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裏世界ピクニック

うらせかいぴくにっく

『裏世界ピクニック』は、ハヤカワ文庫JAから刊行されている日本の小説シリーズ。宮澤伊織著。実話怪談のひしめく異界との境界線を往来する二人の大学生の冒険譚。ジャンルはホラーであり、SFであり、百合である。
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作品解説編集

裏世界ピクニック(うらせかいピクニック)は、宮澤伊織によるエンタメSF小説。ハヤカワ文庫JAより刊行されている。

ストルガツキー兄弟の小説『ストーカー』を意識した作品で「理解の及ばない異世界でのお宝探索」というコンセプトを軸に、〈裏世界〉と呼ばれる異空間を探索する女子大生二人組の冒険と、微妙な距離感を描き出す。


裏世界ではくねくねきさらぎ駅八尺様コトリバコといった各種掲示板サイトに登場した実話怪談・ネット怪談が、作者による解釈や再構築を経た姿で登場しており、圧倒的な不条理の中に垣間見える理屈や法則を手繰り寄せて事態を打開する推理ものの一面を併せ持つ。


書籍情報編集

早川書房〈ハヤカワ文庫JA〉、既刊9巻(2024年5月22日現在)。

  • 裏世界ピクニック ふたりの怪異探検ファイル

ファイル1 くねくねハンティング

ファイル2 八尺様サバイバル

ファイル3 ステーション・フェブラリー

ファイル4 時間、空間、おっさん

  • 裏世界ピクニック2 果ての浜辺のリゾートナイト

ファイル5 きさらぎ駅米軍救出作戦

ファイル6 果ての浜辺のリゾートナイト

ファイル7 猫の忍者に襲われる

ファイル8 箱の中の小鳥

  • 裏世界ピクニック3 ヤマノケハイ

ファイル9 ヤマノケハイ

ファイル10 サンヌキさんとカラテカさん

ファイル11 ささやきボイスは自己責任

  • 裏世界ピクニック4 裏世界夜行

ファイル12 あの牧場の件

ファイル13 隣の部屋のパンドラ

ファイル14 招きの湯

ファイル15 裏世界夜行

  • 裏世界ピクニック5 八尺様リバイバル

ファイル16 ポンティアナック・ホテル

ファイル17 斜め鏡に過去を視る

ファイル18 マヨイガにふたりきり

ファイル19 八尺様リバイバル

  • 裏世界ピクニック6 Tは寺生まれのT

ファイル20 Tは寺生まれのT

  • 裏世界ピクニック7 月の葬送

ファイル21 怪異に関する中間報告

ファイル22 トイレット・ペーパームーン

ファイル23 月の葬送

  • 裏世界ピクニック8 共犯者の終り

ファイル24 ムジナ・アタックス

ファイル25 オモイシレ

ファイル26 共犯者の終り

  • 裏世界ピクニック9 第四種たちの夏休み

ファイル27 獅子の卦

ファイル28 カイダンクラフト

ファイル29 第四種たちの夏休み


単行本未収録作

間章 夜桜おねえさんの深夜配信(漫画版1巻収録)。

間章 真夜中のチキンとゴリラ(漫画版2巻収録)。

間章 窮鳥来たる夜(漫画版3巻収録)。

間章 夜が降りて来る前に(漫画版4巻収録)。

間章 やがて夜になる(漫画版5巻収録)。

間章 夜桜お姉さんの飯テロ配信(漫画版6巻収録)。

間章 狸は夜の番人(漫画版7巻収録)。

間章 夜仕事の友人(漫画版8巻収録)。

間章 白昼の客(漫画版9巻収録)。

間章 自己嫌悪で暮れていく(漫画版10巻収録)。

間章 夜半の囁き(漫画版11巻収録)。

間章 あの夜のフラッシュバック(漫画版12巻収録)。


間章 新宿、初めての待ち合わせ(漫画版1巻店舗限定特典)。

間章 八尺様エピローグ(漫画版2巻店舗限定特典)。

間章 お茶の水、初めての打ち上げ(漫画版3巻店舗限定特典)。

間章 池袋、ひとりカフェ飯(漫画版4巻店舗限定特典)。


間章 池袋の書店、待ち合わせ(漫画版11巻店舗限定特典)


<ハヤカワ・ジュニア・ホラー>

裏世界ピクニック〔ジュニア版〕

※一巻を小中学生向けに読みやすくしたもの。漢字にルビを振った他、アニメの画像を挿絵に使用、劇中の用語に注釈を付け、巻頭にはキャラ紹介や用語解説を追加している。

更に巻末には、ジュニア版独自の原作者のあとがき、および「若おかみは小学生!」の令丈ヒロ子による解説も掲載されている。


コミカライズ編集

月刊少年ガンガン2018年2月号よりコミカライズされ連載中。

作画担当は水野英多。

単行本は既刊12巻(2024年3月12日現在)

