概要
旧ソ連が開発した長距離地対空ミサイル。NATOコードではSA-10 Grumble、及びSA-12A/B Gladiator/Giant。
射程はタイプによって異なるが、凡そ40~400km。限定的だが弾道ミサイル対応能力も持っている。その性能はアメリカ合衆国のスタンダードミサイルに匹敵するとされる。メイン画像のように8×8輪の大型トラックを発射機としており、自走して各地に展開可能。
現在はロシア軍などが運用しているが、それ以外にも旧ソ連から分離したウクライナなどの国々にでも旧ソ連軍の装備品を引き継ぐ形で保有している。2022年からのウクライナ侵攻では、ロシア軍とウクライナ軍の双方で用いられたほか、巡航ミサイル不足に陥ったロシア軍がしばしば対地攻撃に転用している(なお目標の大半は民間人であり、完全な無差別攻撃)。
派生型として、艦対空ミサイル型のS-300Fフォールトがある。またロシアは発展型としてS-400及び、その補完としてS-500を開発、配備している。なお番号的な中間に位置するS-350は、中・近距離用の防空システム。
北朝鮮ではS-300と中国のHQ-9をベースに国産の地対空ミサイル「雷5」を製造している。
なお上記の通り、S-400も含めて弾道ミサイル対応能力があるはずだが、アメリカが供与したATACMS(弾道ミサイル)どころか、ウクライナのネプチューン巡航ミサイル(改良された対地型)を余り迎撃出来ておらず、システム本体や防空対象の損害が増えている。
S-300はATACMSによる反撃を受けた結果、国境付近からの対地無差別攻撃が行えなくなっており、ウクライナへの飛来数は減少傾向にある。一方、S-400もクリミア半島に配備されている部隊が多大な損害を受けており、そもそも防衛対象である軍事施設等をほとんど守れていない(ケルチ海峡の鉄道フェリーに至っては全滅した)。