81式短距離地対空誘導弾
はちひとしきたんきょりちたいくうゆうどうだん
地上から空の敵を迎撃する地対空ミサイルの一種で、73式大型トラックに射撃管制装置を搭載した車両1台と、発射装置を搭載した車両2台で構成される。
ペトリオットのような大規模な高・中高度防空システムより射程が短く、高射機関砲や携帯式防空ミサイルシステムより射程が長い。
太平洋戦争で航空優勢を失い国土を空襲されまくったトラウマからか、自衛隊は地対空兵器をかなり重視しており、各高度をカバーする一環として81式も多数配備されている。
1982年から陸上自衛隊の各師団に、1983年から航空自衛隊にも基地防空用に配備された。これら初期型は81式短距離地対空誘導弾(A)とされる。
1992年からは海上自衛隊の基地防空用に81式短距離地対空誘導弾(B)が配備された。
後継として、小型の空対地ミサイルや巡航ミサイルへの対応能力が付加された11式短距離地対空誘導弾の配備が進みつつあり、航空自衛隊では11式と準同型の基地防空用地対空誘導弾を配備しているが、陸上自衛隊では光波FCSを搭載し対ECM・全天候性能を向上した81式短距離地対空誘導弾(C)(通称:短SAM改)の配備が続けられている。
映画
- ガメラ大怪獣空中決戦
- 中盤でギャオスを追って駿河湾上空を飛行するガメラに対し、陸上自衛隊が2発を発射。全弾命中してガメラを富士の裾野へ墜落させ、その後の自衛隊によるガメラ攻撃に繋げる。
- 終盤では日比谷公園で眠っていたギャオスを攻撃する際に使用されたが、第1波として発射された十数発は察知してギャオスが上空に逃走したため命中せず、第2波として発射された2発はギャオスを追尾するものの、接近音で探知したギャオスによって逆に誘導され、東京タワーの大展望台に着弾しこれを倒壊させてしまった。
- 発射シーンには実射訓練の映像が使用された他、地上に展開するシーンは下志津駐屯地で高射教導隊の車両を用いて撮影しており、予備弾搭載コンテナからランチャーへの弾体装填や、目視標準具の使用も描写されている。なお、飛翔する誘導弾はCG合成によるアニメーションとして描写された。
- ゴジラVSデストロイア
- 東京臨海副都心で、デストロイア幼体の迎撃に参加した自衛隊車両として登場。実車ではなく、模型である。
アニメ・漫画
- ウルトラマン_THE_FIRST
- 漫画版第2話でバルタン星人を迎撃する防衛軍の装備として登場。
- 岸和田博士の科学的愛情
- 漫画版第27話にて牛野田マークⅡの攻撃に登場。
- 機動警察パトレイバー2theMovie
- 東京都内に展開した治安出動部隊の1つとして、国会議事堂前を映したカットに映っている。
- 最臭兵器
- 原付バイクに乗って東京に向かう主人公を攻撃する自衛隊の装備として登場。何故かバイクに向かって発射、つまり対地攻撃を行うシーンがある。
- 終末トレインどこへいく?
小説
- 中国完全包囲作戦(文庫名:『中国軍壊滅大作戦』)
- 他の地対空ミサイルと共に、統一朝鮮空軍の戦闘機を迎撃する。
- 超空の決戦
- タイムゲートを通じて第二次世界大戦時に派遣された自衛隊が、襲来する連合軍機の迎撃に使用する。
『戦国自衛隊』、『ルーントルーパーズ 自衛隊漂流戦記』、『ゲート 自衛隊 彼の地にて、斯く戦えり』、『日本国召喚』等々の自衛隊が活躍する架空戦記の多くでは意外と登場機会が無い。
『戦国自衛隊』および『ルーントルーパーズ』ではそれぞれ新規に装備を異世界に投入することができず、別個にレーダー車が必要な本車はかさばるという事情もあるほか、『戦国自衛隊』に関してはそもそも『続』や『1549』のように敵方も近代装備を有しているという状況でなければ対空装備は不要である。
異世界でドラゴン等と交戦するなら戦闘機や護衛艦、主人公たちが生身で戦うなら携帯式防空ミサイルシステムの方が作劇上映えるからだろうか。
事実これらの作品の中には91式携帯地対空誘導弾が登場し活躍するものも多い。