巻末に、原作者書き下ろしの短編小説も収録されている(上記参照)。

また、店舗限定特典として、書下ろし短編小説が掲載されたペーパーもある。


アニメ版編集

2020年3月5日、アニメ化が発表された。

2021年1月からAT-XサンテレビBS11TOKYOMXにて放送された。

制作はライデンフィルム&FelixFilm


なお、2021年7月2日より、BS11にて再放送された。


公式PV


アニメOP

「醜い生き物」

CHiCO with HoneyWorks

作詞・作曲・編曲 HoneyWorks


アニメED

「You & Me」

佐藤ミキ

作詞:佐藤ミキ 坂詰美紗子

作曲・編曲:maeshima soshi


アニメ各話リスト編集

話数サブタイトル脚本登場怪異原作該当話
一話くねくねハンティング佐藤卓哉くねくね、エレベーターの怪異ファイル1
二話八尺様サバイバル佐藤卓哉八尺様ファイル2
三話巨頭の村宮澤伊織巨頭オアニメオリジナル
四話時間、空間、おっさん冨田頼子時空のおっさん、廃墟、巨大風車ファイル4
五話ステーション・フェブラリー根元歳三きさらぎ駅 wild thingsファイル3
六話ミート・トレイン根元歳三きさらぎ駅 wild things 猿夢ファイル3
七話果ての浜辺のリゾートナイト井出安軌リゾートバイト 須磨海岸にてファイル6
八話猫の忍者に襲われる伊神貴世猫の忍者ファイル7
九話サンヌキさんとカラテカさん伊神貴世サンヌキカノファイル10
十話エレベーターで焼肉に行く方法宮澤伊織エレベーターで異世界に行く方法アニメオリジナル
十一話きさらぎ駅米軍救出作戦根元歳三きさらぎ駅 wild things 姦姦蛇螺ファイル5
十二話空魚と鳥子冨田頼子 佐藤卓哉姦姦蛇螺ファイル5 ファイル7

あらすじ編集


  ネット怪談×異世界探険

「検索してはいけないもの」を探しにいこう。


仁科鳥子と出逢ったのは〈裏側〉で〝あれ"を目にして死にかけていたときだった――その日を境に、くたびれた女子大生・紙越空魚の人生は一変する。「くねくね」や「八尺様」など実話怪談として語られる危険な存在が出現する、この現実と隣合わせで謎だらけの裏世界。研究とお金稼ぎ、そして大切な人を探すため、鳥子と空魚は非日常へと足を踏み入れる――気鋭のエンタメSF作家が贈る、女子ふたり怪異探検サバイバル!


主な登場人物編集

紙越空魚(かみこし そらを)/ CV:花守ゆみり

裏世界ピクニック  そらお日常

主人公兼語り部。裏世界を探索中に死にかけて、仁科鳥子に助けられる。以後、彼女と共に裏世界を探索する事に。


仁科鳥子(にしな とりこ)/ CV:茅野愛衣

「あ、起きた?」仁科鳥子

くねくねにより溺れかけていた紙越空魚を助けた恩人。裏世界で行方不明になった、閏間冴月を探している。


小桜(こざくら)/ CV:日高里菜

裏世界ピクニックの小桜ちゃん小桜とレミントン

認知科学者。裏世界の存在や事象を、科学的に解明できないか研究を続けている。


上記三人の詳細は、当該項目を参照


閏間冴月(うるま さつき)

閏間冴月閏間冴月

長い黒髪に黒縁眼鏡で背の高い女性。DS研の客員研究員を務めていた「裏世界」研究者で、同期の小桜はその手伝いだった。本編開始の三ヵ月前に行方不明になっている。


汀曜一郎(みぎわ よういちろう)

汀さん若気の至り

ファイル8「箱の中の小鳥」より登場した、DS研の事務局長を務める男性。研究者ではないが、銃器や刃物の扱い、ブービートラップ、拷問術などにも長け、民間軍事会社に個人的な伝手もある人物。そのため、事務一般のみならず、荒事への対応なども行う。

基本的に穏やかで紳士的な人物であるが、時折えげつない過去の存在を匂わせることがある。また、ヤクザやマフィアなどを初めとした、裏社会や非合法的な存在に関しても詳しい。


医者

ファイル8「箱の中の小鳥」より登場した、DS研所属の医療スタッフ。スキンヘッドで眼鏡をかけた男性。汀とは気安い間柄。裏世界絡みで身体に異常がないか、たびたび空魚も診察を受けている。

潤巳るなのカルトが襲撃した際には、部下たちに釘打ち銃を肩に受けて負傷。更にるなの声の力を受けて、UBアーティファクト保管庫の入室コードを喋らされた。

しかし事態が収拾後。潤巳るなの処遇を巡っては自身も酷い目にあわされたにもかかわらず、健常者かつ未成年であることを理由に非人道的処置を取ることには断固反対し、空魚からは聖人と評された。

割と登場機会は多く、イラスト担当のshirakaba氏による主要キャラ勢ぞろいの2022年の新年イラストにも描かれているのだが、いまだに姓名不明の人物。『寺生まれのTさん』のエピソードにて名前が分からないと話題に出たものの、結局名乗らずじまいだった。


笹塚二胡(ささづか にこ)

ファイル12「あの牧場の件」に登場した、民間軍事会社(PMC)『トーチライト』の代表取締役の女性。『セキュリティ・コンサルタント』、及び『海外渡航コーディネーター』の肩書を持つ。

『トーチライト』を率いる女性で、汀、およびDS研とも知り合いで、裏世界ことUBLに関しての経緯および事情は把握している。汀とはトーチライトを始めるよりずっと前に、一緒に働いていた事があったらしい。

