対話)可能。
吾野駅:▢
地図には熊の顔が描かれていた。
始発駅。住民は21歳3か月を超えると全員動物になってしまう。人間としての理性(自我)は残っているが、食べ物(肉)を思い浮かべて野生化しそうになったマレーグマの「マサさん」など種族や状況によっては理性を保っていられるとは言い切れない様子。
ゴーヤが名産となり、他に米と中麦(ちゅうむぎ。7G事件の影響で突然発生した、大麦と小麦の中間の麦)も育つ。肉食派と草食派がおり、祭りは供え物を巡り、対立してしまい中止になった。
高麗川橋梁
吾野駅~東吾野駅間にある高麗川に架かる橋。駅間が引き伸ばされた影響か、高麗川は湖のようになっていた(現実世界の高麗川は川幅が狭く、西武秩父線・池袋線に沿うように流れており、吾野駅~武蔵横手駅間で10回渡る)。一旦吾野駅へ戻ろうとした静留達の前に突如津波が発生し、線路(鉄橋)を破壊した。
東吾野駅:▢
地図にはきのこの絵が描かれていた。
住民の頭からキノコが生えている(冬虫夏草の人間版と言える)。寿命は1、2年と短く、達観的な考えになっている。湿度が高いため、キノコとそれを使った料理が名物。そのため太陽や乾燥を激しく嫌い、それで育つゴーヤを嫌悪していた。外部の人間に対しては優しく対応して、その隙に仲間にしようとする。
静留達一行はここで下車し、マツタケイコの旅館で一泊する。また食料や着替えを貰った。
武蔵横手駅:◯/◇
地図にはヤギのような動物の顔が描かれていた。
住民は二足歩行のヤギに変化している。人がやってくると、突然集団で肉弾戦のごとく突っ込んでくる。駅周辺はだだっ広い草原となっており、住民はそこに隠れていた。
一行は一度ホームに降りたが、危険を感じとりすぐに出発した。
10話登場の池袋新聞によると、芸を覚えたとある。スワン仙人の地図記号が「理性なし」から、「理性あるが、敵対的」に変わったことも合わせると、ある程度知能が上がっていると見られる。
現実世界の武蔵横手駅では、2021年までヤギが飼われていた。
高麗駅:◯
地図にはタコ型ウインナーのような何かが描かれていた。
住民はマンドラゴラのようになる高麗人参(オタネニンジン)に変化しており、人がやってくると集団で笑いだす。上空から見ると同駅が最寄りの彼岸花の群生地「巾着田」のような様相となっている。
危険と判断し下車はしなかった。また高麗駅~東飯能駅間の鉄橋で停車し水浴びをするが、実際のこの区間にこのような鉄橋はない。
東飯能駅:◯
地図には丸い記号が描かれていた。
地域全体がゴルフ場になっており、住民はゴルフボールに変化している。上からゴルフボールが降り注いでくる(現実世界の高麗駅~東飯能駅間周辺には、ゴルフ場がいくつかある)。
危険と判断し下車はしなかった。
飯能駅:◯
地図には人型のような何かが描かれていた。
住民は人型で木化している(葉を生やした樹木化でなく、石化の要領での木質化)。動くことはなく、害を加えることはない。
現実世界同様スイッチバック式の駅だが、他の駅が元の姿を比較的保っているのに対し、飯能駅はホーム3面と営業線4本、側線3本の大きな駅から、屋根がないホーム1面と営業線2線の簡易的な作りに変わっていた。また駅舎や駅ビルが見当たらない。
前述の通りスイッチバック駅のため、ポイント(分岐器)を切り替えるために下車をしている。
元加治駅:◯
地図には家の絵が描かれていた。
メルヘンチックな家が立ち並んでおり、スワン仙人が渡した地図の記号の法則性(描かれている絵=住民)から、これも住民が変化したものと思われる。
駅南側には何故か一緒に家並みの大きさになったアーケードゲーム筐体(セガの「アストロシティ」に似た形状)が置かれている。
メルヘンチックな家は、同駅が最寄りとなる「トーベ・ヤンソンあけぼの子どもの森公園」がモチーフと思われる。
水洗トイレが使用できたため、当駅でトイレ休憩を行った。
仏子駅:▢
地図には地蔵の絵が描かれていた。
住民は地蔵に変化している。動けず、食事も出来ないが、会話は出来、知能もある。
ホームの地蔵と会話をし、稲荷山公園の医師のことを聞いた。
10話登場の池袋新聞には、お供え物を取られ、地蔵がキレたとの記事がある。
入間市駅:◯/▢
地図には胃袋の絵が描かれていた。
内臓になった住民がプカプカ浮いている。地面らしきものはなく、四方が夜空のような状態になっている。
