美少女は、世界を変える。
概要
『16bitセンセーション』とは、2016年大晦日のコミックマーケット91に刊行された同人誌を起点とするシリーズ作品。
原案:みつみ美里(アクアプラス)・甘露樹(アクアプラス)、漫画:若木民喜による漫画作品で、「90年代美少女ゲームの現場を今のうちに記録しておこう企画本。」としてスタートした。
登場人物はオリジナルだが、原案の体験談を元にした半自伝的な作品として知られている。
KADOKAWAから『16bitセンセーション 私とみんなが作った美少女ゲーム』のタイトルで商業誌版単行本が発売された。
商業化の際に権利者の許可が得られなかった際どいネタはカットされ、2巻までに原作に当たる同人誌版の7巻までのエピソードを収録。
2019年にOVA化の企画が立ち上がっていたが、コロナ禍の影響で打ち合わせが進まず企画が流れそうになっていたところ、テレビアニメ化の企画として再始動。
2022年大晦日のコミックマーケット101にて『16bitセンセーション ANOTHER LAYER』のタイトルでアニメ化することが発表された。
2023年10月から同年12月までTOKYO MX、とちぎテレビ、群馬テレビ、AT-XのほかBS11や中京テレビとかABCテレビにて放送されたほか、DMMTVやdアニメストアなどによる配信も実施されている。
なお、AT-X以外のネット局では、水曜深夜に放送された(AT-Xでは、金曜21時台後半に初回放送)。
「ANOTHER LAYER」のタイトル通り、アニメオリジナルキャラクターを主役に据えたオリジナルストーリーとなっており、若木民喜もメインストーリー担当として参加している。
原作となる同人誌はアニメ終了後の2023年大晦日のコミックマーケット103に刊行された『16bitセンセーション10』をもって完結となった。
2024年には第55回『星雲賞』のメディア部門にノミネート。今年になってアカデミー賞も獲得したゴジラ-1.0、過去にテレビアニメ版が星雲賞を受賞したGRIDMAN_UNIVERSEなども同部門でノミネートされた中でどうなるかが注目されていたが、最終的にはゴジラ-1.0がメディア部門を獲得した。
あらすじ
漫画版は1992年以降の美少女ゲームやPC環境、流行等の説明を、架空のエロゲ会社「アルコールソフト」のメンバーを通して説明する
半ばドキュメンタリー漫画のような内容に仕上がっている。
一方アニメ版は原作を元にしたオリジナルストーリーで路線が大きく異なっており、現代のイラストレーター秋里コノハが90年代にタイムスリップして原作のメンバー達とゲームを作る、というストーリーになっている。
当然だが原作では歴史改変などの要素はない。
漫画版
1992年、PCショップでアルバイトを始めた大学生・上原メイ子。
しかし、この店のショップ経営は仮の姿、本業は美少女ゲーム制作をなりわいにしているエロゲーメーカーだったのだ!
スタッフが逃げたことで、絵の描けるメイ子が急遽サブグラフィッカーに任命されるも18禁イラストなんて描いたことがなく……!?
彼女はエロゲーを無事完成させることができるのか……!?
アニメ版『ANOTHER LAYER』
美少女ゲーム会社で働く美少女大好きなイラストレーター・秋里コノハ。
2023年現在、メインイラストレーターとして活躍する夢を抱くも、業界も会社も低迷中でくすぶっている毎日。
ある日、会社の帰りに見つけたゲームショップで手に入れたゲームを開くと光に包まれて……!?