ある一件の後に『山の牧場』に赴いた際。トーチライトの社員たちを指揮し、空魚と鳥子の協力を受けつつ、『牧場』内を制圧した。


(つじ)※フルネームは不明

内心怒りマックスの辻さん

ファイル24「ムジナ・アタックス」より登場した、DS研所属の職員。30代後半に見える外観の女性で、ベリーショートの髪形に、耳に多くのピアスを付けている。

DS研にて、空魚と鳥子が裏世界で拾ってきた遺物「UBアーティファクト」の保管、および保管庫の管理を担当している。汀と小桜とは、同僚にして昔からの知人。

自称「実践的な魔術師」。本人ははぐらかしているが、実際に魔術らしきものを劇中で披露している。


瀬戸茜理(せと あかり)/ CV:富田美憂

裏世界ピクニック 瀬戸茜里あかり

ファイル7「猫の忍者に襲われる」(アニメでは八話)より登場。

空魚と同じ大学に通う一年生。空手の県大会で優勝した経験を持ち、空魚は「カラテカ」と呼んでいる。

明るく好奇心旺盛な性格で、空魚を先輩と慕うが、空魚はそれをやや鬱陶しく感じている。ネットロア「猫の忍者」の怪異に襲われた事から、空魚に助けを求め、関わるように。

冴月はパートナー候補とするため、茜理の家庭教師も行っていた。


市川夏妃(いちかわ なつみ)/ CV:島袋美由利

裏世界ピクニック 「市川夏妃」センシティブな作品

ファイル10「サンヌキさんとカラテカさん」から登場した、茜理の親友で幼馴染(アニメには九話から登場)。高校卒業後には、実家の自動車整備工場で働いている。「サンヌキカノ」の怪異に巻き込まれた事を、茜理を通して空魚と鳥子が知り、二人に助けられた。


肋戸誠司(あばらとせいじ)/ CV:寺島拓篤

センシティブな作品

ファイル2『八尺様サバイバル』に登場。

二人が裏世界で遭遇した、迷彩服と外套に身を包み、AKアサルトライフルを携行する男。結婚1年目で妻・美智子が一緒に居たはずの自宅から忽然と姿を消してしまい、あらゆる手段で捜索を続けた末に独力で裏世界(彼自身は「ゾーン」と呼称)へと辿り着く。

秩父の山中にある廃神社の鳥居に生じるゲートから出入りしているが、持ち込んだ物資で裏世界に長期滞在しており、現実世界へは補給目的で戻るだけになっている。妻の行方が掴めないまま、精神状態が不安定になっているものの、近しい者が失踪した鳥子と互いの境遇に共感を覚える。一緒に美智子の探索を行う中で、「トースター」「仏壇飯」「カスミ網」などと呼んでいるグリッチの存在を二人に教えた。

その後、八尺様と遭遇するが・・・・・・。

また、ファイル19では、消えたはずの肋戸美智子を名乗る女性が登場。行方不明になった夫を探してほしいと、空魚達に依頼してくる。

アニメ版では、二話に登場。AKアサルトライフルは下げていたものの、服装はパーカーとズボンに変更。眼鏡をかけて髭を伸ばしている(上記イラストはアニメ版)。


ペイルホース第三中隊

ファイル3『ステーション・フェブラリー』に登場。アニメには5話より登場。

沖縄の在日米軍に所属する海兵隊。山中での訓練中に「ステーション・フェブラリー」こと「きさらぎ駅」の怪異に巻き込まれ、部隊ごと裏世界に来てしまった。怪異との遭遇で人員も損耗しており、空魚と鳥子が出会った時点では、補給も無く現状把握もままならない状況下で、乏しい物資や弾薬をやりくりしつつ怪異に応戦していた。

指揮官のレイ・バルカー少佐(CV:増元拓也)やウィル・ドレイク中尉(CV:諏訪部順一)が友好的な態度を示す一方、二人に懐疑的なグレッグ曹長(CV:小野友樹)に空魚の青い眼を見られ、怪異の仲間と誤解されたため一度は二人だけで遁走。

後に、孤立している彼らを放置すべきでないと考えた空魚は(「米軍の武器を分けてもらおう」という打算的な理由も含めつつ)、鳥子とともに再び裏世界へ救助に赴く。

なお、二人の話を聞いた小桜は「ペイルホース第三中隊は、公開情報に存在しない秘密部隊」という推測を立てている。

彼らは裏世界を「other side」、グリッチを「bare trap」、裏世界の怪異・怪物を「wild things」と呼称する。


潤巳るな(うるみ るな)

Urumi Runa潤巳るな

ファイル11『ささやきボイスは自己責任』に登場。

いわゆる「自己責任系」のネットロアを動画サイトでばらまく高校生のYouTuber。

その声に「人を操る力」を持つ。この声により多くの信者を擁し、カルトめいた集団を作り上げた。声質や発声については、空魚いわく「訓練を受けたものではなく、芝居がかったところのない、素人の声」。

閏間冴月に心酔し崇拝、ハンドルネームも彼女の名前に由来している(空魚は本名を「聞いたけど忘れた」)。知識量や人生経験などは高校生の平均的なそれだが、自身の『声』の力を有してからは全能感に浸り、冴月を除く自分以外は格下の存在と見下している。そのため、他者に対しては嘲り見下すような口調で接する。


