概要
総集編とは、過去の作品をまとめたもの。
初出は1965年12月30日にNHKが放送した『太閤記』の総集編。文字媒体としては同日の朝日新聞朝刊の番組紹介欄で「52回分を前後編に再構成/今夜は前半「太閤記」総集編 NHKテレビ」と記載しているのが初(脚注)。これ以降「総集版」「総集して」「総集!」など様々な語形が登場したが、今日まで残っているのは「総集編」だけである。後述するように媒体によって意味が微妙に異なるので、「総集編」と「総集版」で上手く棲み分けできればよかったのだが……。
イラスト
pixivにアップしているイラストをまとめて投稿しているもの。
過去絵を切り抜くなどして1枚の絵にまとめているものや、漫画機能を使って過去絵を一度に大量投稿しているものがある。
まとめイラストの中には、版権と創作・オリジナルを混ぜているケースが存在するのだが、ランキング的な意味合いとしても分けてから投稿した方が良い。
(版権とオリジナルイラストが混ざっているまとめが、オリジナルランキングへ入る実例がある為。この辺りの事情はランキング攻略法に詳しい)
漫画
pixivでは漫画の中でも特に同人誌の総集編に関するものが多い。
同人誌の総集編は、ある絵師が過去に頒布した同人誌を何冊かまとめて1冊の本としたもの。
同人誌は発行部数が少なく、再版されることも少ないため、既に入手できない本が欲しいというファンにとっては過去作品をまとめて手に入れることができる総集編の存在はありがたいものとなっている。
また、薄い本と揶揄されがちな同人誌も、複数冊が総集編としてまとまると薄い本が厚くなることで結構なページ数になるため読み応えがあり、本の値段も総集編に収録されている旧作を別個に買い揃えた場合に比べると、大抵の場合安く入手可能な傾向が強い。
反面、過去の頒布物をコンスタントに入手し続けているファンにとっては微妙なものになりやすいが、作画の手直しや描き下ろしの新作漫画を追加するなどで、総集編に収録されている旧作を既に持っているファンもある程度入手して損をしない工夫がなされているケースが多い。
このほか、商業誌に掲載されている漫画作品の場合、個々の作品における単行本が、ある意味では「(商業誌掲載分の)総集編」と言えなくもない。
(掲載分では致命的な誤植であった「確かみてみろ!」の修正が行われるようなケースもあるが、中には単行本化作業で誤植が発生してしまうこともある)
小説
おおむね漫画と同じだが、web小説の場合は書籍化によってダイジェスト化(アルファポリス作品が顕著)するケースが存在し、ある意味で書籍が本編、web版が総集編になるという逆転現象がある。
(こうしたケースを防ぐために小説家になろうではダイジェスト禁止になったのだが、これはさらに別の話となる)
映像作品
TVシリーズ
TVシリーズなど、1クール以上の長い話数の番組は途中で1~2回程度、総集編を挟む場合がある。アニメやドラマに限った話ではなく、バラエティー番組でも傑作選と名乗る総集編がある。この場合は年末進行やスタッフの夏休みなどで収録ができないケースの穴埋め目的がほとんどだが、ゴールデン帯では特に裏番組が非常に強力(例:サッカー日本代表戦など)で視聴率で見込めない場合、総集編にすることで勝負を避けるケースも多々見られる。
これまでの流れのおさらいや、見逃してしまった人・途中から見始めた人への配慮が主目的。とはいえ単にそれまでの内容を編集しただけでは既に見ていた視聴者に対する魅力に乏しくなるため、新たに収録したシーンや本放送時にカットされた未公開シーンなどを追加したり、何らかの形で登場人物がこれまでの出来事を振り返る独自のストーリーに沿って展開されるものもある。
(中には、総集編と見せかけて話が進む作品もある)
新クール開始とともに再放送を実施する作品はあるが、新クールの第1話放送開始の時期を踏まえて時間がない場合に特別編と言う形の総集編を放送し、新クール第1話につなげるようなケースも稀にある。
(例:アニシャド、時光代理人(第2クール前に特番が挿入された)、戦国妖狐など)
また、制作スケジュールの緩和やネタ切れなど大人の事情が絡む場合もあり、総集編がかなりの確率で放送されたり、中には3話で突如総集編になってしまった作品も存在する(詳しくは封印作品を参照の事)。最悪の場合、総集編の制作すら間に合わず再放送で済まされるケースすらある。
新型コロナウイルス感染症が流行した2020年春は、三密回避のためにさまざまな番組の制作がストップした結果、総集編を放送する番組が続出した。
(こちらに関しては、キユーピー3分クッキングなどの番組も傑作選となっていたり、通販番組も一部を変更した物に変えたりという展開だった。ニュース番組以外の生放送番組はほとんど影響を受けたといってもいいだろう)
※全くの余談だが。これは編集した私が実際に観たものだが前出とは逆に、タイトルだけ「以前やったテーマの別回」っぽくして(傑作選とも総集編とも名乗っていない。というか普段どおりの枠で放送)、事実上同じ内容(ごく一部以外映像もほぼ全て使いまわし)を最低でも2回やった某バラエティ番組がある。普通に再放送や傑作選でよかったのでは・・・?
