イモータン・ジョー
物語の舞台である汚染された荒野ウェイストランドに君臨する暴君の一人。
水源の上に立つ天然の要塞「シタデル」の支配者であり、周辺地域を牛耳る。
性格は傲慢で冷酷非情。人々を扇動し利用する事にも長けており、
後述するカルト宗教的思想により支配力をより高めている。
絶対的な権力・兵力を持つが、汚染された環境や加齢等の影響で
体を病んでおり、皮膚にできた無数の腫瘍を隠す為に防弾アーマーや
空気を浄化するためのドクロをモチーフにした酸素マスク等を身に着けている。
前日譚コミックによると、文明が崩壊する以前の本名は「ジョー・ムーア大佐」。
石油戦争に軍人として参加しており、水戦争でも目覚ましい戦果を挙げた軍人だったが、
文明が崩壊し世界が混乱すると軍人仲間達を集め、武装組織「ディープドッグ」を結成。
"太った男"との出会いを通して水源地の存在を知り、
周辺を支配していた無法者達を打ち倒し自らのものとした。
後に軍人仲間の1人は武器将軍を名乗り弾薬工場都市「バレットファーム」を、
"太った男"は自動車工場都市「ガスタウン」を任され人喰い男爵と名乗るようになり、
3人の支配者による同盟は周辺地域での絶対的な支配圏を築き上げた。
自らの支配を盤石のものにするため、自身を神の如き存在とし、
勇敢に戦って死ぬ事で「英雄の館」へ迎えられるという北欧神話を
都合よく捻じ曲げたようなカルト宗教的思想を人々に植え付けている。
ジョーの養子となって全てを捧げる少年~青年信徒兼兵士の「ウォーボーイズ」たちを無数に従えており、
時として敵の車を巻き込んで自爆する事すら厭わない狂気の軍団となっている。
これとは別にジョー自身の実子は2人居る。しかし、リクタス・エレクタスは
筋骨隆々の勇ましい大男ながら知能にかなり難があり、もう1人の息子
コーパス・コロッサスは頭脳は明晰で参謀役をこなすが体が骨脆性疾患骨形成不全症と見られる
症状により子供のように小さく、満足に動く事もできない。
また、2人とも呼吸器が悪いようでジョーと同じような呼吸装置を付けている。
ジョーは2人の実子に障害がある事から、自らの後継者に相応しい完璧な子供を切望しており
そのために健康体の女達(ワイブズ)を岩山内の隔離区画に幽閉していた。
彼女達が大隊長フュリオサの手引で逃亡するとジョーは死物狂いでこれを追跡。
特に一番のお気に入りであり臨月を迎えていたスプレンディド(が妊娠していた赤ん坊)には凄まじい執着を見せた。
ある意味で「この世界の悪党の中では相対的にマシで有能。ただし、部下や『子産み女(ワイブス)』に対してはブラック企業の社長にしてカルト宗教の教祖。モチベーションの源はハーレムを維持して健康な自分の子供を作る事」という人物。
そして、「酷い事もやってるが勢力圏内では、一応の秩序は保たれている」ように見えていたが、「子産み女(ワイブス)」に逃げられた事から彼の帝国の崩壊が始まる事になる。
ちなみに余談であるが、ジョーを演じたヒュー・キース・バーンは
『マッドマックス』シリーズの第1作目に登場し、マックスの家族を奪った
暴走族のリーダー「トーカッター」も演じており、悪役としてシリーズに二度出演している。
フュリオサでは
怒りのデス・ロードの前日譚である本作にもバッチリ登場。約18年前の全盛期の頃が描かれており、冷酷な独裁者ながら優れた戦略眼と人心掌握術を持った乱世の奸雄としての側面がより詳細に描かれた。同時に、彼が「子産み女」たちにどういう仕打ちをしていたのかも具体的に描写されており、「支配者としてはある程度まともだが、本性は人を都合良く使い潰す冷血漢」というジョーのキャラクターに説得力を与えている。
しかも、子供時代のフュリオサ(この世界では珍しい健康な少女)を見て「その子を寄越せ。育てて大人になったら俺の子を産ませる」という最低の発言までやらかした。(ただし、フュリオサには、すぐに逃げられた挙句、後に大人になったフュリオサによって他の「子産み女」達も逃がされる羽目になる)