ありがとう女

ファイル11『ささやきボイスは自己責任』に登場。

鳥子の透き通った左手を、何者かが隠し撮りしてネットに上げたらしい画像のプリントアウトを持っていた40代の女性。透明な指を持つ鳥子を探していたらしく、画像を「ありがとうございます」と書かれた紙製ファイルに入れていたことから空魚が命名した(他にも、「ごめんなさい」「夢 DREAM」「!!!悪魔!!!」といったファイルを持ち歩いていた)。

「るな様」を崇拝し、彼女に操られていたが、実は……。


外館(とだて)

ファイル18『マヨイガにふたりきり』に登場。

ある屋敷に住む、白髪を後ろで束ねた、すらっとした年配の女性。オレンジ色の迷彩ジャケットを着込んでいるハンターで、銃を扱えるほか、狙撃した獲物を解体する事も出来る。

裏世界に迷い込んだ時に出会った犬に「ハナ」と名付け、屋敷にて共に生活している。穏やかな性格で、空魚と鳥子の事も歓迎し迎え入れた。

裏世界には存在しないと思われていた動物が、独自の進化を遂げて存在していたことを空魚達に教えた。

なお空魚は、外館とハナの事を『「自分とハナ」だけの世界で完結してしまっている』『(空魚と鳥子を含む)他者に対し、関心や興味がない』と捉えている。そのため、普段は自分達以外が裏世界に関わることを厭う空魚も、彼女とハナに関してあまり抵抗を感じなかった模様。


(かすみ)

相を駆ける霞

ファイル19『八尺様リバイバル』より登場した少女。

肋戸の妻、肋戸美智子と名乗る女性からの依頼で、裏世界に入り込んだ空魚と鳥子が遭遇した。

以前に肋戸とともに赴いた、八尺様が出現した場所にて。そこから飛ばされた『夕映えの中に浮かぶ、古めかしい街並み』を探索中に、空魚が発見する。粗大ごみが積もった山の中にできたトンネル、その内部の空間で生活していた様子。

伸ばしっぱなしの長い黒髪に、黒いボロボロのワンピース、片足だけの靴を身に付けていた。空魚は彼女の外観から、5歳か6歳くらいと判断する。また、空魚は発見した時から、肋戸夫婦の娘か、あるいは肋戸自身が裏世界の影響で変化した姿ではないかと予想していた。

二人に出会った直後、裏世界の青色の波動らしきものが迫ってくるが、それから逃れるように二人の手を引き、様々に変化する情景の中を移動。小桜の玄関先のゲートに、二人に連れられるようにして現れる。

その後、DS研に引き取られて保護されるも、身元および正体は不明なまま。当初は周囲の大人に警戒していたが、食べ物と寝床の提供で徐々に打ち解けている。

ただし、トイレは当初使い方を知らなかった様子で、職員たちが教える事で5回に3回は使用するようになった。

口にする言葉は、空魚や鳥子なども含め、彼女の周囲にいる人間が、過去に口にしたもの。その者が会話を交わした相手の言葉も口にしている。

しかし、脈絡のある会話は現時点ではわずかしか行えていない。そのため、喋る事はできても、会話や返答はできないのか、あるいは意図的に行っていないのかも不明。意思疎通ができているかどうかすらも判然としない。

いきなり消えて、別の場所に出現するという能力を有する。どうやら、中間領域を出入りする事で、「通常空間から消え、再び現れる」事が可能らしい。この能力を用い、DS研の建物内を移動して、お菓子をくすねるような事も行っていた(ファイル20)。

この能力を用い「出たり消えたりするから」というところから、空魚が「霞」と命名した。

また、小桜邸を訪れた際に、空魚にも覚えのないセリフを口にしており、それを聞いた桜子は呆然としていた。おそらく閏間冴月が、初めて小桜邸を訪れた際の台詞だと思われるが、現時点では不明(ファイル20)。

DS研で保護されていたが、後に裏世界の異物の近くで、自在に行き来できる事を危険視され、小桜が自宅に引き取ることになる(ファイル21)。


阿部川教授(あべかわきょうじゅ)

ファイル20『Tは寺生まれのT』より登場した、空魚が通う大学のゼミの教授で壮年の男性。大学の文化人類学研究室ではトップらしい。スーツにネクタイ姿で、髪を撫でつけ銀縁メガネをかけている。一見すると大きな会社の役員のようでもあるが、フィールドワークが長いようで、肌が日焼けして黒くなっている。

文化人類学に関する豊富な知識とともに、鋭い観察眼と洞察力を有している。空魚が「実話怪談」を卒論の研究テーマにすると発表した時にも、空魚自身が「何かを隠している」という事を看破していた(ファイル21)。

『寺生まれのTさん』の怪異では、Tさんも彼のゼミの生徒として紛れ込んでいた。事件解決後、教授本人はTさんの事は覚えてはいなかったが、自身のゼミの出席簿に一名多く生徒が参加していた痕跡を自力で発見している(ファイル20、21)。