ちなみに2話で総集編(と言う名のフェイク)になった作品(深夜!天才バカボン)の総集編は、こちらのタグを推奨。これはネタバレ等に配慮した形である。→総集編(深夜!天才バカボン)
2022年放送『機動戦士ガンダム水星の魔女』の第6話と7話の間に挟まれた総集編(振り返り特番)では、グエル・ジェターク役の阿座上洋平氏がナレーターを担当し、時々ナレーションの最中に阿座上洋平氏がグエルになる、しまいにはグエルが「何だこの原稿は!!」とキレるなどのお遊びも入れられた。
(こちらの総集編は、後に続編もあったりする)
この作品もかなりの頻度で総集編が放送されている。
総集編はテレビ放送のみでソフト化されることはあまりない。2010年代以降にネット配信が定着すると先述のガンダムのように公式な形で視聴が容易になっていることもある。
(特にウルトラマンの総集編的なプログラムとなるウルトラマン列伝など)
劇場版総集編
アニメ番組のTVシリーズ終了後に、総集編を劇場版作品として上映するケースもある。
劇場版『宇宙戦艦ヤマト』や劇場版『機動戦士ガンダム』三部作、『ドキュメント 太陽の牙ダグラム』等、古くから用いられている手法である。
映画化するにあたって台詞の再アフレコやキャストの一部変更、BGMや効果音といった音響のリニューアル、シーン同士のつなぎや新しい見どころとなる描き下ろし新作カットの追加、既存カットの作画修正などが行われる。
作品によっては脚本・構成の大幅な変更や、ストーリーの大筋自体は同じでも全く異なる視点や新しい解釈で描き直したもの、ストーリー展開とシナリオは同じでもほぼ全編を新作作画で描き直したもの、逆にTVシリーズの映像を使って全く違う世界観と物語を描いたもの等、製作手法自体は総集編ながら、ほぼ新作と言っても過言ではない作品に仕上げられているものも存在する。
脚注
『現代日本語用例全集3 ス~テ』p66 見坊豪紀 筑摩書房 1989年2月20日初版発行
関連タグ
フィナーレいさみあし:上述の深夜!天才バカボンとは違う作品だが、ふたを開けてみると……という意味では類似ケース。
乖離SP:緊急特番!デザグラのすべて!:こちらも作品は違うのだが、総集編の皮をかぶった……というケース。同じ週にはドンブラザーズの最終回もあったという事情もあるかもしれないが。
巨大生物の正体を追え:こちらもさらに違う事例で、ウルトラマンと怪獣の戦いをまとめた特番を放送する予定だったのだが……スポンサー事情で中止になるという総集編。
ブレーザー電脳絵巻:3番目の事例と同じ作品の総集編。タイトルを見ただけでは総集編とはわかりづらいのだが…。
Re:CREATORS:意図的演出という意味で総集編が存在するケース。
16bitセンセーション:総集編は作られていたが、そちらはYouTubeでの公開に変更されたというイレギュラーケース。上述のRe:CREATORSとは真逆となった。