概要
汀曜一郎とは、「裏世界ピクニック」の登場人物である。
ファイル8「箱の中の小鳥」より登場した、DS研の事務局長を務める男性。
三つ揃いのスーツを着ており、こけた頬と、丁寧にセットした癖のある長めの髪を持つ。見た目は30代ほどに見えるが、老成した物腰のため、空魚は正確な年齢はわからなかった。
研究者ではないが、銃器や刃物の扱い、ブービートラップ、拷問術などにも長け、民間軍事会社「トーチライト」に個人的な伝手もある人物。そのため、事務一般のみならず、荒事への対応なども行う。
ファイル11「ささやきボイスは自己責任」にて、潤巳るなのカルト集団にDS研が襲撃された時も、自身が矢面に立つ事で空魚と小桜の救出を行った。
他に、「寺生まれのTさん」の怪異を追う時。空魚を勝手に追って来た瀬戸茜理に対しても、素早く気づき反応。手早く伸縮式の特殊警棒を取り出して伸ばし、戦闘態勢を取っていた(ファイル20)。
ただし、UBL(裏世界)関連の怪異やそれに類する存在に対しては、常人と同様で対抗する術を持たない。そのため、裏世界や怪異に関しては空魚と鳥子の力を借りざるを得ないのが現状。
他に、DS研の様々な契約や書類仕事など、事務的な業務も受け持っている。
空魚が「山の牧場」の管理人になりたいという申し出に関しても、契約書を作成し、空魚と取り決めを決めていた。その時も、単に空魚への信頼のみならず、「報酬(金)を以て空魚の行動を可視化し、ある程度こちらでコントロールする」という目論見から、管理人の申し出を受けたと語っている(ファイル16)。
また、小桜が霞を引き取るにあたり。霞の戸籍を取るために自身のツテも用いている(ファイル28)。小桜曰く「汀のツテを使ったから(戸籍を取るのは)若干チートしてるが」
その過去
青年期には人類学者・カスタネダに傾倒。彼に所縁のある中米に渡り、マヤ文字の入れ墨を腕に彫ったりもしたが、本人にとっては若気の至りでやらかした黒歴史らしい。
その他にも、若い頃には地元のギャングと揉めて、テキーラの飲み比べを行い、気が付いたらドブの中に転がっていたというやんちゃな経験もしている。
しかし、過去に関してはあまり描写されておらず、本人もほとんど語っていない。
基本的に穏やかで紳士的な人物であるが、時折えげつない過去の存在を匂わせることがある。また、ヤクザやマフィアなどを初めとした、裏社会や非合法的な存在に関しても詳しい。そのため、本作のホラー要素とは別方向のリアル方面のホラー要素とも言える存在である。
人間関係
小桜、笹塚およびトーチライトの社員たち、辻やDS研の医者といった、DS研とその関係者たちとはほぼ知り合いで、彼らからも頼られている。
小桜とは、空魚と知り合う前からの知人であり、その運転の技術を信頼。彼女に自動車のハンドルを任せる事も多い。
笹塚とは、トーチライト関係での知り合いであり、辻とはカスタネダに傾倒していた若い頃の事を知られている様子。
その他
モデルは、作者の知人のコスプレイヤー。
2021年に亡くなった「美少女」という名前のレイヤーで(男性)、汀の容姿(痩せて背が高く、手足が長く、ジェントルで悪そう)を設定する際には、一方的に参考にしたとの事。
作者の宮澤伊織氏とは互いに顔見知りだったが、直接話す事もほとんどなく、モデルにした事は本人には伝えられなかった(知らせる前に急逝)。