モデルは、作者が埼玉大学在学時に講義を受けた、文化人類学の教授とのこと。


紅森(べにもり)※フルネームは不明

同じくファイル20より登場した、空魚のゼミの同級生。その外観は、空魚曰く「ちょっとぽっちゃりしててかわいくて、口が大きく、人に好かれそうなタイプ」。

裏世界や、それに類する怪異とは縁がない一般人。社交的で人付き合いが良い。他人の恋愛話を聞くことを好む。

ファイル20では、空魚に自身から話しかけてきた。その理由は、「ゴールデンウィークに気心の知れた仲間と肝試しをして、その時に祟られた」ため。そして、怪談に詳しい空魚に、この事で相談を持ち掛けてきた。

ファイル24では逆に、空魚から鳥子との関係に関する相談されたため、喰いつき気味にアドバイスしている。


用語編集

DS研究奨励会

正式名称は「一般財団法人DS研究奨励会」。DSはダークサイエンスの略で、通称「DS研」。小桜が所属している団体で、研究資金の提供元。

90年代にオカルト関連の事象を「科学における未知の領域」ととらえ、それを研究するため設立された団体であり、独自のアプローチで異世界「ウルトラブルー・ランドスケープ(UBL)」=裏世界へのアクセス方法を確立し、その探索を主目的としていた。

しかし未知の状況で裏世界深部にまで侵入したことから、影響を受けて変異する者が急増。現在は探索をほぼ打ち切っており、犠牲者の回復や治療方法を模索する形で活動が続いている。犠牲者の中にはDS研の母体企業の重役、支援者の官僚、代議士、それらの関係者や家族なども存在し、そういった筋から活動資金が出ている。

資金調達や医療施設運営のため、法人として表向きは保険組合の運用を中心に事業を展開している。健康診断センターに偽装した施設を溜池山王駅近辺に設置しており、「DS研」と言えばその施設を指す事が多い。

この施設には職員はほとんどいないが、それは「裏世界由来の品物(アーティファクト)が、人間の心身に悪影響を及ぼすため」であり、普段からあまり人を置かないようにしている。施設内部では、第四種接触で異常をきたした犠牲者たちを個室に収容しているほか、空魚や鳥子らが裏世界内で回収したアーティファクトの保管もしている。


AP-1

AP-1研究オールパーパスAP-1管理作業車

鹿児島県の農業機械メーカー・文明農機が製作している、たばこ畑の作物管理作業車(実在)。APは「all purpose」の略。

ファイル6「果ての浜辺のリゾートナイト」の後、酒に酔った勢いで空魚が購入し、「裏世界」で二人の足となる。後に夏妃により改造を施され、エンジンや履帯を交換。3㎞/時から10~15㎞/時へと移動速度が向上した。

他にも、シートや荷台の増設など、様々な改造を施される。


裏世界

裏世界ピクニック #1裏世界ピクニック the Game

本作に登場する、人間の認識を超えた怪異や怪現象が多発する異常な空間。草木が茂る中に廃墟が点在しており、天候の変化はなく、青空が広がっている(後に、降雪が確認された)。また、昼夜も存在する。植物こそ現実世界と同じだが、虫や動物は存在しないのか鳴き声や気配を感じさせることは無い。

いわゆるネットロアネット上で語られる“怖い話”にたびたび登場する「異世界」で、ネット怪談に登場するような様々な怪異、既存の科学では説明できない存在があふれている。何者かが持ち込んだと思われる銃火器が落ちていたり、隠されている事もある。

入り込んだ人間に認識障害を発生させ、会話や識字能力、判断力などにも変化を生じさせる。携帯電話やスマートフォンの電波が届く事もあるが、当たり前のように文字化けし、会話内容も支離滅裂なものになっている事が多いため、現実世界と裏世界での意思疎通は極めて困難。東京のゲートと沖縄のゲートが徒歩で移動できる距離圏に存在するなど、現実世界との位置関係もひどく歪んでいる。

怪異に物理的な攻撃が通用する場面は少なく、認識を深めて狂気に近寄ることで初めて接触や干渉ができるようになる。「くねくね」との遭遇から生還した後は、空魚の右目を介したり、鳥子の左手で物理を無視した干渉が可能になっているほか、人間の「認識」と密接に結びついて挙動しているというDS研や小桜の仮説から、狂気と理性の境界線上に策が生まれることもある。

空魚や小桜は、この裏世界と発生する怪異を、『人間とはかけ離れた思考を有する何らかの存在が、「恐怖」を以て人間に接触し、怪異による恐怖を介する事で、人間の事を理解しようと試みているのでは』……と、仮説を立てている。


また、現実世界から持ち込んだ物品・無機物も、この空間内に放置していると変形・変異する事もある

ファイル3及び5では、裏世界に迷い込んだ在日米軍の荷物運搬用ロボットが、怪物じみた存在に変異し襲い掛かって来た。

ただし、後に空魚と鳥子が空間内に持ち込んだAP-1は変異していない。そのため、『必ず変異するわけではない』らしい


「裏世界」は小桜が常用する呼称で、語り手である空魚が「裏側」と呼ぶほか、肋戸は「ゾーン」、米軍は「向こう側(アザーサイド)」、潤巳るなは「ブルーワールド」と呼称。DS研は「ウルトラブルー・ランドスケープ(UBL)」と名付けており、青色が何よりの危険信号である。


