お前のMAD(狂気)が目を覚ます
概要
世紀末バイオレンスアクションの金字塔、「マッドマックス」シリーズ最新作。
原題は「マッドマックス フューリーロード」
シリーズ通して監督を務めるジョージ・ミラーは当初2005年公開に向けて製作を続けていたのだが、リーマン・ショック以降の世界経済悪化による資金難・イラク戦争以降の国際テロリズム再燃による情勢不安・製作が長期延期になり、主演を勤めていたメル・ギブソンが愛想を尽かしてボイコット・オーストラリアの撮影予定地が大雨の影響で広大なお花畑になってしまう等々のアクシデントがつもりに積もり、公開は2015年にまでずれこむこととなった。
そんな苦難にも負けずジョージ・ミラーが完成させた本作は、CG全盛の昨今珍しいほどに体を張ったカーアクションが展開される熱い内容となっており、ファンを狂喜乱舞させた。また、前作から30年もブランクがあったため、シリーズを通して見ていない人でもマッドマックスの世界観が分かる内容に作られている。
2016年2月28日(日本時間29日)に開催された第88回アカデミー賞において、衣装デザイン賞・美術賞・メイクアップ&ヘアスタイリング賞・編集賞・音響編集賞・録音賞を受賞した。(惜しくもV8には2つ足りなかった) なお、メイクアップ&ヘアスタイリング賞受賞の報が届いた時、ほとんど坊主頭の人多数なのになぜヘアスタイリング賞と困惑していた人もいた。
2016年には第47回星雲賞のメディア部門にノミネート。ライバルにはフォースの覚醒等もノミネートされており、受賞すればSTARWARSに勝利した作品と言う展開になる可能性もあった。
(なお、メディア部門を受賞したのはこちら)
2020年9月12日にフジテレビ系列において地上波初放送。地上波向けに編集されているのでお子さんでも楽しめるよ!ちなみに事前番組では天龍源一郎が解説している。
なお、「架空の近未来」を舞台にしたアクション主体の作品に見えるが、考証もちゃんと行なわれており、ウォーボーイズが使うハンドサインには軍事の専門家の、ワイブス(子産み女)のような「長期間、監禁されていた女性」がどのような行動・反応をするか?についてはフェミニズム活動家よりアドバイスを受けている。
ストーリー
時は文明が崩壊した世紀末、かつて暴走族に妻子を殺害された悲しみにくれる男:マックス・ロカタンスキーは、荒廃した世界ウェイストランドをさまよっていた。
そんなある日、シタデル砦の独裁者イモータン・ジョー率いる武装集団「ウォーボーイズ」にマックスは拉致され、放射能の影響に苦しむ軍団の一人ニュークスのための輸血用人間にされてしまう。
そんな最中、ジョーの元で働く女戦士フュリオサはジョーの5人の妻達を自身の故郷「緑の地」に脱出させるべく逃避行を開始。
怒り狂うジョーはフュリオサ達を追撃するが、ジョーへの狂信ゆえに追跡隊に志願したニュークスはマックスを連れて砂漠に出る。
かくして、フュリオサ、イモータン・ジョー、そしてマックスの死闘が開始された!!
登場人物
マックス・ロカタンスキー
荒野を流離う元警察官。かつて暴走族に妻子を殺害され、復讐を遂げた後も消えない悲しみを胸に抱いている。驚異的なドライビングテクニックと強靱な生命力の持ち主。
誰にでも輸血できるという特殊な血液型だが、それゆえにイモータン・ジョー率いる一団に拉致され、戦闘集団ウォーボーイズ用の輸血袋として団を脱走したフュリオサの追跡に引き出され、二者の対立に巻き込まれてしまう。
独善的で乱暴な性格だが、それでも人間性を失ってはいない。
イモータン・ジョー
(演:ヒュー・キース・バーン)
水源を擁するシタデル砦の独裁者。自身の信奉者で結成した軍団「ウォーボーイズ」の武力を持って給水を絞り、圧政を敷いている。環境汚染の影響で健常な子供に恵まれなかったため、健康な子供を切望している。北欧神話を下敷きにしたようなカルト宗教の教祖でもある。ちなみに彼を演じているヒュー・キース・バーンはシリーズ第一作の悪役トゥーカッターも演じていた。
呼吸器を病んでおり、特徴的な送気マスクを常に装着している。
愛車は二台のキャデラック・ドゥビルを組み合わせて作ったギガホース。
フュリオサ大隊長
(演:シャーリーズ・セロン)
ジョーの元で働く大隊長で左腕は義手。マックスに負けず劣らずの実力者。ジョーの5人の奴隷妻と共に自身の故郷「緑の地」に脱走しようとするが・・・。
ニュークス
(演:ニコラス・ホルト)
ジョー率いる「ウォーボーイズ」の一員でメカニック担当。ジョーに心酔しており、フュリオサ討伐隊にマックスを引き連れ参戦する。放射能汚染の影響で余命幾ばくもなく、雄々しく戦って死ぬことを切望していたが・・・。
ワイブス(子産み女)
スプレンディド(演:ロージー・ハンティントン=ホワイトリー)
トースト(演:ゾーイ・クラヴィッツ)
ケイパブル(演:ライリー・キーオ)
ダグ(演:アビー・リー・カーショウ)
フラジール(演:コートニー・イートン)