登場人物
原作版主人公。アルコールソフトのイラストレーター。
19歳からバイトとして経験を積むにつれ才能を開花させ、下田かおりに天才と言わしめる人気絵師となっている。
アニメ版での出番は他のキャラと同じレベルで少なめ。
アルコールソフトのメインイラストレーターで企画なども担当。
猫耳の帽子を常に被っており、糸目キャラだが真面目に話す時は開眼するタイプ。
原作では(何故か)風呂場でも帽子を被っていたが、アニメ版では脱いでいる。
メイ子が第一印象で美人と判断した上、作中屈指の巨乳。
通称てんちょー。アルコールソフトの社長だが、かおり抜きでは会社が回らず彼女には頭が上がらない。
PCショップから続く現在の業務は親父から引き継いだだけで思い入れはあまり強くないようだが、なんだかんだで情熱はある。
妻の話は作中で一切触れられていない。
市ヶ谷に騙され1億投資したショックで入院するが、アニメ版では10億になっており会社を大きく傾かせる。
コノハの時代にアルコールソフトが現存していなかった大きな原因と考えられる。
歴史改変後の世界ではアメリカ西海岸に会社を移している。
ちなみにアルコールソフト所在地が原作とアニメで異なっており、原作ではパソコンショップRの2F → 隣のビルであったが、アニメ版ではエコーソフト → パソコンショップRの2F → アキバ再開発で建て直されてビル化 → 株式会社ブルーベルとなっている。
勝の息子。通称マモー。漫画版とアニメ版で年齢設定が異なり、漫画では92年時点で10歳、アニメ版は15歳。
PC-98をこよなく愛する天才プログラマー。ひらがなより先にアセンブラを覚えたという。
アニメ版では準主人公と位置付けられ、出番が大幅に増えた。
コノハとよく絡みがあり、タブレットと彼女のイラストを見てタイムリープを唯一信じたキーパーソンとなっている。
また、99年時点でメガネを掛けるようになっている。
コノハを主軸とした新作ゲームを作る際に、当時は存在していなかった技術(複数つなげてスペックを引き上げたPC-98、レイヤー200枚に耐えるペイントソフト、Live2Dめいたアニメーションソフト)をコノハから得たアイデアだけで99年時点で実現してしまった。
その後「午後の天使たち」を開封したことで85年にタイムスリップ。
「エコーソフト」でアルバイトをした後99年に戻る。
歴史改変後の世界ではアキバに残ってアメリカの美少女コンテンツ(と秘蔵のPC-98)を管理する仕事を(PC-98シリーズの起動音をヒーリングミュージックとして聞きながら)している。
元から有能でなんでも実現するキャラではあったが、ハッキング能力はもはやウォッチドッグスか何かのレベルになってしまっている。
シナリオライター。通称キョンシー。プロレスのマスクを常に被っているのが特徴。
かおりとの確執で離脱し、アルコールソフト内で「スピリッツソフト」というブランドを立ち上げる。
アルコールソフトが隣のビルに引っ越しても移動しようとしなかった。
1作目は出せたが、イラストは外注のためイラストレーターに逃げられたりであまりうまく行っていないようだ。
アニメ版はその辺りは省かれており離脱していない。
アルコールソフトの後続の双子シナリオライター。キキ子とララ子、通称キキララ。茶髪のツインテールがキキ子(万里)、水色のサイドテールがララ子(千里)。
元はSS書きだったがかおりにスカウトされる。
アニメにて下の名前がそれぞれ判明した。
イタコのようにキャラを降ろしてインタビューをして話を作る電波・・・独特な手法を用いる。
アニメ版ではキョンシーが離脱していないので彼との絡みが増えている。
元銀行員の広報担当。銀行の仕事には嫌気が差していたようだが、アルコールソフトにはやりがいを感じている様子。
ダイヤモンドスタジオの社長。アルコールソフトのコンシューマ化やアニメ化の企画を持ちかけるも、会社が倒産して夜逃げ(アニメ版では詐欺で逮捕)。
彼に億単位の投資をしていたてんちょーに入院するレベルのショックを与える。
なおアニメ版では心からアルコールソフトの作品に惚れ込んでおり、本気で実現させようとありとあらゆるコネクションを駆使して動いていた。
詐欺事件でコンシューマー用資料が事件の証拠品として押収されないように根回しして、逮捕されても隠し通し、密かにアルコールソフトに資料を全て返却している。
原作版では美少女ゲーム会社「シューティングスター」の現役大学生社長。
その美貌と巨乳で雑誌編集者に色仕掛け(枕営業?)でゲームを特集してもらうなど凄まじい執念をもつ。
コミケで同じ題材を描いたのにメイ子達ばかりに注目が集まったという経験があるためそれ以来嫉妬している。
アニメ版では漫画版の過去編のような設定になっているようで、美少女ゲームを買う手助けをしてくれたコノハをお姉様と慕うオタク女子。
後に美少女ゲーム会社に原画として就職した後シューティングスターを立ち上げる。色仕掛け戦術は変わっていない様子。
歴史改変後の世界でも会社は存続しており、社長を続けている。「プラネットゲームズ」という会社と経営統合するとのこと。