なおファイル18にて、存在しないと思われていた動物が、通常は認識できない形で存在している事が明らかになった

作中に登場したのは、外館が狩猟した鹿のみだが、目の周りに角と同じような角質が発達し、まるで目隠しのようになっている(なお、解体すれば肉は普通とのこと)。

空魚はこの変化を、『動物も恐怖から逃れるために、目を塞いでいるのではないか』と推測した。同時に、『動物が独自の進化を遂げているのだとすれば、裏世界もそれだけ古くから存在している』という可能性も示唆している。


ゲート

裏世界ピクニック裏世界ピクニック

現実世界と裏世界を繋ぐ時空の歪み。ドアや穴のような、分かりやすい形のものもあれば、「エレベーターのボタンを一定の順で押すと辿り着く」「人ごみに紛れているうち、いつの間にか迷い込む」といったものもある。

ゲートは常に安定しているわけではないらしく、空魚が見つけてしばらく使っていた大宮市街中の廃墟の裏口扉は、鳥子と連れ立って現実世界に戻った際に使用不能となった。以後は鳥子が常用していた神保町雑居ビルのエレベーターを使用。

その後、小桜の自宅玄関先で怪異が発生した一件を境に使い勝手のよい新しいゲートが生成されてしまい、AP-1をそこから持ち込むようになった。

file.10 『エレベーターで異世界にいく方法』裏秘封ピクニックラブ

神保町のエレベーターのゲートは、一定の順番でボタンを押していくうちに、エレベーターの扉が、雑居ビル内ではありえない、中間領域に似た異様なフロアに開くようになる。

そのまま何度か往復していくうち、五階で扉を開くと、廊下の向こうから長い黒髪の女が駆け込んで乗り込もうとしてくる(この女は、鳥子いわく「絶対乗せてはならない」とのこと)。

そして、再びエレベーターで数度の行き来をしていくうち、エレベーター内の数字や文字の表示が「見た事のない、読めない文字」に変化。最後に辿り着いた階の扉が開くと、裏世界内の、とある廃ビルの屋上に続く扉に辿り着く。

物語初期は、空魚と鳥子は主にこのゲートを用いて裏世界に赴いていた。しかしこのゲートも、五階の女が予想外の場所に潜んでいたり(アニメ版3話)、(空魚が最初に使った時には)最後のフロアで得体のしれない何かが接近してきたり(ファイル1「くねくねハンティング」)と、決して油断できない。


中間領域

センシティブな作品

現実空間と裏世界とが、混ざり合ったような空間。

完全な裏世界ではないが、裏世界に赴く意図が無くても、知らぬ間に形成される事が多い。

共通しているのは、当事者が人込みの中(普通に街中を歩いていたり、営業中の喫茶店の中や、居酒屋で支払い終えて外に出た時など)に居た時。周囲の人間がいきなりいなくなって、孤立した状態になり、周囲を見回すと、中間領域に入ってしまっている、というパターンが多く見られる。前兆として周囲の人間の言動が支離滅裂になるといった現象がある。

そして中間領域に入った状態で更に先に進むと、裏世界に入り込んでしまう。いわば、自然発生するゲートのようなものだが、ゲートと異なり通常空間との境目が不明瞭なため、知らない間に迷い込む、というパターンがほとんど。特に裏世界に縁のある者は巻き込まれやすく、空魚や鳥子もストーリーが進むにつれて、迷い込むことが多くなっている。

他にも、裏世界に辿り着くまでに時間がかかるアクセス方法をとると、形成されることもある(上記神保町のエレベーターによるゲートでは、途中の階がそれにあたるらしい)。

中間領域はネット怪談時空のおっさんに登場するような世界に極めて近く、迷い込むと「おっさん」(何らかの管理職に就いているらしい中年男性)が現れ、原典の怪談にあるように「こんなところに来るな」と注意され、案内されて現実空間に戻る……という経緯を辿ることも多い。

他にも、八尺様の帽子など、「裏世界に関連するアーティファクト(品物)を所持していたために、そこから中間領域に迷い込む」といった事例もある(ファイル3他)。


グリッチ(Glitch)

裏世界のあちこちに点在する、異常現象が発生する空間の異常領域。天然の罠のような危険域であり、踏み込んだ者を一瞬で焼き尽くす「トースター」など、様々な種類がある。

人間の目には不可視であったり、気配などを全く感じさせないため、目視では安全領域と区別できない。そのため、空魚の青い目で見る、ボルトのような消耗品を怪しい場所に放って様子を見る、長い棒でつつくなど、確認していくしかない。

なおグリッチという名称は肋戸が使っていたもので、米軍はベアトラップと呼んでいる。

他に存在が確認されているグリッチは、

仏壇飯(白い挽肉状の塊が円錐形に突き出ており、近づくと歯医者のドリルのような金属音が響く)」

カスミ網(非常に細い髪の毛で作られたジャングルジムのようなもので、内部に鳥の羽のようなものが舞っている。ほとんど目に見えず、ボルトを放っても中に入ってしまうため認識しづらい)」

洗濯機(空魚が命名。水面の一部が円筒形に区切られ、内部に直径1mほどの渦が巻いている。その水流は、消火器をズタズタにするほどの威力を有する)」。


その他にも、名称は不明だが、米軍が被害にあった『肉体や精神を変質させ、異形の存在に変えてしまう』グリッチも存在する。作中では隊員だけでなく、輸送用のロボットまでもが変質し、新たな犠牲者を生むことになった。