このような状況のため通過。
稲荷山公園駅:◇
地図には小さな棒人間がたくさん描かれていた。
町全体と住民が小さくなっている(縮尺は1/6)。7G事件の際、町などが大きく膨張し、反動で小さくなってしまったらしい。
当初はドクター(マコト)により体のサイズ以外は従前の生活ができるように管理されていたが、外部から来た「ボス」により乗っ取られ、住民はボスの支配に従う上等稲荷山市民と自由を奪われインフラ維持とボスの趣味のための電力供給(エアロバイクによる人力発電)に使役される下等稲荷山市民に分断された。
航空自衛隊入間基地(劇中ではボスに乗っ取られていた)があり、以下の兵器が登場。
武蔵藤沢駅:◯/▢
住民がゾンビ化していた。
前述の通り、黒木と従属関係にあり、移動をしている。アニメ第6~7話では、清瀬付近に拠点を作っていた。
なお、スワン仙人の地図では武蔵藤沢駅は空欄になっていたが、ゾンビ達が去った後で、このことを知らなかったと思われる。改訂版地図ではゾンビと後ろから顔を出す人間が描かれていた。
10話登場の池袋新聞には、ニコイチ実験をしたが失敗した書かれている(当事者は実験の存在そのものを否定)
狭山ヶ丘駅:◯
地図にはパイプのようなものが描かれている。尺の都合で未描写。
小手指駅:◯
地図は空欄。尺の都合で未描写。
改訂版では地球ごまが描かれていた。
西所沢駅:▢
地図にはジャンプしている人のようなものが描かれている。尺の都合で未描写。
所沢駅:▢
地図には寿司のようなものが描かれている。尺の都合で未描写。
秋津駅:◯
地図は空欄。尺の都合で未描写。
改訂版ではブロッコリーもしくは樹木のようなものが描かれていた。
清瀬駅:◯
地図にはゾンビが描かれており、改訂版では焼き鳥が描かれていた。
線路の周りが森になっており、山の上に神社がある。
武蔵藤沢から移動してきた黒木率いるゾンビの集団が住んでいた。
スワン仙人が地図を作成した時点では、すでにここに拠点を置いていたとみられる。
東久留米駅:◯
地図には痒くて暴れる人の絵が描かれていた。
電車が停車しようとすると全身が痒くなる。周囲が賽の河原のようになっている。
ひばりヶ丘駅:◯
地図には膝をついて落ち込む人の絵が描かれていた。
古びた団地が線路を挟んでおり、通過しようとするとトラウマが呼び起こされる。
保谷駅:▢
地図には二人の人が声を上げているような絵が描かれている。
水島によると「保谷の人たちは一見普通の人たちですが、黒木の近況を伝えても、どことなく他人事でした。」とツイートしている。なお黒木の父と出会う場面が製作されかけていたもののお蔵入りしている。
大泉学園駅:◇/▢
地図には渾沌が描かれている。
『練馬の国のアリス』の世界観のテーマパーク「ネリアリランド」になっており、キャラクターが実体化して住民は作中の登場人物に変化させられている。しかし本来は同作のエンディングに基づくものだったのが、将棋の駒袋に封印されていたラスボス「渾沌」が駒袋が破れて飛び出したことによって改変された「カオスの国の渾沌様」になっている。
石神井公園駅:◯
地図は空欄。尺の都合で未描写。
改訂版では長靴が描かれていた。
練馬高野台駅:▢
地図にはカエルと音符の絵が描かれている。
辺り一面が海や湖のようになっており、崖と滝もある。
蛙の鳴き声が響いていた。
池袋新聞によると、反乱を起こしたが、鎮圧され、蛙たちは水中に潜んでいるらしい。姿が見えなかったのも、このせいと思われる。
富士見台駅:◇/▢
地図にはカッパの絵が描かれている。尺の都合で未描写。
中村橋駅:◯
地図は空欄。尺の都合で未描写。
改訂版ではひび割れの絵が描かれていた。
練馬駅:▢
地図にはリバースしている人の絵が描かれている。水島のツイートによると、石油の産地になっており、ガソリンや軽油、灯油など精製された状態で産出される。ただ、相当ヤバイ状態で出てくるらしい。クロヒョウキャラバンはここで燃料を補給している。
桜台駅:◇
地図には巨人の足跡と思われる絵が描かれている。尺の都合で未描写。
江古田駅:◯/▢
地図にはツチノコのような絵が描かれている。尺の都合で未描写。
東長崎駅:◯/◇
地図は空欄。尺の都合で未描写。
改訂版ではカラスと黒い人の絵が描かれていた。
椎名町駅:◇