アニメオリジナル
アニメ版主人公。19歳。2023年の美少女ゲーム会社ブルーベルのイラストレーター。
実力はあるようだが下っ端なのでモブくらいしか塗らせてもらえず、社長にも情熱が無いため嫌気が差している。
美少女ゲームが大好き。
とあるきっかけで92年にタイムスリップしてしまい、アルコールソフトのメンバーと出会い、共にゲームを制作していく。
その後現代に帰っては何度もタイムリープをすることになる。
徐々に歴史改変の重みを実感し始めるが、99年に市ヶ谷に投資した10億円のせいで大きく傾いたアルコールソフトを救うため、コノハを原画とした全く新しい美少女ゲームを作るべく決起する。
そして「ラスト・ワルツ」を完成させるも、それが特異点となり後の歴史を大きく変えてしまう。
アニメオリジナルキャラ。1985年、後にアルコールソフトが出来る場所で「エコーソフト」というゲーム会社を営んでいた。
全員「エコー」と名乗る謎の人達で、タイムスリップした守が便宜上1・2・3と名付けた。
1が社長で白髪の青年。グラフィック、シナリオ、プログラム、サウンド全て一人でしかも驚異的なスピードでやってのける。
2は緑髪の少女でアシスタント。家事を担当しているようだ。コスプレをしては守に採点をさせる。3は飼い犬。
曰く、「想像力が無い場所から来た」とのことで、それを知るためにゲームを作っているらしい。
ゲームのエネルギーを測るという謎の装置で実験をしている。実はこのシーンがOPに一瞬出ていた。
余談だが、この8話は原作にも無い85年のゲーム制作環境について描写されている非常に興味深い回となっている。
その後の99年時点では、「ようこそゲームハウスへ!」という支離滅裂な内容らしいカルトソフトを1本出して消えた謎の会社ということになっている。
全ては語られないが、作中の黒幕であるかのような描写が見受けられ、7話以前でもエコー2と3が少しずつ出ている。
時空を超えたりUFOを所持していたり人智を超えた存在であることは明らかだが、コノハのファンを自称しておりその目的は彼女がゲームを作る世界線を作りたかったのかもしれない。
- グレン・フォークナー(CV:加瀬康之)
改変後の世界のプラネットゲームズジャパンのCEO。
冬夜の会社シューティングスターズと業務提携をしたが、真の目的は「オリジナル・キュー」と呼ばれる「ラスト・ワルツ」を作った消息不明の謎のクリエイター、つまりコノハを手に入れることであった。
冬夜から生成した合成音声でコノハを釣り出すことに成功、彼女を拉致する。
アニメ主題歌
作詞曲:Sohbana
エンディングテーマ:古賀葵「リンク〜past and future〜」
アニメスタッフ
監督 | 佐久間貴史 |
---|---|
設定考証 | RetroPC Foundation |
アナザーレイヤー・メインストーリー | 若木民喜、髙橋龍也 |
キャラクターデザイン | 佐々木政勝 |
プロップデザイン | 苗木陽子 |
音響監督 | 本山哲 |
音楽 | やしきん |
アニメーション制作 | st.シルバー |
アニメ各話リスト
話数 | サブタイトル |
---|---|
Layer 01 | タイムリープしちゃったぁ〜!? |
Layer 02 | いっしょに美少女ゲーム作ろ! |
Layer 03 | もう一度みんなに会いたくて! |
Layer 04 | いいんだよ! |
Layer 05 | 2度あったことは3度ある! |
Layer 06 | コノハを信じて! |
Layer 07 | 雨降って地固まる |
Layer 08 | エコー |
Layer 09 | またね! |
Layer 10 | 精一杯やってみる! |
Layer 11 | オリジナル・キュー |
Layer 12 | ゆ、ゆゆゆゆゆ…! |
Layer 13 | わたしの大切なもの |
公式WEBラジオ
『16bitセンセーション ANOTHER PLAYER』
余談
テレビアニメ版でも協力という意味で、様々なアダルトゲームメーカーがクレジットされていたりする。なお、elfに関しては既に会社としては消滅(elfの記事を参照)しているため、アニメ版では権利継承先のEXNOAでクレジットされているなどの個所はあるのだが……。
(エンドカードにも鬼畜王ランスやプリンセスメーカーのキューブが登場したこともある)
更に言えば、ソフ倫もパロディではなくそのままで登場し、こちらもわざわざ許諾を得たうえで登場した。
エロゲー以外にも、一般作品の一部もしれっと言及されることがある。steins;gateも本編中で言及された。
それ以外でも実在する場所(ソフマップやラジオ会館)などに関しても許可を得て登場。
リコリス・リコイルや冴えない彼女の育てかた(作者つながりでエンゲージキスも登場)、FGO、マギアレコードなどのアニプレックス作品も許可を得たうえで秋葉原のポスターなどとしてカメオ出演することとなった。FGOに至っては、後にとんでもないパロディが登場することになる。