第四種接触者

「裏世界の諸々との接触事例者」を事例に応じて分類する方法で、UFOや未確認飛行物体におけるハイネックの分類を小桜がアレンジしたもの。

第一種は目撃(裏世界関連の存在、もしくは裏世界そのものを目撃)、

第二種は侵入(裏世界へと当該者が侵入、または裏世界の存在が当該者の近辺に侵入し接近)、

第三種は接触(裏世界の存在を、当該者が物理的に接触)、

第四種は接触し変異した者(裏世界の存在と接触し、その影響で物理的精神的に変化・変異が発生)を示す。

空魚、鳥子は言わずもがな、DS研で治療対象となっている者の多くが第四種に該当する。

変異は、裏世界の存在を見聞きしたり、触れたり、あるいはネットを通じるなど、何らかの理由で裏世界そのもの、およびアーティファクトなど、関連する存在に接触する事で発生する

変化した結果、時に超常的な能力を有するようになる事が明らかになっている。空魚および鳥子は軽微な変化にとどまっているが、それ以外の多くの被験者は完全に変異してしまっている。

DS研に収容されている接触者たちの変異の度合いは、日常生活を送れる状態には無く、元に戻す事は現時点では不可能。意思の疎通も出来ず、生死すら不明。治療の糸口も見つかってないため、DS研では根本的な治療はできず、終末治療のペインコントロールに近い事しか行っていない(というか、できない)。中にはそれすら施せない者もいる。

そのため、空魚と鳥子に裏世界でアーティファクトを回収してもらい、それらを研究する事で治療の糸口がつかめないかと、一縷の希望を託している。


トーチライト

笹塚二胡が代表取締役を務める、民間軍事会社(PMC)。DS研とは以前より付き合いがあり、UBL(裏世界)関連の経緯および事情は把握している。言うなれば、『DS研の直属部隊』のような存在だが、笹塚は『(汀の)個人的なコネ』と述べている。

裏世界に関する事案で物理的に危険な状況下では、DS研は汀の伝手によってトーチライトに仕事を依頼している。

山の牧場』の事後調査の際に登場し、空魚と鳥子、汀とともに現場へと向かった(ファイル12)。

その際に参加した社員たちは、半分以上が外国人で、ごつい男性がほとんど。女性は笹塚と、オペレーターのヒスパニック系「ミシェル」の二人だけだった。

民間軍事会社としては優秀で、『牧場』内に残っていた第四種接触者と交戦。火器を用いて射殺し、制圧する事に成功する。

しかしそれでも、社員の何名かは『牧場』内での裏世界からの影響で、気分が悪くなったり、怪異に引っ張られて自ら飛び降りようとした(ミシェル、及び男性社員のマーカスは、第四種の影響で飛び降り自殺しそうになっていた)。


後になって、対UBL戦の訓練、すなわち「裏世界の存在が、表のDS研に襲撃した際への備え」、および「その襲撃者に対し対応できる体制つくり」のために、「牧場」に再び赴き訓練を行う事に(ファイル29)。


「牧場」

埼玉県飯能市、その山中に存在する建物。

実話怪談「山の牧場」に登場した建物をモチーフとしている。元ネタ同様に、室内も異様な造りになっている。

登場は、ファイル11「ささやきボイスは自己責任」から。

元は、潤巳るなが自分の声で作ったカルト集団に命じ、有名な怪談に登場する場所に似せて作られたものだった。

るなは閏間冴月に近づくため、裏世界へ接触を試みていた。その手段としてこの『牧場』を作り、建物および内部に、既存の怪談のシチュエーションを再現しようとしていた。

この試み自体はなかば成功。ゲートが開き、裏世界に接触した人間たちにより発生した第四種も、内部に数名収容されていた。


「牧場」に至る舗装されていない山道には、道端に標識代わりのドラム缶が数mおきに置かれ「あと○○メートル」と白ペンキでかかれている(これも原典の怪談の再現)。

「終点」のドラム缶が現れると、木立に取り囲まれた開けた敷地内に、一群の建物が建っている。

土がならされ、砂利を巻いた状態の広場を中心に、「コの字」に建物が囲んでいる。

るなの事件が収束した後に、トーチライトが内部の調査と確認を行う事になった。その際、正面の建物は「居住棟」、右側は「工場」、左側は「牛舎」と呼称されるように。


右側の棟「工場」は、空魚と小桜が最初に連れ込まれた場所。内部は壁を抜いた広い空間内に、用途不明の大型機械や荷物運搬用パレットが山積みにされている。また、赤錆の浮いた階段が上層部へと続いている。

隅には休憩室のような部屋があり、会議机とパイプ椅子が積まれている。他に、電気ポットやカップ麺など、日用品も置かれている。

階上にも部屋があり、空魚と小桜は拉致された際、そこで最初に目を覚ました。


正面建物「居住棟」は、横に長い三階建て。広場に面した廊下に沿って、ガラス窓が続き、一見すると学校の校舎にも似ている。

正面入り口の受付窓隣りの扉、室内の壁には「多数の写真を、『人のシルエットを模したようにして』貼っている」様子が見られる。写真自体は家族写真だが、顔が黒く塗りつぶされている。部屋自体には、裏世界の『銀色の靄』が空魚の目に感知されており、汀も最初に調査した時の記憶を有していなかった。