地図には緑のベレー帽が描かれている。(ただし、絵が下手なため静留達は草餅と勘違いをした。)
次の池袋駅との間は省略記号「≈」が引かれている。
改訂版では破れているような形になった。
駅が単線化し、山手通りが消えていた(後述・池袋の状況参照)以外は、街並みはほぼそのままの状態で残っていたが、ゴーストタウンの様相で、どんよりした雲に覆われ、人はトキワマン以外の人々は見られない。
池袋駅:▢
終着駅。地図には茶碗蒸しのような絵が描かれている。
葉香がいるとみられる場所で静留たちが目指す駅。池袋新聞(2024年3月1日付)の写真からして、人間は住んでいるようだが、途中で出合った人たちから「すごくありえないことになっている」「茶碗蒸しにされる」「魔女王がいる」等の情報がある。
→住民はフクロウにされており、人間の姿のまま残っている人達は、元々池袋以外の場所に住んでいた人達。詳細は後述。
主題歌
オープニング
中島怜「GA-TAN GO-TON」
作詞・作曲:姉田ウ夢ヤ・堀下さゆり、編曲:姉田ウ夢ヤ
エンディング
ロクデナシ「ユリイカ」
作詞・作曲:傘村トータ、編曲:小松一也
挿入歌
大渕野々花「黒豹便のテーマ」
作詞:水島努、作曲・編曲:辻林美穂
各話リスト
話数 | サブタイトル | 駅(走行区間) |
---|---|---|
第1話 | ちょっと行ってくる | 吾野駅 |
第2話 | 推測、だろう、思われる | 吾野駅~東吾野駅間(高麗川橋梁) |
第3話 | ショートでハッピーイージーに | 東吾野駅 |
第4話 | なんでおしり隠すの? | 武蔵横手駅~稲荷山公園駅 |
第5話 | 骨にされてしまいます | 稲荷山公園駅 |
第6話 | そんなにひどいこと言ったかな | 秋津駅~清瀬駅間 |
第7話 | 笑うゾンビじゃゾンビじゃない | 清瀬駅 |
第8話 | バチ当たらない? | 東久留米駅~大泉学園駅 |
第9話 | 思ってたよりつまんないみたいな | 練馬高野台駅 |
第10話 | これこそ反抗と頽廃の証 | 椎名町駅 |
第11話 | もう無理かな…… | 椎名町駅⇔池袋駅 |
第11.5話 | 総集編 ~これまでの終末トレイン~ | 総集編 |
最終話 | いつもって何だっけ |
※サブタイトルは各回の台詞から取られている。
第9話Aパートは列車(アポジー号)ではなく、池袋の近状を描写。
スタッフ
監督:水島努
演出チーフ:菅沼芙実彦
シリーズ構成:横手美智子
キャラクターデザイン・総作画監督:西田亜沙子
キャラクターデザイン原案:namo
美術監督:野村正信
色彩設計:小山知子
撮影監督:田沢二郎
編集:後藤正浩
音響効果:小山恭正
録音調整:山口真之
音響監督:水島努
音楽:辻林美穂
音楽制作:フライングドッグ
アニメーション制作:EMTスクエアード
ミニアニメ
KADOKAWA公式YouTubeで配信されているスピンオフアニメ。
2024年4月24日から配信。AT-Xでも、4月29日より本編終了後に放送。
7Gの影響?で、「わんわんトレイン」になってしまった4人の日常を描く。
スタッフ(ミニアニメ)
監督・絵コンテ・演出:小坂春女
脚本:藤本冴香
キャラクターデザイン:徳川恵梨
アニメーション制作:EMTスクエアード
アニメーション制作協力:マジックバス
西武鉄道コラボ
西武鉄道は本作の製作協力にクレジットされているが、これは沿線がアニメ産業の集積地であることから水島がオファーをして快諾を得たものである。ちなみに屋上が7G開通式典の会場となってしまったビルであるダイヤゲート池袋は西武鉄道の所有不動産であり、西武ホールディングスの本社が置かれている。2000系の他、第1話に西武池袋線の20000系と30000系が出ている。善治郎の着ている制服は同社駅員・乗務員の旧制服である。
西武鉄道では、2024年のゴールデンウィークから『ポチさんを探せ!西武線駅めぐりポスター』をこの時点で登場していた駅に掲出している。また、池袋線飯能駅~吾野駅間開業95周年を記念したコラボ企画として、2024年5月24日~7月15日にスタンプラリーを実施。スタンプ7つを集めると、ステッカーが貰える他、抽選で鉄道部品やサイン入り台本が当たる抽選も行われる。
スタンプ設置駅
- 池袋駅:中富葉香
- 練馬駅:ポチさん
- 保谷駅:黒木美都
- 所沢駅:東雲晶