それに加え、様々な人物の協力も得ているらしく、すがやみつる氏も第1話でクレジットされた。この辺りのクレジット関係はネタになったと後述のインタビューでも言及している。
アニメLayer 08「エコー」の次回のサブタイトルが放送時は「ここどこ?」だったのだが、それは誤植で本来のサブタイトルは「またね!」だったと公式Twitterでお詫びのお知らせが告知されている。
なお、一部の視聴者はこの誤植は8話の内容の影響による物(演出)と考察している人もいる。
元々は12話構成だったそうだが、「佐久間:最初、「どこかで一度、クライマックスに行く前に総集編をやって、全12話構成だけど全13話分の枠を抑えられますか?」という話をしていたと思うんです。それが、気づいたら全13話構成になっていて……。」(animatetimes「『16bitセンセーション ANOTHER LAYER』第8話放送後インタビュー」より)とあるように13話構成となっている。なお、投入予定だった総集編は「特別番組『時をかけるコノハ』」としてYouTube上で公開されている模様。
関連動画
本PV
古賀葵インタビュー映像『16bitクエスチョン』前編
古賀葵インタビュー映像『16bitクエスチョン』後編
中川翔子『65535』music video
特別番組『時をかけるコノハ』
「リンク~past and future~(Aiobahn Remix)」試聴動画
TRUE END PV
考察動画
アニメ作中に登場したPC及び周辺機器解説動画(性質上ネタバレあり)
関連タグ
16bit エロゲー タイムリープ 歴史改変 パラレルワールド タイムパラドックス バタフライ効果
マモコノ(カップリングタグ)
- 赤松健 - アニメ第1話のエンドカードを担当する。そして、現在の職業を踏まえて「国会議員がアニメのエンドカードを書く」というイレギュラー展開が発生した。
- この世の果てで恋を唄う少女YU-NO - 歴史改変後の世界で作った美少女ゲーム『わたしの大切なもの』を持って過去に飛ぶなどの設定の元ネタと思われる。
- 帰還者の魔法は特別です - 同時期放送されたタイムリープを題材した同レーベルの作品。
- ぼくたちのリメイク - こちらもタイムリープかつ歴史改変を題材しており、主人公がゲームクリエイターという点でも共通しているほか、秋里コノハ役の古賀葵がメインヒロインを演じている。
- Re:CREATORS - こちらもメタ的な要素を持ち、総集編も意図的に組み込んでいる同レーベルの作品。なお、本作では総集編がYouTube公開となったため、こちらとは真逆となった。当初想定しているクール数的な部分も同じだったりする(こちらは枠として2クールだったため、本編としては1.8辺りを想定していた)。
外部リンク
※ネタバレ注意
歴史改変後の世界
完全なアニメオリジナル。「ラスト・ワルツ」の世界的大ヒットによるバタフライ効果によって歴史が大きく変わった世界。
アキバは高級住宅街になっており、ラジ館もちょうど解体されてしまった。
再開発が進んでおり、電波塔が作られスタジアムも建設中らしい。ゲーセンもメイドカフェも無い。
つくばエクスプレスは秋葉原を通らない(建設途中で放棄された駅が地下に残っている)。
美少女ゲームメーカーのほとんどがアメリカ西海岸に移転。萌え文化は「Cuu(Cuteのキュー)文化」と呼ばれるようになり、所謂北米版のような絵柄が主流になっている。
科学レベルや人工知能(AI)技術は我々の世界より数年か十数年先のレベルまで発展しているようで、
例えば無人自動運転タクシーが2023年時点で実用化されている。
ゲーム制作もAIによる補助が当たり前になっているようだ。
合法かは不明だが水槽に入れた人体と神経接続出来るコンピューターまである。
ラスト・ワルツ以降の全ての作品がなかったことになり、我々の世界では存在しないものだらけになっている。
元々の住人でないコノハも徐々にこの世界の影響を受け始めており、スマホに入れていたFate/GrandOrderはFATE/GEARS_OF_ORDERになってしまったし、一人称は「コノハ」だったのに「私」に変化してしまった。
時間が経てば元の記憶も消えてしまう可能性がある。
再度改変された世界
コノハと再結集したアルコールソフトメンバーで作った「わたしの大切なもの」と、
守が過去の自分へと宛てた手紙を持ってこみっくパーティー(1999年5月28日)で最後のタイムリープを行って作られた世界。
電波塔やスタジアムは建てられたようだが、我々の世界のように萌えや美少女は近い形で残っているようだ。
でじこも令和版になっている。しれっとPC-98シリーズの最新版が出ている。
実は5話(Kanonは6月4日)にて守が手紙を持っていた描写があったが、
前回の周では信じてもらえなかったか、(未来の守の説明も含めて)力及ばずああなったと推察される。
アルコールソフトはアメリカに飛んだが、ビルは守が所持・維持をしておりコノハとの再会を20年以上待っていた。
ちなみに株式会社ブルーベルとその社長は隣の建物で人妻喫茶を経営している。