建物自体は、もとより学校の校舎のような構造をしており、廊下に沿っていくつもの部屋が並んでいる。それらにも(おそらくはるなの手により)異常なリノベーションが施され、半分以上が中間領域、またはそれに至るゲートと化していた。


ファイル12では、空魚と鳥子がトーチライトとともに内部を調査していた際。この建物内でるなのカルトの生き残りである、4番と5番の第四種と接触。トーチライトと汀は、空魚と協力してそれらを射殺している。


また、トーチライトとの調査が終わり、彼等を帰した空魚は、鳥子とともに二人きりで内部を改めて調べている。それぞれの部屋ではゲートにつながる装飾が施されており、空魚の目で見て鳥子の手で開く事で、裏世界の様々な場所に繋がっている事が明らかになった(空魚曰く、「探検候補地の冷やかし」「未知の世界のウインドウショッピング」。ちなみにそれまで探検した裏世界のどの場所からも離れている様子)。


左側の棟「牛舎」は、一階が木の柵で仕切られたコンクリートの囲いがいくつもあり、うち一つに二階への階段がある。

二階にも居住棟同様に異様な部屋があるが、ゲートと繋がっているものはない。

地下には、第四種を収容していた牢屋と、怪談「地下のまる穴」を模した、大型のゲートが存在する。

地下の廊下。その突き当りにトイレが存在し、その一番奥の個室に隠し階段がある。そこからさらに地下に行くと踊り場があり(男女両方のトイレ個室から降りてもここに至る)、更なる地下へと続いている。

その突き当りの両開きの扉を開くと、巨大な鉄の輪が設置された、広いコンクリートの部屋にいきつく。

この輪の内部には、空魚の目にしか見えない銀の光が光っており、DS研に続く大型のゲートとして安定している。るなのカルトは、地上からこの地下の部屋に続くトンネルを掘ろうとしていたらしく、地上では牛舎裏側に重機が置かれていた。


空魚は、ひと通りこの場所をトーチライトとともに調べた後、この「山の牧場」、ないしは建物の管理人にしてほしいと汀に申し出る(ファイル12)。

汀より「建物を取り壊した方が安全」と言われた時に、咄嗟に考えて申し出たもので、

「裏世界との境界が薄くなっているため、見逃した場所もあるかもしれないし、別のゲートも開くかもしれない

「自分の目と鳥子の手なら対処できるが、常人は危険」

「そのため、この建物の管理人として雇って欲しい。給料もください」

「(目的は)金銭の収入。および、裏世界のアーティファクト発見と回収。そういう意味でも見えない人が居ると危ないため、任せてほしい」と、多分に欲の混じった理由だった。

しかし、DS研、および汀も、この施設の危険性と有用性とを鑑みて、同じような事を考えていた。後に汀により正式に契約書が取り交わされ、空魚は牧場の管理人として就任する(ファイル16)。


※なお、トーチライトの調査とクリアニングが終わり、彼らが帰投した直後。空魚と鳥子だけでもう一度牛舎を訪れると、その一角で「くだん)」の怪異が発生。二人はそれに遭遇している。


以降、空魚と鳥子はゲートの存在する居住棟にのみ出入りしていた。

ファイル29で、汀より「トーチライトの、対UBL(裏世界)戦訓練用施設として使わせてほしい」と依頼され、るなも含めてそれを実行する。


余談編集

  • アニメでは、本編およびED終了後に、ミニコーナーのように空魚と鳥子がデフォルメキャラとなり、居酒屋で酒を飲む様子が描かれている。3話までは空魚と鳥子の二人だけだったが、4話では(タブレットのモニター越しにだが)小桜も登場し、二人に説教していた。
  • コミカライズ版の巻末には、原作者によるSSが掲載されている。それらは小桜が主役となっている間章で、サブタイトルに「夜」の文字が入っている(9巻を除く)。

関連タグ編集

ハヤカワ文庫 都市伝説 三角関係 百合 ネット怪談

Сталкер:ストルガツキーの小説「ストーカー」。モチーフ元であり、本作のタイトルは原題「路傍のピクニック」から採られている。ちなみに、『主人公が異常空間内に探索に赴き、戻ったら酒場で酒盛りする』という点もまた踏襲している。

ラスダン少年:本作と同時期に紙越空魚役の花守ゆみりと仁科鳥子役の茅野愛衣がご出演をしているアニメ。

学校の怪談(テレビアニメ):怪談をメインとしたホラーアニメ繋がり。

洒落怖:劇中に登場する多くの怪異のモチーフになっている。

ダーク・バイオレッツ三上延著作の電撃文庫で出版されていたライトノベル。幽霊が見える「紫の目」を持ったオッドアイの主人公と、幽霊を触ることが出来る「紫の手」を持つヒロインが活躍するなど共通点が多い。

裏世界ピクニック100users入り 裏世界ピクニック500users入り 裏世界ピクニック1000users入り

外部リンク編集

『裏世界ピクニック』アニメ版公式サイト

『裏世界ピクニック』- ガンガンONLINE

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