ジョーの子を産ませるための奴隷妻たち。フュリオサ達と共に「緑の地」へ向かう過酷な旅路の中で逞しく成長していく。
ジョーの息子たち
リクタス・エレクタス(演:ネイサン・ジョーンズ)
コーパス・コロッサス(演:クウェンティン・ケニハン)
全員がジョーと同じく呼吸器官に持病があり、呼吸補助装置を着けている。
リクタスは筋骨隆々の巨漢で、片言でしか話せないなど頭が悪いが、強靱な肉体に裏付けされた戦闘力の持ち主。
コーパスは重い障害を持つ小人だが高い知能が有り、参謀としてシタデル砦を取り仕切っている。
ドゥーフ・ウォーリアー
(演:イオタ(iOTA))
セリフはないが、ジョーの軍団で圧倒的な存在感を放っている盲目の男。巨大なスピーカーとアンプを積んだ「ドゥーフ・ワゴン」に乗り、吊り下げられながら火を噴くギターを弾き鳴らし、軍団の士気の鼓舞と、音に拠ってジョーの指示を伝えている。
なお、インタビューでの「なぜ車の上でギターなのか」との質問に対して、監督は「この映画はロックなんだ」と答えている。
鉄馬の女たち
バルキリー(演:ミーガン・ゲイル)
種を持つ老婆(演:メリッサ・ジャファー)
マーディー(演:メリタ・ジュリシック)
他四人(演:ギリアン・ジョーンズ、ジョイ・スミザース、アントワネット・ケラーマン、クリスチーナ・コーク)
シタデルはるか東方「緑の地」出身の女たち。全員がバイクに乗り武装した中高年女性で、それぞれの顔には苦労が深い皺として刻み込まれている。汚染されていない作物の種子を所持しており、様々な土地で植林を試みているが・・・。
日本公開に際して
邦題である「怒りのデス・ロード」は実はワーナーの日本法人の宣伝スタッフによる命名であり、なんと本編が完成する前に考案されたという。つまり、本編を見れる状態ではなく宣材写真等からイメージして命名したとのこと。→外部リンク
ウォーボーイズたちが出撃の際に「福島!神風!(Fucacima! kamakrazee!)」と咆哮するが、日本語訳では無関係の表現に差し替えられている。
漫画版では更に様々な人物が「Fuck」の代わりに「FUK-USHIMA!」と連呼しているが、こちらの和訳はそのまま「フクシマ!」表記。
劇場公開版の吹替ではマックス役にAKIRAが起用され、「話題性重視のタレント吹替」だとして賛否両論があった。後にマックス役の俳優トム・ハーディの担当声優として知られる宮内敦士をマックス役に迎えたザ・シネマ新録版吹替が作られファンを歓喜させた…が、後にこの新録吹替は権利元の意向により封印作品になってしまった(参照1、2)。かつて、『バック・トゥ・ザ・フューチャー』や『タイタニック』などの名作映画で当時の人気芸能人・俳優が担当声優に起用されたがクオリティ、あるいは視聴者から反発・抗議を受けたなどの問題が生じたため映画そのものや出演タレントの名誉のために「タレント吹替音源が封印され、公式には本職声優版のみが公認された」ケースはあったものの、本作品では本職声優版が封印され、人気芸能人・俳優による吹替版が公認されるという上記の2作品とは真逆かつ前代未聞の事態となっている。
ただし、本作のマックスの設定(主人公とは思えぬほどに、セリフが極端に少なく、何らかの重大なトラウマのせいでぶっきらぼうになっているように見える)からすると「巧過ぎない」吹き替えや「色々と精神的にテンパってたキャラを演じた事が有る俳優」が声を当てた事は結果的に合っていたのでは?という意見も有るには有る。
余談
- 監督によれば「フュリオサがワイブズを救い、巻き込まれたマックスがフュリオサを助ける」という、フュリオサが主人公でマックスが脇役にも思える粗筋になったのは、「マックスがワイブズを助ける」と「男であるマックスが、男であるイモータン・ジョーの『女』を奪う」という監督にとって望ましくない解釈がされる余地が有ったので、それを防ぐ為。
- ワイブス達の役作りには、発展途上国などで「望まない結婚」をする事になった女性を助けるなどの活動を行なっているフェミニズム運動家イブ・エンスラーからのアドバイスを受けている。
- 監督によれば「抑圧された女性」の役作りにフェミニストのアドバイスを受けるのは、ウォーボーイズが使うハンドサインなどの細かい行動に関して軍事の専門家のアドバイスを受けるのと同じようなもの、との事。
関連タグ
マッドレックス:『爆上戦隊ブンブンジャー』に登場する敵幹部で彼が持つ武器『怒りのデスロッド』(というかマッドマックス全体)のオマージュがある。
エレキギターグルマー:同じく『爆上戦隊ブンブンジャー』に登場する怪人で炎を放つエレキギターを持っておりドゥーフ・ウォーリアーをオマージュされた姿をしている。またこの前の回では前述のマッドレックス(正確には再生怪人)が死亡しており彼への「弔い合戦」のためこの怪人を生み出したと思われ「マッド◯ックス!!(レックスじゃない方!!)今回のエレキギターグルマーも、トレーラーVSトレーラーを撮るところから逆算してモチーフが決められました。」と触れられている)。