- 入間市駅:星撫子
- 飯能駅:久賀玲実
- 吾野駅:千倉静留
余談
関連タグ
西武新宿戦線異状なし:押井守原作、大野安之作画の漫画。こちらは池袋線ではなく新宿線が舞台で、移動手段は列車ではないが、首都圏が廃墟と化した世界で、主人公の一行が西武線の沿線を旅するという、何やらよく似た設定の作品。
セガサターン:第7話作中にて登場。ザ・ハウス・オブ・ザ・デッドをバーチャガンを使ってプレイしている。
ジムボタン:昭和の時代に作られた作品。設定にちらほら類似点がある。
外部リンク
以下、物語の重要なネタバレを含みます。
池袋の状況
葉香が7Gボタンを押したことにより、彼女が7Gのトリガーとなった。
街は崩壊し、ビルは歪んでいる。植物や大きな蛇口などが生えており、葉香がもっと高くと思うと植物は伸び、宇宙が近くと願うと、惑星が近くなる。
7Gを失敗だと認めたくなく、現状維持を望むポンタローが「ポチ」を使い葉香が7Gボタンを押す以前のことを思い出さないようにしている。葉香は、ビルの一室にある部屋(吾野の自宅を再現したもの)に住んでおり、吾野の学校を再現した教室で自習をしている。
ポンタローは市長という建前のようだが、実際には葉香を利用して自分に刃向かうものを茶碗蒸しにして消去していた。
また、池袋に池袋自警団を結成させ警備をさせている他、椎名町駅など周辺の町も支配下に置き、同様に反体制派を茶碗蒸しにしている。加えて、ポンタローがトキワマンを唆し、反体制派を弾圧している(静留の父も、椎名町で、スワン仙人に加え、魔女王とポンタロー、ポチにも接触している)。トキワマン達は葉香に力を貰い、思ったことを具現化出来る力で池袋へ行こうとする者や、ポンタロー達の脅威になり得る存在を排除していた。(大泉学園でアリス達を消したのも彼ら。)
西武池袋線沿線以外の路線や街は消えたらしい。また、山手通りがあった場所の地面が割れて崖になっており、西武池袋線は椎名町駅のすぐ先でレールが途切れていた。(→トキワマンが説得されたことにより復旧。ただし山手通りは消えたまま。)
また、善治郎やスワン仙人によると、池袋は膨張を続けており、いつかは収縮を起こして全ての街を巻き込み消えてしまう可能性が高いらしい(余談だが、1話登場の池袋新聞にも、池袋数ミリ膨張との記事がある)。
ポンタローはダイヤゲートビルから異空間へ続く新しい高架路線(ポンタロー新線)を伸ばし、白い新2000系(一番前のドア以外埋められている)と装甲列車(ポーランドのシミャウィ)を連結した列車を走らせ、葉香を静留達に会わせないように逃亡を計った。静留達は、アポジー号でその列車を追い、攻撃を受けるが…。
結末
ネタバレ注意!
黒木とポチの協力もあり、アポジー号をポンタローの列車に連結させ、ポンタローを倒し、静留達は葉香の元へ。
本音でぶつかり合った後、葉香が再び7Gボタンを押し、彼女は元に戻る。
…が、街や世界は元に戻ったような新しい世界へ変化し、ゾンビ達は人間のようなゾンビになり、マコトが1.6倍大きくなり、ポチはカラスに戻った。
5人でアポジー号に乗り、今度は吾野を目指す。途中、新宿線と思われる謎の列車と並走した。
関連用語
ポンタロー新線
ポンタローがダイヤゲートビルから伸ばした高架路線で、異空間へ続いていた。水島監督によると、あの空間は建物の中で、最初は葉香のイメージが具体化した宇宙と線路の空間、次が雑司ヶ谷隧道の変形した空間、サンシャイン水族館が変形した空間とのこと。(参照)
ちなみに、かつて池袋には小竹向原駅~池袋駅を結ぶ「新線」と呼ばれる路線があり、西武池袋線の列車も乗り入れていた。現在は路線を伸ばし、東京メトロ副都心線となり、新線という名前は姿を消した。
装甲や武装を施した列車・鉄道車両。詳細はリンク先参照。
牽引していた白い2000系は架空車両だが、通勤列車を改造してリビングやレストランのような車内になっているのは、西武鉄道4000系を改造した52席の至福がモデルと思われる。
新宿線
ここでは西武新宿線のこと。西武新宿駅~本川越駅を結ぶ路線で、西武池袋線とは所沢駅で交わる。
なお、並走していた車両は西武新宿線ではなく、小田急電鉄の初代ロマンスカー3000形で、「SSE車」と呼ばれる末期のスタイル。特急あさぎりなどで活躍し、1992年に引退した。実車はロマンスカーミュージアムに保存されている。