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概要編集

名前は気象学者のエドワード・ローレンツが1972年に行った講演のタイトルに由来する。

カオス理論における些細な事象がどこかで大きな影響を与えているという意味合いの言葉であり、これを蝶の大したことのない羽ばたきが地球のどこかで竜巻を起こしているという喩えを用いて表現した為、バタフライ効果と名付けられた。


創作作品では編集

元は気象学者が提唱した理論ではあるが、現代の創作作品では「些細な事象がどこかで大きな影響を与えている」という部分がクローズアップされ、タイムスリップものでも引用されるようになった。


微々たる事象の集合により、大きな歴史が作られていたのだから、少しでも歴史が変わると歴史の大きな流れが変わってしまうのではないか?という解釈で組み込まれる事が多い。


たとえ話をするならば、"貴方は人生をやり直すために過去へ飛び、成功の為に必要なものだけ購入し、趣味の物品の購入を犠牲にしたとする。するとそれで儲けるはずだった会社の売り上げは落ち、貴方が改変前の歴史で推していた作品はその歴史では作られなくなった、あるいは業界のトップ入りを果たせなくなった。それどころかその作品に影響を受けたクリエイターも現れず、更に…"といった具合である。


この例えを解説すると、世間の視点で言えば貴方の出費は微々たるものに思えるが、その会社にとっては貴方の微々たる出費こそが命運を左右する重大な事象だったというわけだ。それだけではなく、その会社に関連した事象や一見すると無関係な事象にも連鎖的に影響が出ている事がわかるだろう。日本の諺でいう「蟻の穴から堤も崩れる」という奴である。


故にこそ、「タイムスリップもの」に一定のルールが登場する事もある。


  • 現地の草花や動物を捕獲してはならない(生態系は連鎖を前提としたシステムの為)
  • 人を殺してはならない/助けてはならない(人の生死が歴史の分岐となるから)
  • 未来からの物品を勝手に現代へ持ち込んではならない。
  • 未来に関する情報を利用したり他者に与えてはならない。

一方で、代わりの人物がその対象物を購入するあるいはその会社は別の手段で儲ける為、やはり会社や作品の歴史は変わらないという「歴史の修正力/収束力」や「歴史で既に決まっていた/運命は変えられない」というパターンの物語も少なくはない。この点についての解説はタイムパラドックスの頂も参照してほしい。


なお、勘違いされがちだが、タイムパラドックス歴史改変の影響で起こった矛盾の事を指す。


その他編集

現実の歴史においても、一見無関係に見える歴史上の出来事2つが実は複数の因果関係の連鎖によって結ばれているということを指して「バタフライ効果」と呼ぶことがある。

たとえば、日本敗戦したことで、『』という語が『笑い』を意味するようになった」といえる。

これは、「日本が敗戦したことで、GHQが日本を占領し、ローマ字教育が始まり、PCの文字入力にローマ字が採用され、ローマ字で『w(waraiの頭文字)』と書くことで『笑い』を表すようになり、この『w』が草が生えているように見えたことで『草』と呼ばれるようになり、結果、『草』という語が『笑い』を意味するようになった」、という長い因果関係の連鎖がある。

ただ、これらはこじづけによるところも少なくなく、反証可能性にも乏しい(言ったもの勝ちになりやすい)ことには注意されたい。


関連タグ編集

 力学 タイムパラドックス 風が吹けば桶屋が儲かる

バタフライ・エフェクト:バタフライ効果をテーマにしたサスペンス映画。

マガバッサー:登場回でバタフライ効果が取り上げられるが、こちらは本来の意味で使用された。

クレオパトラ:バタフライ効果を表す言葉として、「クレオパトラの鼻がもう少し低かったら、世界の歴史は変わっていただろう」というものがある。

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